2010年05月11日

「見えない貌」(夏樹静子著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「見えない貌」(夏樹静子著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>

見えない貌1

最愛の娘が行方不明の末、惨殺死体で発見された!母親の朔子は、携帯メールから娘の孤独を知り、愕然とする。そこで彼女は、娘の携帯に残された「メル友に会いに行く」という言葉から、ある男に辿り着くが……。思いもかけぬ、第二の事件が起きる。わが子を思う究極の愛とは!?――著者が綿密な取材と法廷小説の手法を駆使して、読者を驚愕の真相へと導く推理巨編。
(光文社公式HPより)


<感想>
前半は朔子視点、後半は弁護士のタマミ視点で進む本作。
二転三転する展開には興奮。
一度ページをめくれば「果たして真相は?」と気にかかって他のことが手につかなくなるかも?

<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
朔子:晴菜の母、前半の主人公
晴菜:朔子の娘、人妻、被害者
永沢悟:晴菜のメル友とされた人物
永沢彰:悟の息子、18歳
永沢碧:悟の娘、事故で死亡、故人
塔之木:永沢悟の弁護士
タマミ:弁護士
秋元:朔子の友人

【前半】

朔子の娘、晴菜が殺害された。
晴菜の夫からそれを知らされた朔子は錯乱する。
晴菜は朔子がひとりで育てた娘だったからだ。
晴菜がメールに嵌まっていたことを知った朔子。
朔子は娘の携帯に残されたメールから“ハーティネット”で知り合った“望”というメル友に会いに行き殺害されたと知る。
望こそが晴菜を殺害した犯人だと考えた朔子は望の正体を知る為に罠をかけ、その正体が永沢悟だと突き止める。
朔子は娘の復讐の為に永沢を呼び出す―――。

【後半】

朔子が死体で発見された。
現場の状況から永沢悟が逮捕される。
凶器は永沢悟が持ちこんだナイフ。
そのまま裁判が開始されることに。

永沢によれば「朔子の罠を感じ取り、ナイフは脅しの為に使っただけだ。それを揉み合いになっているうちに誤って刺してしまった」とのことだった。
永沢の弁護士・塔之木とタマミはこの事件に何か裏があると感じ、調査を開始する。
その途中で、「朔子がナイフと催涙スプレーを用意していた」ことに注目。
朔子が「晴菜の復讐の為に永沢を殺害しようとしていたのでは」と考える。
永沢と朔子で揉み合いになったのも朔子がナイフを奪おうとしたため。
つまり、永沢は正当防衛で朔子を殺害したというのだ。

だが、朔子の友人・秋元が提出した朔子の手紙から「復讐する気はない。ただ、晴菜の話を聞きたい」という文言が発見されるに及び、永沢に朔子への殺意があったと認定され窮地に陥る。

もし、永沢が晴菜&朔子殺害犯としてこのまま審判を受け続ければ2件の殺人により極刑は免れないことになってしまう。

そこへ、父の窮地を救うために永沢彰が真相を伝えに来る。
それによれば晴菜のメル友“望”の正体は彰だった。
晴菜の夫は浮気をしており、晴菜は離婚を考えていたらしい。
そんな折、ハーティーネットで出会った晴菜と彰。
二人は恋に落ちた。
だが、晴菜は知らなかった彰が18歳の未成年だということを。
そして、彰との結婚を真剣に考え出し始めた矢先、それを知ってしまう。
結果、晴菜は彰との交際に絶望し死を考えることに。
晴菜は彰に殺害を依頼。
彰は真似ごとのつもりだったが、そのまま晴菜は死んでしまう。
慌てた彰は悟に相談。
悟は以前に娘の碧を事故で亡くしており、人一倍彰のことを想っていた。
そこで、彰の為に晴菜の死体を処理することを思いつき、実行に移す。
これが真相だった。

真相が裁判で明らかにされ、彰は嘱託殺人であること、未成年であることなどから罪に問われず。
悟は死体遺棄と朔子殺害の罪に問われ懲役16年の実刑を受ける。

後日、永沢に面会する塔之木。
永沢によれば「あのときのことを思い直せば、朔子はナイフを奪うというよりはナイフに飛び込もうとしてきたように感じた」と云う。
その言葉に何かを感じたタマミ。

秋元のもとを訪れたタマミ。
「ひょっとして、提出した手紙意外に手紙らしきものはありませんでしたか?」
秋元はタマミの問いを否定する。
だが、タマミは思うのだ。

朔子は永沢悟を晴菜殺害犯だと思っていた。
その上で自ら殺されに行ったのでは?
スプレーとナイフもその為の道具。
朔子と晴菜―――2人の殺害犯として裁かれれば永沢悟の命は無い。
それが朔子の復讐だったのでは……と―――エンド。

「見えない貌 (光文社文庫)」です!!
見えない貌 (光文社文庫)



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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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