2010年05月12日

「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)

「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>

インビジブルレイン1

孤独な犯罪。孤独な捜査。
世界には、悲劇しか起こらないように見えた。

姫川玲子が新しく捜査本部に加わることになったのは、
ひとりのチンピラの惨殺事件。
被害者が指定暴力団の下部組織構成員だったことから、
組同士の抗争が疑われたが、決定的な証拠が出ず、
捜査は膠着状態だ。

そんななか、玲子たちは、上層部から奇妙な指示を受ける。
捜査線上に「柳井健斗」という名前が浮かんでも、
決して追及しないように、というのだが……。

幾重にも隠蔽され、複雑に絡まった事件。
姫川玲子は、この結末に耐えられるのか!?
(光文社公式HPより)


<感想>
あくまで管理人の主観だと断った上で一言。
「ストロベリーナイト」に比べると劣化を感じる。
正直、余り面白くなかった。

あらすじにある「この結末に耐えられるのか」も微妙。
これは、劇中において玲子が本作の急造キャラクターと恋に落ちるのだがその結末のことを指すのだろう。
だが、恋に落ちる過程が唐突過ぎてどうも感情移入しにくい。
恋愛相手が「あの結末」の為に用意されたキャラクターにしか思えない。
このキャラだからああなったではなく、ああなるのだからこのキャラを用意した……みたいな。
予定調和の匂いしかしない。
結果、結末に興味が持てなかった。
せめてあの結末が、シリーズ通じて出て来た人物のものならば……いや、そこまでいかなくても、ほんのちょっとレギュラーキャラの去就に触れてでもいてくれていれば興味もあったのだが。

ミステリ的要素も薄い。
シリーズ物のひとつとしてみればアリなのかもしれないが……。
シリーズ中では首を捻る出来か。

過去記事へのリンクの後にネタバレあらすじがあります、注意!!

・シリーズ第一作「ストロベリーナイト」はこちら。
「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第二作「ソウルケイジ」はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・「シンメトリー」はこちら。
「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズスピンオフ「感染遊戯」はこちら。
「感染遊戯」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ最新短編(2011年12月時点)はこちら。
『アンダーカヴァー(「宝石 ザ ミステリー」掲載)』(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
姫川玲子:主人公、刑事
長岡:警視監、和田の上司
和田:捜査一課課長
牧田:組関係者
川上:牧田の部下
伊藤シゲル:川上の部下
柳井篤司:故人、過去の事件で娘殺しの罪に問われ自殺している
柳井健斗:篤司の息子、事件の容疑者
小林充:被害者、あらすじ中の下部構成員は彼
藤元英也:組幹部

ある組の下部構成員・小林充が無惨な死体で発見された。
玲子はこの事件の捜査に関わることに。
捜査を進めるうちに柳井健斗の名前が浮上するが、上司から柳井を捜査対象から外すよう命令される。
命令源は捜査一課長・和田の上司・長岡警視監だった。
玲子は反撥し捜査を続ける。

最中、藤元英也という組幹部が拳銃で射殺される。
直後、捜査本部に送り付けられてきた手紙には実行犯の名前として柳井健斗の名前が挙げられていた。
そして実際に使用されたとみられる拳銃からも柳井健斗の指紋が検出される。

実は長岡と和田には過去に苦い思い出があった。
柳井篤司が娘を殺したとされる事件。
篤司はその後、容疑に耐えられずに自殺していた。
容疑者とされた柳井篤司は健斗の父。
柳井健斗は姉を父に殺されたことになっていたのだ。
だが、真相は違っていた。
柳井健斗の姉は最初の被害者・小林充に殺されていたのだ。
つまり、小林殺害は柳井健斗による復讐殺人。
長岡は過去の失態を隠蔽するため、この真相を隠そうとしていた。

とはいえ、柳井健斗には藤元を殺害する動機は無い。
疑問に思う玲子は柳井健斗と関係のあった組関係者・牧田に接触。
情報を引き出そうとするうちに恋に落ちる。
色事には百戦錬磨の筈の牧田もまた玲子に恋心を抱いていた。

そんな中、柳井健斗が変わり果てた姿で発見される。
遺書も残されており、自殺と思われた。
が、玲子は柳井健斗の恋人から健斗が遺した謎のメッセージを聞き出し、それが健斗の恋人の勤めるネットカフェのPCのフォルダに隠された音声ファイルであることを知る。
内容は驚くべきもので牧田が健斗に小林充殺害の報告をする会話が録音されていた。
ショックを受ける玲子。

牧田を信じたい玲子はあえて彼に罠をかけて呼び出す。
現われた牧田に玲子は問う。
犯人はあなたなの?と。
だが、牧田は混乱するばかり。
そこへ牧田を追って現われたのは牧田の部下・川上とその部下・伊藤だった。

牧田は確かに柳井健斗から小林充殺害を請け負い、部下の川上に実行を命令した。
川上はバイセクシャルで情婦兼部下としていた伊藤に小林殺害を命じる。
伊藤は得意の女装癖を活かし小林に接近、殺害に成功する。
殺害後、その事実を以て柳井健斗を脅迫、健斗の彼女(妊娠していた)を人質に自殺するよう迫る。
その間に、伊藤が小林と同じ手で藤元に接近、健斗の指紋の残る銃で殺害し、捜査本部に犯人は柳井健斗であると告発した。
柳井健斗は自殺し、発見されればすべて彼の犯行となる筈だった。

伊藤は川上の為に川上は心酔する上司・牧田の出世の為に邪魔者・藤元を安全に排除することが目的だったのだ。
そして、牧田はそれらを一切知らなかった。
犯人は牧田ではなく、川上と伊藤だったのだ。

真相を知った玲子を殺害しようとする川上、伊藤。
それを阻止しようとした牧田が伊藤に刺されてしまう。
張り込んでいた捜査員が出動。
川上と伊藤は逮捕される。

緊急手術が行われたものの、牧田は死亡。
牧田を疑ってしまった玲子は許しを請うことも出来ず悲しい離別を経験することに。

事件は解決し記者発表の席。
そこで和田は柳井篤司のことを含む全てを公開。
長岡を道連れに責任を取ることを発表する。
すべては長岡を排除するため。
和田は玲子に新たな捜査一課を作るよう言い残し異動させられる。

後日、長岡は鳥取県警本部長に就任。
エリートから見れば明らかな更迭人事。
和田は同じ鳥取県の警察学校校長に送られた。
長岡が手配したのかどうかは分からない。

玲子は和田の言葉通り新たな捜査一課作りにいそしむ事を決意する―――エンド。

2011年9月26日追記
みーさんよりご指摘を受け、牧田について訂正いたしました。
みーさん、ご指摘ありがとうございました(^O^)/。
追記終わり


土曜プレミアム「ストロベリーナイト〜アフター・ザ・インビジブルレイン〜女子高生転落死から始まる官僚連続殺人!!携帯に残された暗号、顔無き真犯人?絡まる5つの謎と共に解ける真実とは!?本日公開の映画と連動する衝撃のミステリー(アンダーカヴァー、東京、サイレントマーダー/沈黙怨嗟、左だけ見た場合、プロバブリィギルティ/推定有罪)」(2013年1月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「インビジブルレイン」です!!
インビジブルレイン



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posted by 俺 at 03:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
牧田、死んじゃいましたよー(長音記号2)
Posted by みー at 2011年09月25日 02:44
Re:みーさん

コメントありがとうございます(^O^)/。
管理人の“俺”です!!

てっきり、救急治療室に入ったので牧田は助かったと思っていたのですが、記者発表の席で「死亡した」と明言されていますね。
やっちゃった……(汗)。

ご指摘ありがとうございます(^O^)/。
危うく、このまま気付かないところでした……。
早速、訂正させて頂きますね〜〜〜。
Posted by 俺 at 2011年09月26日 21:35
あの・・・
映画予告で、最後の方に刺されたのは菊田ですよね?
+牧田も殺されるのですか?
ニュースによると、原作とは大分違った予告にな言っていたのですが・・・
Posted by わさび醤油 at 2012年12月02日 22:52
Re:わさび醤油さん

こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

映画版が原作通りだとすればネタバレあらすじ通りになる筈。
ただ、映画版がオリジナル要素を加えるとすると、異なる展開もあるのかもしれませんね。
菊田に関しては、原作に比較してドラマ版でかなり掘り下げられているので、映画版で何らかの追加要素があっても不思議ではないかも。

一応、ドラマ版はキャラクター面でこそ追加要素がありましたが、大筋自体は原作を踏襲しており、映画版もこれに倣うものと思ってはいるのですが……其処に注目して映画版を待つのも楽しみ方と言えそうです(^O^)/!!
Posted by 俺 at 2012年12月03日 23:32
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