ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
「おれ、人、殺っちゃうかもしれねぇ……」――窓際新聞記者・岩田修一郎のもとにかかってきた一本の電話が、事件の始まりだった。殺された警官の謎、犯人の背後に見え隠れする影……岩田は真実を求めて疾走する! 土曜ワイド劇場の原作小説。
(朝日新聞出版公式HPより)
<感想>
お分かりの通り「土曜ワイド劇場」原作小説。
主人公・岩田を演じるのは椎名桔平さん。
内容はドラマ的で肩肘張らずに読む事が出来る。
というか、まさにドラマそのもの。
ネタバレあらすじを見てもらえれば分かる筈です。
正直、あれが真相だと断言できる根拠は全くないワケであくまで仮説レベルの筈なんだけどなぁ。
とはいえ、このキャラクターに役者さんがつけば面白くなるかも。
ドラマ化が楽しみです。
2011年1月30日追記:
土曜ワイド劇場 特別企画「殺人予告〜完全犯罪は一本の電話で始まった!!特命班が追う警官殺しと折れたタクトの謎!?」(1月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)追加しました。
リンクよりどうぞ!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
岩田:主人公、新聞記者
山根:被害者の警察官、彼が殺害されたのにはある理由が……。
高津:山根を殺害した犯人
加藤:大手基盤メーカーの重役
麻美:加藤の娘
新聞記者・岩田の元へ一本の電話がかかってくる。
内容は殺人予告、電話の主は高津という名の岩田が世話をしていた前科者だった。
その予告通りに高津の手で警察官の山根が殺害される。
山根は警察による互助組織・月島会のメンバーだった。
公式発表によればクスリに溺れた高津がたまたま通りがかった制服姿の山根を見かけ逆上し襲いかかったという。
悲劇の殉職者として英雄視される山根。
一方、犯人である高津は行方をくらましたまま。
高津の更生を信じていた岩田は事件に裏があると感じ、取材を開始する。
調査の結果、山根がとあるパチンコチェーン店に頻繁に出入りしていた事実を掴む。
直後、警察から新たな事実が発表される。
それによれば、被害者・山根がパチンコチェーンを脅迫し金をせしめていたという。
悲劇の英雄から一転、卑怯な脅迫者の烙印を押される山根。
この180度違う警察の対応に疑問を抱いた岩田は更に取材を続行。
山根がとある音楽大学について調べていたことを突き止める。
その大学では入学希望者の女子生徒が自殺する事件が起こっていた。
自殺した女子生徒に注目した岩田。
彼女が筆記、実技共に入試トップの成績だったにも拘わらず不合格になったことを知る。
それにより、大手基盤メーカーの重役・加藤の娘・麻美が繰り上がり合格していた。
加藤は月島会における大口の後援者だった。
不合格の理由は何だったのか……岩田は追及を開始する。
直後、岩田に上層部から圧力がかかる。
しかも、高津が薬物中毒状態で逮捕されそのまま死亡してしまう。
取材の結果、高津が月島会のメンバーとみられる警官と接触があったことが判明。
その際、相手は身分を隠していたらしい。
しかも、その相手が高津に山根が高津の姉をストーカーしていると吹き込んでいたことも明らかに。
つまり、月島会が高津を利用し山根を殺したことになる。
ここまで突き止めた所で圧力は激化。
岩田に出頭を求める動きもみられるように。
このことから逆に自分の進んでいる道が間違っていないと確信した岩田はさらに取材に熱を上げる。
不合格の理由が判明。
裏口入学でも不正入試でもなく、本人の素行による不合格だった。
補導歴があったのである。
なんでも、音大の理事長あてに補導票が匿名で送り付けられてきたらしい。
その補導票の記載者は山根だった……。
作為を感じた岩田は「補導票が偽造された物では?」と疑う。
だが、補導票は正真正銘本物。
では、本当に自殺した女子学生は素行不良だったのだろうか?
補導票に記された日時の女子学生のアリバイを調べた結果、意外な事実が判明する。
女子学生は当日、アルバイトに出ており完璧なアリバイがあったのだ。
つまり、補導票に記載された内容は全くの虚偽だったことになる。
岩田に出頭を迫る月島会。
追い詰められた岩田は、ここである仮説をたてる。
もしかして、山根は月島会のメンバーに頼まれありもしない事実を補導票に記載したのでは?
つまり、事実はこうだ。
月島会は大口の支援者である加藤の相談を受け、善処を約束。
あと一人で合格ラインに達する加藤の娘・麻美を合格させるべく、トップ合格するであろう人間の追い落としを図った。
そこで、メンバーである山根に補導票を作成させ、理事長宅に送り付け無言の圧力をかけた。
案の定、理事長は補導票を事実と信じ込み女子学生を不合格に。
こうして、女子学生は自殺してしまう。
それを知った山根は自分の何気ない行為が一人の若者の命を奪ったと知り、激しく後悔。
自分に罪を犯させた月島会を憎み、月島会を告発すべく調査を開始。
そこで加藤の会社の基盤メーカーがパチンコチェーンに出荷している台に不正が行われていると察知。
この不正への月島会の関与を明らかにすべく動いていたのだ。
それに気付いた月島会は山根を危険視し、排除すべく高津を使い山根を殺害。
用無しになった高津をも、薬物中毒で殺害したのだった。
岩田は部下を使い全ての事実を記事にする。
記事の反響は凄まじく、月島会に監査が入ることに。
岩田は自殺した女子学生、山根、高津の無念を記事にすることを誓うのだった―――エンド。
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