2010年04月27日

「屍の命題」(門前典之著、原書房刊)

「屍の命題」(門前典之著、原書房刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>

屍の命題1

湖畔に立つ亡くなった大学教授の持つ別荘に集められた人びとは、全員が死体となって発見された。
が、殺害時間も死因もバラバラ、「順番」に殺されていったとしか思えない。
いったい「犯人」は何を意図していたのか。
究極の「嵐の山荘」、ほんとうに誰もいなくなった!
(原書房公式HPより)


<感想>
もの凄い大技が炸裂!!
とはいえ、これが意外と面白い。
「なんでやね〜ん」とか「えぇ〜っ」よりも先に驚きが来る。
そして許せてしまうのだ。
これはひとえにメイントリックがはっきりしており、テーマが明らかだからだろう。

そしてお得感。
被害者6人に6通りの殺害方法が用いられており、短編6本分のアイデアが盛り込まれているようなもの。
ボリュームも良し。全体的にスルスル読めるのも良し。
解決部分はページをめくる手が止まらなかった。
そして、あの名前に隠されたメッセージの部分、思わず登場人物一覧を何度も見返した。
この面白さを知ってもらうには実際に読んで頂くしかない。
あえて、ネタバレあらすじでも登場人物の名前を一部伏せさせてもらっます。
他にも端折ってる箇所(黒い甲虫)もあるので是非一読を。

ちなみにこの「屍の命題」。調べてみたところ、著者である門前典之氏が過去に自費出版された「死の命題」を復刊したものだとか(「死の命題」下部にアマゾンリンクあります)。
これは復刊して正解!!もっと周知すべき。

シリーズには「建築屍材」、「浮遊封館」がある。

<ネタバレあらすじ>
行方不明になっている美島教授の妻・美島夫人の招待に応じて集まった美島教授と面識のある6名。

外界との連絡が取れなくなり孤島と化した途端、次々と殺されていく。
ひとりは絞殺。死体は湖に遺棄されていた。
ひとりは降り積もる雪の中、撲殺。その周囲には犯人の足跡すら残されていなかった。
ひとりは毒殺。
ひとりは断頭台に胴を切断され、無惨な姿で発見された。
ひとりは謎のショック死。
そして……最期に残されたひとり、篠原も自殺してしまう。

犯人は篠原なのか?
名探偵・蜘蛛手(建築探偵)がこの謎に挑むことに。

現場に到着した蜘蛛手は篠原の手記と現場の状況から真相を掴む。
美島夫人や警察関係者が集められ遂に真相が明かされる。

蜘蛛手によれば「この事件にはひとりの狂人が関与している」と云う。
「それは篠原のことですか」
美島夫人の女性にしてはやけに低い声の問いを蜘蛛手ははっきりと否定する。
篠原は6人を殺害した犯人ではないと云うのだ。
そう―――篠原が殺害したのはひとりだけだと。

篠原は恋人の昔の男を絞殺した。
後で死体を処分するつもりだったのだろう、雪が降り積もる屋根の上に死体を隠した。
一段落し、死体を処分するべく屋根へ上がったところ、驚くべきことに死んだ筈の男は生きていた。
自分を殺そうとした男に一矢報いようとしたのか、何があったのか篠原に逆襲した男。
だが一撃加えたものの、虚しく振り払われてしまい、そのまま屋根を滑り落ちることに。
男はそのまま勢いよく、雪の中で待ち合わせていた篠原の恋人の方へ向かって空を飛んだ。
男の眼に彼女が映ったとき、男に殺意が芽生えた。
男の拳が彼女の顔面に当たり、彼女は顎が砕けそのまま倒れ込み死んでしまった。
男の腕は反動で千切れ飛び地面に落ちた。
男自身はそのまま空を飛び続けやがて湖へと沈んだ。
こうして空を飛ぶ殺人者により彼女は殺害され、雪の上には加害者の足跡は残らなかった。

しかし、実は殺害された彼女も殺人者だった。
彼女は過去に被害に遭わせられた別の男に毒を盛っていた。
盛られた男には脅迫者がおり、男はその脅迫者に盛られたと誤解。
「どうせ、助からないならば……」とその脅迫者を襲撃。
断頭台で胴を切断し、息絶えた。

話はまだ終わらない。
胴を切断された男は凍える屋外でのこともあり切断面が凍りつき、即死を免れた。が、この男ももはや助からないと悟り、恨みのあった別のひとりのもとへ向かう。
相手は心臓に持病を抱えており、現われた胴体を切断された男の姿にショック死。
こうして二人とも死んでしまった。

残されたのは篠原ひとり。
わけもわからず混乱していたが、最初の殺人の証拠―――死体の腕(一撃喰らった折に篠原の皮膚片が付着していた)を捜さなければならないと慌てることに。
ショック死した男が篠原の殺人を察知、証拠を抑えていたのだ。
ショック死した男は気味が悪いので自分の部屋の窓のすぐ下に腕を放り投げていたのだが上から雪が降り積もり覆い隠されてしまう。
こうして篠原は証拠も発見できず、やがて絶望し自殺してしまう。

篠原が絞殺。絞殺された男が撲殺。撲殺された女が毒殺。毒殺された男が斬殺。斬殺された男がショック死させ、ショック死させられた男が篠原を追い詰め自殺させた。

つまり、蜘蛛手によれば被害者が次の殺人の加害者だったのだ。

そんな馬鹿な……呆気にとられる一堂の前で美島夫人が笑う。
そんな美島夫人を指摘して蜘蛛手は告げる―――「あなたがこの事件を操った狂人だ」と。

美島夫人の正体は行方不明の夫・美島教授だったのだ。
本物の美島夫人は既に美島教授の手により殺害されていた。
美島教授は自らの生命保険金目当てに姿を消したことにした。
その上で妻を殺害し、夫人に成り済ます。
保険金で建てた別荘で余生を過ごす目論みだったのだ。
そこで、美島と面識のある人物を一堂に集め、それぞれ動機があることを利用し殺し合うように仕向けたのだった。

「どこに証拠がある」強がる美島だったが蜘蛛手により既に夫人の遺体は確保されており逮捕されることに。

こうして事件は解決し、その帰路でのこと。
不意にある恐ろしい事実に気付いてしまう。

それは6人の名前に隠されたメッセージだった。
名前をかなに置き換え、上から順に一文字ずつずらして拾っていく(最初が一文字目、次が二文字目、その次が三文字目……)と……

被害者順で「ミシマノワナ(美島の罠)」
加害者順で「シノメイダイ(屍の命題、死の命題)」

と云う言葉が生まれるのだった。
ちなみに後日、美島が妻を殺害した動機が明らかになった。
それによれば美島が出演したテレビを観て夫人が笑ったことが原因らしい―――エンド。

「屍(し)の命題 (ミステリー・リーグ)」です!!
屍(し)の命題 (ミステリー・リーグ)





復刊前の「死の命題」です!!
死の命題





「建築屍材」です!!
建築屍材





「浮遊封館<ミステリー・リーグ>」です!!
浮遊封館<ミステリー・リーグ>





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posted by 俺 at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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