ネタバレあります!!未読の方は注意!!
<あらすじ>
殺人容疑で捕えられ、死刑の判決を受けた兄の無罪を信じて、柳田桐子は九州から上京した。彼女は高名な弁護士大塚欽三に調査を懇願するが、すげなく断わられる。兄は汚名を着たまま獄死し、桐子の大塚弁護士に対する執拗な復讐が始まる……。それぞれに影の部分を持ち、孤絶化した状況に生きる現代人にとって、法と裁判制度は何か?を問い、その限界を鋭く指摘した野心作である。
(新潮社公式HPより)
<感想>
因果は巡るのか……それとも相手が悪かったのか。
日常に待ち受ける落とし穴を描いた本作は、松本清張先生の筆致を受けて、重厚にかつ怪しく完成されています。
管理人のあらすじネタバレなど蛇足と言えるでしょう。
本作はビクともしない誇り高い巨塔なのです!!
日本テレビ系にて3月16日(火)、市川海老蔵さん主演でドラマ化とのこと。第一報はこちら(過去記事です)。
<あらすじネタバレ>
とある殺人容疑で兄が逮捕された桐子。
高名な弁護士・大塚を頼るものの、大塚からはにべも無く依頼を断られてしまう。
頼る者の無くなった桐子。
兄は有罪判決を受け、死亡してしまう。
桐子は復讐を決意。
そんな折、再び殺人事件が。
容疑者として逮捕された径子は大塚の愛人だった。
大塚は無実の愛人のため、奔走。
桐子の証言とライターで無実が証明できることを突き止める。
大塚は桐子の兄を見殺しにしたことを謝罪。
その上で、径子の無実を証明してくれるよう頼む。
だが、桐子は過去の大塚のようにあしらう。
それでも諦めない大塚に桐子は酒を勧める。
桐子の勧めを断りきれない大塚はそれに応じ酒を口にしてしまう。
そんな大塚を今度は誘惑する桐子。
最初は拒否する大塚だが押し切られ桐子と関係を結んでしまう。
桐子には男性経験がなく、大塚は彼女を傷つけたと激しく後悔する。
そんな大塚を更に追い詰める事態が。
桐子が大塚に無理やり関係を持たされたと訴えたのだ。
桐子に誘惑されたのは事実だが、立証する術がない。
また、桐子に対し自責の念に駆られた大塚は反証することなく無言を貫く。
結果、大塚は自ら名声を捨て、すべてを失うことに。
こうして、桐子の復讐は成されたのだった―――エンド。
2010年3月16日追記:
日本テレビ版「霧の旗」が放送されました。
下記リンクはその批評(レビュー)記事です。
・生誕100年記念作 松本清張ドラマスペシャル〜霧の旗「歌舞伎界のプリンスが現代劇初主演!原作と異なる衝撃のラスト!魔性の女3人に振り回される傲慢敏腕弁護士誰もが陥る心の闇と罠の先に待つ真実の幸せとは?真犯人は誰?」(3月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
2014年12月8日追記:
テレビ朝日版「霧の旗」が放送されました。
下記リンクはその批評(レビュー)記事です。
・「松本清張二夜連続ドラマスペシャル 霧の旗 無実の弟の弁護を断った弁護士に対する復讐を描く傑作サスペンス!殺人の汚名を着せられたまま獄中で死亡した弟への悲しみが、1人の女を悪女へと変貌させる!」(12月07日放送)ネタバレ批評(レビュー)
追記終わり
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