2010年04月16日

「ミステリ愛。免許皆伝!メフィスト道場」&「ミステリ魂。校歌斉唱!メフィスト学園」(講談社刊)

「ミステリ愛。免許皆伝!メフィスト道場 」&「ミステリ魂。校歌斉唱!メフィスト学園」(講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>
・「ミステリ愛。免許皆伝!メフィスト道場」

ミステリ愛。免許皆伝!メフィスト道場1

「一族」「ヌレギヌ」「鍵」
人気ミステリ作家同士の、目が離せないトリック対決!!
必殺!難解トリック乱れ打ち――充実のミステリ競作集!

人気ミステリ作家たちの頂上決戦!
Round 1 一族 
『人類なんて関係ない』 平山夢明
『祝葬』 久坂部羊
Round 2 ヌレギヌ 
『マーキングマウス』 不知火京介
『神様の思惑』 黒田研二
Round 3 鍵 
『Aカップの男たち』 倉知淳
『鎧塚邸はなぜ軋む』 村崎友

・「ミステリ魂。校歌斉唱!メフィスト学園」

ミステリ魂。校歌斉唱!メフィスト学園1

事件は学園で起きている!凄腕ミステリ作家陣が放つ、謎と伏線!!
起立!ミステリの授業を始めます――学園ミステリ傑作集!

ミステリの名手たちが学園に仕掛けた謎とは!?
『無貌の王国』 三雲岳斗
『≪せうえうか≫の秘密』 乾くるみ
『ディフェンディング・ゲーム』 石持浅海
『三大欲求(無修正版)』 浦賀和宏
『三猿ゲーム』 矢野龍王
(講談社公式HPより)


<感想>
・「ミステリ愛。免許皆伝!メフィスト道場」
看板に偽りありかなぁ。トリック対決ではないような気が……。
全体的に小粒かなぁ。「これがダントツ!!」と云えるほどのものが無い。人によるけどオススメはしかねるかも……。

個人的に「Aカップの男たち」に期待していたんですが、うーん。
被害者らしい被害者も出ないから倉知先生らしいイイ作品(よりきり仮面っぽい)なんだけど、特異な状況設定に頼り切っちゃった印象。いつもに比べパンチに欠ける。いっそのこと猫丸先輩シリーズの一作品にすれば良かったのになぁ。

・「ミステリ魂。校歌斉唱!メフィスト学園」
全体的に厳密には「ミステリ」というより「サスペンスミステリー」っぽい。
あと、精神的に弱っている時には読まないこと。
止めを刺される恐れあり。

そんな中、「ディフェンディング・ゲーム」は一定の「ミステリ」らしさを持った作品。
主義主張が強い部分も目立つが、この後の殺伐とした作品群に比べると救いがあると思われる。
あのストーリー展開で死人が1人も出ない結末とかはほっとする。
まぁ、背景を鑑みるに作者には別の主張がなきにしもあらずのような気もするが。

弱ったのが「三大欲求」。
ラストの「食欲」は無いわ。ストーリーの味付けが如何にもグロテスク。どうにも……。
浦賀先生は最近こんなの多いなぁ。

「三猿ゲーム」は龍王先生の作品らしい一品。
龍王節がそこかしこで全開。特にラストで顕著。
とはいえ、いつものゲームかと思いきや、主人公が相手を理解している(相互理解が得意)と思い込んでいるものの、実は本人が一番相手を理解していない(独りよがり)という皮肉なストーリーは秀逸。
犯人はそれ(教師として最初の被害者生徒を理解していなかった)を伝える為にわざわざ解答者役を主人公にふったのだろうか?

そして、ラストまで読み進めると恐怖に駆られる。
途中、目の見えない生徒も主人公に答えを伝えようとしていたことを見ると、ゲーム中も犯人は主人公が聞こえないことをいいことに何度も口を開いていたんだろうなぁと思う(でないと、主人公の耳を潰す意味が無くなる。見えている唯一の人間は声が出ない為、潰す必然性が……)、他にも暴走するノコギリの下りでも犯人の関与があったと思われる。絶望によるものかもしれないが、ひょっとすると解放を餌に釣ったのかもしれない。
それが主人公には伝わってはいない―――そう考えるとゾッとした。

ただ、「透かして見れば」とか「あの図」は読後の余韻を害してしまっているような気がする。アレのせいで作品が「クイズ」みたいに感じられてしまう。あれが無ければもっと考えさせられたのに。

<あらすじネタバレ>
それぞれから特に印象的な一編を取り上げます。
・「ミステリ愛。免許皆伝!メフィスト道場」からは「Aカップの男たち」ネタバレを。

男性ながらブラジャーを愛用するとあるネット上コミュニティの面々。
彼らは自分たちが社会のマイノリティであると認識した上で自分に誇りを持って生きていた。
そしてオフ会。今回は期待の若手・新顔君も参加するということで意気上がる面々。
そんな彼らにアクシデントが。
会員の一人によれば、彼が着用していた後ろ留め(鍵穴あり)の特製鉄ブラジャー(コルセットのようなもの?)を外す鍵が紛失したと云う。
特注品のため、このままでは脱げないらしい。

困り果てた会員たち。内部犯なのか?外部犯なのか?
新顔君は同好の士の中に犯人などあり得ないと内部犯行説を否定。
だが、外部犯行説では物理的に不可能だ。

そして明かされる真相。
内部犯でもなく、外部犯でもないとすると―――?

会員たちは自分たちがマイノリティだと了解している。
当然、人知れず着脱しなければならない。
背中の鍵による着脱方式では自分一人では普段の脱ぎ着が出来ない筈。
つまり、この特注ブラジャーは鍵が無くても脱げるのだ。
鍵は必要なかった!!
そう、結論づけた面々。

実は鍵を失くしたと訴えた会員の狂言だった。
彼は新顔君にブラジャー愛好家として生活していくことへの覚悟を試していたのだった。
だが、新顔君は同好の士を疑うことも無く、仲間を見捨てることも無かった。
こうして覚悟の程を示した新顔君は仲間として受け入れられることになった。
だが、彼らはあくまでマイノリティ。
これからも多くの苦難が待ち構えていることだろう。
彼らに幸あれ―――で、エンド。

・「ミステリ魂。校歌斉唱!メフィスト学園」からは「三猿ゲーム」ネタバレを。

1ページ目「掌を太陽に―――この続きは?」という文字。

主人公は学校の教師。
担当していた女生徒が先日自殺し、その母親への対応に苦慮していた。
自殺した女生徒が遺した遺書には追い込んだとされる2人の女生徒の名前が記されていたからだ。
1人は女生徒を罵り、もう1人は女生徒を無視していた。
主人公は母親に辟易としながら宥めすかし、上手く処理したと胸を撫で下ろしていた―――ある日、目を醒ました主人公の前に見知らぬ光景が広がっていた。
何者かにより何処かへと拉致されていたのだ。
身体は縛り付けられ自由を奪われている。
狼狽する主人公の前に現われたのは自殺した女生徒の母親。
彼女によれば「これは正当な復讐だ」と云う。
次いで「かくれんぼに勝てば解放してやる」とも。
応じた途端、母親により耳を潰される(!!)主人公。
激痛に悶絶している間に姿を消す母親。
無音の世界に投げ込まれた彼の目に他の被害者の姿が映った。
それはあの遺書に記載された2人だった。
1人は目を潰され、もう1人は喉を切られ発声できない状況。
三角形の部屋の隅に3人が中央に向けて拘束された状態で1人ずつ配されていた。
「見ざる、聞かざる、言わざる」―――「三猿」そのままの光景に身の毛もよだつ主人公。
しかし、すでにかくれんぼゲームは始まっている。
時間は1時間、回答は一回のみ許されている。
母親を捜さなければならない。

主人公の目の前には彼女たち2人の他に4つのアイテムが置かれていた。
ひとつ、何の変哲もないバケツ。
ふたつ、人ひとりがすっぽり収まる棺。
みっつ、これまた人ひとりが充分に入るパンダのぬいぐるみ。
よっつ、パンダのぬいぐるみの陰に隠れた白いなにか。

この4つのどこかに母親が隠れていると考えた主人公は4つ目の白い何かの正体を知ろうとする。
対角線上に座る少女たちからその正体を聞こうとしたのだ。

だが、ひとりは目が見えず、もうひとりは声が出ない、主人公は聞き取ることが出来ない。
仕方なく、口を大きく開ければ「イエス」、舌を出せば「ノー」の意思表示として伝えるよう指示する主人公。

渋々応じる彼女たち。
その間にも「う、い、お」と何度も口にする(口の形)。
彼女たちは主人公に何かを伝えようとしているのだが、主人公は気付かない。
逆に「冷静になる必要があるんだ。騒ぐな」と怒鳴りつけてしまう。

イエス、ノーにより4つ目のアイテムが「水槽」だと判明。
そこに人が隠れているか尋ねるが、彼女たちは顔を険しくし否定を伝えて来るばかり。

主人公が質問を重ねるたびに彼女たちは絶望の色を深くしていく。
そんな中、主人公は目の見えない少女の足元にあるスイッチに気付く。
それは電動ノコギリのスイッチだった。
電動ノコギリの刃は声の出ない少女へと向いている。
これで縄を斬れと云うのか?
悩む主人公を尻目に暴走する目の見えない少女。
何者かに導かれるようにノコギリの刃を進めて行く。
ついに刃が声の出ない少女の身体へと喰い込み、夥しい血が流れ出る。
顔を背ける主人公。

「これで、手掛かりは失われたのか……」絶望しかける主人公だが、ノコギリの振動で揺れるアイテム群を見てピンと閃くモノが。
すでに水槽はない。
パンダのぬいぐるみも揺れていた以上、中身はない。
バケツもない。

残るは棺だがどうも怪しい。
そんな単純な答えがあるだろうか?
いぶかしむ主人公。

少女たちが伝えようとしていた「う、い、お」に注目する。
今考えればあれに何か意味があるのかもしれない。
もしも、あれが「う、え、を」=「上を」を示しているとしたら……。

そう考えた主人公はついに回答を示す。
その解答は「天井に据え付けられた空気清浄機の中」だった。

数分が過ぎ、主人公は背中に強い衝撃を受ける。
うつ伏せに倒れ込む主人公の前には母親の姿。
手にはアイスピックが握られている。
間違えたのだ……そう、悟る主人公。
目の見えない少女は母親の手により殺害されてしまう。
そして次は主人公の番。

「いったい、何処に隠れていたんだ!!」
叫ぶ主人公に母親は告げる。
「う、い、お」少女と同じ口の形―――それが、主人公の最期に見た光景だった。

最終ページ「答えは―――透かして見れば」
横にはとある図が描かれている。
そこには部屋の見取り図と主人公たちの位置が記されていた。
答えの通り透かして見ると―――主人公の後ろに黒い丸が浮かび上がる―――エンド。

「ミステリ魂。校歌斉唱! メフィスト学園」です!!
ミステリ魂。校歌斉唱! メフィスト学園 (講談社ノベルス)





「ミステリ愛。免許皆伝! メフィスト道場」です!!
ミステリ愛。免許皆伝! メフィスト道場 (講談社ノベルス)






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posted by 俺 at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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