2010年06月05日

土曜ワイド劇場「内田康夫の福原警部 フグハラ体型の警部と美人刑事の殺人捜査“幸せなカップル”の心中の理由」(6月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「内田康夫の福原警部 フグハラ体型の警部と美人刑事の殺人捜査“幸せなカップル”の心中の理由」(6月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

<あらすじ>

福原警部1

福原太一(石塚英彦)は、警視庁捜査一課の警部。キレ者として名高いが、同時に食に対する探究心も人一倍旺盛なものがある。
ある日、福原は、かつて警察学校時代の教官で今は奥多摩署の署長となっている南田(宅麻伸)の家に呼ばれて、手作りのブイヤベースをご馳走になっていた。南田も料理に凝っていて、福原に批評を仰ぐつもりらしい。

そんな中、南田の携帯電話に事件発生の報が入る。奥多摩のキャンプ場駐車場に停めてあった車から男女の死体が発見されたというのだ。福原は南田とともに現場に向かうが、そこにはすでに、以前ある事件を通して知り合った奥多摩署の小野捜査係長(渡辺いっけい)と椿和美刑事(藤谷美紀)が到着していた。
小野によると、車内から青酸性の毒物が入った缶ジュースが発見されたため、心中ではないかという。所持していた免許証から男は三鷹市在住の羽山米義(朝倉伸二)と判明。だが、女は身許を示すようなものは何も持ってはいなかった。
福原は女の所持品がひとつもないことが気になった。さらに、男女がしっかりと手を握り合っているのを目に留め、心中にしては少し不自然だと言い出す。青酸性毒物を用いた場合、かなり苦しむはずだから、というのがその理由らしい。
羽山は家電メーカーに勤めていることが分かり、妻・喜代子(国分佐知子)が駆けつけてきて夫の遺体を確認する。だが、一緒に亡くなっていた女のほうはまったく見たこともないと言う。喜代子の話では、羽山は甲府で高校時代の同窓会があると、昨日の昼頃、家を出たらしい。
翌日、羽山のスケジュール帳から、彼が八王子にある自家製プリンが有名なカフェに通っていたことを知った福原は、小野や和美とともにその店を訪ねる。羽山と女の顔写真を見た店主の後藤(湯江健幸)は、2人がしばしば店を利用していたことを証言、彼らが不倫の関係にあるのではないかと以前から思っていたという。羽山と女はいつも別々の席に座っていて、相前後して席を立ち、どちらかが帰りがけに必ずプリンを2つ土産として持っていったというのだ。あれは、2人でホテルに入ってからプリンを食べていたに違いないと、後藤は力説した。

その夜、奥多摩署に不動産会社の社員で宇野和男(比留間由哲)という男が訪ねてくる。妻が昨日から帰ってきておらず、事件の新聞記事に載っていた女性の年齢と服装が妻と一致しているというのだ。そして宇野の確認により女は、妻の久子(弘中麻紀)と判明する。宇野によると、久子と結婚してまだ1年足らずだということだった。また、宇野も羽山をまったく知らない男だと断言する。
羽山、宇野両家の周辺で聞き込みを行っても、夫婦仲が悪かったという話はまったく出てこない。いったい羽山と久子の間にどんな繋がりがあるのか…!?
やがて、心中か殺人かいまだ確定できないでいる中、週刊誌の記者で山崎と名乗る女(原千晶)が事件に首を突っ込んでくる。
(あらすじ・写真共に公式HPより)


では、続きから……。

南田署長は、亡き妻の想い出のこもったブイヤベースに何かひと味足りないと悩んでいた。
相談を持ちかけられた福原は宿題として持ち帰る。

喜代子には夫の死亡時刻にピアノを弾いて隣人・永井美佐江から苦情の電話を受けたというアリバイがあった。
永井美佐江は喜代子を敵視し、喜代子のピアノを録音し続けていた。

秋元徹(32歳)が捜査線上に浮上。
秋元は過去に喜代子にしつこく言い寄っていた男。
今もストーカーまがいの行為を続けていた。

その頃、喜代子のもとには「私は犯人を知っている」という脅迫電話が何者かからかかってきていた。
一体、誰が?
喜代子は不安に駆られる。

宇野和男が妻の死により3億円を手にすることが判明。
宇野にも疑惑の目が向かう。
だが、小野は宇野のアリバイ(8時30分に苺を大家に届けた)を重視。
9時30分には事件現場に到着しえないことから宇野の犯行を否定する。

喜代子が夫の保険金8000万円を受け取ることも判明。
喜代子にも疑惑の目が向かうがこちらも「結婚する為に(喜代子の勧める)保険に入ったのだから当たり前」と小野が否定。
小野はあくまで心中説に固執する。

一方、山崎が宇野に急接近。
どうも何かを調べている様子だ。

喜代子への脅迫電話が続く。
電話の主は秋元だった。

そんな中、何者かからの鷹爪神社に喜代子が呼び出される。
直後、喜代子は階段から転落し怪我を負う。
その場にいたのは永井美佐江―――。

喜代子傷害容疑で美佐江が連行されるが福原は美佐江の録音していた喜代子のピアノのテープと引き換えに解放する。

その日の晩、またも喜代子に電話が。秋元だ。
「駅西口階段10時ちょうどにひとりで来い―――」
椿に同行を依頼し、秋元の呼び出しに応じる喜代子。

翌早朝、秋元が宇野久子のハンドバックを持ち自殺体で発見される。
携帯には遺書代わりに羽山と宇野久子を殺害したのは自分だとあった。

秋元の死に責任を感じる福原。
福原には秋元を殺害した犯人に心当たりがあるらしい。

秋元宅から羽山と久子の携帯が見つかり捜査本部は秋元犯人説に固まりかける。
だが、福原は秋元には羽山と久子の飲み物に毒物を入れる機会が無かったことを指摘。
秋元の犯行を一顧だにせず否定する。

南田署長に「ブイヤベースに足りないのは鰹の酒盗です」と教える福原。
それは秋元が生前に利用した隠し味だった。
秋元の無実を証明すると誓う福原。

福原は「犯人は二人組である」と喜代子に説明しその協力を求める。
ついで、山崎の夫が喜代子の身近に見られることを指摘。
思わせぶりにその存在を匂わす。

喜代子が気にかけ出すと確かに山崎の夫が折に触れ身近にいる。
山崎の身許を疑った喜代子が調べてみると山崎が週刊誌の記者というのは真っ赤なウソだった。
ついには、宇野と山崎が一緒にドライブしている姿を見かけた喜代子の表情が変わる。

山崎が喜代子の前に姿を現わす。
同乗した喜代子に飲み物を勧める山崎。
喜代子は飲むふりをして山崎の飲み物とすり替える。
口にした直後、山崎は悶え苦しみ倒れ込む。
それを冷静に眺める喜代子。

そこへ車で現れたのは宇野と山崎の夫。
車内でうつ伏せに倒れ込む山崎の夫を確認した喜代子は宇野を批難し、「その手には乗らない」と罵る。

と、突然むっくり起き上がる山崎の夫。
周囲に照明が焚かれ、山崎さえも平然と立ち上がる。
驚き慌てふためく喜代子の前に福原が立ち塞がる。

「そりゃ〜〜〜驚くでしょうね〜〜〜。あなたが羽山さんと久子さんにやったことをそのままやられたと思ったんですから」

福原に続き名乗りをあげる山崎と山崎の夫。
山崎の夫は警視庁捜査一課の長谷川保。
山崎裕子も警視庁捜査一課の人間だった。

「羽山さんと久子さんを殺害したのはあなたたちですね?」
ずばり指摘する福原に対し否定する喜代子。

そんな喜代子に福原はある証拠を持ち出す。
それは、ピアノだった。
羽山と久子殺害以前と以後でピアノの音が変わっていたのだ。
つまり、誰かが調律を施したことになる。
その誰かとは久子。
他でもない事件当日のピアノの主は久子だったのだ。
自分が殺害されるのも知らず宇野の云うがままに喜代子の代わりにアリバイを作っていた久子。
ついでに調律していた。
ピアノを調べたところ久子が調律した証拠の判が出てくる。
これにより喜代子と宇野は犯行を認めた。

ラビットハウスでの羽山と久子の密会はそれぞれのパートナーに指示され行動した結果だった。
二人の不倫を演出する為である。

秋元は喜代子と宇野の犯行を目撃、喜代子に近付く為に証拠となる携帯とハンドバックを盗んだのだ。

喜代子が神社で転落したのは自作自演。
警察の注目をひき、椿に秋元殺害時のアリバイを証言してもらうためだった。
実際の秋元殺害は宇野が行ったのだ。

事件は解決し、福原たちは人間ドッグの小野を除き全員で南田署長のブイヤベースをご馳走になるのだった―――エンド。

あらすじに不備がある場合はこちらをどうぞ!!

「死線上のアリア」より「死あわせなカップル」(内田康夫著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

今回のドラマは一部を除きメイントリックは原作通りです。
こっちの方が理解しやすいかも。

<感想>
原作は内田康夫先生の「死線上のアリア」に収録された「死あわせなカップル」という短編。
過去に中村梅雀さん主演の「信濃のコロンボ事件ファイル」第14弾「死あわせなカップル 」でドラマ化されています。その際のキャストは山本未來、西村和彦、松崎しげる(敬称略、順不同)。主人公が竹村警部に変更されていたんですね。

今回のドラマですが、なかなか上手く短編を膨らませていました。
むしろ登場人物については原作の弱点を上手く補えてさえいたように思えます。
福原の人物造詣もイイ意味で幅を広げておりこれならアリです。
永井美佐江役の渡辺典子さんの演技も良かったですね。
ピアノの音をビデオ録画したシーンの演出がベストでした。
ちょっと詩的な語り口とか。

ただ、ストーリーに致命的な欠陥が。
宇野のアリバイはアリバイじゃないなぁ。
心中ならともかく殺人事件の場合、死体発見現場が死亡現場とは限らないんだから死体を車で運べばいいんだし、あれでアリバイ成立と主張するのはおこがましいような……。
喜代子の動機も否定しきれてないし、小野さん役割とはいえあのセリフは完全に道化です……。

あれ、そういえば心中じゃなければ喜代子のアリバイもたとえ本当に喜代子がピアノを弾いてたとしても成立しないぞ。
だって家の中で毒殺後、時間をずらして車で運べばいいだけだもんなぁ。
これ、ピアノを久子に弾かせる必要はまったくないな。
そう考えると破綻してないだろうか……。
ということは、原作も……アウト……か?
いま、気付いた……。

<キャスト>
福原太一:石塚英彦
椿 和美:藤谷美紀
南田署長:宅麻 伸
小野正警部補:渡辺いっけい
北島 誠:賀集利樹
羽山喜代子:国分佐智子
山崎悠子:原 千晶
永井美佐江:渡辺典子
宇野和男:比留間由哲
後藤明久:湯江健幸ほか
(公式HPより、敬称略)


◆関連過去記事
「死線上のアリア」より「死あわせなカップル」(内田康夫著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

6月5日の土曜ワイド劇場は「内田康夫サスペンス・福原警部」!!

金曜ブレステージ「内田康夫旅情サスペンス岡部警部シリーズ〜シーラカンス殺人事件〜幻の魚奇跡の捕獲に仕組まれた完全犯罪物言わぬ生きた化石のみが知る陰謀とは!?」 (11月27日放送分)ネタバレ批評(レビュー)

2010年6月12日、世田谷部文学館にて内田康夫先生講演会開催!!

・5月30日まで開催されていました「ミステリーウォーク2010『記憶の中の公園』」についての記事です。
浅見光彦の住む町で推理に挑戦!?

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