ネタバレあります!!注意!!
<あらすじ>
19年前の大阪の質屋殺し。迷宮入りしたこの事件に関係した少年と少女が歩んだ道は…。絶望の白い光の中、魂の荒野を行く男と女を、叙事詩的スケールで描く傑作ミステリー長篇。 (解説・馳 星周)
(集英社公式HPより)
<感想>
東野圭吾先生が“悪女”について描いた作品で、まさに叙事詩と呼ぶに相応しい作品。
過去の体験から“悪女”となった雪穂。
彼女のために“悪人”となる亮司。
彼らを追い込んだ環境=社会。
その社会の守護者であり、“悪”を行う彼らを追い詰めて行く刑事。
雪穂は絶対的なダークヒロイン・悪の主人公でありながら、彼女もまた過去に被害者だった事情があることが読者にいろいろとわだかまりを投げつけます。
雪穂を傷つけたその母と洋介たち大人の存在……雪穂を取り巻く環境が彼女をモンスターにしてしまったと考えれば、本作は浦沢直樹先生の漫画「MONSTER(モンスター)」と根底では対をなしているのかもしれません。
そんな「白夜行」。
コレと登場人物名は全く違いますが「幻夜」とで姉妹編となっています。
・「幻夜」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「幻夜」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
ちなみに「白夜行」は映画化が2度されています。
1つは現在進行形の日本版「白夜行」。
そしてもう1つは韓国版「白夜行」。
両方について詳細を知りたい方は過去記事「東野圭吾さん原作『白夜行』日本版映画化決定!!」よりどうぞ。
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
桐原亮司:“雪穂のために生きる”男
唐沢雪穂:壮絶な過去を背負う女
笹垣潤三:亮司たちを追う刑事
桐原洋介:亮司の父親、19年前の事件の被害者
桐原弥生子:亮司の母
松浦 勇:弥生子の愛人
桐原洋介が殺害された。
刑事の笹垣は夫婦仲が上手くいっていなかった妻の弥生子を疑うが弥生子は息子の亮司がアリバイ証人となり容疑が晴れる。
ところが亮司の様子に釈然としない物を感じる笹垣。
一方で、事件当時洋介と連れ添っていた人物を見たとの目撃情報が入り、ある女が容疑者として浮上する。
洋介の愛人と目されたその女には雪穂という名前の娘がいた。
必死に捜査する笹垣だったが、結局この事件は迷宮入りすることになる―――。
大人になった亮司と雪穂。
それぞれ過去の事件の関係者である彼らの周囲で不審な事件が続発する。
そのどれもに雪穂の利益が関わっていた。
過去の事件を諦めきれなかった笹垣は亮司と雪穂を追い続ける。
その間にも雪穂の為に手を汚し続ける亮司。
ついには雪穂にとって邪魔になった弥生子の愛人・松浦をも殺害してしまう。
出口の見えない孤独な捜査を続ける笹垣だったが、弥生子が洋介が少女性愛だったと洩らしたことから事態は急変。
洋介が雪穂の母ではなく、雪穂自身を目的にしていた可能性が浮上した為だ。
さらに松浦と逢引きしていた弥生子のアリバイはあっても亮司のアリバイが存在しなかったことや、亮司と雪穂が共に外出していたことを考え合わせ、洋介殺害の犯行当日に雪穂を買った洋介の姿を目撃した亮司がショックを受け殺害したとの仮説を立てる。
さらに雪穂に関係して松浦の物と思われるサングラスの破片を入手したことから亮司の犯行が露見してしまう。
ついに亮司に逮捕状が出される。
現役警官である後輩の助けを得て亮司を捕まえようとする笹垣。
雪穂を見張るが亮司らしき人物はなかなか現れない。
諦めかけたそのとき、切り絵がきっかけで店内のサンタクロースが亮司だったと気付く。
亮司を追い詰めた笹垣だったが……なんと、亮司は自ら身を躍らせ鋏で自殺してしまう。
それを見守る雪穂の表情に変化は無い。
それどころか足早に歩き去ってしまうのだった―――エンド。
◆関連外部リンク(外部サイトに繋がります)
・映画「白夜行」公式HP
http://byakuyako.gaga.ne.jp/
◆関連過去記事
・東野圭吾先生「白夜行」映画化に続き、「幻夜」がWOWOWにてドラマ化決定!!
・東野圭吾さん原作「白夜行」日本版映画化決定!!
東野圭吾先生原作関連ドラマはこちら。
・2夜連続ガリレオSP「ドラマレジェンド ガリレオエピソードΦ」(12月28日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
・「流星の絆」(TBS系、2008年)
・「新参者」(TBS、2010年)
東野圭吾先生のその他のネタバレ書評(レビュー)です!!
・容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版
・「新参者」(東野圭吾著、講談社刊)
・「探偵倶楽部」(東野圭吾著、角川書店刊)
◆その他の東野圭吾先生作品はこちら。
【関連する記事】
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