ネタバレあります!!注意!!
<あらすじ>
ある電子部品会社の社長を殺した容疑で勾留中の容疑者が自殺を図った。この事件の真相を追う警視庁の鷺沼に、神奈川県警の刑事・宮野が声をかけた。はからずも再びコンビを組むことになった2人。前作『越境捜査』を凌ぐ長編警察小説。
(双葉社公式HPより)
<感想>
「越境捜査」の続編。
柴田恭平さんによるドラマ化も決定しています。
ドラマ版あらすじに目を通してみましたがかなりアレンジが加えられている様子ですね。
原作とドラマ版どちらも楽しめそう。
5月22日追記:土曜ワイド劇場「越境捜査・警視庁vs神奈川県警、エリアの死角に消えた連続殺人犯!監視カメラには映らない暴走車…疑惑の警察ミステリー」(5月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)追加しました。全くの別物でした。
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
鷺沼:警視庁の刑事
宮野:神奈川県警の刑事
飛田:パチンコ業界を牛耳る資産家
深見:飛田の秘書
須崎:警察学校の教官
田中:チンピラ、故人
鹿沼:電子部品会社の社長
池端:鹿沼殺害の被疑者
韮沢:鷺沼の上司
梶木:韮沢の後任
福富:こすっからい刑事
7年前の電子部品会社の社長・鹿沼殺害の被疑者とされていた池端が自殺した。
捜査に臨むのは鷺沼。
そこへ絡んでくる宮野。
またしても鷺沼と宮野の共闘が始まる。
調べて行くうちに見えて来る巨悪の影。
その名は飛田。
株式会社「トビー」を運営する彼はパチンコ業界の大物。
警察上層部にも顔がきくと評判だった。
鹿沼は飛田のパチンコ会社に裏ロムを納入していた疑惑があった。
その口封じに殺されたのではと睨む鷺沼。
池端は飛田の従兄弟にして裏ロムを作成する技術者だった。
すべては裏ロムに通じている―――確信した鷺沼は事件に裏があると読む。
調べて行くうちに飛田と警察官・須崎がなんらかの関連があると判明。
鷺沼は須崎が飛田の手先となって邪魔者を殺していると推測。
その線で捜査を進める。
その最中、須崎の弟が飛田の手により殺害されていたことが判明。
同時に、飛田の秘書・深見が須崎の弟の婚約者であることもわかる。
須崎の弟はチンピラをしており、その殺害の実行犯が田中という男だと判明。
だが、当の田中は既に死んでいた。
酒に酔った事故死とのことだったが、どうも様子が変だ。
鷺沼は須崎が飛田の手下だとする自説に傷があることに気付き始める。
その矢先、飛田を調べていたとみられる深見が行方不明に。
飛田の手下に拉致されたと判断した鷺沼は宮野と共に闇社会の人間を通じ捜させる。
鷺沼が須崎へと接触した矢先、須崎が自殺。
手掛かりを失った鷺沼に朗報が。
闇社会の人間に依頼していた深見奪還に成功。
深見を確保する。
すべての真相を語る深見。
事の発端は須崎の弟の死だった。
須崎は弟を殺害した犯人・田中を捜しあて復讐を決行。
ただし、田中の依頼人がわからず困っていた。
その際、田中へ鹿沼殺害を依頼する飛田からのメールを発見。
飛田は田中が殺されていることを知らなかった。
裏ロムについて脅迫してきた鹿沼と同業他社へ裏ロムの製造法を売り込もうとしていた池端を同時に殺害することを計画した飛田はふたりを集め田中に殺させるつもりだったのだ。
だが、田中は死亡しており、池端は現場に来なかった。
後から田中の死を知った飛田は自ら殺害実行を決意。
メールにより計画を知った須崎も現場へ。
そこで須崎は飛田が鹿沼を殺す現場を見てしまう。
飛田に説得された須崎は金で黙っておくことを約束。
脅迫することで弟の復讐に代えようと決めたのだ。
一方で弟の婚約者である深見と接触。
飛田を監視していた。
池端は鹿沼の死を知り身の危険を察知。
鹿沼殺しで収監される道を選んだ。
深見は飛田の秘書として隠し口座を知っており、そこから盗んだ金を渡す約束で宮野と福富に保護を依頼。
宮野たちはそれにのる。
鷺沼には須崎の遺した鹿沼殺害の凶器についての情報を教える。
深見の情報に従った鷺沼は貸金庫より凶器・ナイフを入手。
科学捜査研究所へ分析にまわす。
上司の韮沢らと協力し飛田摘発を狙う鷺沼だったが、飛田はシラを切り通し、報復人事で韮沢が海外へととばされてしまう。
後任の梶木は韮沢の無念を汲んで捜査を続行。
問題はナイフから出た指紋と飛田の指紋を比較することだった。
飛田の指紋さえ採取出来れば―――。
梶木のアイデアにより別件逮捕にふみきる鷺沼たち。
飛田がワシントン条約違反の動物を購入している罪で拘束、指紋採取に成功する。
ナイフの指紋と突き合わせた結果は合致し、飛田は緊急逮捕された。
ニュースはこの報道で持ちきりになる。
飛田は道連れに自分に連なる警察関係者を告発。
ここに季節外れの大型人事異動が行われる。
だが、鷺沼の目にはとかげの尻尾切りにしか見えなかった。
深見は海外に渡航したらしい。
あちらでキャリアを磨くとのことだった。
宮野、福富と共にバーで飲む鷺沼。
深見の横領は成功し、宮野、福富もそれ相応の報酬を得たらしい。
ふと、テレビに目をやる鷺沼。
そこにはとある日本人の高額寄付の話が出ていた。
あっと驚く宮野たち。
寄付者は深見だった。
深見は宮野たちを騙し、横領した金額を些少に報告していたのだ。
だが、鷺沼達の心は軽い。
騙されてこんな楽しい気持ちになったことは初めてだ―――その場に居た全員がそう考えるのだった―――エンド。
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