2010年01月29日

金曜プレステージ「松本清張ドラマスペシャル 山峡の章」(1月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ「松本清張ドラマスペシャル 山峡の章」(1月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>
朝川昌子(菊川怜)は信用金庫で働くごく平凡な社会人だった。家族は、教員の父(藤田宗久)と専業主婦の母(宮崎美子)、そして昌子とは対照的に天真爛漫で楽観的な妹・伶子(星野真里)。淡々と過ぎていく日々に少しでも変化を求め、一人旅に出た昌子は、そこで堀沢英夫(平岳大)という男性と出会う。堀沢から大学時代の同級生でジャーナリストの吉木(岡田義徳)を紹介されるなど、正式に付き合うようになった二人。
その後、外務省に勤めている堀沢は3年間の海外勤務が決まり、二人は結婚の約束を交わし遠距離恋愛を乗り越えて、めでたく結婚した。昌子は幸せの絶頂だった。しかし一ヶ月経つと堀沢の様子に少しずつ変化が見られるようになった。帰宅は毎日深夜をまわり、携帯が鳴っても昌子を避けるように部屋を出て行く。実家に遊びに帰った昌子に、「お義兄さん、結婚したらコロっと変わったんじゃない?」などと悪気もなく言う伶子の言葉に、昌子の心境も複雑だ。

そんなある日、昌子は自宅近くのマンションから吉木が出てくるのを見かけ、声を掛けるが、吉木は「俺と会ったことは、堀沢には言わないでほしい」と足早に去っていった。その日の夜、吉木が出てきたマンションにはパトカーや救急車が停まり騒然としていた。水商売の女が自殺したらしい、と聞いて昌子は驚く。
数日後、昌子が伶子と夜食事に出て一人自宅に帰ってくると、部屋の中は何者かが物色したようなひどい状態だった。気が動転した昌子の元へちょうど帰宅した堀沢だが、部屋の様子を見ると、家を空けた昌子を責め、警察には届けるなと言う。堀沢の変貌ぶりに昌子はショックを受け、それ以降、険悪な空気が続いた。
何日か経って、堀沢が出張に行くことになった。その前日、堀沢は昌子に今までの自分を詫び、「出張から帰ってきたら話したいことがある」と言い残して発って行った。
しかし、それが堀沢の最後だった。二日後、堀沢の会社の上司・竹村(勝村政信)から「二日間連絡ひとつない」と電話がかかってきた。そして長野県警からも連絡が…。堀沢と女性の遺体が発見されたというのだ。しかも一緒だった女性は、伶子だった! おそらく心中であろうという警察の判断に、「なぜ? どうして?」という信じられない思いと深い悲しみのどん底に突き落とされた昌子は、事件のあった湖に向かった。そこには吉木の姿があった…。
昌子は吉木と共に、二人の死の真相を突き止めるため動き始めた。
(金曜プレステージ公式HPより)


では、続きから……。

伶子の知人で英会話教室を経営する小野喜久子から伶子が妻子ある男性と付き合っていたようだと伝えられた昌子はショックのあまり湖へ入水自殺を企てる。

そこへ吉木が現われ、昌子を止める。
昌子を励ます吉木。
こうして二人で調査を開始することに。

伶子がレンタカーを借りていたことを知り違和感を抱く昌子。
だが、それが何かにまでは思い至らない。

英夫が泊っていた旅館を訪ねる昌子、吉木。
誰も英夫を乗せた車の運転手の顔を見ていなかったことに、第三者の介在する余地を感じ不審を抱く昌子。
応対した仲居によれば英夫は誰かと電話中に「タキタ」と口にしていたらしい。

英夫が仕事で使っていたノートPCが盗まれたことを吉木に話す昌子。
吉木は何者かの存在を確信する。

地道な聞き込みを続ける昌子、吉木。
だが、タキタの名前はどこからも出てこない。
諦めかけていたところに「タキタ」がクラブ「TAKITA」であることが分かる。

昌子は“アヤ”と名乗ってクラブ「TAKITA」で働くことに。
クラブ「TAKITA」の同僚と親しくなる昌子。

一方、伶子が車を借りたという有限会社「信濃レンタルオート」へ赴く吉木。
オーナーによれば当日、車をレンタルした人間は運転テクニックが凄かったらしい。左ハンドルにも関わらず車庫入れも一発でこなしていた。

その頃、クラブにて野地を見かける昌子。
野地はクラブの常連だった。

吉木から連絡を受けた昌子は車を借りた人間が伶子ではないと確信。
伶子はペーパードライバー。それだけの運転テクニックはない。
以前、感じた違和感の正体はこれだったのだ。

昌子から野地について聞いた吉木。
英夫が宿から連絡したのはクラブに来ていた野地だったのでは……吉木は推理を巡らす。
野地は大友と接触していた。大友は以前から吉木の追っていた麻薬組織のトップ。
外務省の権限を使い大友に便宜を図り、見返りに利益を得ていたのではと考えたのだ。
吉木が昌子に口止めした水商売の女性が自殺した件。
その女性の名前は原田よしみ、彼女は大友の関係者だった。
吉木はその自殺にも疑問を抱いていた。

暫くたったある日、唐突に英夫に収賄容疑がかかり家宅捜索が行われる。
持ち出されていく英夫の私物。
再びショックを受ける昌子。

収賄容疑を受けて、英夫の上司・竹村に会い、英夫の無実を訴える昌子。
加えて野地のことを告げ、必ず、潔白を証明すると宣言することに。

当の野地は海外へ出張しており、あまりのタイミングの良さから吉木は大物の関与を疑う。

「これ以上は危険になります、あとは警察に任せて」と手を引くよう昌子に忠告する吉木。
「吉木さんには残される者の気持ちは分かりませんよ」
昌子は夫・英夫の名誉と残された者の辛さを訴える。
「わかりますよ」昌子の言葉をあっさり否定する吉木。
吉木の妹はそれと知らずに麻薬を服用させられ、常習者にさせられた経緯があり、悪事を働く卑劣な人間は許せないと語る。
結局、二人で協力し続けることに。

大友の裏帳簿が発覚。逮捕状が発行される。
原田よしみが残した会計書類が決め手となったのだ。

小野喜久子宅を訪れた昌子。

吉木は昌子からの留守電メッセージを聞き、小野喜久子を調べる。
喜久子は昌子のことなど知らなかった。
それどころか伶子のことすらも。
昌子の知る小野喜久子は偽物だったのだ。
昌子が危ない―――吉木は昌子の元へ急ぐ。

その頃、喜久子に妹・伶子のことを尋ねる昌子。
その後ろから何者かの影が。
気配に気づき、振り向いた昌子。
そこには大友の姿が。
昌子は抵抗虚しく眠らされてしまう。

ふと、気がついた昌子。
そこは、英夫と伶子が死亡した湖。
傍らには大友とニセ喜久子がいた。
二人に組伏せられ湖面へと顔をつけ込まれる昌子。
溺死させる気だ。
抵抗するも、薬を嗅がされており、効果が無い。

危機一髪。そこへ吉木と警察が駆けつける。
警察の手により連行される大友、ニセ喜久子。

病院に運ばれた昌子に吉木が事件の真相を明かす。

野地の不正に気付いた英夫。
告発する前に野地と話し合うべく、長野へ呼び出した。
英夫は旅館で野地を待っていたが、野地にその気はなく、大友とニセ喜久子を差し向けた。
事前に伶子を拉致したニセ喜久子は、そのまま伶子に変装。
レンタカーを借り受け、今度は野地の使いを名乗り英夫を車に乗せた。
湖に連れていき、あらかじめ運んでおいた伶子と共に英夫を殺害したのだった。

収賄容疑も含めてすべては黒幕の手によるものだった。
その黒幕とは―――。

昌子と吉木が黒幕の元へと向かう。
黒幕の正体は英夫の上司・竹村だった。

野地は竹村の指示で動いていた。
だが、英夫は野地を告発しようとしていた。
野地が捕まれば竹村にも累が及ぶ。
それを阻止するために英夫を殺害したのだ。

竹村へ夫・英夫を返してと訴える昌子。
「(英夫と)二人ならば何だって乗り越えられたのに」
それに対し、竹村は。
「私には見る目が無かった、あなたを見誤った」
とだけ言い残し逮捕された。

事件は解決した。昌子と吉木に別れの時が迫っていた。

「大切な人に出会ったら、心はこの人だと分かる」
英夫の言葉を胸にこれからも生きて行こうと誓う昌子に、
「英夫が羨ましい」と吉木が呟く。
だが、その言葉は昌子に届かない。
「明日が結婚記念日なんです、ありがとう、吉木さん。また」
そのまま、去り行く昌子。
「また」夕暮れの橋の上、昌子を見送る吉木。

翌日、昌子に宅配便が届く。差出人は英夫。
中身はステンドグラスの写真立てだった。

「昌子へ、僕の幸せは君の笑顔と共にあること―――」
そう始まる英夫の手紙は、「思い出を作り、写真立てで一杯にしよう」で括られていた。
英夫の愛を確認し、涙を流す昌子。

エンド。

<感想>
設定が以前取り上げた「中央流沙」に近かったので警戒したけど、割と良作。
クラブに潜入する意味は余りなかったかも。
前半、モノローグを多用し飛ばし気味だったが、その分、後半がまとまっていた。
2時間という限られた時間を上手く使っていたように思う。

<キャスト>
朝川昌子(31) … 菊川 怜

吉木信弘(34) … 岡田義徳
堀沢英夫(34) … 平 岳大

川崎一也(35) … 松田賢二
小野喜久子(32) … 中込佐知子
野地慶介(34) … 菊池均也
朝川 清(60) … 藤田宗久
徳永絵美子(31) … 堀 まゆみ
渚(31) … 永池南津子

朝川伶子(26) … 星野真里
朝川亮子(56) … 宮崎美子
竹村忠則(48) … 勝村政信
ほか
(敬称略、公式HPより)


松本清張さん原作ドラマ化レビュー過去記事です。

「中央流沙」(TBS)はこちら
「火と汐」(TBS)はこちら
「顔」(NHK)はこちら

日本テレビにて、「霧の旗」「書道教授」ドラマ化情報はこちら

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山峡の章 (角川文庫 緑 227-30)





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山峡の章 (1965年) (カッパ・ノベルズ)



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