2010年01月08日

「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」があなたを待っている……

「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」ご存知ですか?

これは、本格ミステリー作家島田荘司さんの出身地である福山市がミステリー文学界に新風を送ることを目指し、新設した賞の名称です。
以前、「ミステリ通信 創刊号」にて一般選考委員募集の記事で取り上げたこともあるのでご存知の方も多いかも。

その第3回締切が2010年5月10日(月)に迫っております。
応募対象となる作品は、自作未発表の日本語で書かれた長編ミステリー作品。
400字詰原稿用紙350枚以上800枚程度。

詳細は「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」公式HPからどうぞ(外部サイトに繋がります)。
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/bungakukan/fukumys/aip.html

さて、この「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」は、過去2回開催されており、それぞれ
第1回「玻璃の家」松本 寛大(まつもと かんだい)さん
第2回「伽羅の橋」糸 冬了(より とおる)さん
上記の受賞作・受賞者を輩出しております。

「玻璃の家」については千街晶之さんの以下のような書評も。(太字は転載部分)

『序章から巧妙な仕掛け

 広島県福山市が、芸術文化の活性化を図って創設したのが「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」である。同市出身のミステリー作家、島田荘司を選考委員に迎えただけあって、同種の自治体主催の文学賞としては、宣伝や準備などにも力が入った部類だろう。

 その第一回受賞作となった「玻璃(はり)の家」は、アメリカはマサチューセッツ州の小都市を舞台にした本格ミステリーである。かつてガラス製造業で財を成したリリブリッジ一族が住んでいた邸宅は、最後の当主の怪死やヒッピーの死亡事故などの変事が起きており、今や完全な廃屋と化していたが、そこで殺人事件が発生した。

 犯行の一部始終を目撃していた少年には、あいにくなことに自分の顔も含め人間の顔を識別できない「相貌(そうぼう)失認」という症状があった。心理学を学ぶ日本人留学生トーマがこの難事件に挑む。

 本作のミステリーとしての読みどころは大きく分けて二つある。一つは、脳科学や精神医学などの知見を作中に取り入れている点だが、過剰に専門的になることはなく、ラストの劇的な演出のために不可欠な要素となっている(もっとも、視覚的な効果を文章でなんとか表現しようとしているため、隔靴掻痒(かっかそうよう)の印象を受けたのも否めないけれど)。もう一つは犯人を特定するための論理だが、双子トリックが本格ミステリーのネタとしてはありふれていることを承知の上で敢(あ)えて取り上げ、怒濤(どとう)の連続どんでん返しで読者を翻弄(ほんろう)してみせるあたりはまさに圧巻。考え抜かれたミスリードの技巧が、プロローグの時点から巧妙に仕掛けられている。

 筆致は淡々としており、島田作品のような有無を言わさず読者を引き込むダイナミックさには欠けるが、著者の生真面目(きまじめ)な姿勢は伝わってくる。有力な新人作家の誕生と言えるだろう。』
(北海道新聞 2009年5月17日付)


「玻璃の家」については下にアマゾンへのリンクも貼っておきますので興味のある方はそちらもどうぞ。

「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」第1回受賞作品「玻璃の家」です!!
玻璃の家





「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」第1回優秀作品「少女たちの羅針盤」です!!
少女たちの羅針盤



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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説賞関連情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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