原作紹介等関連過去記事はこちら。
キャストは下部にあります。
<あらすじ>
年の瀬が迫る12月…。
派遣 OL の 一条春生 (菅野美穂) は折からの不景気で、突然派遣先の会社をクビになってしまう。
そんな矢先、春生は以前、キャバクラ嬢をしていた頃の仲間だった 和辻摩子 (谷村美月) から、正月、北海道にある和辻家の別荘で一緒に過ごさないかとの誘いの手紙を受け取る。
仕事がクビになったうえ、昔から男にだらしがない母と、頼りない恋人・健治 (宮藤官九郎) に囲まれた生活にうんざりしていた春生は、金持ちの別荘で過ごすという招待に飛びつく。
数日後の正月…。
春生は、摩子の家族で日本有数の製薬会社を営む和辻家の別荘を訪れる。
春生の来訪を喜ぶ摩子に、摩子の紹介で別荘に集っている和辻家の面々と対面。
和辻製薬の社長で、和辻家のいかにも家長然とした 与兵衛 (津川雅彦)、綺麗だがプライドの高そうな与兵衛の妻・みね (池内淳子)、与兵衛の弟で仕事が出来ない遊び人のような 繁 (江守徹)、与兵衛の甥でいかにもイケメン坊ちゃん風体の 卓夫 (成宮寛貴)、摩子の義父で学者らしい気難しい態度の 道彦 (中村橋之助)、そして、与兵衛の亡くなった妹の娘で摩子の母でもある貴婦人のような美しさを持つ 淑枝 (真矢みき) と、和辻一族ではないが与兵衛の主治医で謎めいた雰囲気を持つ 鐘平 (香川照之)。
春生はそんな一癖も二癖もありそうな和辻家の面々と早速、晩餐を共にする。
晩餐後、与兵衛だけが自室に退席し、残った和辻家の面々と鐘平、そして春生はラウンジで各々思い思いにくつろいでいた。
と、そんな春生たちの前で、突然、誰もが予想だにしなかった悲劇が巻き起こる。
与兵衛に呼ばれて席をはずしていた摩子がナイフを手に握り締め、鮮血に染まった姿で皆の前に現れたのだ。
「 私、おじいさまを殺してしまった !! 」
和辻家のうら若き華であり、何のけがれも知らぬであろう摩子が、なんと大伯父である与兵衛を殺してしまったというのだ。
皆が与兵衛の部屋へ行くと、摩子が言うとおり与兵衛が死んでいた。
摩子は、与兵衛に乱暴されそうになり、抵抗した勢いで刺してしまったと皆に話すと、道彦はすぐに警察に連絡を入れようとするが、淑枝は摩子を警察に突き出したくないと、自分が代わりに自首すると言い出す。
さらにみねも、和辻家の名誉を守るために摩子を犯罪者として通報する訳にはいかないと主張し、一同は途方に暮れる。
そんな一同に向かい、死亡時刻をずらし、与兵衛を強盗に殺されようにすれば良いと、鐘平が提案。
ほどなく、一同は摩子を一先ず東京へ帰すと、鐘平の医師の知識を活かした指示に従い、皆が一丸となり、与兵衛の遺体や身の回りに偽装工作を施していく。
その翌日、万全を期す和辻家一同の前に、いよいよ刑事の 中里 (小日向文世) が捜査にやってきた……。
(公式HPより)
では、続きから……。
全員が全員、与兵衛に対して何らかの遺恨を抱いていた和辻家。
鐘平の計画は与兵衛の死亡推定時刻をずらし、摩子のアリバイを成立させる、同時に与兵衛殺害犯を強盗に見せかけること。
具体的には以下の通り。
◆アリバイ
22時20分、摩子はタクシーで屋敷を去る(タクシー運転手が証人)。
その後にグラタンをデリバリーさせる(グラタン到着時刻確定)。
デリバリーで届いたグラタンをチューブで与兵衛の胃に送り込む(グラタン摂食時、摩子は屋敷に居ない。摩子アリバイ成立)。
◆死亡推定時刻
死体を電気カーペットで暖め続ける(死亡推定時刻を誤魔化す)。
遺体の位置と向きを変え続け、死斑が出来ないようにする。
死後硬直を遅らせる為に遺体をマッサージし続ける。
◆強盗偽装
強盗の仕業に見せかける為、足跡を裏庭に残す(雪上の足跡)。
同時に盗まれた筈の品を選定。
ポーカーを2時間、真剣勝負する(強盗に気付かなかったこと&それぞれのアリバイに信憑性を持たせる為に実際に行動)。
◆証拠隠滅
摩子は東京で証拠品を隠滅(ナイフ、衣装等)。
翌朝、満を持して通報することに。
一方、地元の警察署長として赴任した相浦は左遷されたことを苦にしており、手柄をあげて本部に戻ろうとしていた。
当然、事件の報に狂喜乱舞する。
そして、現場へと部下の中里がやってきた―――。
1人ずつ個別の事情聴取を乗り越え、計画は成功したに思えたが……。
鐘平は「自分が偽装工作を云いださなければ……間違っていたのかも……」と述懐。春生は慰める。
そこで、ふと下を見ると!?
雪上に残した筈の足跡が改竄され無意味なものになっていた。
同時に足跡用のブーツも消えている事が判明。
当の消えたブーツは現場のベッドの下に。中里が発見。
偽装工作を確信する。
なぜ、与兵衛が風呂上がりなのにシャツとガウンだったのか?
そこにも作為を感じる中里。
摩子が屋敷へと戻る中、相浦が中里の情報をもとに記者会見を開く。
ここで外部犯行説が消え、屋敷内の7人に嫌疑が。
春生は7人の中の誰かが偽装工作を発覚するよう細工したと推理。
7人全員が疑心暗鬼に。
春生同様、中里も7人の中の裏切り者の存在を確信。
その意味するところを考える。
翌日、中里は関係者全員を集め「全員の仲が良かったか?」確認する。
まどろっこしい物言いを批難され、結論を求められた中里。
摩子が犯人だと指摘する。
与兵衛殺害時刻を疑った理由は3つ。
@入浴していた筈なのに与兵衛がシャツとガウン着用だったこと。
A現場の室温が27℃。高すぎること。
B個別聴取の結果が完璧すぎたこと。
最初、中里は全員共謀を考えたが春生が加わる筈はない。
次に春生犯人説を考えたが、それだと全員が庇う筈がない。
チューブも証拠品として回収されており、アリバイ工作もバレていた。
摩子は殺害を認め、逮捕される。
取り調べ中、中里は摩子にひとつ質問を……。
一方、春生は淑枝の部屋を訪れ「男とお金どちらを取りますか?」と質問する。
「当たり前でしょ」とあしらう淑枝。
中里の質問は「あなた(摩子)は誰を庇っているんですか?」というもの。
動揺する摩子。
またも、和辻家を訪ねる中里。
ここで新たな情報が。
鐘平は与兵衛の隠し子だった。
だが、鐘平は与兵衛を憎んでいた。
ここであらためて関係者全員に与兵衛殺害の動機があったことが判明。
そんな中、中里が爆弾発言を。
和辻家の人間は与兵衛の遺産を相続できないと云うのだ。
摩子が殺害したことを知った上で偽装工作を行った―――これが、民法891条の2「被相続人の殺人されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者」に当たる為だ。
そんな中、春生はたった1人遺産を相続できる人間が居ると云うが……。
そこへ飛び込んでくる淑枝。自分が犯人であると認める。
驚く面々。
摩子が庇っていたのは淑枝だった。
だが、自らの罪を逃れる為に娘に罪を着せるだろうか?
中里は「淑枝は犯人ではない」と否定する。
摩子が犯人だった場合たった1人相続できる人間。それは淑枝。
民法891条の2、但し書き「その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない」により直系血族にあたる淑枝のみ相続可能になるのだ。
つまり、真犯人の目的は摩子を犯人にすること。加えて、他の和辻家の面々に摩子を庇いだてさせることで相続権を喪失させること。
これで淑枝が遺産を独占できる。
だが、淑枝は犯人ではないと中里は云う。では、犯人は?
春生がはっと気付き、中里が後を引き継いだ「そう、道彦さんです」。
春生が淑枝に行った質問「男と金どちらを取るか」。
淑枝はこうして罪を告白している以上、金はない。
金でなければ男しかない。
真犯人は淑枝を経由して全財産を相続しようとした道彦だった。
道彦は計画的に与兵衛を殺害。
誤って殺害してしまったと淑枝に泣き付き、偽装を提案。
偽装を成立させる為には和辻家の皆に可愛がられている摩子を犯人にするしかないと説得。
淑枝から摩子に身代わりを了承させたのだ。
そうしておいて、偽装がバレるように工作。
淑枝以外の相続権を奪い、淑枝の受け継いだ財産を頂くつもりだった。
「俺の崇高な研究の為ならお前らなんてどうでもいい」
豹変し、云い放つ道彦。
その道彦を抱きしめようとする淑枝。
だが、淑枝の手には光るナイフが握られていた。
淑枝に貫かれ死亡する道彦。
淑枝はその場で現行犯逮捕された。
春生に「あなたはこうなっちゃ駄目よ」と云い置いて。
真犯人・道彦は死亡、その妻・淑枝を現行犯逮捕したことを会見で述べる相浦。メディアから批難される。当分、彼の望みは叶いそうもない。
中里が淑枝の犯行を信じなかった理由。
それは中里自身が妻と子を事故で亡くしており、母子の情を信じていたから。
自分の都合で娘を殺人犯にする母親は居ない―――それが彼の信念だった。
与兵衛の葬儀にて。
与兵衛の跡を継ぎ社長になった繁など和辻家の面々はあの出来事を経て逞しくなったようだ。
摩子と話す春生。
2年前、摩子がキャバクラに勤めた動機は鐘平にふられ(鐘平と摩子は血縁だったため、妹としか見てくれなかった)、自分を変えようとしたためだった。そのキャバクラ勤めの際、何気なく春生が放った一言。
「金持ち特有のドロドロの世界に参加したい」
その願いをかなえる為に別荘に呼んだのだった。
摩子は春生に憧れていたと云う。
「ドロドロの世界からは抜け出す」と宣言した摩子。
「鐘平さんを宜しく」そう告げて去って行く。
並木道を歩く春生、鐘平。
面白いもので与兵衛の遺産は結局、淑枝のものになるらしい。
だが、鐘平は裁判に持ち込もうと思うと語る。
春生のバイタリティを見習う気になったらしい。
「ドロドロの世界に挑戦しますよ」語る鐘平。
鐘平と別れ、自宅へ戻った春生を健治が迎える。
「なぁ〜〜〜春生〜〜〜。良かったら結婚……」
「いや」即断する春生。
呆気にとられる健治をよそに、そのまま荷物をまとめると家を出る。
向かうところは―――。
実は家へ戻る前、鐘平とこんなやりとりがあったのだ。
「じゃ、私と結婚しよ」軽く提案する春生。
「はい」あっさり了承する鐘平。向きあう二人。
女は強い!!春生のモノローグでエンド。
<感想>
和辻家のW&WomanのWで「Wの悲劇」。
名作だと聞いてはいたけど、読んではいなかった作品がドラマ化です!!
ひゃっほう!!
ドラマを見て。
主人公も含め、出てくるキャラクターが個性的。
普通、あそこまで明け透けな物言いする主人公がいるだろうか?
人のゴタゴタを率先して楽しむなんて……でも、そこが面白い。
バイタリティの塊のような主人公でした。
他の面々も人が1人死んでるのに、全く動じないどころか楽しそうな所が怖い……けど、そこがWの悲劇テイスト、なぜか面白い。
ストーリーも民法891条持ち出してくるし、伏線は回収してくれるしで良かった。
原作付きドラマの中でもかなりの高評価です。
キャストも豪華。下を見てください。凄いでしょ。
津川さん、死体役でした。常に目を剥いたまま……大変そう……。
まさに無言の熱演。
江守さん、常にグラス片手……なぜか、ぴったり。
橋之助さん、悪役でした……びっくり。
などなど、名作の名に恥じないドラマでしたー。
ただひとつ最大の謎が解明されていません。
なんやかんやで人を見る目がある主人公・春生。
なぜ健治とつきあっていたのか―――それが一番の謎です。
<キャスト>
和辻家を訪れた人々
一条春生 (派遣OL、摩子の元先輩) … 菅野美穂
間崎鐘平 (和辻家の主治医である外科医) … 香川照之
和辻家の人々
和辻淑枝 (与兵衛の妹の娘、摩子の母) … 真矢みき
和辻道彦 (淑枝の三番目の夫、私立大学教授) … 中村橋之助
和辻摩子 (淑枝&道彦の娘、女子大生) … 谷村美月
和辻卓夫 (与兵衛の弟の息子、和辻薬品秘書室社員) … 成宮寛貴
和辻みね (与兵衛の妻) … 池内淳子
和辻与兵衛 (和辻家当主、和辻薬品会長) … 津川雅彦
和辻繁 (与兵衛の末弟、和辻薬品取締役) … 江守徹
旭川北警察署の人々
相浦克平 (北海道旭川北警察署署長) … 武田鉄矢
中里右京 (北海道旭川北警察署刑事係長) … 小日向文世
春生を取り巻く人々
平野健治 (春生の恋人) … 宮藤官九郎
春生の上司 (春生の派遣先の社員) … 温水洋一
(公式HPより)
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