<あらすじ>
円城寺りつ子(田中美里)は、京都南署の鑑識官。彼女の亡父もかつては鑑識官で、“鑑識の神様”と呼ばれていた人物だけに、何かと父親と比較されて風当たりも強い。そんなりつ子を、上司の志賀主任(小林稔侍)が時には厳しく時には優しく指導していた。
ある朝、出勤前のりつ子のもとに、保津峡の橋のたもとで女性の変死体が発見されたという連絡が入った。そのまま現場に駆けつけたりつ子は、志賀主任、同僚の常盤康介(長谷川朝晴)と共にさっそく“臨場”する。
死んでいたのは、あでやかな浴衣を身に着けた若い女性。一見、橋から身投げしたかのように思える転落死だったが、志賀とりつ子はこの女性が自殺に見せかけて何者かに突き落とされ、殺害されたものと断定する。
というのも、橋の上には彼女のものらしき下駄とバッグが揃えられていたのだが、その下駄には転落した衝撃でできたと思われるヒビが入っていたのだ。さらに、下駄を脱いで飛び降りたにしては足裏が汚れておらず、自殺だとすると不自然な点が多いのだ。
りつ子は、他殺という見解を大山刑事(東幹久)に伝えるが、逆に「物証も出ないのに断定するな」と強く諌められてしまう。相変わらず嫌味な大山の態度に、りつ子は「絶対に犯人に関する物証を見つけ出してやる!」と鼻息を荒くする。
まもなく、死んだ女性は映画女優・叶美鈴(筒井真理子)のメイク兼付き人だった女優志望の篠原江里(小島可奈子)と判明。だが、遺体確認のために警察署にやって来た美鈴によると、江里は3日前に解雇を言い渡されていた。それまでの仕事の態度に問題があった、というのが美鈴の言い分だが、本当の理由は新しくメイク担当となった長瀬しのぶ(高橋かおり)を気に入ったかららしい。
しのぶは、メイクアップアーティストを多く抱える“本城トータルビューティー”の所属で、社長の本城冴子(川上麻衣子)自身も、かつて美鈴のメイクを手がけたことで有名になった人物だった。
美鈴に付き添って署を訪れたしのぶを見て、りつ子は驚いた。しのぶは、りつ子が学生時代に参加していたボランティアグループの先輩だったのだ。しのぶはその後メイクの勉強のために渡米したため、それが10年ぶりの再会だった…。
そんな中、死の直前まで江里がプロデューサーの井上(美木良介)と食事をしていたことがわかる。さらに浴衣の肩口から掌紋らしきものが検出され、照合の結果、その手形が井上のものと合致!井上が容疑者として急浮上する。
ところが、その後、事件の夜に江里を保津峡まで乗せたタクシー運転手・野村直和(長江健次)が撮影所近くの駐車場で謎の死体となって発見される。野村はかつて撮影所の照明助手だったが、16年前、映画撮影中のスタジオで起きた“ある事故”を機に仕事を辞めた過去を持っていた…。
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
昔と違いどこか影のあるしのぶに戸惑うりつ子だったが、しのぶが恩人である冴子に向日葵の花束を贈る姿を見て安心する。
ここまで育て上げてくれた冴子に感謝し、その感謝の印として花束を贈る姿を目にしたことで昔のままの心優しいしのぶを確認したのだ。
それでも、やはり何かを決意している様子のしのぶにりつ子は一抹の不安を感じるのだった……。
矢先、野村が殺害されてしまう。
野村が撮影所を辞める原因となった事故とは16年前のとある女優が顔に大怪我を負った事故。
その女優の名は朝日容子、彼女は事故の後に絶望し自殺していた……。
叶美鈴は容子の役を引き継ぎ、現在の地位を築いたのだった。
しのぶが芙蓉の花を供えていたことが判明。
その相手は自殺した朝日容子。
朝日容子の本名は長瀬容子、しのぶの姉だった。
しのぶは姉・容子の事故が仕組まれたのものでありそれを美鈴の犯行とみていた。
その真相を知るために美鈴に近付いたのだ。
大山らは正体を知られたしのぶが江里と野村を殺害したと推測。
しのぶに容疑を向ける。
姉の復讐の念に駆られたしのぶは美鈴を襲う寸前まで思い詰めるものの、りつ子に止められ思い留まる。
犯行現場の毛髪から本城冴子のDNAが検出されたことを契機に冴子への疑惑が噴出。
しのぶが冴子にプレゼントした向日葵の花粉までが検出されたことで冴子は言い逃れできなくなる。
江里と野村の殺害を認める冴子。
すべては16年前の事件が原因だった。
容子の事故を仕組んだのは美鈴では無く冴子だったのだ。
美鈴にかけていた冴子は自らの華々しいキャリアを築くために容子の排除を目論んだのだ。
それは想像以上の効果を発揮し、美鈴は自殺してしまう。
罪の意識を感じた冴子は贖罪の為にしのぶを庇護し育て上げたのだ。
だが、当のしのぶは16年前の事件を探り始めそれを江里も助長した。
そこでこれ以上介入しないよう江里を説得しようとするも失敗。
逆に事が露見しそうになった為に江里を殺害してしまう。
そこを野村に目撃された為に口封じにこれも殺害したのだった。
こうして冴子は逮捕された。
しのぶはフリーのメークアップアーティストとして自立。
今日もまたりつ子は志賀に見守られながら仕事に勤しむのだった―――エンド。
<感想>
美鈴としのぶをミスリードのメインにしつつ、冴子が真犯人という王道の構成でした。
結構、楽しめました。
ただ、冴子を犯人と指摘する際のロジックやストーリーの展開すべてが物証頼りだったのは面白みに欠けたかな。
鑑識班の物語なので仕方ないと言えば仕方ないのでしょうが……。
物証のみで犯人を指摘するのならば、「CSI」っぽくもっと二転三転しても良かったような……ミスリード候補ももっと増やして。
井上なんて出てちょっとしたら容疑圏外だったし、勿体なかった。
まぁ、でも全体的に破綻することなくきちんとまとめられていたように思うのでアリ。
評価は手堅く中の中くらいでした。
次回が楽しみなシリーズですね!!
<キャスト>
円城寺りつ子:田中美里
志賀隆造:小林稔侍
大山刑事:東幹久
玉木課長:黒田福美
常盤康介:長谷川朝晴
竜子:茅島成美
曽我部元春:池内万作
長瀬しのぶ:高橋かおり
叶 美鈴:筒井真理子
本城冴子:川上麻衣子 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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