日本で100番目に早い(たぶん)、相棒season8 15話「狙われた刑事」(2月10日放送分)ネタバレ批評(レビュー)。
登場人物一覧(レギュラー以外)
川北:10年前、城南大学の学生だった。ローンシステム研究会の元会長。
広瀬修一:故人。10年前、城南大学の学生だった。ローンシステム研究会の会計責任者。
田村:故人。10年前、城南大学の学生だった。ローンシステム研究会の元幹部。獄中死。
小畑:故人。10年前、城南大学の学生だった。ローンシステム研究会の元幹部。獄中死。
坂本:証券マン。10年前、城南大学の学生だった。ローンシステム研究会の元準幹部。
中里:美容外科経営。10年前、城南大学の学生だった。ローンシステム研究会の元準幹部。
吉武:クラブ経営者。10年前、城南大学の学生だった。ローンシステム研究会の元準幹部。
平林:弁護士。10年前、城南大学の学生だった。ローンシステム研究会の元準幹部。
浜野:ホテル従業員。10年前、城南大学の学生だった。ローンシステム研究会の元会員。
浜野美鈴:故人。浜野の妹。小畑の元婚約者。
<あらすじ>
ある日の昼、ラーメン屋を訪れた伊丹。
注文した商品に口をつけようとした途端、すぐ隣の男性客が倒れてしまう。
男性客からはヒ素中毒の症状が検出。事件だったのだ。
幸い被害者は一命を取り留めた。
原因はラーメン屋で用意された共用のニンニク。
中に亜ヒ酸が混入されていたことが分かる。
右京と神戸も捜査に参加。
生のニンニク以外に3種類の薬味があるにも関わらず、わざわざニンニクを選んで混入していること。
伊丹の来店に合わせて毒を混入したとみられることから犯人は伊丹を狙ったものと推理する右京。
伊丹が口をつけた飲みかけのペットボトルに注目した右京は米沢に鑑定を依頼。そこからも亜ヒ酸が検出される。
伊丹が狙われているのは間違いない―――特命係が警護につくことに。
伊丹の前に席に座っていた人間が犯人に違いない。
監視カメラの映像には紺のブレザーを着た人物の姿。
その胸元にはLSの文字が。
ハッと何かに気づく伊丹。
伊丹が思い当たったことを語り出す―――それは、城南大学会計責任者殺人事件だった。
川北という城南大学の学生が主催するローンシステム研究会。
学生相手の無担保融資をウリにしていたが、後に親が金持ちの学生を狙ってマルチまがいの活動を行い、出資法違反で摘発された組織だ。
当時研究会に所属していた広瀬修一という会計責任者が仲間内で口止めの暴行に遭い、死亡していた。
学生サークル内でのリンチ殺人―――それが事件の全貌だった。
幹部連中が軒並み取り調べを受けたこの事件。
伊丹によれば相手が狡猾だったこともあり、当時の捜査法は相当荒っぽいものになったらしい。
端的に云えば暴力的なものだったと云う。
公判の結果、当時の事件の関係者には懲役10年の実刑が下されていた。
10年前の事件で10年の懲役ならば符牒は合う。
調べたところ、出所者は4名いた。
実際の逮捕者は6名だったが田村と小畑の2名が獄中死していたのだ。
伊丹によれば幹部は逮捕された6人以外にもいたらしい。
それが準幹部。彼らにも当時、取り調べが行われていた。
準幹部たちを訪ねる伊丹たち。準幹部は全部で4人。
証券マン坂本は「若気の至り」と事件を切り捨てる。
中里美容外科を営む中里も「そんなこともありましたね……ハハハ」と笑う。
クラブのオーナー・吉武も「さぁ、知りませんよ〜〜〜昔のことですし。あぁ、昔といえばこの間、同窓会があったなぁ」と他人事のように語る。
残る一人、平林は弁護士に。「起訴猶予処分となりラッキーでしたよ。早くに足を洗えてよかったし。チクッた奴に感謝しないと」と心底楽しそうに話す。
準幹部たちは、全員が成功者となっていた。
出所幹部の所在確認もなされたがアリバイが成立。
焦りを感じた伊丹は、「警部殿(右京)には俺の気持ちはわかりませんよ」と当たる。
伊丹に付き添うよう神戸を促した右京はひとり別行動に。
その晩、トイレに出かけると云い置き、そのまま姿を消した伊丹。
伊丹は何者かの家を張り込んでいた。
そんな伊丹を追って車で現われた神戸。
「やっぱりここでしたか」
「なぜ、ここが?」
「あなたの気持ちを考えたんです。云いましたよね。“俺の気持ちはわからない”って」
「ああ……」
「杉下警部―――特命係、人材の墓場、変人……いろいろ云われてますけど、要は天才なんですよね。天才はミスをしない。凡人はミスをする。で、伊丹さんの言葉。あれって、天才には凡人の気持ちはわからないってことでしょ。実は僕にもあるんですよ。」
そのまま、自らの失敗談を語る神戸。
8年前、ロシアの大使が来日した際、不審者の接近を許してしまった。取り押さえたものの、その際に無関係の民間人に怪我をさせてしまったと云う。それが後悔しているとも。
そんな神戸の言葉に心を開く伊丹。
伊丹は10年前の事件の告発者・浜野宅を見張っていたのだ。
伊丹によれば、ローンシステム研究会を告発した浜野。
それがもとで捜査当局が介入した。
伊丹は浜野がソースであることを伏せるつもりだったが、公判中、必要に迫られた検事が証拠として採用。
これにより、裏切り者の烙印を押された上に大学中退にまで追い込まれていた。
小畑と親友だった浜野。さらには小畑は浜野の妹と婚約関係にあった。
自分の裏切りが親友を追いこんだ―――浜野は、そう思っているのではないか?伊丹はそう考えたのだ。
浜野宅へ踏み込む伊丹、神戸。
刃物を手に襲いかかる浜野。
取り押さえる伊丹。
「お前の正体はわかってるんだ!!」叫ぶ浜野。
そこでJSのブレザーと伊丹の写真を見つける神戸。
翌日、特命係―――。
「すべてが解決した」と語る神戸に。
「まだ、事件は終わっていない」と右京。
単独捜査中になにかを掴んだらしい。
右京は城南大学同窓会が開催されたベルプラザホテルに出向いていた―――。
浜野宅で見つかった亜ヒ酸は封筒内に収納されており、右京によれば何者からか手渡されたものではないかと云う。
この事件には、もうひとり関係者がいる!!
なぜ、10年経った今頃、浜野が復讐する必要があったのか?
誰かが誘導した可能性があることもそれを裏付けていた。
右京が掴んだ新事実。
浜野はベルプラザホテルで配膳係として働いており、城南大学の同窓会時もそこにいたらしい。
さらに、浜野美鈴―――浜野の妹は最近死亡していた。
浜野は実家とも疎遠になっており、ハガキ一枚で妹の死を報されていた。
浜野の取り調べを行う右京たち。
妹の死を知り、絶望していた浜野の前で過去のことを楽しげに語る準幹部たちの姿。
更なる絶望の淵へと追いやられた浜野。
そんな折、伊丹が不正を働いているとの投書を受け取った。
内容は「広瀬の死には準幹部も関与していた。にも関わらず誰も罰せられていないのは担当刑事が手心を加えたからだ」というもの。
そこで名指しされていたのが伊丹。
他にも、調書を改竄した。
多額の賄賂を受け取っている。
警察官僚の甥だから見逃した―――など、オンパレードだ。
最後に、自分は身体を悪くしており代わりに天誅を与えて欲しいと結ばれていたらしい。
そこには亜ヒ酸が添えられていた。
それを信じて決行したと語る浜野。
「伊丹刑事はそんな不正を行う刑事ではありませんよ」あっさり告発文の内容を否定する右京。
クラブオーナー吉武の許を訪れた右京たち。
「同窓会の際、配膳係をしていた浜野さんを見つけたあなたがすべてを仕組んだのではないか」尋ねる右京。
吉武は「俺には、この刑事さんに恨みなんてないですよ」と伊丹を指差す。
「誰もその刑事さんが襲われたなんて云ってませんけどねぇ。なぜ、知っているんですか」突っ込む神戸。
言葉に詰まる吉武。
「経営が上手くいっていないようですね。お父様からの融資も打ち切られたとか」畳みかける神戸。
実は、10年前一番最初に幹部連中を売ったのは吉武だった。
その際、こっぴどく伊丹に絞られたらしい。
物証となるネズミ駆除業者から亜ヒ酸を購入していた記録も残っていた。
追い込まれた吉武はそのまま逮捕。
怒りと屈辱に身を震わせ「覚えていろ、伊丹!!」と捨て台詞を吐く。
唸りながら連行されていく吉武。
こうして事件は解決した。
後日、角田課長が特命係を訪れる。
伊丹の代わりに倒れた被害者はどうやら回復したらしい。
ほっと胸を撫で下ろす神戸たち。
「ラーメン食べに行こうぜ」角田の明るい声。
断る右京、応じる神戸。
角田課長の後を追う神戸の背中に声をかける右京。
「たしか、8年前にはロシアから大使は来日しなかった筈ですけどね」
神戸の失敗の件は、伊丹の心をほぐす為の嘘だったのだ。
照れたように慌てて退室する神戸。
エンド。
<感想>
右京さんと神戸君、しっかり“相棒”してましたねぇ。
交互に発言して吉武を追いこむ所は“薫ちゃん”を彷彿とさせました。
今回はバランスが良かったです。
右京さんの伊丹観や、神戸君の右京観など見所いっぱいの回でもありました。
そうそう、神戸君の配慮やそれでいて一筋縄ではいかない曲者ぶりも見所でしたね。それを見通す右京もまたスゴイ。
角田課長も個性を発揮してました。
ミステリとしては取り立てて語るものはあまりありませんが、ストーリーまわし、キャラクターの個性も活かしてて、相棒的には大成功かなと。良回だと思います!!
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