<あらすじ>
裁判員制度を誰よりもリアルに
今年5月から始まる裁判員制度。多くの法曹関係者を徹底取材し、どこよりもこの制度での法廷をリアルに描く、リーガル・サスペンス!
広告代理店で働くシングルマザーの千晶は、大切な会議に出席するため、喘息(ぜんそく)の発作が起きた子供を家に残して出社し、死なせてしまう。検察は千晶を「保護責任者遺棄致死」で起訴。市民から選ばれた裁判員は、彼女をどのように裁くか? 徹底した取材の末に書かれた、誰よりもリアルな書下ろし法廷小説。ご注目下さい!(ON)
(文藝春秋社公式HPより)
<感想>
裁判員制度の手引きみたいな本。
酒井法子さんの出演されていた裁判員制度紹介ドラマ「審理」と内容的には近い。
裁判員制度の勉強にはイイかも。
2010年10月23日追記:NHKドラマスペシャル てのひらのメモ「あなたは本当にわが子を放置したの?裁判員に選ばれた一人の主婦がたどり着く真実」(10月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)追加しました。リンクよりどうぞ!!
<ネタバレあらすじ>
主人公の福実は裁判員に選ばれた。
彼女が立ち会うのは、夫を亡くしたシングルマザーの千晶が息子・徹の病気の世話をせず、結果死なせてしまった「保護責任者遺棄致死」事件の審理。
審理が続くにつれ、「シングルマザーの苦労」、「義理の母が徹の世話をしたいと訴えていたこと」、「千晶が目立った虐待を行った事実はないこと」や「徹の死亡当日、徹が病気で伏せっていたにもかかわらず愛人宅を訪ねていた事実」が次々と審理の場にて明らかにされていく。
その度に揺れ動く裁判員たち。
そして、審理を揺るがす驚愕の事実が明かされる。
それは「徹が千晶の実子ではない」ことだった。
徹は千晶の夫が別の女性との間にもうけた子供だったのだ。
しかし、徹の父も相手の女性もすでにこの世を去っていた。
果たして千晶は有罪か無罪か?
ついに裁判員たちにその決断が委ねられる時がきた。
大方の議論が尽くされ有罪に場が決した頃、次に執行猶予か実刑かの判断が待っていた。
裁判員たちは思い思いの結論を述べる。
ある者は「血の繋がりの無い子供を預かったからには養育に責任がある」と千晶を批難、実刑を。
逆にある者は「徹が死亡当日アイスクリームを買った際に千晶の分(千晶の好きな緑茶アイスを買っていた)も購入していた事実に注目し、徹の気持ちを汲んで千晶には真っ直ぐに生きて欲しい」と千晶に反省を求めた上で、執行猶予を。
裁判員の間では6人中4人が執行猶予、2人が実刑に傾く。
そこへ裁判官の票が加算される。
ここで裁判官は判例から2人が実刑を支持。
裁判官3人を含めた全9人中8人を終え、5分5分で最後の1人を迎えることに。
最後の裁判官は「疑わしきは被告人の利益に」の原則を持ち出し、執行猶予を主張。
ここに5:4で「有罪(執行猶予)」と決定した。
福実は審議を終え、庁舎の外へ出た。
そこには夫が待っていた。
福実は考える―――「自分は裁判員としてきちんと責任を果たせたかしら」と―――エンド。
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