2010年09月14日

「燔祭(鳩笛草 燔祭/朽ちてゆくまでより)」&「クロスファイア(上・下巻)」(宮部みゆき著、光文社刊)

「燔祭(鳩笛草 燔祭/朽ちてゆくまでより)」&「クロスファイア(上・下巻)」(宮部みゆき著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

鳩笛草


他人の心を読むことのできる女性刑事・本田貴子は、その能力ゆえにさまざまな試練に直面し、刑事としての自分の資質を疑ってゆく……。(「鳩笛草」)
高校生の妹を殺害された兄に代わって報復の協力を申し出た青木淳子。彼女は、人や物を念じただけで発火させてしまう能力を持っていた……!(「燔祭」)
超能力を持つ3人の女性をめぐる3つの物語。
(光文社公式HPより)


<感想>
本作は、特殊能力を持って生まれた淳子がその能力ゆえに自己のアイデンティティーに苦しむことがテーマ。
このテーマは続編「クロスファイア」にも引き継がれ、あの終幕を迎えることになった。
一樹と結ばれず、木戸に強く惹かれたのはこの特殊能力を持つがゆえの特別性によるところが大きいが、またそれゆえに命を落とすこととなった。

女性超能力者を主人公とした作品と言えば筒井康隆先生の「七瀬三部作」を思い出します。
三部作中では「七瀬ふたたび」が一番本作品に近いかな。
もちろん、結末も含めて。
そんな「七瀬三部作」と比較してみるのも「燔祭」の作品理解に役立つかも。

◆関連過去記事
【七瀬三部作】
「家族八景」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「七瀬ふたたび」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「エディプスの恋人」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

ネタバレあらすじでは「燔祭」と「クロスファイア」を連続してネタバレ。
興味のある方はどうぞ。

ちなみに「クロスファイア」についてはメディアミックス化されており、コミック版と映画版が存在する。
コミック版は「アナザーストーリー」として“もうひとつの結末”が用意されていた。
映画版は原作の「燔祭」と「クロスファイア」をひとつにまとめたもので、青木淳子を矢田亜希子さん、多田一樹を伊藤英明さんが演じた。

尚、「燔祭」は、2010年10月4日「世にも奇妙な物語 20周年スペシャル・秋〜人気作家競演編〜」にてドラマ化決定。
青木淳子を広末涼子さん、多田一樹を香川照之さんが演じます。

<ドラマ版あらすじ>
最愛の妹を連続通り魔殺人事件で失った多田一樹(香川照之)。誰かにつけられている気がすると不安を訴えられながら妹を救えなかった多田。犯人の男は証拠不十分で釈放され悠然と今まで通りの生活を送っていた。自責と悔恨の念に苦しんでいた多田は、ある日、不思議な念力放火能力を持った青木淳子(広末涼子)に出会う。特殊な能力を誰かのために正しく使いたいという淳子は多田の力になれると申し出る。犯人への復讐を胸に秘める多田と特殊な能力を意味のあることに使いたいという淳子は”復讐という秘密”でつながっていくが、その先に待っていたのは…。
(フジテレビ公式HPより)


◆関連過去記事
【宮部みゆき先生関連過去記事】
「パーフェクト・ブルー」(宮部みゆき著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

宮部みゆき原作「パーフェクト・ブルー」ドラマ版が劇場公開決定!!

<ネタバレあらすじ>
「燔祭」

とある新聞記事を目にした一樹は青木淳子のある行動を知って苦い思いと共に過去を思いだす。

過去―――妹を殺された一樹はその犯人・小暮に強い復讐心を抱いていた。
だが、小暮は権力者である父の力により罪に問われることなく、のうのうと生きている。
どうしても小暮が許せなかった一樹は小暮を殺害しようと決意する。
そんな彼の前に現れたのは、会社の同僚・青木淳子だった。

淳子は彼女が持つ“ある特殊能力”を持って小暮を裁くと一樹に語る。
その能力こそ“自然発火能力”。
淳子は彼女が目にした任意の物を自由に燃やすことが出来るのだ。
もちろん、それは人といえど別では無い。

淳子を心強く思う一樹だったが、心のどこかで「何かが違う」と違和感を抱き続けていた。
一樹がその違和感の正体も掴めぬままに復讐を決行する淳子。
小暮は発火するものの、命を取り留める。
止めを刺そうとする淳子を一樹は止める。
「淳子が小暮を殺してしまえば淳子も一樹も小暮と同じ立場になってしまう」
一樹の説得に淳子は涙ながらに訴える。
「じゃぁ、この能力は何のためにあるの?」と。

弾の込められた拳銃に自らを喩える淳子は一樹と決別。
独りでも実行に移してみせると姿を消す。

そして、現在。
一樹が目にした記事には小暮親子が焼殺されたことが掲載されていた。
一樹は淳子に本当に伝えたかったことを心に思い浮かべる。
だが、それはどうしても言葉にならなかった―――「燔祭」終わり。

「クロスファイア」

青木淳子は孤独な戦いを続けていた。
悪辣な犯罪は止む所を知らず、それを人知れず裁く淳子はじょじょに疲弊していった―――体力的にも精神的にも。

そんな中、淳子と志を同じくすると言う謎の組織“ガーディアン”が淳子に接触を図る。
組織のメッセンジャー・木戸は淳子と同じく特殊能力の持ち主で、人の心を自由自在に操る能力者だった。
特殊能力を持つ人間同士、そんな木戸に惹かれて行く淳子。
やがて、二人は恋人同士に。

一方で石津ちか子刑事と牧原刑事は不審な連続発火現象を追跡、ついに淳子の存在を突き止める。
捜査の手が淳子に迫ろうとしていた。

そんな中、木戸に呼び出された淳子は木戸の手により致命傷を負う。
実は“ガーディアン”は淳子の存在を快く思っていなかった。

巨大な力を持ち人知れず悪を裁く“ガーディアン”。
彼らは目立ち過ぎる裁きを行う上に発火能力という危険極まりない力の持ち主である淳子を危険視しており、前々から排除を狙っていた。
木戸はその為のエージェント。
だが、木戸自身の趣味で淳子の様子を見ていたと云う。
恋人になったのも単なる気紛れだった。
木戸の狙いを知った淳子はショックを受けるものの、木戸自身の心の孤独を見抜き最期の力で彼を焼き心中する。

石津たちが辿り着いた時にはすべては終わった後だった。
“ガーディアン”の正義にも利があることを認めつつも、あえて犠牲の無い正義を貫くと宣言する石津。
“ガーディアン”は石津の考え方を認めた上であえて放置する。

牧原はといえば、淳子が知り合った能力者の娘を淳子の遺言に従い能力を必要としない生活が出来るよう見守ることを誓う。
そう、石津と牧原の“武器によらない戦い”はこれからだった―――エンド。

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