<メフィスト 2010 VOL.1目次>
矢吹駆シリーズ始動!
笠井潔「夜と霧の誘拐」第1回 一挙300枚掲載!!
<新連載>
笠井潔/乾くるみ/北山猛邦/円堂都司昭
<読切小説>
竹本健治/芦辺拓/柄刀一/あさのあつこ/化野燐/日日日/西尾維新/山本弘/太田忠司/麻耶雄嵩/ほしおさなえ/浅暮三文/加賀美雅之/大倉崇裕/小路幸也/山下貴光
<連載小説>
法月綸太郎/恩田陸/綾辻行人/有栖川有栖/我孫子武丸/喜国雅彦/石黒正数
<巻末>
座談会
(講談社公式HPより)
<感想>
相変わらずのメルカトル節炸裂。
これ絶対、メルカトルが事件を察知した後に美袋を巻き込んだよなぁ。
いや、メルカトルが事件を起こさせたのか。
美袋はメルカトルが訪ねて来ている時点で事件が起こっていると察するべきだったのか?
それもメルカトルが相手の時点で厳しいだろうけど……。
そういえば、麻耶先生の「貴族探偵」が集英社さんより2010年5月26日発売予定だったりするので興味のある方は下のアマゾンリンクよりどうぞ!!
ちなみに、管理人は一作目で死んだと思われているメルカトルだけど実は××(自信ないのであえて伏せる)として生きている派(少なくともメルカトル生存は堅いでしょう)なのでそろそろメルカトルの真相についての話も読んでみたかったりする。
こちらも期待。
<ネタバレあらすじ>
原稿を挙げ、九州で温泉旅行と洒落込む野望を抱く美袋。
そんな美袋の家に突如現われたメルカトル。
メルカトルのご乱行により完成間近であった原稿に被害を受ける美袋。
一応バックアップを取ってあったことは隠したまま、メルカトルに詰め寄ることに。
メルカトルはといえば平気な顔で「原稿の代わりになるようなネタを提供しよう」と嘯く始末。
ここで欲をかいた美袋は悪魔の取引に乗ってしまう。
メルカトルに誘われ事件探しの旅へ―――わずか1分で事件の匂いを嗅ぎつけるメルカトル。
早朝6時前にも関わらず無遠慮に手近なマンションの一室に乗りこんでみれば背中を包丁で刺された死体が転がっていた。
ここで通報しないのがメルカトル。それに乗るのが美袋。
ネタの為とメルカトルの推理を聞き出そうとする。
被害者の手にはキャップの閉められたマジックが握られており、容疑者は部屋の写真立てから被害者の彼女・長門看護師とみられた。
テーブルの上には準備されたと思われる朝食。
他には、午前9時に再配達を予告した宅配便の不在者通知。
美袋&メルカトルが在室中に投函された朝刊。
さらに、バラバラのパズルのピースが床に散らばり、タイマーで設定されたと思しきテレビが放送を始めるサプライズまで発生。
「ふむふむ」と何やら納得し推理を終えたメルカトルによれば事件解決には数時間かかるらしい。
その他の証拠集めと称し部屋を出て行くメルカトル。
死体と置いてけぼりをくらう美袋。
とりあえず、床に散らばっておりメルカトルが注目していたパズルのピースの数を数えることに。
だが、どうしても角の1ピースが足りない。
2時間30分が経過。
美袋が痺れを切らし始めたころにその携帯から「ワルキューレの行進」のメロディが。メルカトルだ。
怒りを露わにする美袋にメルカトルはとりあえず話を聞くことを勧める。
メルカトルによればパズルのピースには何の意味も無かった。
美袋の注意がそちらに向くよう1ピースを盗んだメルカトルの工作だったのだ。
余りのことに美袋は呆れ果てる。
「今、何時?」メルカトルの問いに「8時45分くらいかな?」と答える美袋。
「じゃぁ、いいか……」そこから明かされるメルカトルの推理。
それは、“すべてが犯人によるアリバイ工作の一環で被害者を殺した犯人は工作を完成させる為に現場に戻って来る”と云うものだった。
「はぁ?」呆気にとられる美袋。
テレビのタイマーは隣人に向けて被害者が朝6時以降も生きていたことをアピールするため。
朝食も朝まで被害者が生きていたことを強調するもの。
つまり、死亡推定時刻をずらすことが犯人の目的だったのだ。
もちろん、その間に犯人はアリバイを作っておく。
犯人はアリバイ工作後、この部屋を訪れ朝刊を取りこみ、あわよくばそこにトリックを仕掛けるつもりだった。そのトリックに必要なのがあのマジック。
キャップの閉められたマジックはダイイングメッセージを被害者が残したかに見せかけるためのモノ。
メルカトルによれば、「あえてキャップを閉じたまま取り込んだ朝刊に自分の名前を書き残すことにより自分を容疑圏外に逃がすつもりでは」とのことだった。
そのまま、犯人は第一発見者を装い通報しそのまま居座れば工作終了となる。
で、肝心の犯人が戻って来る時刻は宅配便が午前9時にやって来ることから午前6時から午前9時までの間。
これは当然、ギリギリであればあるほど好ましい。
つまり、“今”がその時なのだ!!
慌てて美袋は腕時計を覗き込む。
8時55分……メルカトルを罵りながらその場を逃げ出そうとする美袋。
メルカトルはと云えば「そうそう、今、君の部屋に居るんだけどこのネタは原稿と引き換えだったよね。バックアップされてた原稿は消去しといたから。あっ、大丈夫。代わりといっちゃなんだけど編集さんには君の秘蔵のいかがわしい画像送っといたから」とのたまう始末。
原稿を失い、温泉旅行の夢も破れ、生命の危機に瀕し、目の前が真っ暗になる美袋の前で、躊躇いも無く被害者宅の扉が開いていく。こんなことが出来るのは鍵がかかっていないことを知っている人物だ。
こうなりゃ自棄だ。相手は殺人犯とはいえ長門看護師―――女性である。勝負だ!!と心を決めたところでまたもメルカトル。
「あっ、付け加えておくと長門看護師だと思っているのはあくまで想像だから」
開ききった扉の前。メルカトルの言葉通り思わぬ先客の姿(美袋のことだ……)に驚く、大男の顔―――エンド。
◆関連外部リンク(外部サイトに繋がります)
・集英社来月の発売予定(公式HP)
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/sale_yotei.cgi?mode=next&jyanru=syo
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- 『陰の季節』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)
本当にメルカトルが生きているなら嬉しいですが、メルカトル生存が堅いと思われる理由を教えていただけないでしょうか?
コメントありがとうございます(^o^)/。
管理人の“俺”です!!
残念ながら具体的な描写は提示できませんが次の9つの理由からメルカトル鮎の生存は堅いと信じています。
【作中事象から】
@“銘探偵”であるメルカトル鮎が「翼ある闇」での自身の結末を予測できなかったとは思えない。
A予測できたとすれば他の作品でみられるメルカトル鮎のパーソナリティから甘んじて死を受け入れると思えない。
B「翼ある闇」では“メルカトル鮎”の入替り可能な条件が揃っている(決して不可能ではない)。
Cとある人物の性格や行動パターンが「翼ある闇」以降、メルカトル鮎に近い。
【作外事象から】
D「夏冬」のように麻耶雄嵩先生の作品にはウラの真相があることが多い。
それは「翼ある闇」も同じではないか?
E「死者の復活」=「神」という図式をモチーフとする作品は多い。メルカトル鮎が「ミステリ界の神」を目指す可能性はある。
F補足して麻耶先生は宗教学的なエッセンスを用いた作品を多く手掛けている(「鴉」の“カインとアベル”、「木製の王子」の“聖家族”など)。
上記Eの発想は自然なことと思われる。
G「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」とのタイトルが意味深。
対となる「○ある光(または○なき光) ○○○○最初の事件」がシリーズを締め括る作品としてあってもおかしくはない。
その際には生まれ変わったメルカトル鮎が現われる筈だ。
H麻耶先生ならば巨匠アガサ・クリスティーのように最終作を残していそう。
銀行の貸し金庫に預けてそう。
既に最終作があるとすれば、それはシリーズを締め括る物となる筈。
デビュー作に対応している可能性はある。
―――と、Hは流石に冗談ですが、以上がメルカトル鮎の生存を管理人が堅いと思う理由です。
「〜〜〜も可能」、「〜〜〜とも考えられる」など、願望混じりのものばかりで申し訳ないのですが、不思議とメルカトル鮎は生存していると思えてなりません。
長くなってしまいました。
ご期待に沿えるものとは違うと思いますが、これが管理人なりの精一杯の解答です。
最後に管理人が上記記事内で伏せていた現在のメルカトル鮎と思われる人物の名を記しておきます。
以前は別の人物でしたが、一巡して戻って来ました。管理人が現在考えている(2008年以降)人物は香月実朝氏です。
私もメルカトル生存を信じて今後の麻耶作品を楽しもうと思います。(^ ^)
管理人の“俺”です(^O^)/。
「メルカトル鮎生存説」を信じて貰える仲間が増えて本当に嬉しいです。
いつかシリーズ最終作にて「メルカトル鮎が生きていた!!」と明かされる日が来る事を信じて待つのみ!!
ただ、そのシリーズ最終作が何年後になるのかが分からないことと、それ(シリーズ最終作)が世に出るとシリーズ自体が終わってしまうことが問題……。