2009年12月31日

「ゴドルフィンの末裔」は是か非か?

「ゴドルフィンの末裔」(幻冬舎刊、永橋流介著)は是か非か―――そんなことを考えさせられる記事を見つけました。

「ゴドルフィンの末裔」既読の方、よければご覧ください。
ちなみに管理人は未読です。

「ゴドルフィンの末裔」とは―――

ハードカバー版が2009年6月20日発売
文庫版が2009年10月に発売された書籍。

ゴドルフィンの末裔1

<あらすじ1>
JRA職員・有森の元に届いた謎の絵葉書。直後、殺人事件に巻き込まれた彼は北海道へ飛び、業界を震撼させる驚愕の事実を知る。競馬界の闇をリアルに描いた、傑作ハードボイルドミステリー。
(あらすじ・写真共に幻冬舎公式HPより)


<あらすじ2>
親友の競馬ライターが死んだ直後に、JRA職員・有森の元に届いた謎の絵葉書。浮かび上がる八百長疑惑と、新興牧場をめぐる黒い噂。真実を追って北海道に飛んだ有森は、競馬界の常識を根底から揺るがす、禁断のプロジェクトの存在を知る。そして親友の死に隠された、哀しき運命とは。驚異の新人が、競馬界の闇をリアルに描いた渾身のデビュー作。驚愕の結末。日本のディック・フランシス遂に登場。本格ハードボイルドミステリー。
(アマゾンより)


帯にも「和製ディック・フランシス」と記載されていたという本作。なんでも「第50回江戸川乱歩賞の最終候補作品」だそう。

ディック・フランシスといえばハヤカワより翻訳された漢字2文字表記のタイトル群が思い浮かびます。「本命」「密輸」「結着」……著者自身が元ジョッキーという異色の経歴を活かし、業界の暗部を描いたそれらは非常に高い評価を得ています。こちらは管理人もシリーズ幾つかは目を通してるのでお馴染みです。

本題の「ゴドルフィンの末裔」。
タイトルのゴドルフィンとは競走馬管理団体でもあり、3大始祖のゴドルフィンアラビアンのことを指しているように本作も競馬界がテーマかと思います。

あらすじを読んだ感じでは確かにディック・フランシスの流れを汲んでいるように思えますが……というより舞台を変えただけでモロ、それっぽい気がします。読んでないのでなんとも云えませんが……。

で、この本を知る契機になった記事(レビュー)がこちら。
netkeiba.comに掲載されたトウケイニセイの生産者、田中哲実氏によるものです。

タイトルはズバリ「ゴドルフィンの末裔」。
ソース記事はこちら(外部サイトに繋がります)。
http://www.netkeiba.com/news/?pid=column_view&no=13691

まずは、ソース記事を一読して頂きたい。
田中氏の主張を要約するとこうなる(と、管理人には思われる)。

「著者・永橋流介さんの筆力は相当なものであるが、如何せん、事実認識に欠ける部分があると思われる。それはおそらく取材不足からくるものであろう。そして、その事実誤認は実在する競馬関係者のマイナスイメージに繋がりかねないものもいくつかある」

田中氏自身も最終的に「筆力があるだけに惜しまれる」としており、管理人の要約は行き過ぎかもしれないが、その業界の実態をたとえフィクションとはいえ描くつもりならば、もっと詳しく正確に描写して欲しいと仰っているのだろう点は外していないと信じる。

これはひとつの警句であろう。
業界の内実を描く作品は多い。
だが、実際それらの作品のうち、その業種に携わる人々から異存なく支持されるほどの作品はどれほどあるだろうか。
業界内部を作品に表現するにはもともとその業界に携わっていた人間か、その業界に詳しい人物多数に助言を求めうる立場の人間に限られるべきかもしれない。あるいはあくまでフィクションであるとして壱から作品世界を構築し直すか。

その点、松本清張御大は偉大だった。
社会派という一派を形成した御大の業績は地道な取材、正確な情報から練られ、その筆により描きだされた。

例えば、以下のリンクをご参考願いたい(外部サイトに繋がります)。

・卑弥呼ミステリー「陸行水行」の舞台を歩く(毎日jp 11月30日付)
http://mainichi.jp/area/oita/news/20091130ddlk44040253000c.html

・清張生誕100年 いまも輝き続ける作品群(西日本新聞 12月21日付)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/141981

上記の記事によれば、いずれも綿密な取材や実体験があり成立した作品であることが窺える。

作品にはその人の生き様が出るのだ!!

な〜んて偉そうに云ってみたが、結局管理人にとって本作「ゴドルフィンの末裔」は未読である。したがって是非など問えない。問えるはずもない。

是非を問えるのは本作「ゴドルフィンの末裔」を読み切ったものだけである。

というわけで、管理人は下記アマゾンリンクより「ゴドルフィンの末裔」を購入し、この是非をはっきりさせる人物を待つ者である(笑)。よければ、読後に感想をコメント欄にでも頂ければ後進の為にもなろう。というわけで、興味があればどうぞ!!

文庫版「ゴドルフィンの末裔」です。真実はあなたの目で!!
ゴドルフィンの末裔 (幻冬舎文庫)





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posted by 俺 at 20:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 既刊情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
読んだけど面白かったですよ。競馬とか馬が好きな人なら理屈抜きに楽しめると思う。ただ、主人公の造形が熱いけどちょっと皮肉っぽい、アメリカのハードボイルド小説の主人公の造形になっているので、北海道の牧場と課にもそういうシニカルな目が向けられており、現地の人はカチンとくるのかもしれませんね。ただ、現地にとっていいことばかり書かないとならないわけではなく、ちょっと距離を置いて見れば、こんなものかなと思うようなことなので、細かいことに目くじら立てることもないと思いますよ。それよりも、もっと本筋のところでどうか、というところでいえば、よく出来た競馬小説だと思うし、これからももっと競馬を題材にした小説がでてきてほしいなと願うばかりです。
Posted by ディープインパクト at 2010年01月30日 02:50
Re:ディープインパクトさん

コメントありがとうございます。
管理人の俺です。

コメント拝見しました。
「ゴドルフィンの末裔」結構面白そうですね。
主人公のニヒルというかシニカルな視点からの物語ということですか。
それなら、物語上の要請ということでテイストの一環ですよね。
読んでみようかなぁ。

Posted by 俺 at 2010年01月31日 01:06
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