2010年05月16日

「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)

「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>

シンメトリー1

私が犯人だったら、こんな夜は現場を見たくなる。

姫川玲子は、警視庁捜査一課殺人犯捜査係に所属する刑事だ。主任として、「姫川班」を率い、殺人事件の捜査にあたっている。なりたくてなった刑事、三度の飯より捜査活動が好き、できれば派手な事件に挑みたい。そんな女だ。しかし、事件の真相と司法の間には、割り切れぬ闇も確実に存在して……。
警察小説の愉しみに満ちた傑作!
(光文社公式HPより)


<感想>
表題作「シンメトリー」に代表される短編集。
姫川玲子シリーズには他に「ストロベリーナイト」、「ソウルケイジ」、「インビジブルレイン」がある。

本書の収録作は次の通り。

・『東京』
・『過ぎた正義』
・『右では殴らない』
・『シンメトリー』
・『左から見た場合』
・『悪しき実』
・『手紙』

表題作「シンメトリー」は主人公・姫川玲子ではなく徳山視点で展開する物語。
姫川の人となりが徳山から語られており、面白い。
ミステリ的要素は薄いものの、他の短編もストーリー性はレベルが高い。
こうなると「インビジブルレイン」がやっぱり微妙なのかなぁ……。

過去記事へのリンクの後にネタバレあらすじがあります、注意!!

・シリーズ第一作「ストロベリーナイト」はこちら。
「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第二作「ソウルケイジ」はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・「インビジブルレイン」はこちら。
「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズスピンオフ「感染遊戯」はこちら。
「感染遊戯」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ最新短編(2011年12月時点)はこちら。
『アンダーカヴァー(「宝石 ザ ミステリー」掲載)』(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

<ネタバレあらすじ>

・『東京』

姫川玲子は今は亡き先輩刑事・木暮利充の墓参りに木暮の妻・景子と共に訪れた。
そこで、玲子はある女性を見かける。

玲子は景子に彼女と木暮の関わりについて語る。
6年前、高校で起こった女子高生転落事件を担当した木暮と玲子。
結果、転落した被害者がいじめを行っていた事実が明らかになる。
加害者は被害者にいじめられ思い余って殺害したのだ。
自殺しようとする加害者に木暮は自身の余命が短いことを涙ながらに語り、生きることの大切さを報せ思い留まらせたのだった―――エンド。

・ドラマ版『東京』はこちら。
土曜プレミアム「ストロベリーナイト〜アフター・ザ・インビジブルレイン〜女子高生転落死から始まる官僚連続殺人!!携帯に残された暗号、顔無き真犯人?絡まる5つの謎と共に解ける真実とは!?本日公開の映画と連動する衝撃のミステリー(アンダーカヴァー、東京、サイレントマーダー/沈黙怨嗟、左だけ見た場合、プロバブリィギルティ/推定有罪)」(2013年1月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)

・『過ぎた正義』

玲子は監察医から、とある事件の容疑者が連続して殺害されていることを聞かされる。
この事件の捜査に退職した元刑事・倉田が関わっていたことを知った玲子は、倉田を疑う。
倉田を調べるうちに意外な事実を知る玲子。

倉田の息子は殺人犯だったのだ。

玲子は倉田が苛烈なまでの正義感から容疑者を裁いたと看破。
倉田の狙いが自身の息子を裁くことにあると気付く。

倉田と接触した玲子は倉田から息子を守って見せると宣言するのだった―――エンド。

・ドラマ版「過ぎた正義(前編)」はこちら。
連続ドラマ「ストロベリーナイト」第4話「過ぎた正義(前編)」(1月31日放送)ネタバレ批評(レビュー)

・ドラマ版「過ぎた正義(後編)」はこちら。
連続ドラマ「ストロベリーナイト」第5話「選ばれた殺意の径〜過ぎた正義(後編)」(2月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)

・『右では殴らない』

劇症肝炎で突然死する男が多発。
玲子が調べた結果、下坂美樹という少女が浮かび上がる。
美樹は売春していた。

玲子が追及した結果、美樹は客の1人から貰った薬を他の客にばら撒いたことを認める。

犯人は医大生だった。
美樹を殺害して独占するべく、彼は調合した殺人薬を渡したのだ。
だが、美樹はそれを客に配ってしまった為に他の人物が被害者となったのである。

罪の意識を感じていない美樹に苛立ちを覚えた玲子は壁を右手で殴りつけてしまう。
後日、右手の骨が折れていたことが判明。
「どんなに怒っても、右では殴らないようにしよう」と心に堅く誓うのだった―――エンド。

・ドラマ版「右では殴らない(前編)」はこちら。
連続ドラマ「ストロベリーナイト」第2話「右では殴らない(前編)」(1月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

・同じく「右では殴らない(後編)」はこちら。
連続ドラマ「ストロベリーナイト」第3話「右では殴らない(後編)」(1月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)

・表題作『シンメトリー』

登場人物一覧:
姫川玲子:主人公、刑事
徳山:元JRの職員
米田:脱線事故の加害者
小川実春:脱線事故の被害者のひとり

JR職員・徳山には気になる少女が居た。
小川実春である。
とはいえ、それは恋ではない。
どこか、守ってあげたくなる少女―――それが実春だった。

ある日、事故が起こった。
車輌の脱線事故だ。
徳山の目の前で実春は命を落とした。
徳山自身も実春を救おうとして右腕を失った―――。

事故は結果として100人以上の命を奪う大惨事となった。
原因は運行車輌が米田と云う男の車にぶつかり脱線した為。
米田は酔っ払い運転だったらしい。
当の米田はといえば五体満足、大した怪我もない上に、反省の色も無く五年で社会に復帰した。
そんな米田を「被害者の会」は追い続けた。

徳山は事故直後から会社を辞めた。
会社側からの慰留は振り切った。
そんな精神状態ではなかったからだ。
そして、退職金も尽きるとネットカフェ難民のような生活を始めた。
そんな中、実春の父に出会った。
実春の父は「被害者の会」に属しており、米田を追っていた。
米田には反省の色も全く見られないらしい。
それどころか、賠償金を支払う為に米田の家族も米田の死を願っていると聞いた。
徳山の脳裏に復讐心が芽生えたのはその時だった……。

後日、ついに徳山は米田を呼び出し殺害。
線路上に魚の開きのように放置した……それもシンメトリーに。
アリバイは知り合いに自分の代わりにネットカフェに詰めてもらった。
徳山の利用するネットカフェには監視カメラが存在せず、本人確認も無い。
バレる理由が無かった。

翌日、マスコミは米田の死を大々的に報じた。
実春の父によれば、喜ぶ者はいても悲しむ者はいない……そんな死だったと云う。
密かに胸を撫で下ろす徳山。

数日後、徳山の前に姫川と名乗る刑事が現われた。
根掘り葉掘り事件の話を訪ねる姫川。
姫川と別れた徳山は不安に駆られ現場へ訪れる。

そこへやって来る人影。
「私が犯人だったら、こんな夜は現場を見たくなる」
姫川だ。

姫川の口より次々と語られる事実。
アリバイはネットカフェに隣接する旅行代理店の監視カメラが仇となり崩壊。
犯行自体も徳山が「魚の開きのような死体」と口にしたことから犯人しか知らない事実を述べてしまい意図せず認めてしまうことに。

姫川は徳山を見逃すつもりだったが、こんな些細なことで犯行を吐露してしまうようではいずれ逮捕は免れえないと判断。
徳山をその場で逮捕する―――エンド。

・ドラマ版「シンメトリー」はこちら。
連続ドラマ「ストロベリーナイト」第1話「シンメトリー」(1月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

・『左から見た場合』

死体が発見された。
被害者の携帯からは「045666」との数字が見つかる。

玲子は携帯の入力方法の違いに注目。
被害者がどこかに電話をかけようとしたのではなく、ダイイングメッセージを残そうとしたと考える。
「045666」を携帯の「かな入力」に置き換えると「わたなふ」。
被害者は「わたなべ」と伝えようとして力尽きたのだった。

真犯人・渡辺は逮捕された。
数日後、鑑識から被害者の携帯に被害者自身の指紋もなかったと聞かされた玲子は「どうやって被害者がメッセージを残したのか」と考え、被害者の超能力に気付きかけゾッとするのだった―――エンド。

・ドラマ版『左から見た場合』はこちら。
土曜プレミアム「ストロベリーナイト〜アフター・ザ・インビジブルレイン〜女子高生転落死から始まる官僚連続殺人!!携帯に残された暗号、顔無き真犯人?絡まる5つの謎と共に解ける真実とは!?本日公開の映画と連動する衝撃のミステリー(アンダーカヴァー、東京、サイレントマーダー/沈黙怨嗟、左だけ見た場合、プロバブリィギルティ/推定有罪)」(2013年1月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)

・『悪しき実』

男の死体が発見された。
通報者はその内縁の妻。
ところが、現場に駆け付けてみると内縁の妻の姿は消えていた。
逃亡してしまったのだ。

夫を殺害したのは内縁の妻なのか?

玲子が突き止めた真相は悲しいものだった。
死亡していた男は自殺だった。
男は殺し屋だった。
しかし、殺しに嫌気がさし自らで幕を引く為に自殺したのだ。
男が殺しをしていたのは内縁の妻との生活の為、間接的に男を殺したの自分だと考えた内縁の妻は自分自身に罰を与えるべく捕まろうとしていたのだ―――エンド。

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第7話「悪しき実(前編)」(2月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第8話「悪しき実〜嗚咽(後編)」(2月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)

・『手紙』

玲子に過去の事件の犯人・武田から手紙が届く。
武田は逮捕された際に自分は悪くないと言い張り、贖罪しようとしなかった人物。
武田が自身の行いを正しいと考えたのには理由があった。
武田が殺した相手が武田に苛めを行っていた為だ。
あることないこと中傷する、歯ブラシを汚す、書類を隠すなどはザラな上、職場の社長に辞めさせるように迫っていたのだ。

そこで、武田は相手を殺してしまう。

玲子に逮捕された際も武田は正義だと主張し続けていた。

ところが、刑に服し出所した武田はあのときの罪を後悔していると言う。
会いに出かけた玲子は別人のように変わった武田から理由を聞く。

当時、どこにも居場所の無かった武田にとって会社は唯一の居場所。
それを奪おうとした相手が許せず殺害してしまったが、服役中に社長から謝罪の手紙が届いたと言う。
それに許しを貰った武田は本当に罪を後悔したらしい。

玲子はこの話を聞き、人間は罪を償い終えてから許しを得るのではなく、許しを得ることで初めて罪を意識し償うことが出来ると悟るのだった―――エンド。

「シンメトリー」です!!
シンメトリー





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「シンメトリー」誉田哲也
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