2010年05月22日

土曜ワイド劇場「越境捜査・警視庁vs神奈川県警、エリアの死角に消えた連続殺人犯!監視カメラには映らない暴走車…疑惑の警察ミステリー」(5月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「越境捜査・警視庁vs神奈川県警、エリアの死角に消えた連続殺人犯!監視カメラには映らない暴走車…疑惑の警察ミステリー」(5月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

<あらすじ>

越境捜査1

鷺沼友哉(柴田恭兵)は、警視庁捜査一課協力係の刑事。協力係とは、いわば捜査一課の二軍で、人手が足りない捜査本部の応援や、未解決事件の継続捜査を行う部署だ。

鷺沼は2年ぶりに、神奈川県警刑事・宮野裕之(寺島進)から呼び出された。宮野は悪徳刑事とのウワサの絶えない男。2年前、2人は警視庁と神奈川県警を巻き込んだ裏金事件の捜査で手を組んだのだが、その際も宮野は鷺沼の目を盗んで県警と裏取引をしていた。鷺沼にとってはどこか信用ならない男だった。

その宮野が、とある殺人事件の再捜査を持ちかけてきた。それは7年前に大物国会議員の鹿沼が謎の死を遂げた事件で、未だ3つの謎が残されていた。事件が建設中の議員宿舎で起きた点。犯行現場に身元不明の指紋が2つ残されていた点。鹿沼の口座に謎の政治献金があった点。当時の捜査で、献金はバハマの銀行の“タナカ・ヒロキ”という偽名口座からと判明したが、それ以上のことは辿れぬまま、捜査本部は解散していた。
ところが宮野によると、一昨日、横浜の大学で起きた傷害事件から、思わぬ容疑者が浮上したという。凶器から検出された指紋の中のひとつが、7年前の事件の遺留指紋と一致したのだ。その指紋の主は、研究室の卒業生で、現在“生体認証システムの革命児”として注目を集めるコンピューターソフト会社会長・飛田不二雄(東根作寿英)。奇しくもトビシスは、鹿沼事件以降に急成長を遂げていた。

鷺沼はさっそくトビシスを訪ね、指紋が鹿沼殺害現場に残っていたことを追及する。平然とそれを受け流す飛田だったが、“タナカ・ヒロキ”という名前を聞いた瞬間に顔色が変わったのを、鷺沼は見逃さなかった。
その直後、飛田の秘書・深見亜津子(高野志穂)が、鷺沼とすれ違いざまに、連絡先を記した紙片を渡すという謎の行動に出る。さらにその晩、鷺沼と密会した亜津子は、バハマの偽名口座は飛田のものだと告白する。
事態が急に動き始めた一方、鷺沼には警察内部から得体の知れない圧力がかかる。捜査協力を頼んでいた公安部の須崎和男(升毅)から、捜査を中止するよう警告されたのだ。飛田は警察を動かすほど手ごわい男…鷺沼は憤りを隠せなかった。
さらにその後、飛田が亜津子のマンションで遺体となって発見されるという事態が発生。そして亜津子は、さまざまな謎を抱えたまま姿を消してしまった!!
(あらすじ・写真共に公式HPより)


では、続きから……。

亜津子と連絡を取る鷺沼だが電話の調子が悪いのかノイズがたびたび混じる。
そのことが妙に気になる鷺沼。

宮野によれば、元公安出身で天下りしたメビウス警備保障・笹山から飛田へと金が流れているらしい。

飛田が亜津子の部屋で死体で発見される。
第一発見者は鷺沼と宮野。
訪問時、部屋番号「402」を押し室内へと入る鷺沼たち。
室内では飛田が死亡していた。
そこへ現れる派出所の巡査が2名。
説明を行うものの県警の田沢に取り調べを受ける鷺沼と宮野。
田沢によれば亜津子の部屋から電話があり無言のまま通話が続いたため、気になって巡査が様子を見に行ったらしい。
訝しがる宮野。部屋の受話器は下りていたからだ。
つまり、亜津子が助けを求めた後に誰かが部屋に侵入し受話器を下ろしたことになる。

防犯カメラの映像から意外な事実が―――
鷺沼が捜査を開始した2日前、飛田が亜津子の留守中に部屋を訪れ10分ほど何事かした形跡が残されていた。
そして飛田が死亡当日に亜津子の部屋へやって来る映像も。
亜津子自身も部屋へ戻る映像はあるものの、部屋から出る映像は残っていなかった。

数分後、宮野が防犯カメラに写らず移動できるルートを見つけて来る。
但し、そこには動くモノを撮影するセンサーカメラが設置されていた。
そのセンサーカメラ(山手台45)の管理会社はあのメビウス警備保障。
内容を見るべくトビシスとの金の流れを盾に笹山に映像公開を迫る。
そこには3台の車が映っていた―――。

そんな中、鷺沼の捜査の責任を取り三好が左遷されることに。
須崎は過去に三好と7年前の鹿沼殺害事件を捜査していた経緯があり、鷺沼に詰め寄る。
鷺沼は須崎の言葉に動揺する。

宮野から3台の調査結果を聞き出す鷺沼。
3台ともシロだった。
あくまで亜津子を信じる鷺沼は捜査続行を宣言。
そんな鷺沼に粂はセンサーカメラに映っていなかったが、車輌監視システムに映っていた不審車両の映像を見せる。
それは飛田の死亡時刻と合致していた。
車輌監視システムの映像から該当車両が事故車だと判明。
鷺沼は事故車を使っていることから警察関係者―――それも公安関係者ではと疑う。

なぜセンサーカメラに写っていなかったのか―――周辺への聞き込みを続ける鷺沼と粂の姿にいつしか宮野も率先して協力するように。

亜津子が鹿沼の娘だと判明。
車輌監視システムに写っていたメビウス警備保障の違法電波を監視する巡回車を見て鷺沼はあることに気付く。
“電波”―――亜津子との電話途中の雑音。
あれは盗聴電波だったのでは?
そう考えを進めた鷺沼は2日前に飛田が亜津子の部屋へ来訪した目的を悟る。

真犯人に会いに行く鷺沼。
飛田は亜津子を部屋にこっそり設置した監視カメラで見張っていた。
そこへ真犯人の命令でその部下が連れ去りに来る。
慌てたのは飛田だ。
このまま事件になってしまえば自分が違法にカメラを設置したことがバレてしまう―――部屋へ駆け付けた飛田はそこであるものを探しに訪れた真犯人と鉢合わせしてしまい口封じに殺害されたのだった。

その真犯人が探していたあるモノとは写真だった。
飛田、鹿沼と真犯人が写ったそれを真犯人は探していた。
その真犯人の名は―――笹山。
笹山はセンサーカメラの映像を鷺沼たちに提出する際に自分たちの車の映像を削除していた。
証拠がないとしらばっくれる笹山に不敵に笑う鷺沼。
実はメビウス警備保障の違法電波監視巡回車に飛田の仕掛けたカメラの映像が飛ばした電波が記録されていたのだ。
そこには笹山たちの犯行がばっちり写っていた。

「仕方なかったんだ。鹿沼が裏切ったから……」
8年前、飛田が顔認証システムを作成。
笹山はそれを支援し、導入しようとしていた。
鹿沼にも協力を求め、それは実現しようとしていた……矢先、政治家として鹿沼が裏切る。
笹山たちが独断で顔認証システムを導入しようとしていたと有権者に暴露、批難した上で次の選挙に勝とうとしたのだ。
思わぬ裏切りに怒り狂う笹山は鹿沼を殺害する。
鹿沼の娘・亜津子は父の仇を探し笹山へと辿り着いたのだった。
その証拠が飛田、鹿沼、笹山が共に写った写真。
そして、それがデータとして入ったメモリーチップだった。

「あんたは結局保身しか考えていない!!」
鷺沼に一喝された笹山は崩れ落ちる。

助け出した亜津子と話す鷺沼。
亜津子の母は鹿沼の内縁の妻。
強盗に襲われ命を落としていた。
その際、監視カメラの映像に犯人が写っていたが検挙には至らなかった。
その後悔から鹿沼は顔認証システムを導入しようと考えていた筈だった。
それがいつからか自らの利益優先で考えるようになってしまい、結果、命を落とした。
亜津子は云う。
「どんな優れたシステムも正しく使わねば意味がない。それを監視する人間になりたい」
トビシスへの入社は父との絆だった―――亜津子はトビシスに残り新たな道を模索することに。

捜査は鷺沼から須崎の手に移る。
家へ帰った鷺沼は宮野に電話。
その内容は―――宮野を家へと招く鷺沼―――エンド。

<感想>
原作「挑発 越境捜査2」(笹本稜平著、双葉社刊)と比べ大幅に変更加えてましたね。
飛田の会社がパチンコ業界の雄“トビー興産”ではなくITコンピュータソフトの“トビシス”だったり、捜査の発端が別モノだったり、凶器の処理の仕方、飛田も死ぬし……原作に沿う箇所を探す方が大変なくらいのかなり大胆なアレンジです。
いや、アレンジと云うよりは原作から名前だけを借り受けた全くの別物でした(ちなみに原作に興味のある方は下のリンクよりどうぞ)。

・ドラマ原作「挑発 越境捜査2」(笹本稜平著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)
「挑発 越境捜査2」(笹本稜平著、双葉社刊)


ここからの感想は不快になるかもしれません。注意!!


なんでコレを「越境捜査」でやっちゃったんでしょうか?
ITをテーマにしていますが、監視社会の恐怖を描いているのかと思えばそうでもないし……。
この間、福田和代先生の「オーディンの鴉」を拝読しましたが同じITを取り上げた作品ならばドラマと小説とジャンルが違うとはいえあちらが圧倒的に上。
幾分「オーディンの鴉」も突飛ではありますが……。

顔認証システムといえば「相棒season8」最終話を思い出しました。
調べてみたら同じ櫻井武晴さんが脚本だったんですね。

・過去記事相棒season8 19話(最終話・最終回)「神の憂鬱」(3月10日放送分)ネタバレ批評(レビュー)

「科捜研の女」シリーズも櫻井さんです。
なんとなく、今回の話はそちら向きだったような気も……。
それならこのテーマもありです。
むしろ、科学捜査をテーマにした「科捜研の女」向きな素材だと思います。

加えて個人的には原作を読んで先入観を持っていたせいかドラマ版は“軽く”感じました。
原作の方が重みがあって面白かったように感じます。
今回のドラマは別タイトルのオリジナルとして放送してもらった方が素直に楽しめて良かったかも。
どうも“原作はこうだった”とのバイアスがかかってて面白く感じられませんでした。

残念です。

<キャスト>
鷺沼友哉:柴田恭兵
宮野裕之:寺島 進
粂 今日子:伊藤裕子
三好 章:平泉 成
須崎和男:升 毅
深見亜津子:高野志穂
笹山壱太:田山涼成
飛田不二雄:東根作寿英
韮沢克文:夏八木 勲ほか
(公式HPより、敬称略)


「越境捜査2 挑発」です!!
越境捜査2 挑発





前作「越境捜査」(ハードカバー版)です!!
越境捜査





同じく「越境捜査 (FUTABA・NOVELS)」です!!
越境捜査 (FUTABA・NOVELS)





「オーディンの鴉」です!!
オーディンの鴉



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