<あらすじ>
財政界のVIPのみを会員とするメンバー制の調査機関、探偵倶楽部。淡々と調査をするダンディな探偵・二階堂匠(谷原章介)は、首相をも退陣に追い込むほどの腕前を持つ。そんな秘密組織に、漆原こずえ(松下奈緒)が、類まれな記憶力をかわれ、助手として呼ばれた。早速、こずえは二階堂に何も知らされずに、郊外の豪邸に連れて行かれる。そこではマサキ・テクノロジーの社長・正木藤次郎(黒部進)の喜寿を祝うパーティーが開かれていた。二階堂は、藤次郎に依頼された件を片付けに屋敷に出向いたのだったが、彼の知らないところでまた別の事件が起きていた。盛大なパーティーの最中、部屋に戻ったはずの藤次郎が密室の状態で消えてしまったのである。騒然とする正木家の面々…。警察に届けない方が良いと考える、副社長・正木高明(升毅)と藤次郎の秘書・成田真一(葛山信吾)。反対に届けた方が良いと言い張る藤次郎の長男・友弘(鈴木亮平)。意見が割れる中、唯一藤次郎から探偵倶楽部の存在を知らされていた長女の正木涼子(床嶋佳子)が、内密に二階堂に調査を依頼したことを明かす。二階堂とこずえの調査が始まった。無表情で余計なことは一切しゃべらず調査を進めていく二階堂。助手のこずえは記憶力を生かし二階堂を助ける。二人は地道に調査を続け手がかりを見つけ密室の謎を明らかにしていくが、そこには、マサキ・テクノロジーをめぐる私利私欲がからみ合っていた…。
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
「探偵倶楽部」を辞めた後、行方が分からなくなっていた元助手・黒川みちるが情報を売りつけにきたとクレームを受ける二階堂。
大物に取り次ぎを依頼し、その場を収めることに。
藤次郎の行方不明事件が謎だったのは家政婦・徳子の証言によるものだったが、それも……
コーヒーを飲んだ筈の正木藤次郎のスプーンがきれいだったこと。
藤次郎のものとされる声が録音されたテープだったこと。
から、偽物であると見抜いた二階堂は、そのとき既に藤次郎が死亡していたと推理する。
実は成田、正木高明、島津江里子の3人が自室で首を吊った藤次郎の死体を発見。
このままでは生命保険が貰えなくなると訴える江里子に他の二人も協力し、隠蔽工作を企んだのだ。
それが徳子の前で見せた芝居だった。
成田によれば時間稼ぎのつもりだったと言う。
ところが、少し目を離した隙に藤次郎の死体が忽然と消えてしまった。
ワケが分からなくなった成田たちは混乱しながら事態の推移を見守ることにしたのだった。
再び消えた藤次郎の死体の行方を追うことになった二階堂に、藤次郎の死体を下ろした際に差し歯を拾ったと告げる成田。
「そのままお持ち下さい」と応える二階堂。
家政婦の麻子のネックレスがブランド品であったこと、同時期に同ブランドで発売された腕時計をある人物が身に着けていたことに気付いた二階堂。
元助手・黒川が藤次郎にも情報を売ったことが今回の事件の遠因になっていると考えた二階堂は黒川を追い、その情報の内容を確認する。
遂に真相を突き止めた二階堂は報告書をまとめることに。
事前に報告内容を聞いておきたいとする成田に調査結果を手渡す二階堂。
成田は内容に目を通した上で自分が報告すると告げる。
だが、成田は遺族に調査結果を明かさなかった。
自身が握り潰し自身の為に利用することにしたのだ。
正木高明が警察に逮捕される。
藤次郎の差し歯が高明の車のトランクから発見されたのだ。
藤次郎殺害は高明の犯行だったのである。
黒川が売り込んだ情報は高明と麻子の不倫だった。
麻子と不倫関係にあったことと収賄していたことを藤次郎に知られた高明はその場で藤次郎を絞殺。
首吊りに見せかける工作を行う。
自分の犯行を隠し成田に事を告げる高明。
だが、成田たちと事後処理について相談中に自殺の工作が無意味であると知り困惑。
そこで、死体を隠す必要に駆られてしまう。
隙を突き藤次郎の死体を隠した上で、不倫相手の麻子の協力で密室を偽装し成田の目を誤魔化そうとしたのだった。
成田はいち早く高明を捨て友弘についた為に大出世を果たす。
成田と男女の仲だった江里子は成田がすべてを知っていたと知り驚く。
事の顛末を知った二階堂たち。
差し歯の件が成田の工作であると気付く。
成田が高明の犯行を暴露する為に工作したのだ。
「まだ終わっていない」と語る二階堂だが……。
正木涼子のもとを訪れる二階堂たち。
涼子に新たな調査結果を報告する。
パーティーの席上、成田を告発する涼子。
そこには二階堂が渡した調査結果があった。
こうして、成田は証拠捏造の罪で裁かれることに―――エンド。
<感想>
原作は東野圭吾先生原作「探偵倶楽部」(角川書店刊)収録の一篇「偽装の夜」。
「偽装の夜」とは“高明の行った二重偽装”と“成田の仕組んだ差し歯”のことを指します。
つまり、偽装で始まり偽装で終わるワケです。
だから「偽装の夜」。
この点は原作を読むことをオススメします。
原作についてのネタバレ書評(レビュー)は本記事下部にありますので興味のある方はどうぞ!!
で、ドラマ版感想。
原作はかなり独特な空気を持った短編だけにどのように調理されるのか期待してましたが、予想を上回る出来でした。
谷原さん、イイですね〜〜〜。
淡々とした語り口がまさに探偵!!
松下奈緒さんのこずえも良し。
いや〜〜〜、これはシリーズ化あるんじゃないか。
トリックは原作に忠実でした。
ほぼ完璧です。
ただし、その他の点で設定に改変ありでしたね〜〜〜。
次の点が原作と違いました。
@探偵に名前がついた(原作は無名)。
A漆原こずえ全般(原作は無名、バイト設定もなし)
B元助手・黒川の存在(原作未登場)。
C成田と江里子が男女の仲である。
Dラストの追加(原作では成田は告発されない) など。
探偵設定関連と成田を悪役にする改変かな。
@探偵に名前がついちゃってるのは、原作の特徴を殺しちゃったかも。
名無しの探偵は「探偵倶楽部」という組織の象徴だからなぁ。
あれを変えちゃったのは改悪かも。
「探偵倶楽部」が個人経営っぽく見えてしまったのも……どうかな。
A漆原こずえの追加は改善。
有効だと思う。
原作のままではドラマとして華がなかっただろう。
B元助手・黒川。
登場も唐突で必要性も薄い。
これまた華を添える為と思われるが別に必要なかったような……。
C成田と江里子は……2時間ドラマだからかなぁ……。
これも不要な設定だった気がする。
Dラストにて成田が告発されてしまいました。
これも改悪だと思う。
成田は「探偵倶楽部」が真相を知っていることも差し歯の件も知っていた筈だから「探偵倶楽部」が秘密主義であると知らなければ冒険出来ない筈でドラマ版の成田はかな〜〜〜り思慮が浅い設定になってしまっている。
こちらは原作の後味の悪さの方が上。
以上、もろもろ書いてきましたが、上記のような分析に耐えうるだけのスペックはあった。
非常に良い。やはりドラマ版の完成度は高かったと言える。
なによりトリック関連が原作に忠実で面白かった。充分アリです。
原作は他に4本のストックがあるので是非続編が見たい、期待!!
ただ、ドラマ版の撮影自体は去年の時点で終了していたらしくて本作はお蔵入りが噂されていた作品だったそうです。
どうも、松下さんの出演する朝のテレビ小説との兼ね合いだったとは専らの噂。
そこが次作へのキーになるか?
原作「探偵倶楽部」については過去にネタバレ書評(レビュー)行っていますね。
ドラマ版と比較するのもありかも。
・東野圭吾先生原作「探偵倶楽部」がドラマ化!!
・「探偵倶楽部」(東野圭吾著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
<キャスト>
二階堂 匠:谷原章介
漆原こずえ:松下奈緒
成田真一(正木藤次郎の秘書):葛山信吾
島津江里子(藤次郎内縁の妻):伊藤裕子
正木友弘(専務 藤治郎長男):鈴木亮平
草野麻子(正木家家政婦):宮地真緒
黒川みちる(二階堂の元助手):矢沢 心
大物政治家:中丸新将
飯島徳子(正木家婆や):山口美也子
正木藤次郎:黒部 進
正木高明(副社長藤次郎の娘婿):升 毅
正木涼子(高明妻藤次郎の長女):床嶋佳子 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
◆関連過去記事
・東野圭吾先生「秘密」(文藝春秋社刊)がドラマ化!!
【「白夜行」&「幻夜」映像化ニュース】
・東野圭吾先生「白夜行」映画化に続き、「幻夜」がWOWOWにてドラマ化決定!!
・東野圭吾さん原作「白夜行」日本版映画化決定!!
・2010年秋の「世にも奇妙な物語」は「人気作家競演編」に決定!!
(「殺意取扱説明書」ドラマ化のニュースです)
・東野圭吾先生原作「探偵倶楽部」がドラマ化!!
・東野圭吾先生原作「夜明けの街で」が2011年映画化、キャストは近日公開!?
【東野圭吾先生原作ドラマ関連】
・2夜連続ガリレオSP「ドラマレジェンド ガリレオエピソードΦ」(12月28日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
・「流星の絆」(TBS系、2008年)
・「新参者」(TBS、2010年)
【東野圭吾先生著作ネタバレ書評(レビュー)】
・容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版
・「新参者」(東野圭吾著、講談社刊)
・「白夜行」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「幻夜」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「秘密」(東野圭吾著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「殺意取扱説明書(毒笑小説より)」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「夜明けの街で」(東野圭吾著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
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『新参者』に似た雰囲気はありましたが、さすが東野さん!というような内容でしたね
谷原さんと松下さんも良かったですし、シリーズ化を期待したいです。
管理人の“俺”です(^O^)/。
ドラマ版「探偵倶楽部」良かったですよね。
原作は後4本ほどストックがあるのでシリーズ化は可能な筈。
続編に期待!!
管理人の“俺”です(^O^)/。
確かに主人公はSPEC(スペック)が高いですね。
考え方が理性的でクールなのも特徴かも。