ネタバレあります!!注意!!
<あらすじ>

導入間近! 裁判員制度がよくわかる傑作リーガルサスペンス
裁判員は、医師、教師、主婦、OL、無職男、それにあなた。二転三転する評議、そして事件の真相は!? 史上初の裁判員ミステリー
2009年より始まる裁判員制度にいち早く取材した法廷ミステリーの登場です。「審理」、「評議」、「自白」の3部構成で、従来の裁判との違いを際立たせつつ裁判員法廷が描かれます。その丁々発止の生々しい迫力は、裁判員制度の入門書としてもうってつけ。「有罪にしろ」と訴える被告人、ついに現れなかった不在の証人など、ミステリーとしても興味深い題材が裁判員の目から描かれていくわけですから、その面白さたるや2倍、3倍。しかも、毎回必ず思いもよらぬどんでん返しが!! 法廷に呼ばれたときに備えてぜひ一読をお勧めしたい傑作リーガルサスペンスです。(II)
(文藝春秋社公式HPより)
<感想>
各短編はそれぞれがある大きなトリックに基づき構成してあります。
面白いです。
同時に裁判員裁判の手引書も兼ねており、流石「十三人目の陪審員」の作者だと感心します。
個人的に芦辺先生の作品は短編がよいと思っている(長編になると内容が濃すぎてこちらがシンドイ。嬉しい悲鳴なんだけど……)のでこれくらいがありがたいです。
特に「自白」は「審理」、「評議」を受けてあのトリックなので効果的。
尚「自白」は「弁護士・森江春策の裁判員法廷」というタイトルでドラマ化されています。
<弁護士・森江春策の裁判員法廷あらすじ>
森江春策(中村梅雀)は、戸越銀座商店街の米屋の2階に事務所を構える気のいい弁護士。国選の仕事が多く金には縁がないため、事務員の町田澄代(角替和枝)から尻を叩かれてばかりいる。
ある日、春策の事務所に出版プロデューサーを名乗る男・藁山(田山涼成)が訪ねてくる。春策に自伝を出さないかというのだ。出版すればたちまちベストセラーになるという藁山の甘い言葉に、春策は危うく乗せられそうになる。だが、澄代が藁山に疑いの眼差しを向けたことで、藁山はそそくさと帰ってしまう。
藁山が傘を忘れたことに気づいた春策は、あわてて後を追いかけ傘を手渡すが、そこに一人の若者が現れ、やっと見つけたぞと藁山の胸倉を掴んだのだった。桐石(三浦力)というその若者は、なにか藁山と因縁があるらしい。藁山は明晩8時に自宅に来てほしい、そこで話し合おうと桐石に言い残し、逃げるようにその場を去っていった。
翌々日の朝、春策はテレビのニュースで前夜に藁山が殺されたことを知る。そしてその直後、事務所に刑事が訪ねてくる。藁山の手帳に『森江法律事務所』の文字が残されていたというのだ。春策は、前々日に藁山が突然訪ねてきて自伝を出版しないかと勧誘されたこと、藁山が桐石という若者と揉み合いになったことなどを刑事に告げた。
その日、春策は桐石が藁山殺害の容疑で警察に連行されたことを知る。自分がしゃべったせいで桐石が逮捕されたのではないかと気に病んで警察に駆けつけた春策は、そこで出会った桐石の友人から彼の弁護を頼まれる。
藁山の死因は頭部に加えられた打撲で、警察が桐石を藁山殺害の犯人と断定したのは、凶器に使われたバットから桐石の指紋が検出されたことによるものだった。
事件の当夜、藁山の家を訪ねたのは桐石のほかに4人いた。弟子の加藤高弥(石丸謙二郎)、イラストレーターの朝浜江里梨(中村綾)、定時制高校生の来栖綴(垣内彩未)、担当編集者の豊幌元雄(中西良太)で、みなそれぞれ藁山との間にトラブルを抱えていた。だが、遺体発見時前後の状況などから、殺害犯は桐石以外には考えられない事件だった。
この事件は、裁判員制度の下で行われることとなり、人前でのプレゼン能力に問題のある春策にとって、苦しい戦いが予想された。さらに、担当の公判検事は春策の司法修習生時代の同期生・菊園綾子(若村麻由美)で、修習生時代、春策がカメに彼女がウサギに譬えられたほどのキレ者だった。裁判員を挟んでの春策と綾子の戦いが始まった。
(公式HPより)
アレンジ加えられてますね。
犯人に変更がありました。
ドラマ版は石丸謙二郎さん演じる加藤が犯人。
トリック自体は割と近いですが、映像作品なので「あなた」のアレはありません。
ちなみに副題は「殺人レシピのさしすせそ」でした。
<キャスト>
森江春策:中村梅雀
菊園綾子:若村麻由美
高柳事務官:金田明夫
町田澄代:角替和枝
菊園喜助:竜 雷太
新島ともか:岩崎ひろみ
藁山花俊:田山涼成
加藤高弥:石丸謙二郎
豊幌元雄:中西良太
朝浜江里梨:中村 綾
桐石響樹:三浦 力
来栖 綴:垣内彩未 ほか
(順不同、敬称略)
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧
森江春策:弁護士、主人公
菊園綾子:検察官
藤巻脩吾:裁判長
玉村君枝:右陪席判事
青井涼太:左陪席判事補
新島ともか:森江の秘書兼助手
桐石響樹:被告人
藁山花俊:被害者、文芸ブローカー
朝浜高弥:検察側証人、藁山の門下生
千家江礼禰:検察側証人、デザイナー兼画家
来栖綴:検察側証人、高校2年生
豊幌元雄:検察側証人、元出版社社員
「何でも五十音順整理法」の著者である藁山という男が殺害された。
“あなた”は裁判所からの通知を受け呼び出されることに。
裁判員は6人。
被告人は桐石。
彼は自分の罪を認めていた。
藁山殺害当日には多数の訪問者が確認されていた。
桐石の他に朝浜、千家、来栖、豊幌の4人。
全員が全員、藁山を憎んでいたものの桐石が自らの罪を認めている以上、事は簡単かと思われたが……桐石の弁護人・森江春策は桐石の無実を訴える。
荒れる法廷。
こうして事態は紛糾することに。
あなたは森江の発言を不快に感じていた―――。
裁判は進み、森江の主張により犯人として指摘されたのは―――“あなた”!?
そう、あなたは裁判員のひとりではなく、検察側証人として呼ばれていた“朝浜”だったのだ!!
あなたは藁山に利用され、囮として彼のふりをさせられた。
それを利用して藁山殺害後に彼になりすまして藁山の死亡時刻を誤魔化した上で、来客順を並べ替え誰の犯行か分からなくしたのだった。
だが、藁山は「何でも五十音順整理法」の著者。
来客管理さえも五十音順で行われていたことを見抜けなかったのが“あなた”―――朝浜のミスだった。
来客のアポイントメントは頭文字の五十音順だったのだ。
こうして来客順が判明し、証言の矛盾を暴かれた“あなた”こと朝浜は拘束され桐石の無実が証明されたのだった―――エンド。
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