とはいえ、原作者の石ノ森章太郎先生の手によるモノではありません。
脚本に香川まさひと先生を迎え、「漫画サンデー」にて「監察医朝顔」連載中の木村直巳先生作画で連載されています。
ちなみに「監察医朝顔」もこのお二人がタッグを組まれています。
お宮入りした難事件の謎を解く、京都草壁署・資料課課長、鳥居勘三郎。
人は親しみをこめて彼を「おみやさん」と呼ぶ―――
巨匠・石ノ森章太郎のあの名作が、現代の最強タッグの手により25年ぶりに蘇った!
(小学館公式HPより)
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では、「おみやさん」2010年10月増刊号ネタバレ批評(レビュー)!!
<ネタバレあらすじ>
3年前に神社の境内で15歳の少女が死体で発見された―――凶器は少女の身に着けていたマフラー。
死亡推定時刻は午前5時。
少女の所持していた腕時計が午前5時を指したまま壊れていたこと。
その時刻に神社周辺をたまたま散歩していた老人が高笑いらしき音と怒鳴りつける女性の声を聞いたことから間違いないと思われた。
被害者の少女が所持していた腕時計についていた指紋から容疑者として近所の24時間ディスカウントストア(ドンキホーテみたいなの)の女性店員が浮上。
だが、彼女には犯行時刻に店内で仕事をしていたという確固たるアリバイがあった。
腕時計自体もその店で扱っていた品であり、店員の指紋がついたところでおかしくは無い。
こうして、店員の容疑は解消され犯人不明のまま事件は迷宮入りを迎えていた。
被害者少女の友人の話によれば被害者は真面目な性格で午前4時までその友人宅で勉強をしていたらしい。
泊まって行けばと誘う声を振り切り、ノートを買うと言って帰ったという。
とりあえず、ディスカウントストア店員に話を聞く鳥居。
彼女によれば被害少女は当日午前4時過ぎ頃に店を訪れ腕時計を買って行ったらしい。
店長からも話を聞いたところ、女性店員が事件以降に深夜早朝勤務を拒否し日中しか働かなくなったことが分かる。
果たして事件の真相は―――?
鳥居は被害少女が店を訪れたにもかかわらずノートを買わなかったことに注目。
少女にはノートを買うつもりが最初から無く、ストレス発散の万引きのために店を訪れたと見抜く。
女性店員にその推理をぶつける鳥居。
女性店員は鳥居の推理を認める。
少女が万引きしたことを見咎めた彼女は少女の将来を考え、事を荒立てることなく穏便に済ませる道を選ぶ。
彼女に自分の仕事が終わる6時まで店の近くの神社で待つように伝えたのだ。
仕事を終え神社へ向かった店員。
少女は大人しく待っていた。
商品を黙って返しておくからと説得する店員。
だが、少女は腕時計を破壊していた。
なんでも、5時頃に笑い声のようなアラームが鳴り響いた為、苛立った少女が怒鳴りつけながら叩き壊したのだ。
なんてこと……と絶句する店員だったが、少女はさらに彼女の善意を金目当ての脅迫目的と決めつけた上に彼女の現在の境遇を“悲惨なもの”と揶揄してしまう。
カッとなった店員は少女を殺害してしまった。
すべてを告白した店員を鳥居が慰めるのだった―――エンド。
<感想>
この話には大きな穴がいくつかありますね。
とりあえず一番大きな穴は、「店に展示してある腕時計にアラーム設定がしてあった」こと。
これはありえません。
だって設定してあったら、毎日午前5時に店中に笑い声のアラームが流れるじゃないですか。
大変ですよ、コレは。普通は設定解除してます。
よって設定解除していれば、5時の散歩中の老人の証言も無くなり店員が即効逮捕され事件解決されてしまった筈。
それを回避する為の無理矢理設定ですね、コレは。
次に被害少女が腕時計を購入したかどうか。
これもレシートや店側のレジに残された記録からあっさりバレます。
購入記録のない商品を少女が持っていた……つまり万引きにすぐ行きあたった筈。
これまた無理矢理設定です。
店員の対応も変です。
少女の将来云々いうなら、神社に呼び出すのは変です。
呼べば事を大きくしてしまいます。
少女が警戒するのも勘繰るのも当たり前です。
寧ろ、素直に6時まで神社で待っていた少女がスゴイです。
これまた無理矢理設定といえましょう。
鳥居の推理も妙です。
推理というよりは超直感というべきか。
いろいろ、酷いなぁ……。
今回の話の尻切れトンボぶりも酷いし。
「おみやさん」は人情物ストーリーを楽しむべきと分かっているものの、今回その人情ストーリーもあんまりだったしなぁ。
何より、草壁署がヤバい。
現状、おみやさんが事件を解決すればするほど過去に迷宮入りになった事件が存在するわけで……。それだけ迷宮入り事件が多発しており、犯罪者が野放し状態の地域ということだもんなぁ……。
治安悪い……。
今後に期待!!
◆関連外部リンク(外部サイトに繋がります)
・小学館「おみやさん」公式HP
http://big-3.jp/bigcomic/rensai/omiyasan/index.html
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