2010年05月13日

「第63回日本推理作家協会賞」選考課程が明かされる!!

「第63回日本推理作家協会賞」選考課程が明かされました。

ソースの「読売オンライン」さんによれば―――

日本推理作家協会賞1

日本推理作家協会賞の選考会が先月23日開かれ、長編及び連作短編集部門に、飴村行(あめむらこう)『粘膜蜥蜴(とかげ)』と貫井徳郎=写真左=『乱反射』を選んだが、選考後に開かれた記者会見での北村薫・選考委員=同右=の言葉は、同協会が主催する賞の意味、そして責任を考えさせるものだった。

北村さんはまず、頭部が蜥蜴という「爬虫人(はちゅうじん)」が登場する『粘膜蜥蜴』について、「非常に異色だが、他の人には到底書けない過剰な世界を作る力業にねじ伏せられた」と語り、最初に授賞が決まったと説明。次いで『乱反射』と佐藤正午『身の上話』のどちらを選ぶかになったことを明かしたが、その際に出た言葉こそ、“これぞ推協賞”と思わせるものだった。

「一般の読者に、どちらを面白いと言って渡すかといえば、普通は『身の上話』」とした上で、北村さんは続けた。「『乱反射』に与えないようなら、推理作家協会賞の存在意義はない」と。なぜなら『乱反射』は「(普通の)小説という衣の下に、本格(ミステリー)の鎧(よろい)を隠した作品」だからだという。

北村さんは、貫井さんが巻頭に置く文に注目する。〈かつてイギリスの有名なミステリー作家は、登場人物のほとんどが犯人という小説を書いた。(『乱反射』で描く)幼児の「不運」な死に似た事件を他に求めるなら、そのミステリー小説しか見当たらないだろう〉

ネタバレにもつながる文章だった。「なぜ、それを巻頭に置いたのか。しかし『乱反射』の評論で、この意味を論じたものを私は見つけることができなかった」。同作は直木賞候補にもなったが、そのような指摘をした選評はなく、読者の多くも、その意味を深く考えずに読んだはずである。だが実は「不可能と思われるトリックに挑戦、達成したミステリー史上画期的な作品だった」。

熱く語る北村さんの言葉を、終始うつむいたまま聞いていた貫井さん。受賞の感想を尋ねられると、「北村さんの選評に大変感動し、心の底からこの小説を書いてよかったと今、初めて思いました」と、声を震わせながら答えた。デビューして18年。不思議と賞とは無縁だった作家に光が当てられた瞬間だった。(村田雅幸)
(2010年5月11日 読売新聞より)


「乱反射」は奇しくも先日レビューしたばかり。
確かに冒頭のあの一文はよくよく考えれば意味深ですね。
しかし、先行作はいくつか散見されるように見受けられますが。

ここから「とある作品」についてネタバレあります!!注意!!

「乱反射」の冒頭文が成立する理由―――それは「ひとりひとりが意識せずに行動した結果、別の誰かが死に至る」パターンです。
コレの先行作だと、たとえば、パッと思いつくところで金田一少年の「電脳山荘殺人事件」。
アレの動機となった出来事に似たようなものがありました。
他にもあったような気がします。
画期的と云えるかどうかは難しいような気がしますが……。

◆関連過去記事
・受賞作「乱反射」ネタバレ書評(レビュー)はこちらからどうぞ。
「乱反射」(貫井徳郎著、朝日新聞出版刊)ネタバレ書評(レビュー)

第63回日本推理作家協会賞発表!!

◆関連外部リンク(外部サイトに繋がります)
・「これぞ推協賞」熱き選評(読売オンラインさん)
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20100511bk06.htm

「乱反射」です!!
乱反射





「粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)」です!!
粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)





「電脳山荘殺人事件―金田一少年の事件簿〈3〉 (講談社文庫)」です!!
電脳山荘殺人事件―金田一少年の事件簿〈3〉 (講談社文庫)



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posted by 俺 at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説賞関連情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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