先生が生前に異母妹にあてた書簡が発見されました。
注意!!本記事は夢野久作先生を取り上げています。
ご存知通りの作風の方です。
本記事下部アマゾンへのリンクには一部気分を害するような商品も混ざっています。
苦手な方はパスすることをお奨めします。
ソースの「asahi.com」さんによれば―――
『ドグラ・マグラ』などの幻想的な作風で知られる作家夢野久作(1889〜1936)が異母妹にあてた手紙が見つかった。2日に東京・神田小川町の東京古書会館で始まった明治古典会・七夕古書大入札会に出品された。父で国家主義者の杉山茂丸のかわりにあれこれ心を配る、まじめな「兄」の姿が読み取れる。
夢野久作は本名杉山直樹。のちに出家して泰道を名乗った。茂丸の長男として福岡県に生まれ、陸軍軍人となり、除隊後は放浪生活をへて農園経営、新聞記者などをしながら小説を発表し始めた。筆名は、小説を読んだ父が「夢の久作さんごたある」とのべたことからつけたといわれる。福岡の言葉で「ぼーっとした男、夢想する人」の意味だ。
夢野久作の手紙は、控えが残されているものもあるが、書簡そのものが市場に出ることは珍しい。茂丸は何度も結婚しており、複数の女性と子をなしていた。異母妹森綾子や綾子の親代わりの親族にあて明治末から大正初めに書かれた手紙を、父茂丸の手紙とともに綾子の関係者が保管していた。
ほとんどが茂丸の手紙と見られていたが、「兄より」「イモト殿」と書かれたものがあり、筆跡などから、夢野久作が自分の名前で、また茂丸を代筆したものが含まれていることがわかった。
忙しい父茂丸にかわって、夢野久作はこまごまと心を配る。綾子の結婚が決まった時には、茂丸の賛意を表す手紙を同封し、「骨肉別けし兄弟とは申し乍ら兄甲斐もこれなく」とわび、「同人の将来、千秋万歳ならむこと万祈仕る」と述べる。
綾子の、自分とは血縁のない祖父の体調を気にして、「お好みの品など何にてもお申越之有りたく御送り申上候」と書く。実際に朝鮮人参を送り、「もうなくなった時分と思いますから今日小包郵便で又た送ります。せんの人参は一ッ時に呑むとのぼせますが今回のはのぼせません」「おぢいさんに上げて下さい」と優しい。茂丸が主宰していた商社「台華社」の用箋(ようせん)に書かれたものもある。
頭山満らの玄洋社系の国家主義者として外交・内政両方の裏面で活動した杉山茂丸は、1935年に脳出血で亡くなった。借金の整理や複雑な家族関係の後始末に追われた夢野久作も、あとを追うように翌36年、やはり脳出血で死ぬ。『ドグラ・マグラ』ほかの夢野作品は1960年代になって高く評価されるようになった。
夢野の研究者で、『夢野久作全集』(ちくま文庫)など編著書も多い評論家の西原和海さんは、「夢野久作が、異母妹やその家族をとても大切にしていることがよくわかります。小説で描かれる狂気の世界とは違い、道徳家ふうな彼の気質の一面が浮かび上がる」と話す。(佐久間文子)
(asahi.comさんより)
作品と違い普段の夢野先生は温和で道徳家の印象を受けますね。
だからこそ普段から現実と空想のギャップを見詰めた上で、あの独特と呼ぶにはあまりに独特過ぎる作品を世に送り出すことが出来たのかもしれませんね。
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