ネタバレあります!!未読の方は注意!!
<感想>
週刊朝日に連載されたシリーズ「黒の図説」の一冊。
主人公・川上が自身を取り巻く4人の女性に振り回され自滅する姿を描いている。
男の立場から女性を見詰める筆致が冴える中編。
日本テレビ系にて3月23日(火)、船越英一郎さん主演でドラマ化とのこと。第一報はこちら(過去記事です)。
<あらすじネタバレ>
◆登場人物
川上克次:主人公。
川上保子:克次の妻。
谷口妙子:古本屋「谷口書店」の女房。
勝村久子:呉服屋の傍ら書道教授を営む未亡人。
神谷文子:川上の愛人、バーのホステス。
主人公、川上克次には妻・保子の他に愛人として文子が居た。
文子を負担に思い始めた川上。何かいい方法はないかと模索する。
一方、未亡人の勝村久子はケイズ買い(盗品売買)グループの一味。
川上はひょんなことからグループの人間が久子宅で谷口妙子を殺害したことを知る。
そこで川上は一計を案じ、便乗する計画を練る。
人が1人そこで死んでおり、さらに盗品売買グループとして後ろめたい所がある久子の家で殺人を犯せば久子が死体や証拠をもろとも隠滅してくれるのではないかと期待したのだ。
石田の偽名を使い久子の書道教室へ生徒として出入りする川上。
計画通り、久子宅で文子を殺害する。
文子を見つけた久子はわけのわからぬままに川上の思惑通り死体を処分する。
ほっと一安心したのも束の間、川上の妻・保子が盗品売買グループの摘発に一役買ってしまう。
これにより、久子が警察に逮捕される。
久子宅の床下には文子が埋まっていた。
警察は久子の供述をもとに文子を発見。
文子殺しの捜査を開始する。
久子の供述に加え、お手柄として新聞に載った保子の証言(夫が書道を嗜む)から、川上が容疑者として浮上。
事態を知らない川上は警察の取り調べを受けることになる。
「文子さんが見つかりました」
「文子は生きていたんですか?」
取り調べの刑事にこう答えた川上。
文子は駆け落ちで消息不明とされていただけにこの返事はまずかった。
そこを突かれた川上はしどろもどろに。
先行きの暗澹たる有様を想像させてエンド。
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