2010年02月27日

土曜ワイド劇場「追悼・藤田まことさん役者人生、魂の遺作…『京都殺人案内32』〜京友禅に染めこむ殺意の紅!密会!貴船隠れ宿 鞍馬火祭りの夜に燃えた最後の恋」(2月27日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

土曜ワイド劇場「追悼・藤田まことさん役者人生、魂の遺作…『京都殺人案内32』〜京友禅に染めこむ殺意の紅!密会!貴船隠れ宿 鞍馬火祭りの夜に燃えた最後の恋」(2月27日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

<あらすじ>

京都殺人案内32

人間国宝級との誉れ高い京友禅作家の工藤弘輝(清水こう治)が作品展のパーティーでワインを飲み、死亡する。ワインにはトリカブトの毒が混入されていた。現場で同じワインを飲んだのは、夫人の工藤美和(多岐川裕美)をはじめ、気鋭の友禅作家、坪井正伸(鷲生功)、工藤の秘書の中野千明(井上和香)、そして、工藤とは高校時代からの友人で、国会議員の八木沢一栄(浜田晃)の4人。美和夫人の容態は深刻だったが、他の3人は幸い軽症だった。
京都府警の音川音次郎(藤田まこと)は、生き残った4人の中に犯行に及んだ人物がいるのではないかとにらむ。そして坪井、千明はもちろん、国会議員の八木沢や面会謝絶の解けた美和にも話を聞く。これが八木沢の逆鱗に触れた。元警察官僚の八木沢は捜査に圧力をかけ、音川は一週間の謹慎処分にされてしまう。
が、府警の同僚や秋山課長までが謹慎中の音川に次々と情報をもたらす。工藤はひと月ほど前にも車にはねられるという事故にあっていた。故意による殺人未遂の見方もあるという。場所は新潟県十日町市。十日町は美和の生まれ故郷でもあり、工藤と美和が知り合ったところでもある。さらに音川は、妻の墓がある墓地でこれまでに何度が美和を見かけていた。美和は人違いだと否定するが、あれは誰の墓だったのか? 音川は謹慎中にもかかわらず十日町へと向かい、美和の過去を辿る。母子家庭で育った美和は美術の才能に秀でており、高校卒業後は地元の友禅染めの工場に就職。その後、父の営む呉服屋の仕事のために十日町に訪れていた工藤と知りあう。美和の才能に惚れ込んだ工藤は彼女を京都の美大に入学させた。そして、卒業と同時に2人は結婚。美和は友禅作家としてではなく、妻として工藤を支えることを選んだ。なぜ、才能豊かな美和が友禅作家の夢を捨ててしまったのか?だが、音川は明確な答えを探りだすことはできなかった。
一方、京都では坪井が千明と美和の2人と男女の関係にあることが判明。坪井は美和が本命だと刑事に告げるが・・・。さらに、十日町市で工藤をひいた車が坪井の所有する車と同じだと判明する。
京都に戻った音川のもとに、十日町市で話を聞いた美和の高校時代の教師から電話が入る。美和には大学時代に心を誓った同級生がおり、母親の葬式に十日町まで連れてきたというのだ。その男性を突きとめた音川は・・・!
(あらすじ・写真共に公式HPより)


では、続きから……。

学園紛争の際、内ゲバを引き起こしたとして逮捕され獄中で自殺した吉川忠彦。彼こそは大学時代に美和が交際していた相手であり、美和が墓参した相手だった。

その逮捕が実は上層部による意図的な誤認逮捕だとみた音川。
大胆にもそこに八木沢の力が加わっていたことを八木沢本人の口から確認する。

一方、美和と千明は坪井を巡って争っていた。
どうも、坪井は若い千明が本命で美和からは金を貢がせるだけ貢がせ別れるつもりらしい。

音川は諸々の情報から美和を犯人だと絞り込む。

美和が姿を消す。
美和が鞍馬の火祭りで坪井との関係を清算する気だと察した音川。
部下を駆使して坪井と美和の身柄確保を命ずる。

その頃、美和は坪井と密会。
坪井を殺害すべくワインに毒を盛る。
「変わらぬ愛を……乾杯」
まさに口をつけようとしたその時、警察が飛び込む。
坪井は辛うじて救われた。
美和はそのまま夫・弘輝殺害容疑で連行される。

美和宅からトリカブトを精製したアコニチンが発見。
弘輝殺害の当日、美和はボトルにアコニチンを混入した。
その上で、弘輝のグラスにだけボトルとは別に致死量に達するアコニチンを盛った。
自分も被害者に見せかける為に毒入りワインを煽ったのだった。
そして、美和の口から動機が語られる―――。

過去、美和に恋をした弘輝は友人の八木沢に協力を頼み当時美和と交際していた忠彦を罠にはめた。結果、忠彦は自殺してしまった。

数ヶ月前、美和は夫を訪ねて来た八木沢と夫の会話を盗み聞き、真相を知ってしまった。
ショックを受けた美和は近付いてきた坪井に惹かれる。
坪井は美和と新しい人生を始める為に金が必要だと口にしていたらしい。坪井を信じた美和は夫を殺害してしまった。

美和は忠彦の復讐と坪井との新しい生活のために夫・弘輝を殺害したのだった。

「奥さん、どこかでボタンの掛け違いをしたんですな。どうか、新たな人生を送って下さい」音川が美和を慰める。

坪井は十日町で弘輝を轢き殺そうとした犯人だった。
金目当てで美和に近付いた坪井は、美和の了承も得ず、一日も早く金を手に入れる為に独断で事を起こしたらしい。
そのまま逮捕されることに。

「これで、奥さんも少しは救われるやろ」音川が呟く。

エンド。

<感想>
「京都殺人案内」もこれで最後かと思うと寂しいです。
音やんを藤田さん以外のキャストでリメイクしてもそれはもう「京都殺人案内」ではないと思う。

藤田さん、この時点で病気だったのかと思うと複雑です。
そういえば、あまり屋外での撮影をしてませんでしたね。
椅子に座ったままのシーンが多いように感じました。

ストーリーの出来は「京都殺人案内」の中では中くらい。
全盛期に比べるとやはり厳しいか。
雰囲気は出てたんだけど。

今回の犯人・美和は夫・弘輝を殺害してしまいました。
復讐にしろ、新たな恋に生きたにしろ、夫を殺す必要はないだろうに。
離婚するか、坪井と駆け落ちするか、真相を関係各位に暴露するか、方法はあっただろうに。
それをしなかったのはひとえに夫・弘輝の財産かと思われる。
だが、それを相続してしまえば、忠彦の復讐は成立しえないだろうに。
忠彦の仇のお金でしょ。受け取るのはどうか。
その点、とても可哀想な女性とは思えない。

しかも、忠彦は報われないだろうが、弘輝も美和に惚れていたからやったこと。むしろ、そんな夫に愛情を持てなかったのだろうか?
逆に妻として夫を導くことは出来なかったのか?
どうも同情しにくい犯行動機だった。
少なくとも坪井の件があるから見方は辛くなるよなぁ。

これが「京都殺人案内」のラストかと思うと本当に寂しい。
「京都殺人案内」は骨董屋さんの回がベストだったのかも。

とはいえ、音川が奮闘してました。
ラストのセリフもらしくて良かった。
これが「京都殺人案内32」を観ての結論かな。

<キャスト>
音川音次郎:藤田まこと
音川洋子:萬田久子
秋山課長:遠藤太津朗
工藤美和:多岐川裕美
坪井正伸:鷲生 功
八木沢一栄:浜田 晃
中野千明:井上和香
工藤弘輝:清水こう治(こうは糸偏に宏)ほか
(公式HPより、敬称略)


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