<あらすじ>
警視庁広報課の遠野麻衣子(若村真由美)は、元警視庁特殊捜査班所属の“交渉人”。3年前に起きたある事件をきっかけに交渉人の職を解かれ、半ば左遷のような形で現在の部署に異動させられたのだった…。
その日、麻衣子の姿は、環境保護団体の元代表、桐生徹(渡辺いっけい)の弁護団の会見場の片隅にあった。
桐生は自然保護を大義名分に建設中のダムを爆破し多数の犠牲者を出したテロ事件の首謀者だったが、東京地裁が桐生に下した死刑判決を受けて、弁護士の篠宮喜一郎(竜雷太)、木下美也子(星野真里)らが控訴の声明を発表したのだ。この後、警視庁も反対会見を開く予定で、その準備のため、麻衣子も弁護団の会見に出席していた。
会見も終わり、本部に戻ろうとする麻衣子。そのとき、不意に携帯電話が鳴った。
「交渉人、遠野麻衣子に告ぐ。桐生徹氏の釈放を要求する」……。相手は名前も名乗らず、いきなりそう告げた。
続けて、電話の相手は麻衣子に会場の窓から外を見ろと言い、いったい何が起きるのか…と緊張しながら街を凝視していると、突如、通りの向こうにある交番が爆発、炎上した。
麻衣子の目は逃げ惑う人々の中、ひとり悠然と立っている男の姿を捉える。「また連絡する」。男は麻衣子を見据えて、そう言った…!
ぼう然とする間もなく、麻衣子は本部に呼び出された。会議室には神尾副総監(寺田農)、長谷川刑事部長(小木茂光)、権藤捜査一課長(益岡徹)、島本特殊捜査班係長(内藤剛志)らが持ち受けていた。
長谷川の説明によると、犯人は午前8時、警視庁のホームページにアクセスし、桐生徹の釈放を要求。イタズラだと判断し無視していたところ、午後1時の爆破を予告。それが、麻衣子の目撃した、交番の爆破だったのだ。
さらに犯人は、今後、桐生が釈放されない場合、もっと大規模な爆破を行うと予告。その交渉は、なぜか麻衣子とのみ行うと宣言していた。
だが、桐生は危険人物。釈放などするわけにはいかない。神尾は、本庁内に特別捜査本部を設置するという異例の決断を下し、長谷川と権藤の指揮の下、なんと麻衣子と島本の2人で犯人との交渉に当たるよう指示した。
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから……
捜査本部は環境保護団体“シークフォレスト”に所属する高橋が実行犯であると断定、高橋の行方を追う。
そんな中、電車爆破を予告する犯人。
「止められるかな」との犯人の予告から「爆弾の解除方法が存在する」と推理した麻衣子と、たまたま現場に居合わせた麻衣子の所轄署時代の上司・戸井田の協力もあり事なきを得る。
交渉人として復調していく麻衣子を認める島本。
麻衣子のトラウマは立て籠もり犯が人質を殺害するという3年前の失敗が起因。
だがその原因は麻衣子の進言を容れず暴走した指揮官の独断にあった。
そして当時の指揮官こそ今回の指揮をとる長谷川だった。
長谷川は高橋を騙す為に桐生の無条件釈放という嘘を吐くよう麻衣子に強要。
麻衣子は渋々それに応じる。
高橋が東京ベイラインに出現。
彼の仕掛けた爆弾により、事前の避難が成功していたにも関わらず、ひとり犠牲者が出てしまう。
犯行に満足した高橋は何者かと連絡を取る。
高橋を批難する連絡相手。
今回の爆破は高橋の独断だったらしい。
「もう、お前の指図は受けない」と云いきる高橋。
無条件釈放を約束したにも関わらず凶行に及んだことに驚く麻衣子。
これまでと違い行動が雑になった点に注目し、高橋の陰に居る人物の存在に気付く。
その頃、当の高橋がホテルで死体で発見。
長谷川は高橋の自殺で事件に幕を下ろそうとする。
麻衣子が持っていたベイラインの犠牲者の写真を見て驚く戸井田。
戸井田によれば被害者は爆弾の仕掛けられた電車に乗っていたと云う。
麻衣子はベイラインの被害者は高橋の監視者だったのではと推理。
高橋は5ヶ月前にオランダから帰国しており、今回の犯行の下準備は難しい。
さらに3年前の麻衣子の事件を詳細に知る立場にもない。
これらから事件の黒幕の存在を確信する麻衣子。
黒幕は高橋に帰国を促す為にオランダで接触した可能性が高いと判断した麻衣子は入国管理局から違法に渡航者リストを入手する。
オランダからの渡航者リストをシークフォレスト関係者リストと突き合わせた結果3人の該当者が。
熊田洋介、加茂何某……そして3人目。
麻衣子の目がそこで止まった。
“木下美也子”の名がそこにはあった―――。
ベイラインの被害者が美也子の実弟・木下慎二と判明。
美也子が桐生の釈放を餌に高橋を操っていた図式が明らかに。
慎二は高橋へのお目付け役だったのだ。
それに伴いおぼろげながら動機に見当をつける麻衣子。
美也子の母は15年前に何者かに殺害された。
容疑者として逮捕されたのは美也子の父。
その父も容疑者とされたことに衝撃を受け自殺。
結果、被疑者死亡で事件は終わらされていた。
当時、生活安全課員だった麻衣子は美也子と慎二と接触していた。
爆破予告時間の午前零時は15年前の事件の時効成立時刻。
すべては美也子の警察に対する復讐だったのだ。
美也子拘束を権藤に提案する島本だったが、爆弾には内蔵された受信用携帯による遠隔操作機能も備わっていると判明。
迂闊な逮捕は出来なくなる。
美也子が麻衣子を交渉人に選んだ理由―――それを思い浮かべた麻衣子は美也子の標的が警視庁の建物それ自体にあると看破。
その予測に基づき捜査員が総当たりの捜索を開始する。
深夜0時、その直前―――美也子は警視庁の見えるタワーの中に居た。
そんな美也子の前に麻衣子と島本が現れる。
任意の同行を求める二人の前で携帯電話を取りだす美也子。
コールする。
鳴ったのは麻衣子が隠し持っていた携帯電話。
それは爆弾に内蔵されていた筈の物。
「爆弾は15分前に発見、解体されました。これがどういうことか説明してくれますね」
麻衣子の言葉に美也子は罪を認める。
美也子の動機は警察の権威を徹底的に失墜させるため。
母殺害の容疑者を見た弟の証言を容れず、あまつさえ父に容疑をかけ自殺に追い込んだ。
それが許せなかったのだ。
15年前に麻衣子は「犯人を絶対に捕まえる」と美也子に約束を交わしていた。
あの事件が理由で刑事課に異動した麻衣子だったが、その約束は未だ果たされていなかった……。
約束を果たせなかったことを謝罪する麻衣子に「被害者遺族の痛みをあなたたちは知るべきです!!」と訴えた美也子。
すべてを告発すると服毒し果てた。
最後に「約束、覚えててくれたんですね……」と麻衣子に言い残し……。
麻衣子は入国管理局から渡航者リストを無断で入手した件で「退職願」を提出する。
長谷川は受理。
そのまま去ろうとする麻衣子だが、島本や戸井田に慰留され翻意。
「退職願」は権藤が長谷川に掛け合い取り消されていた。
「最後の事件だと思っていた」と口にする麻衣子。
「最初の事件だよ」と応える島本―――エンド。
<感想>
原作は五十嵐貴久先生の「交渉人・爆弾魔(交渉人 遠野麻衣子・最後の事件改題)」。
環境団体など原作とは幾分設定変更がされていました。
詳しくは下記過去記事リンクより原作ネタバレ批評(レビュー)をどうぞ。
投獄中のある人物の解放を求めて爆弾テロを仕掛けるというモチーフは同じくドラマ化された「讐雨 鳴沢了」と同じですね。
真犯人も警察の近く(内部)に居た人物である点も似ている?
「讐雨 鳴沢了」をチェックしておけば倍楽しめるかも。
「讐雨 鳴沢了」についても原作・ドラマ版ともに過去記事ありますね。
◆関連過去記事
・「交渉人・爆弾魔(交渉人 遠野麻衣子・最後の事件)」(五十嵐貴久著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「讐雨 刑事・鳴沢了」(堂場瞬一著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・土曜プレミアム 刑事・鳴沢了〜ベストセラー初映像化!東京テロ史上最悪の24時間「不死身の刑事VS青梅新宿…連続爆破テロ犯人質は都民1300万人!迫るタイムリミット」(5月29日)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
遠野麻衣子:若村真由美
島本 聖:内藤剛志
戸井田啓一:梅沢富美男
木下美也子:星野真里
権藤裕二郎:益岡 徹
長谷川 均:小木茂光
桐生 徹:渡辺いっけい
高橋隆也:嶋田久作
神尾忠則:寺田 農
篠宮喜一郎:竜 雷太(友情出演)ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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