2010年05月20日

「死線上のアリア」より「死あわせなカップル」(内田康夫著、角川書店刊)

「死線上のアリア」より「死あわせなカップル」(内田康夫著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>

死線上のアリア1

私立探偵・鴨田英作のもとに、名器ストラディバリを護衛して欲しいという依頼が舞い込んだ。所有者は世界的に有名なヴァイオリニスト、辻真理。ところが、彼女の凱旋祝賀パーティ当日に事件が発生した。辻真理が演奏を開始した途端、“ダーン”という大音響が響き、最上席の中央の紳士が夥しい血を流して倒れたのだ。凶器は被害者の胸ポケットにあった小型ピストル。果たして自殺か、それとも…。鴨田英作と犯罪捜査用スーパーパソコン『ゼニガタ』が活躍する表題作他、警視庁のキレ者・フグハラ警部の名推理を描いた作品を収録した傑作短編。
(角川書店公式HPより)


<感想>
ラストが些か強引(ある男があの計画を企む必然性は薄く、喜代子が騙されるのは苦しいような……)ではあるものの、短編としての完成度は高い。
流石の一言。

実はこの短編は2007年に中村梅雀さん主演の「信濃のコロンボ事件ファイル」にて第14弾「死あわせなカップル 」としてドラマ化されています。その際のキャストは山本未來、西村和彦、松崎しげる(敬称略、順不同)。主人公が竹村警部に変更されていたんですね。

2010年6月5日追記土曜ワイド劇場「内田康夫の福原警部 フグハラ体型の警部と美人刑事の殺人捜査“幸せなカップル”の心中の理由」(6月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)追加しました。リンクよりどうぞ。

<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
福原:主人公、肥満ぎみだが切れ者の警部
小野:青梅署の刑事、以前の事件を解決した手並みから福原に心酔する
北島:福原の部下
羽山米義:心中事件で死亡した被害者
羽山喜代子:羽山の妻
宇野和男:羽山と心中したとされる女性の夫
宇野久子:宇野の妻、羽山と心中した女性

福原のもとに以前の事件で福原に心酔した青梅署の小野が相談を持ち込んで来る。
その内容はある心中事件だった―――。

羽山米義という男性が女性と心中死体で発見された。
当初、女性は羽山の妻君と見られていたが、どっこい当の妻・喜代子は生きていた。
こうなってくると女性の素姓がわからない。
さらに、喜代子は羽山の生命保険金8千万円の受取人になっており動機もあった。
そのため他殺か心中か判断がつかないというのだ。

心中と考えられる理由は2点。
ひとつは二人が同じ場所で死亡していたこと。
もうひとつは、羽山と心中したとみられる相手の女性が「ラビット・ハウス」という店に示し合わせたように同日同時刻にたびたび来店していたことだった。
だが、二人は同席することも会話を交わすことも無くただそこに居ただけらしい。
福原は幾分ムッとしながらもその話に興味を示す。

一方、羽山の妻・喜代子には羽山と女性が心中したとみられる時刻に完璧なアリバイがあった。
ピアノを演奏しており、羽山宅の隣人からピアノの音がうるさいと苦情を受け謝罪したというのだ。
これにもムッとした表情の福原。

とりあえず福原の指示により待つことになった小野。
果たして、羽山の心中相手とみられる女性の夫・宇野が名乗り出て来た。
これにより宇野の妻・久子が羽山の心中相手と確定する。

福原の次なる打つ手とは―――

数日後、喜代子の周囲に不審な男がうろちょろし始める。
その露骨なまでのアピールぶりに危機感を抱き始める喜代子。
“ある男”が自分を裏切ったのではと考え始める。

ついに耐えきれなくなった喜代子は自分をつけまわす男を買収。
“ある男”に雇われたと知る。
そこで決意を固めた喜代子は準備を始める。

“ある男”の使いと称する女が喜代子に接触。
喜代子は大人しくついていく。
女から渡されたジュースを女の物とこっそりすり替える喜代子。
気付かず口にした女は血反吐を吐いて倒れ込む。
それを見た喜代子はナイフを手に“ある男”を捜して周囲を歩き回り始める。
やがて喜代子の前に現われたのは宇野だった。
そしてその後ろにはあの雇われた男の姿が。
男を認めた途端、喜代子は非常に驚き何者かに嵌められたと気付く。

「私がご招待したんです」
声をかけられた喜代子が振りむくとそこには福原の姿が。
雇われた男も福原の部下の刑事だった。
そして死んだ筈の女もむっくりと立ち上がると敬礼する。
婦警だったのだ。
すべては福原の罠だった。

こうして宇野と喜代子は逮捕された。

後日、小野が福原に事情説明を迫る。

宇野と喜代子は最初から男女の仲だった。
金を手に入れる為に犠牲者となる男女を決めてそれぞれが結婚し、互いのパートナーを騙し心中を偽装し殺害した。
「ラビット・ハウス」は喜代子と宇野がそれぞれのパートナーに待ち合わせ場所として提示した店だった。
1時間待って来なければ別の場所へ移動するよう言い含めていたのだ。
そして、喜代子のアリバイはすべて宇野の妻・久子が代わりになっていたもの。
殺されるとも知らず犯人のアリバイを作ってしまったのだ。
だからこそ、それを悟った福原が不機嫌になったのだった。

福原はその計略を逆に利用。
喜代子と宇野の仲を裂き疑心暗鬼に陥れる為に宇野たちと全く同じ手を使った。
あえて福原の部下と喜代子が共に居たことを印象付け宇野が羽山&久子の時と同じく偽装心中を企んでいると喜代子に思いこませたのだった。
喜代子にしてみれば宇野が自分を毒殺し別の男(福原の部下)との心中を偽装しようとしていると考えた為に宇野の使いである女を返り討ちにしたところまでは良かったが、当の男が宇野に殺されることも無くピンピンしていた時点で何者かの作為に気付いたというワケだった―――エンド。

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