<あらすじ>
ある日、一人暮らしの女性が自宅で何者かに毒殺された。マリコら科捜研の面々が捜査を始めると、毒物が入っていたグラスから、科捜研研究員・乾(泉政行)の指紋が検出される。乾は全く身に覚えがないと訴えるが、新聞報道で乾の指紋が見つかったことが表沙汰に。マリコと土門が、記事を書いた記者・尾形絵利(岩崎ひろみ)になぜ公表していない事実を知っているのかと問い詰めると、絵利は本社に匿名でメールが届いたことを告白。そんな中、今度は科捜研の日野(斉藤暁)が、バスの中で別事件の鑑定資料を盗まれてしまう。マスコミは立て続けに起きた科捜研の失態を痛烈に批判。マリコらは一致団結して捜査にあたる。
(MSNエンタメさんより)
殺害された平木文江の部屋からパズルのピースが発見される。
さらにグラスから乾の指紋も検出。
だが、それ以外に証拠らしい証拠はなかった。
指紋の件で科捜研が批難の的に。
当の乾には被害者に覚えがない。
結局、責任を取らされ無期限停職処分に。
一方、土門の妹・美貴は科捜研を退職することを決意していた。
精神保健福祉士の資格を取得し犯罪被害者のケアに尽力したいと云う。
応援するマリコ。
乾に続き日野までも罠にかけられ無期限停職処分に。
科捜研の評判は日に日に悪くなっていくばかり。
そんな中、山瀬という老人が死亡。
事故かと思われたが調べてみたところ他殺と判明。
現場には犯人が残したと思われるガムが。
遺留品から突き止めた容疑者だったが聴取を目前にして逃走し事故にあう。
ところが容疑者には山瀬殺害当日のアリバイが。
誤認逮捕だと騒動が発生。
今度は土門が責任を取ることに。
証拠が証拠として機能しないことを新人の吉崎泰乃に指摘されたマリコは愕然。
困惑の色を深める。
だが、ここで諦めることは出来ない。
科捜研に対する何者かの悪意を感じ取ったマリコは山瀬殺害現場からもパズルのピース、日野の盗難現場からもピースを発見する。
ピースを組み合わせれば犯人からのメッセージが読み取れるのではと考えるマリコ。
乾と日野も停職処分中ながらも調査を続行。
文江の部屋から出た乾の指紋がついたグラスを何者かが購入していたことを突きとめる。
店の防犯カメラの映像から犯人が男であることが判明。
そんな中、美貴が犯人に誘拐される。
現場にはピースが多数残されており、パズルを完成させたところマリコの似顔絵が浮かび上がる。
犯人の目的はマリコなのか?
そこへ犯人が映像を送りつけて来る。
映像から美貴が採血されており、10時間以内に助け出さなければ死亡する可能性があることが分かる。
リミットは午後3時。
科捜研に緊張が走る。
刑事部長・佐久間はこの事態に自らの責任で乾と日野の処分を解除。
事件解決にあたらせる。
科捜研を罠にかけたことから科学捜査に造詣の深い人物と考えたマリコたち。
元科捜研か鑑識関係者ではないかと捜査対象を絞り込む。
一方、土門の捜査で上村という人物の名前が出てくる。
彼は20年前の堀内哲也殺害の容疑者と目された人物。
平木文江は上村を目撃したと証言。
それを理由に上村が拘束されていた。
結局、嫌疑不十分で釈放された上村だったが真犯人は捕まらず、周囲は上村へ疑惑の目を向け、当時上村の上司だった山瀬が上村を退職へと追い込んだ。
孤立無援となった上村は妻子を残し自殺してしまったらしい。
同じ頃、科捜研受験者リストから脇田という青年が浮上。
美貴誘拐時に残されていた毛髪から脇田こそが犯人だと断定するマリコ。
今回の証拠もフェイクなのでは―――と疑問を呈する泰乃に土門がいつやって来るかわからない状態で美貴誘拐がなされた点を指摘。
工作する余地はないと断言する。
マリコたちは脇田の自宅を訪ねるが、既にもぬけのカラだった。
そこで、最初の現場からの押収品に盗聴器が仕込まれていることが判明。
脇田は科捜研の動きを盗聴して事前に察知していたのだ。
さらに脇田宅から押収した鞄に付着していた粉と残されていた美貴の映像に入っていた音声から梵鐘を分析した結果、山科にある石材所を突き止める。
そこが美貴の監禁場所に違いない。
石材所を強襲した土門たち。
美貴の救出に成功。
美貴は採血されておらず、血に見えた物はペンキだった。
犯人の目的は他にあるのでは―――疑うマリコ。
上村の妻子が妻の旧姓に戻っていたことが分かる。
その旧姓は―――。
しかも、マリコの父・伊知郎が堀内哲也殺害事件の担当だったことが判明。
犯人の狙いは伊知郎だったのだ!!
土門とマリコは科捜研へと駆け付けるべく急ぐ。
同時刻、科捜研では伊知郎のもとに小包が届いていた―――。
数十分後、科捜研で異臭騒ぎが発生。
有毒ガスが発生したと報告がされる。
布に覆われた伊知郎が運び出されていく中、マリコと土門は沈痛な表情で見送る。
それをじっと見つめる人影があった、絵利である。
絵利は脇田と合流。
報酬の現金と共に毒入りのワインを脇田に勧める。
そこへ踏み込む土門とマリコ。
脇田は捕まり、絵利は動機を自供する。
絵利は上村の娘。尾形は母方の旧姓だったのだ。
父である上村を殺人犯だと思っていた絵利。
だが、横川という強盗犯が別件で逮捕され自供したことから父親の無実を知った。
そこで父を追い込んだ科学捜査とその結論を出したとされる伊知郎に復讐しようとしたのだ。
美貴の件は科捜研の注意をひき、伊知郎をひとりにする為の罠だった。
だが―――伊知郎は生きていた。
犯人の罠を逆手に取り芝居をうったのだ。
20年前の事件について絵利に伊知郎の報告書を見せるマリコ。
その鑑定結果によれば決して絵利の父を犯人と断定するものではなかったのだ。
それを当時の捜査員が都合よく解釈し利用したらしい。
真実を知った絵利は泣き崩れる。
美貴はマリコに相談した通り科捜研を去り、新人として吉崎泰乃が科捜研に残ることに。
ひとつの事件が終わり、マリコは土門と会話していた。
そこでジグソーパズルが絵利の父の唯一の趣味だったことを知る。
事件もまたパズルのピースのように組み合わさって出来るのだ。
2度と絵利の父のような人間を生み出さないようにしなければと覚悟を新たにするマリコ―――エンド。
<感想>
後期クイーン問題に挑戦した意欲的な作品。
解決方法に多少問題がないとも言えませんが、あれはあれでアリだと思います。
後期クイーン問題について知りたい方は感想末尾に後述してます。そちらをどうぞ。
マリコの先達である父・伊知郎が活躍したのも良かった!!
本作はマリコが父の歩いた道があるからこそ迷いつつも誤らずに進めるのだといういいエピソードだと思います。
本作はかなり好きです。
美貴役の加藤貴子さんと吉崎泰乃役の奥田恵梨華さんがレギュラー交代されました。
加藤さん演じる美貴の飄々とした演技が土門とマリコを繋ぐひとつのキーだっただけに惜しいです。
とはいえ、美貴は科捜研を退職しただけという設定なのでまたひょっこり土門の妹ポジションを活用してスペシャルにでも出て来てもらえればなぁと期待してしまいます。
総評としてストーリーの内容的に幸先のよいスタートがきれたのではないでしょうか。
・後期クイーン問題とは―――簡略化して説明すると「探偵が手にした情報(証拠)が犯人の偽造したものであるとすればそこから導き出される結論もまた犯人に誘導されたものである」という問題。
作中の探偵にとって手掛かりの真偽を判断できる情報はなく(出てきた情報それ自体がまた偽りの可能性がある)、結果推理自体が行き詰ることになってしまう。
今回の科捜研では土門が責任を取らされた山瀬殺害時のガムがコレにあたる。
マリコは多少強引ではあるものの、証拠が置かれた状況を指摘し、そこを真偽を判断すべき基準とすることで切り抜けた。
<キャスト>
●榊マリコ(沢口靖子)
京都府警科学捜査研究所・法医研究員。科学捜査に信念とプライドを持つが、科学を過信せず、真理は科学を扱う人間にかかっているという考えのもと行動している。独身。土門とは対立しつつも互いに信頼し合っている。
●土門薫(内藤剛志)
京都府警捜査課・刑事。一匹狼的な性格で団体行動が苦手。直情的に突っ走り、単独行動することが多いため、組織やチームと衝突することも。妻とは死別している。
●風丘早月(若村麻由美)
洛北医科大医学部病理学科法医学教室・教授。一男一女の母。のんきで陽気な性格。マリコとは仕事上のパートナーであると同時に、私生活でも何かと相談し合う仲。
●日野和正(斉藤暁)
京都府警科学捜査研究所・文書研究員。見かけはいい加減だが、正義感が強く情にもろい。筆跡鑑定などを行う。京都に単身赴任中で、東京に妻子がいる。
●乾健児(泉政行)
京都府警科学捜査研究所・物理研究員。画像解析、銃器鑑定、交通事故解析などを行う。法医学のほか、趣味のパソコンなどにも強い。常識人。
●吉崎泰乃(奥田恵梨華)
民間の研究機関所属の研究員。官民交流の一環で、京都府警科学捜査研究所に研修にやって来る。性格は几帳面でお人好し。技官としての技術には長けているが、実際の犯罪捜査に関しては素人。
●榊伊知郎(小野武彦)
京都府警科学捜査研究所・所長。化学を担当する優秀な研究者。マリコの父。マイペースな性格で、一見、温厚で聞きわけが良さそうだが、人の話を聞いていない時も多々ある。
●佐久間誠(田中健)
京都府警捜査課・刑事部長。エリートだが、お人好しで損をするタイプ。かつて土門の上司だったことがあり、どこに行っても煙たがられる土門を引き受けたという経緯がある。科学捜査に理解を示す。
(MSNエンタメさんより)
◆関連過去記事
・科捜研の女2時間スペシャル「恐怖の200メートル狙撃疑惑の体内弾道!?矛盾する発射タイミング!!京都〜小豆島、逃げる女vs迫る狙撃者の謎」(3月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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