ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
第56回江戸川乱歩賞受賞作
全てはタイムカプセルにとじ込めた――はずだった。
誰がうそをついている? 幼なじみの4人が校庭に埋めた拳銃は、23年の時を経て再び放たれた。それぞれの想い出が重なるとき、時を越えたさらなる真実(なぞ)が目を覚ます――!
予選委員会から本選考会まで、常にトップを走り続けた驚愕の小説。選考委員、喝采
幾度も挑戦し、ここに大きな成果を得た受賞者に、心より拍手を送りたい――天童荒太氏
「乱歩賞の傾向と対策」のようなものから解放された――東野圭吾氏
話作りも丁寧で抜群の安定感――恩田陸氏
想像を絶するほどの苦心のあとが窺える――内田康夫氏
(講談社公式HPより)
<感想>
本作は第56回江戸川乱歩賞受賞作「再会のタイムカプセル」を改題したもの。
悪くはない、悪くはないが……“ミステリ小説”というよりも“サスペンスドラマのシナリオ”っぽい。
読み易くはあるが、それをリーダビリティと呼んでいいものか……。
それとあのトリックはどうか……。
叙述ながら小手先のイメージが強く全体的に小品と感じられてしまったのも……。
全体的にあまりオススメは出来ない……。
なんにしても推薦文でハードル上げ過ぎかなぁ。
あれが無ければ印象も変わりそうなものだけど。
期待し過ぎたのかも……。
◆関連過去記事
・第56回江戸川乱歩賞受賞作「再会(「再会のタイムカプセル」改題)」は8月5日発売予定!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
飛奈淳一:幼馴染み4人のひとり、警察官
清原圭介:幼馴染み4人のひとり、二十三年前に巡査だった父を大島に殺害される
佐久間直人:幼馴染み4人のひとり
万季子:幼馴染み4人のひとり
佐久間秀之:直人の兄でスーパーの店長、被害者
正樹:圭介と万季子の息子
小杉署長:淳一の所轄の署長
大島:二十三年前の強盗事件の犯人、事件直後に死亡
南良:神奈川県警の刑事
栗原理恵:二十三年前の強盗事件に巻き込まれた被害者
万季子は困っていた。
別れた夫・清原圭介との間に出来た息子・正樹が佐久間秀之が店長を勤めるスーパーで万引きをしたと云うのだ。
秀之は万引きをネタに万季子を脅迫。
万季子は元夫・圭介に連絡を取り、秀之にお金を渡すことで解決を図ろうとする。
約束の時間、圭介と共に秀之のもとを訪れた万季子はそこで殺害された秀之の死体を発見する。
秀之は銃により射殺されていた……。
圭介、万季子、佐久間直人、飛奈淳一の4人は幼馴染みの仲良し。
だが、彼ら4人には子供時代にある秘密があった。
今から二十三年前、ある強盗事件が起こった。
大島という強盗犯により三千万円が奪われ、大島は逃走。
大島は拳銃を所持しており、逃走中に発砲。
栗原理恵という子供連れの母親を射殺するなど凶悪な犯行を繰り返した挙句、町はずれにある森の中で圭介の父・清原巡査と撃ち合いになり共に死亡していた。
淳一たちは清原と大島の死体の第一発見者だったのだ。
そして、その撃ち合いの際に落ちていた拳銃を持ち去り、4人だけの秘密のタイムカプセルに埋めていた。
今回の秀之殺害に使用された拳銃はその埋めた筈の拳銃だった。
どういった経緯で拳銃が使用されたのか……悩む淳一。
実は彼には他の3人に知らせていない秘密があった。
神奈川県警の刑事・南良と組んで捜査に当たる淳一。
南良は理知的な男でついに淳一の秘密を突きとめてしまう。
それは淳一こそが大島を撃ったという事実だった。
二十三年前、淳一は他の3人と別れひとり森の中を進んでいた。
そこで彼は見てしまう―――清原巡査が血塗れで倒れている姿を。
傍には大島が立っており、清原巡査の仇を討つべく淳一は大島に拳銃を向けたのだった。
その罪を隠す為に淳一は拳銃をタイムカプセルに隠したのだ。
ところが、南良は淳一は大島殺害の犯人ではないと云う。
淳一自身は自分が撃ったと思っているが大島を撃った人物は別に居ると云うのだ。
その頃、秀之殺害の犯人が捕まろうとしていた。
その真犯人こそは万季子だった。
万季子は圭介に伝えた約束の時間よりも前に秀之を訪ねており、正樹の万引きの口止めに身体を求められ抵抗、銃を持ちだしてきた秀之から身を守る為に争いになり射殺してしまった。
拳銃を秀之が所持していた理由は、過去にも万季子は秀之に襲われており、その事実を知った秀之の弟・直人は兄を殺すべく拳銃をタイムカプセルから掘り出したものの、結局殺害に失敗し秀之が拳銃を奪って持っていた為だった。
万季子が捕まり拳銃の残弾数を確認した南良は大島殺害における真犯人の存在を確信。
淳一と共に小杉署長を訪ねる。
大島殺害の真犯人は小杉署長だった。
小杉は大島と共犯で強盗を働いたが、そこを清原巡査に目撃され彼を殺害。
その後、淳一に気付いた小杉は身を隠し淳一が拳銃を構えたのを確認した上でそれに合わせて大島を射殺したのだった。
小杉は三千万円を奪うとそれを出世に利用していた。
こうして小杉の悪事は白日のもとに曝され、南良は県警に戻った。
圭介は新しい家族が居たが正樹を引き取ることを了承。
そんなある日、淳一はある事実を知る。
南良は大島の被害者・栗原理恵の子供だったのだ!!
彼もまた二十三年前の真実を追い求めていたのである―――エンド。
・土曜プレミアム「大型ミステリー特別企画・江戸川乱歩賞受賞作品 再会〜その再会は秘めた過去に導かれた〜江口・常盤・堤・香川四大俳優奇跡の共演!!犯人はこの中にいる!東野圭吾、天童荒太、大絶賛の傑作ミステリーが遂にドラマ化!!」(12月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【関連する記事】
- 『どこかでベートーヴェン』(中山七里著、宝島社刊)
- 『通いの軍隊』(筒井康隆著、新潮社刊『おれに関する噂』収録)
- 『クララ殺し』最終話、第6話(小林泰三著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.7..
- 『自殺予定日』(秋吉理香子著、東京創元社刊)
- 『タルタルステーキの罠』(近藤史恵著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.76 ..
- 『歯と胴』(泡坂妻夫著、東京創元社刊『煙の殺意』収録)
- 『迷い箱』(長岡弘樹著、双葉社刊『傍聞き』収録)
- 『噂の女』(奥田英朗著、新潮社刊)
- 『追憶の轍(わだち)』(櫻田智也著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.69 F..
- 『コーイチは、高く飛んだ』(辻堂ゆめ著、宝島社刊)
- 『恋人たちの汀』(倉知淳著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.75 FEBRU..
- 『東京帝大叡古教授』(門井慶喜著、小学館刊)
- 『傍聞き』(長岡弘樹著、双葉社刊『傍聞き』収録)
- 『動機』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『動機』収録)
- 『愚行録』(貫井徳郎著、東京創元社刊)
- 『転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿』(笠井潔著、講談社刊『メフィスト 2016v..
- 『声』(松本清張著、新潮社刊『張込み』収録)
- 『黒い線』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)
- 『図書館の殺人』(青崎有吾著、東京創元社刊)
- 『陰の季節』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)