ネタバレあります!!注意!!
<あらすじ>

こんな女になら殺されてもいい。…………横山秀夫(作家)
驚愕のラストが待ち受ける傑作法廷ミステリー!
物的証拠、状況証拠ともに、被告人が犯人であることを示していた。依頼人の言葉を信じる敏腕弁護士は、逆転無罪を勝ち取ることができるのか――。「こんな女になら殺されてもいい」横山秀夫氏(作家)、「デビュー二作目でここまで進化した作家を、私は知らない」茶木則雄氏(書評家)、「法と良心の天秤がどちらに傾くか、最後まで予断を許さない」千街晶之氏(書評家)と各氏絶賛! 『このミス』大賞受賞作家が描く傑作法廷ミステリー。
(宝島社公式HPより)
<感想>
作者の柚月裕子さんは、フリーライターとして、雑誌やテレビ局のホームページで作家の対談や取材、記事作成を行っているとか。
筆力はあり、読ませる文章を書かれる方だと印象を持った。
どちらかといえば「2時間ドラマ」的なお約束が多く含まれていることが本作の特徴。
従って、ドラマ化すれば面白くなりそう。
結末については経験を積んだミステリ者ならば容易に想像がつく筈。
ただし、そこへ至るまでの道筋が一筋縄ではいかない。
結末がわかっていても、かなりドキドキする。
作者のストーリーテリングの妙に酔うべし!!
ちなみに『最後の証人』というタイトルは、アガサ・クリスティー『検察側の証人』や小泉喜美子先生『弁護側の証人』をモチーフにしたものなのかな。
此の点も興味を惹くところです。
・「弁護側の証人」(小泉喜美子著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
<ネタバレあらすじ>
高瀬の妻が殺害された。
容疑者として捕まったのは高瀬の妻と不倫関係にあったと噂される元・公安委員長の島津。
証拠もあがり誰もが島津犯人説を支持する中で、ひとり―――弁護士の佐方だけは島津の犯行に疑問を持った。
果たして佐方は絶対的不利を跳ねのけ無実を証明することが出来るのか―――そして法廷が始まる。
ひとつひとつ丁寧な検証を重ね検察側に反論していく佐方。
ついには高瀬の妻と島津には不倫関係など無かったことを立証する。
それどころか高瀬の妻には島津を陥れる動機があった。
7年前、高瀬夫妻の一人息子が事故死していた。
当時、捜査線上に浮かんだのが島津。
だが、島津は自分が公安委員長であったことを利用し罪から逃れた。
結果として辞職に追いやられたものの、逃げ切り勝ちをおさめたのだ。
もちろん、島津に反省の色は無い。
これに怒りを覚えたのが息子を失った高瀬夫妻。
高瀬の妻は自分が余命幾許もないと知るや島津への復讐計画を練り、夫とともに実行に移したのだった。
こうして高瀬夫妻の手により、高瀬の妻殺害犯にされた島津。
佐方は高瀬に自白するよう願うものの、彼の決意は固い。
島津の無実を立証するためには7年前の事件において捜査に誤りがあったことを認めさせるしかない。
だが―――誰もがそれを認めようとしなかった。
八方塞がりに思われた裁判だったが、佐方の熱意にほだされた元刑事・丸山が“最後の証人”として出廷。7年前の真実を白日のもとに曝す。
これにより、高瀬の妻に動機があったことが明確になった。
判決の日。
皆が緊張する中、下されたのは島津の無罪。
島津はひとりほくそ笑む。
しかし、続けられた裁判官の言葉には戒めが含まれていた。
「7年前の事件の真相をそれを対象とした裁判の中で明らかにしなければならない―――」
果たして島津は勝ったのだろうか?
高瀬はといえば、島津に罪を着せようとしたことで彼自身が罪人として裁かれる立場になってしまった。
そんな彼に差し出された手。
それは本来敵であった佐方のもの。
“敵であり、高瀬のことを考え続けた佐方だからこそ高瀬のことは誰よりもよくわかっている”
やがて来る高瀬の裁判。
そのときに高瀬を守る佐方の姿は見られるのだろうか―――エンド。
・「最後の証人 ホテル密室殺人事件!目撃証言、物証…99%有罪確定の法廷に落ちこぼれ弁護士が挑む!!二転三転する真相、誰かが嘘の証言を!?開いたカーテンから見えた予期せぬ真犯人とは!?」(1月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
【佐方シリーズ】
・『検事の本懐』(柚月裕子著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『検事の死命』(柚月裕子著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『裁きを望む』(柚月裕子著、宝島社刊『このミステリーがすごい!2015年版』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【その他】
・『臨床真理』(柚月裕子著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ版】
・「最後の証人 ホテル密室殺人事件!目撃証言、物証…99%有罪確定の法廷に落ちこぼれ弁護士が挑む!!二転三転する真相、誰かが嘘の証言を!?開いたカーテンから見えた予期せぬ真犯人とは!?」(1月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【「大藪春彦賞」関連記事】
・「第15回大藪春彦賞」受賞作は柚月裕子先生『検事の本懐』に!!
【関連する記事】
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