2010年01月30日

ドラマスペシャル「女刑事・音道貴子 凍える牙 オオカミ犬連続殺人!バツイチ女刑事vs相棒の中年刑事が追う殺人トリックの謎…集団レイプの復讐!?」(1月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)!!

ドラマスペシャル「女刑事・音道貴子 凍える牙 オオカミ犬連続殺人!バツイチ女刑事vs相棒の中年刑事が追う殺人トリックの謎…集団レイプの復讐!?」(1月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

凍える牙1

ある夕暮れ。レザースーツに身を包み、大型バイクで高速道路を疾走している女性ライダーがいた。女の名は、音道貴子(木村佳乃)。警視庁刑事部第三機動捜査隊所属の刑事だ。その日は、たまの休みを利用して、ひとりで趣味のツーリングに出かけていたのだ。
 しかし、貴子が帰りついたひとり暮らしの自宅マンションは、颯爽としたライダー姿からは想像もつかない荒れ具合だった。1年前の引っ越しの段ボール箱が開けられずに積み重ねられ、掃除はろくにされていない…。貴子は、風呂につかりながら思い出す。1年前、離婚を決意したのはこんなふうにツーリングから戻って、疲れた体を湯船に放っていたときだったことを…。


 その頃、東京・立川市内のファミリーレストランで奇怪な事件が起きていた。ひとりで訪れていた男性客の体が突然燃え上がり、焼死したのだ。
 遺体の解剖と現場検証から、被害者の男は、ベルトに時限発火装置を仕掛けられて炎上したことが判明。奇妙なことに、遺体の太モモには大型の犬のような動物による噛み傷が残されていた。
 『立川時限発火ベルト殺人事件』と名づけられた事件の捜査メンバーに加えられた貴子は立川中央署へと出向き、捜査会議に参加することに。男ばかりの現場に本庁から美貌の女刑事がやって来たとあって、刑事たちは一斉に好奇の目を向ける。貴子は彼らの視線に気づきながらも、動揺の欠片も見せない。上司の綿貫厚人(小野武彦)に「めげるなよ」と声をかけられても、「慣れていますから」と短く答えるだけだ。
 捜査は、2人一組が基本。貴子が今回、コンビを組むことになったのは、立川中央署の叩き上げの刑事・滝沢保(橋爪功)。女刑事と組まされたことが不満な滝沢は、貴子に慇懃な態度を取り続ける。そんな滝沢に遅れるまいと、必死に聞き込みについて歩く貴子…。
 まもなく、被害者の身元が判明した。菅原琢磨(猪狩賢二)、34歳。貴子と滝沢の聞き込みの結果、菅原は現場のファミリーレストランと同じビル内でデートクラブを経営していたことがわかる。


 そんな中、第2の被害者が出た。32歳のサラリーマン・堀川一樹が、天王洲で獣に噛み殺されたのだ。堀川の遺体の噛み傷は、最初の被害者・菅原のモモにあった傷と酷似していた。大都会の真ん中で、2人とも大型の野犬に襲われたのだろうか…!? 
 綿貫から、野犬について調べるよう命じられた貴子と滝沢。だが、滝沢は焼死事件の調査から外され、よりにもよって“犬探し担当”になったことに激怒! 貴子に八つ当たりする。
 だが、貴子が懸命に捜査に当たるうち、被害者を噛み殺したのは、オオカミと犬の混血種である“オオカミ犬”らしいことが判明。オオカミ犬は知能が高く、調教者と親子のように強い絆を結ぶ習性があり、かつて警察犬として訓練されていたこともあるという…。
(公式HPより)


では、続きから……。

急造コンビ・音道と滝沢はギクシャクしながらも捜査を続ける。

2人の被害者を調べて行くうちに、元神奈川県警の鑑識課職員で優秀な警察犬訓練士だった高木が捜査線上に浮上する。
彼は今も疾風(ハヤテ)というオオカミ犬と暮らしていた。

高木の娘・恵美子は覚醒剤中毒で更生施設に入所しており、入所以来、実に11年の歳月が過ぎていた。
それもこれも恵美子を乱暴し、覚せい剤漬けにした3人組の所為だった。その3人組とは原(菅原)、堀川、水谷。

今回の殺人は高木の復讐なのではないか。
俄かに活気づく捜査本部。
ただひとつ疑問だったのは、堀川は疾風の犯行としても、原は手口が違い過ぎることだった。
なぜ、時限発火ベルトで殺害したのか?
悩む音道。

深夜―――不意に高木宅が燃え上がる!!

現場へやって来た音道たち。
退院していた恵美子は焼死し、高木も火傷で意識不明の重体に陥る。
そして、肝心の疾風は姿を消していた。
何者かによる放火らしい。

捜査本部では犯行の露見した高木による突発的な自殺という見方が大勢を占めていた。
そんな中、滝沢は娘思いの高木が娘を巻き込み自殺するとは思えないとして、放火は高木ではないとの持論を展開する。

高木に同情的な滝沢の態度を気にかけた音道は彼の境遇を知ることに。
滝沢の妻はパート仲間の若い男と姿を消してしまっており、娘は父である滝沢に反発しグレていた。滝沢は娘と真剣に向き合うことで娘を更生させたが、そのために所轄に配属されることになったらしい。

高木の意識が回復。
滝沢は聴取を行うが、高木は意に介さない。
「あとひとり……」病床で呟き続けるだけだった。

翌朝、最後のひとり・水谷が喉笛を噛み千切られた無残な姿で発見される。

首謀者の高木不在の犯行に驚く捜査本部。
問い詰める滝沢に「以前、水谷を確認させたことがある」と薄ら笑いを浮かべる高木。
疾風は単独で水谷を識別したのか?
他にも標的が居るのか?
滝沢は高木に詰め寄るも、高木は答えない。

その頃、疾風は一般家庭で発見。通報されていた。
包囲網が敷かれるが、まんまと逃げられてしまう。

音道は高木から疾風の行く先を聞き出そうとする。
尋ねる音道に「小川だ」と静かに呟く高木。

高木は恵美子の事件の首謀者・原を真っ先に殺害しようとした。
だが、思いがけず車がやって来たため失敗。
その後に原から借金の返済を迫られていた小川が現われる。
「腰痛ベルト」と称して、「時限発火ベルト」を原に渡した小川。
原はそれが原因で死亡したのだ。

当然、高木は小川の犯行を知っている。
高木の口から真相が洩れることを恐れた小川が高木家に放火したのだった。

高木や恵美子の仇である小川を疾風が許す筈はない。

当の小川は疾風の報復を恐れ身を隠していた。
警察の動きを察知し、山中へと逃げ出す小川。
丘を抜け、森を抜け、走り続ける。
ふと動きが止まる。恐怖の表情を浮かべている小川。

彼の目の前には疾風がいた。牙を剥く疾風。
悲鳴が山中に轟いた……。

小川は殺害された。音道の目の前で姿を消す疾風。
機動性の高いバイクで疾風を追う音道。

途中、何度となく繰り返される音道と疾風の交流。
疾風と心通わせる音道。
不思議なシンパシーがひとりと一匹を包む。

崖の上、疾風が止まった。
下にはパトカーの大群、後ろからは音道。
挟み込まれた疾風は、暫し逡巡すると崖下へと身を躍らせた。
疾風めがけて複数の弾丸が撃ち込まれる。
そして、小さな疾風の身体は墜落していった。

病院―――
疾風の死を確信した高木。
病室の窓から飛び降りる。

事件が解決。
捜査本部が解散され、音道と滝沢に別れの時が。
滝沢から疾風は生きていると聞かされた音道。
あのとき、疾風に撃ち込まれた弾は麻酔弾だった。
今は鑑識に預けられているという。

滝沢に送り出され、疾風を見舞いに来た音道。
そこで、驚くべき報せが彼女を待っていた。
疾風は絶食し、餓死していたのだ。
「もの凄い精神力としか言いようがない」鑑識班の人間が疾風を評した。

疾風は自殺した―――悟った音道。
心の中で別れの言葉を述べるのだった。

エンド。

<感想>
疾風は名犬ですね。
彼の犬格は尊いです。
殺人の快楽を覚え無差別に人を襲うでもなく、淡々と静かに、だが熱く復讐にかけた一生。
虚しくもあり、意味があるようでもあり。

それを育てた高木も疾風の眼を通してすべてを悟るあたりが、絆を感じさせつつも怖くもあり……。

暖かい絆の話と一口に語れないところが名作と呼ばれる所以なのかなとか思います。

オオカミ犬といえば宮部みゆきさん原作の「パーフェクト・ブルー」もWOWOWにてドラマ化されるとか。
本作「凍える牙」と比較してみるのも面白いかも。
「パーフェクト・ブルー」ドラマ化情報はこちら

<キャスト>

音道貴子:木村佳乃さん
滝沢 保:橋爪 功さん
綿貫厚人:小野武彦さん
宮川 卓:布施 博さん
反町:平山浩行さん
高木勝弘:内藤剛志さん
畑山:津川雅彦さん
(公式HPより)


ドラマ原作「凍える牙」(新潮文庫)です!!
凍える牙 (新潮文庫)





「凍える牙」(新潮ミステリー倶楽部)です!!
凍える牙 (新潮ミステリー倶楽部)





ハードカバー「凍える牙」です!!
凍える牙



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この記事へのコメント
こんばんは。同じ本の感想記事を
トラックバックさせていただきました。
この記事にトラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
Posted by 藍色 at 2010年02月01日 19:59
Re:藍色さん

コメントありがとうございます〜〜〜。
管理人の俺です!!

藍色さんにとって、「凍える牙」ドラマ版の完成度はどうでしたか?
管理人的にはNHK版と比較しても遜色ない出来だったかなぁと思うのですが。

乃南アサさんの他作品もドラマ化してくれないものかと夢想する今日、この頃です。

トラックバックの件、もう少し、お時間ください<(_ _)>。
Posted by 俺 at 2010年02月02日 21:29
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