2010年11月07日

「嗤うエース」(本城雅人著、幻冬舎刊)

「嗤うエース」(本城雅人著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

嗤うエース


極貧からのし上がった孤高のエース―。人気球団スターズの浪岡龍一は、世間からの称賛を一身に浴びていた。図抜けた才能、明晰な頭脳、打者に向かっていく闘争心。非の打ちどころがない大投手のはずだった。だが、週刊誌が暴力団との交際を報じたことでその評価が揺らぎはじめる。次々と明るみに出るスキャンダル。特ダネ合戦に沸く各メディア。それでも平然とマウンドに立ち続ける浪岡。彼は本当に八百長に手を染めているのか?何のために?どのような手口で?尽きぬ疑問を解消すべく、少年時代の浪岡を知るベテラン刑事と、高校時代のチームメイトである週刊誌記者が、真相究明に乗り出すが…。元新聞記者が書き下ろす、迫真のエンターテインメント。
(アマゾンドットコムさんより)


<感想>

「ノーバディノウズ」に比べて、読み易くはなったけど面白さでは劣化した印象。
明らかに「ノーバディノウズ」にあった勢いを失っている。

これは中途半端な状態になってしまったことに起因していると考えられる。
本作はドキュメンタリー性よりもストーリー性が重視されていると見る。
だが、前作に比べストーリー性はあるものの、他の作品に比べると頭抜けたほどではない。
トンデモでありながらドキュメンタリー性を保っていた前作の特徴が失われてしまった結果、これといった特徴のない作品となってしまったのだ。

しかし、前作よりは明らかにストーリー性が良くなっている。
その点、ストーリー性を高めようとの著者の試みが垣間見えるようで好感が持てた。
したがって、本作はこれ単体で完結したものと見ず、あくまで発展途上の作品と見るべきだろう。
よりストーリー性が向上するであろう、この次の作品に期待したい注目の作家さんだ。

◆関連過去記事
「ノーバディノウズ」(本城雅人著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

第1回「サムライジャパン野球文学賞」受賞作発表!!「ノーバディノウズ」に!!

<ネタバレあらすじ>

人気球団スターズのピッチャー・浪岡龍一に野球賭博の疑いが浮上。
闇社会との関係までも取り沙汰され一大スキャンダルに発展する。

そんな中、彼を幼い頃から知る刑事や高校時代の元チームメイトだった記者らが真相を求め追いかける。

そして明らかになった真実とは―――?

浪岡は父に指示され八百長を仕掛けていた。
それも抜群の能力を持つ浪岡だからこそ出来るレベルで。

事が露見しそうになった浪岡は各メディアに向け腕の故障を理由に引退を宣言する。
彼は治療の名目で渡米した後、一年ほどほとぼりを冷まし大リーグに挑戦するつもりだったのだ。

だが、浪岡と交際のあった組織が当局の摘発を受けたために渡米前に浪岡の行動が露見。
いざ連行当日の朝を迎えたが、玄関から出て来た直後に浪岡は刺されてしまう。
襲ったのは浪岡と付き合いのある男だった。

浪岡は死の直前、うわごとのように父の名前を呼ぶ。
彼は家族を大切に思っており、父と家族の間を繋ぐ為に父の指示に従っていたのだった―――エンド。

「嗤うエース」です!!
嗤うエース






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posted by 俺 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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