2010年05月11日

「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>

ソウルケイジ1

多摩川土手に放置された車両から、血塗れの左手首が発見された! 近くの工務店のガレージが血の海になっており、手首は工務店の主人のものと判明。死体なき殺人事件として捜査が開始された。遺体はどこに? なぜ手首だけが残されていたのか? 姫川玲子ら捜査一課の刑事たちが捜査を進める中、驚くべき事実が次々と浮かび上がる――。大ヒットシリーズ第二弾!
(光文社公式HPより)


<感想>
作者の誉田哲也さんは先頃映画になった「武士道シックスティーン」の原作者。青春小説から警察小説まで手広く扱う作家さんです。

姫川玲子シリーズは現在までに4冊刊行されています。
「ストロベリーナイト」に始まり、本作「ソウルケイジ」、短編集「シンメトリー」、「インビジブルレイン」がそれ。

本作「ソウルケイジ」は、「ストロベリーナイト」の続編ですがそれほどの勢いはないかも……。
イイ意味で軌道に乗っているからかな。
とはいえ、前作「ストロベリーナイト」を気にいった人ならばこちらも楽しめる筈。

ただ一点疑問が……高岡は何故、DNAの鑑定方法を事前に知っていたのか?
これが前提だけになぁ。
うーん、謎だ……。

ちなみにタイトルである「ソウルケイジ」。
直訳した「魂の檻」との意味の他に、「刑事魂(ケイジダマシイ=ケイジソウル=ソウルケイジ)」という意味もあるらしい。

過去記事へのリンクの後にネタバレあらすじがあります、注意!! 

・前作「ストロベリーナイト」はこちら。
「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・「シンメトリー」はこちら。
「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・続編「インビジブルレイン」はこちら。
「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズスピンオフ「感染遊戯」はこちら。
「感染遊戯」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ最新短編(2011年12月時点)はこちら。
『アンダーカヴァー(「宝石 ザ ミステリー」掲載)』(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
姫川玲子:主人公、女性刑事
井岡:刑事、玲子の同僚
日下:刑事、玲子と別班の班長
内藤:過去に死んだ建設作業員
高岡:今回の被害者とされる男
戸部:闇社会の人間、高岡殺害の容疑者
三島:高岡に可愛がられていた後輩
中川:三島の恋人であり戸部の情婦

多摩川土手に放置された車両から、血塗れの左手首が発見される。
近くの工務店のガレージが血の海になっており、指紋鑑定の結果、手首は工務店の主人・高岡のものと判明する。
死体なき殺人事件として捜査が開始された。
遺体はどこに?なぜ手首だけが残されていたのか?
この謎に玲子が挑む。

やがて、手首と同一DNAと思われる手首の無い遺体が発見される。
これにより、被害者は高岡と確定。
生命保険金が内藤と云う女性に支払われることに。
内藤は過去に弟の死でも、生命保険金を受け取っていた。
何故、高岡は見ず知らずの筈の内藤を保険の受取人にしたのか?

高岡と戸部に確執があったことが判明。
戸部が高岡を脅迫していたらしい。
これにより、高岡殺害容疑が戸部にかかる。
ところが、当の戸部も行方が杳として知れなかった……。

戸部の情婦・中川と三島が恋愛関係にあることも判明し、戸部と三島が揉めていたことも分かる。

戸部の脅迫のネタは何だったのか?
玲子は内藤の弟と高岡が同一人物だったのでは……と推理する。
地上げに巻き込まれ死亡した高岡。
開発に際しその死が障害となることを恐れた開発側が子供の入院費に困っていた内藤の弟を利用し、内藤の弟が死亡したように偽装したのだ。
内藤の弟は保険金詐取を行ったことになる。
それを戸部に脅迫されたのでは……。

そこから進む捜査と推理により意外な真相が浮かび上がる。
それは、過去内藤弟と高岡が入替わったように、戸部と高岡が入替っているのでは……というものだった。

戸部を殺害した高岡(正体は内藤弟)。
戸部の左手首を斬り落とし隠滅、同じように自分の左手首を斬り落とす。
この左手首は指紋などから当然、高岡のもの。
よって左手首は高岡のものと断定されるだろう。
その後に手首の無い死体が見つかれば、同じ高岡のものと認定されるのではないか。
更に手首を戸部の血液の中に浸した。
これで指紋は高岡、DNAは戸部という左手首が出来た。
DNA鑑定は左手首の切り口から採取したものを鑑定にまわすので、そこから検出されるDNAは戸部。
だが、捜査陣は左手=高岡と思い込んでいるから、採取されたDNAも高岡のものと断定してしまう。
結果、戸部の死体も高岡と誤認してしまったのだ。

つまり、殺害されたのは戸部。
加害者は高岡(内藤弟)だったのだ。

高岡は生命保険について戸部に脅迫されていた。
しかも、三島の父と中川の父は高岡の元同僚。
三島の父の死に戸部が関わっており、中川を拘束していることも知っていた。
そこで三島と中川の将来の為にも殺害すべきと判断したのだった。

高岡(内藤弟)の悪魔の計画はこうして実行に移されたのだ。

玲子はここでふと思い当る。
自ら左手を失い、戸部の死体を工作したとなれば相当な失血を伴う筈、となれば高岡(内藤弟)自身も……。
記憶を手掛かりにある場所を訪れた玲子たちはそこで高岡の死体を発見するのだった―――エンド。

◆ドラマ版「ソウルケイジ」はこちら。

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第9話「ソウルケイジ(前編)」(3月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第10話「檻に閉じ込められた親子〜ソウルケイジ(中編)」(3月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」最終話(最終回、第11話)「こんなにも人を愛した殺人者がいただろうか〜ソウルケイジ(後編)」(3月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「ソウルケイジ (光文社文庫)」です!!
ソウルケイジ (光文社文庫)



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