日本で100番目に早い(たぶん)、相棒season8 13話「マジック」(1月27日放送分)ネタバレ批評(レビュー)。
<あらすじ>
人気マジシャンのミスターアキこと秋川(中村有志)の弟子・澤田がアキのマジックの本番中、照明用の足場から転落死した。
秋川の妻・香奈恵(クノ真季子)によると、澤田は秋川のマジックの段取りをしていたという。
その香奈恵は澤田の本名が田中であることをなぜか知らなかったらしい。
客席で秋川のマジックを観ていた右京(水谷豊)はさっそく現場検証、いくつかの不審な点を発見する。
さらに尊(及川光博)と秋川の自宅で田中の部屋を調べていると1枚カードが足りないトランプと不思議なボールペンを発見した。
田中の死に隠された複雑な事情を右京らが暴く!
(あらすじ・写真共に公式HPより)
登場人物一覧(レギュラー以外)
秋川:有名マジシャン・ミスターアキその人。
澤田:秋川の弟子、本名・田中。
香奈恵:秋川の妻。
はじめ:秋川と香奈恵の息子。
荒井:興信所・東都リサーチの社員。
速水:4年前の秋川の弟子。故人。
◆プロローグ
友達からチケットを貰ったというたまきからマジックショーに誘われた右京。
座席は比較的前列、二人並んでショーを鑑賞することに。
客席最前列に座る男性が煙草をスタッフから注意されていた。
その男性はやおら立ち上がると客席へ向き直り煙草を見せつける。
注意をひかれる観客たち、その目の前で煙草が消えた。
客席へ向けて深々と挨拶する男。
拍手が沸き起こる。
彼こそは、ミスターアキだった。
ショーは上々の滑り出しを見せ、その後も順調に推移していた。
炎のマジック。鳩のマジック。宙に浮かぶ杖のマジック。
次々と不可思議な世界が繰り広げられ観客の興奮は最高潮に。
客席を移動しようとしていた女性が転びかけ、ミスターアキから「お嬢さん、転んじゃだめだよ。大丈夫?」とアドリブが出るほど。
いよいよ、舞台も終盤に差し掛かり、瞬間移動マジックへ。
「1999年、恐怖の大王は舞い降りなかったけど。
今このとき、すべてを終わらせる何者かが舞い降りるよ〜〜〜」
ミスターアキの名調子に合わせ、ステージのライトが消えた。
再び灯りが点いたステージ上には、得体の知れない黒布と人らしきものが転がっていた。
中央に転がるそれらの横で戸惑った表情のミスターアキ。唐突に下りる幕。慌てた様子でショーの終了を伝えるアナウンス。
そのどれもが異変を伝えていた。
右京の出番だ―――。
◆1
伊丹たち捜査一課が現場に到着。
ミスターアキこと秋川はショックからか呆然としていた。
被害者は澤田という秋川の弟子。
天井に這わせた足場(ブリッジ)から舞台床面に落下したことが死因だった。
秋川の妻・香奈恵によれば、澤田が天井に居たのは瞬間移動トリックの段取りの為だったらしい。
瞬間移動トリックをリハーサル時のテープで確認することに。
舞台中央に立つ秋川の頭上から黒布を被せた後に、天井から箱を降ろす。その箱から秋川が出てくるマジック。
澤田は天井裏から黒布を落とす役割だった。
だが、黒布と一緒に澤田も落ちてしまったのだ。
澤田の死体を検分する右京。そこへ神戸が。たまきに呼ばれたらしい。
これで特命係が揃った。本格的に活動開始。
舞台上、澤田の掌の3本傷を気にかける右京。
傍にはケミカルライトが転がっていた。
澤田転落時、暗闇だったにもかかわらずケミカルライトを光を目にしなかったことをいぶかしむ右京。
澤田は芸名で本名が田中であることが判明。
澤田の本名を聞いた際の香奈恵が激しく動揺。
疑念を抱く神戸。
秋川は4年ほど弟子をとっていなかったらしく、「久々の弟子だったのに」と田中の死を惜しむスタッフ。
◆2
後日、秋川家。
息子はじめは大学進学を目指していた。
父親である秋川の意向らしい。
それに対し、母である香奈恵は反対らしい。
「はじめには才能があるのに勿体ない」と力説する。
田中の部屋は秋川家の一室にあった。
そこで発見したトランプを使い、神戸の前でマジックを披露する右京。
そこで右京がふと気付く。スペードのAがないのだ。
神戸は神戸で気になるものを発見。それはノック式のペン。
実はこのペン、ICレコーダーだった。
早速、再生。記録されていた音声には。
「郁也君、こんなこと……」
「先生、留守でしょ。どうせ、気付きませんよ……」
郁也は田中の下の名前だ。香奈恵と田中は不倫していたらしい。
米沢から連絡が。
田中の携帯が解読出来たらしい。
電話番号が数十件、暗号化されていたのだ。
用心深い田中を疑問に思う神戸。
右京はというと田中の携帯を手に取ると漂々と電話をかけ始めた。
携帯に登録された電話帳の先頭。その相手先は東都リサーチだった。
東都リサーチに所属する市民探偵の荒井と会うことに。
こちらが警察だということは秘密だ。
右京が「妻と別れたいのだが、妻に非が見当たらなくて」と相談。
すぐに荒井は“別れさせ屋工作”を提案。
それに対し、「なるほど、田中さんも別れさせ屋の工作員だったわけですね」と確認する右京。
田中が別れさせ屋の工作員だとすると、依頼人は夫・秋川に違いない。
守秘義務を口にすると荒井はその場を去る。
◆3
秋川を訪ねる右京たち。
右京と神戸の前で、消しゴムを消してみせる秋川。
「無い所にあると思い込ませる」
秋川によれば、それがマジックのコツらしい。
東都リサーチの件を切り出すと、確かに興信所に素行調査を依頼したが、別れさせ屋までは知らないと語る秋川。
話は4年前の秋川の弟子へ。
秋川が弟子をとらなかった理由は4年前の弟子の事故死にあった。
その事故で弟子を失ったため、以降弟子をとらなくなったのだそうだ。
秋川家にて香奈恵、はじめから任意聴取することに。
目的は田中死亡時のアリバイ確認だ。
ブリッジの前にはスタッフは誰も居らず、田中のみ。
香奈恵は最後尾一番端に居たらしい。目撃者は居ない。
はじめは客席の一番後ろから、そんな母親の様子を見ていたと語る。
香奈恵はアリバイになるかわからないがと前置きした上で、「最後のマジック前に階段に足をかけ転んだ客が居た」ことを話す。
その客が自分を見ているかもしれないと云う。
その客とは、秋川が宙に浮かぶ杖のマジック時に声をかけた相手のことだ。
続いて、田中のことに触れると……。
不倫をあっさりと認める香奈恵。
だが、秋川と離婚することはあり得ないと断言する。
ミスターアキの名義は香奈恵が所有しており、離婚すれば秋川はミスターアキの名前を失うことになる―――。
秋川家を辞去した右京、神戸。
「そのための別れさせ屋でしょうね」神戸が推理を口にする。
ミスターアキの名義を失わぬために妻の不貞行為を作ろうとしたのだ。
右京はというと4年前の事故を気にしていた。
4年前の事故とは、秋川の弟子・速水宏の死亡事故のこと。
ひとりで火を使ったマジックの練習中、ネクタイに燃え移ったことに慌てた速水が階段を踏み外し転落死した事故だった。
そこに作為の匂いを嗅ぎつける右京。
速水が当日手にした100セットオリジナルトランプのうち1セットが消えていたのも気にかかる……。
同時刻―――。
はじめを引き取ると主張する秋川。
今度のこともはじめに上手く話しておく、私は大丈夫だよ―――そう語る秋川には余裕の笑みが。
◆4
田中の部屋から出てきたトランプから秋川とはじめの指紋が検出される。持ち主の筈の田中の指紋だけが見つからない。
そこから、右京はある推測を組み立てる。
はじめの部屋へ。
はじめの部屋から端の焦げついたスペードのAが出てくる。
「これは、4年前、速水さんが使っていたトランプですね」
はじめを問い詰める右京。
はじめによれば4年前の事故の件で田中が秋川を脅していたらしい。
トランプ自体はもともとはじめが管理していたが、田中がはじめの部屋からよく漫画を勝手に持ち出しており、何かの折にはじめの部屋から日記と共に持ち出されたものだと云う。
田中が日記とトランプを持ち出したのでは―――はじめが語るところによると、こうだ。
4年前、はじめは速水の事故現場から立ち去る父・秋川の姿を目撃していた。
トランプはその際、父が捨てて行ったものを拾ったもの。
日記はその経緯を記したものだった。
そのスペードのAがはじめの部屋にある理由。
ショー当日、田中のバッグからスペードのAを盗み出したためだった。
これ以上、田中に父を脅迫させない為だったらしい。
盗んだ後は、香奈恵の前で話した通り最後列に移動し、秋川の云うお嬢さん―――少女が転びかけた時もその場に居たと云う。
◆5
特命係にて。
角田が訪ねて来ている。
「流石、挽きたては違うよね」神戸から淹れてもらったコーヒーを片手に感想を述べる角田。
「それ、インスタントですけどね」
「えっ、これインスタントなの?」
神戸からインスタントコーヒーだと知らされ驚く角田。
「無い所にあると思い込ませる……それです!!」
二人のやりとりを眺めていた右京が何かに気付く。
「無い筈の床をあると思わせたんです」
◆6
秋川を訪ねる右京、神戸。
あのスペードのAを見せ、「田中さんに脅されていたんですね」と指摘する右京。
「そして、マジック用の黒い布を使い、田中さんを殺しました」
マジックに使う黒い布。なぜ、3つ折だったのか?
それこそがトリックの肝だった。
そのサイズは天井裏の足場(ブリッジ)の穴を塞ぐのにピッタリ、リハーサル通り、ケミカルライトの灯りを頼りに進んだ田中は布を踏み……そのまま落下した。
田中は4年前の事件の真相を知り、秋川を脅していた。
4年前―――
速水はデビューが決まり、秋川を侮り始めた。
事件の日も、秋川を前に火を使ったマジックを披露。
だが、慢心からかネクタイに火が着くというミスを犯し狼狽、秋川の目の前で階段から落ちたと云う。
だが、4年前も事故なら、今回の田中の件にも関与していないと訴える秋川。
静かに首を振る右京。
リハーサル時の秋川の立ち位置は舞台中央。
だが、事件時の秋川の立ち位置はその横。
これは事前に、上から田中が降って来ることを知らなければ出来ないことだった。
(気になる人は◆プロローグと◆1を確認のこと。)
右京の指摘に、「お婆ちゃんが転んだのをみて、動揺して位置を誤った」と言い訳する秋川。
「お婆ちゃんが転んだ」秋川の言葉に、右京がハッとする。
◆7
ここではじめがその場に呼び出された。
右京ははじめがブリッジに居たことを指摘。
はじめは自らのアリバイ証言の際に“転んだ”のは「少女」だったと発言している。
だが、実際に“転んだ”のは「お婆ちゃん」だった。
秋川の冗談を真に受けてしまったことによるミスだった。
(気になる人は◆4と◆6を確認のこと。)
このようなミスが起こるのは秋川の声だけを聞いていた場合のみ。
事件発生時、はじめは天井裏(ブリッジ)にいたのだ。
田中の掌の3本傷は、落下しそうになった田中が咄嗟に近くに居たはじめの腕時計を掴もうとして出来た傷だった。
はじめは父である秋川の様子から異変を察し、計画を看破。
天井裏に先回りしたものの、止めるべきか悩んでいるうちに事故が起きたと云う。
「これでもシラを切りますか?」
右京の問いに敗北を認める秋川。
「秘密を握られたマジシャン!!そんなのタネを知った観客の前でマジックを演じ続けるようなものだ!!」
吐き捨てるように叫ぶ秋川。耐えられなかったと云う。
「4年前の速水さんの事故も…あなたですね」
右京の眼鏡が光る。
速水の事故は殺人事件だった。
秋川によれば、勝手に身体が動いていたと云う。
速水の才能が怖かったのだ。
「では、まさか……」何かに気付いた様子の神戸。
「はじめ君に大学進学を勧めたのも」
「あぁ、そうだよ。はじめは天才だからな」
秋川ははじめの才能をも恐れていたのだ。その為には進学を反対する妻との離婚さえ厭わなかった。
「はじめは天才だ。いつかは私を抜く。この世界は所詮ひとりだ。そこには、親も子も無い」
秋川は何かに憑かれたかのように口にする。あるのは純然たる嫉妬のみ。
そんな父に対して、息子は。
「そんなの気付いてたよ。
もちろん、マジックは好きだけど。
僕が一番、好きなのはミスターアキのマジックだった……」
はじめが秘めた思いを吐露する。愕然とする秋川。
「結局、マジシャンとしての栄光も何もかも失うことになりましたね」
何気ない右京の言葉が秋川を鞭打った。
◆エピローグ
事件が終わりを告げ、特命係。
今日も角田が訪ねて来ていた。その手には例のマグカップ。
もちろん、中にはなみなみと注がれた琥珀色の飲み物―――コーヒーが。
おそるおそる口にして怪訝な表情をする角田。
「今日は挽きたてですよ」
安心した様子の角田。
「やっぱり挽きたてはちがうな」と独語する。
傍らで腹を抱える神戸。その手にはインスタントの瓶が。
「どうも、課長にはインスタントでも充分のようですね」
右京が呟く。
「えっ、なんだって?」
聞き返す角田。
「いえいえ、なんでもありませんよ」
右京のセリフでエンド。
<感想>
角田課長のパンダのマグカップ、可愛かったですね。
詳細感想等は後日。SEE YOU!!
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