2010年11月13日

金曜プレステージ 山村美紗サスペンス 京都源氏物語殺人絵巻「香のかおりに殺意をのせて…男と女の狂った愛情と欲望が起こす殺人連鎖!死体に残された源氏物語の謎と哀れな過去」(11月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ 山村美紗サスペンス 京都源氏物語殺人絵巻「香のかおりに殺意をのせて…男と女の狂った愛情と欲望が起こす殺人連鎖!死体に残された源氏物語の謎と哀れな過去」(11月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

関西空港の国際線到着フロアは、その日も大勢の旅客でにぎわい、税関検査台では及川華絵(山村紅葉)ら税関検査官が荷物の中身に目を光らせていた。麻薬など違法なものが国内に持ち込まれることのないよう、厳しくチェックするためである。そんな中、税関検査の別室では、小学生の子供を連れた善良そうな夫婦が、大阪府警・空港警察刑事課・警部補の今井陽子(浅野ゆう子)らに取調べを受けていた。タイから帰ってきたツアー客だが、バッグから化粧ポーチにしのばせたヘロインが見つかったからだ。しかし夫婦は身に覚えがないの一点張り。陽子が「最悪の場合、死刑もありうる。かわいい子を残して死刑台送りになりたいの!?」と一喝すると、最後には恐怖で顔を引きつらせ、一家は抱き合って泣きじゃくる。そんな彼らの姿に、陽子は本当に覚えがないのだと確信し、同じく空港警察の刑事・冷泉春樹(音尾琢真)とともに、監視カメラの映像をチェックするべく保安室に足を向ける。その結果、税関検査寸前でおじけづいたらしい若い女性が、たまたま前に並んでいた男性のバッグに、くだんの化粧ポーチをこっそりしのばせる姿がモニターにはっきりと映し出されていた。しかも、その若い女の荷物に記されていた「京極旅行社」という文字も華絵はめざとく見つける。
その日の夜−。空港の立体駐車場では、京都府警刑事課の警部・宗像勇吾(遠藤憲一)、同じく京都府警刑事である小松(小沢和義)、工藤(國本鐘建)らが張り込みをしていた。そこへ、昼間、他人の荷物に化粧ポーチをこっそり忍ばせた女の腕を引いて歩く山田孝(渋江譲二)が現れる。宗像は、上着の陰で拳銃を握りしめ、腕につけた無線で山田を確保するよう命じるが、あと少しで山田に迫ると思われたその時、陽子が宗像の前に割り込む。まさか京都府警とは思わぬ陽子と冷泉が、不審人物だと判断したからだ。宗像は「どけ!」と陽子を突きのけようとするが、陽子は、瞬間、その男の腕を取り、逆を決めようとする。宗像も反射的にその技を返す。2人は、お互いをただ者ではないと見て凝視するが、しかし、その間に山田と女性は二手に別れて逃げてしまう。
すんでのところで容疑者確保を邪魔された宗像ら京都府警側はいきり立ち、陽子ら空港警察側に激しくクレームをつけてくる。だが、陽子は「それはこっちのセリフ。越境捜査はスジを通すのが基本でしょ」と、何のあいさつもなく勝手に捜査を行った方が悪いのだから文句をつけられる筋合いはないと言わんばかりに反撃。そして、「今井陽子警部補、覚えておくぞ」と捨てゼリフを残して立ち去ろうとする宗像に、陽子も「宗像警部、お宅の怖い顔、忘れられそうもないわ」と応酬する。にらみ合う陽子と宗像。
そんなある日、陽子は華絵とともに京都にある旅行代理店「京極旅行社」を訪れ、三安睦子(美保純)というアシスタントの中年女性に、モニター映像から拡大した例の女性の写真を見せる。睦子は「たしかにうちのお客様で吉田夕子(朝倉えりか)さんです」と答える。
その日の夜、京都のとある川のほとりで、若い女性の他殺体が発見される。かたわらには、1枚の紙が置かれてあった。運転免許証から、被害者の名前は吉田夕子、空港で山田と一緒にいた女だ! 宗像ら京都府警が死因や犯人について討議していると、そこへ陽子と冷泉がやってくる。「勝手に現場に入ってきたらあかんやろ!」と怒鳴りつける小松だが、陽子は動じない。そして夕子のマンションにも足を向け、部屋を調べたところ、香道のテキストや香炉などが見つかる。さらに宝ヶ池資料館のパンフレットも発見し、開いてみると、そこには末次つぼみ(渋谷琴乃)という名前が書かれてあった。
後日、陽子たちはその宝ヶ池資料館を訪れ、末次つぼみに館内を案内してもらっていると、そのつぼみに近づいてくる男がいた。美術商・北上雅夫(大浦龍宇一)だ。つぼみは丁寧にあいさつをかわし、陽子にも紹介する。
ある日、夕子の死体のそばにおかれてあった紙を陽子が見ていると、横からのぞいていた華絵が「これって“源氏香図”じゃない?」と声をかける。意味が分からず聞き返す陽子に、華絵は、香道には源氏物語をモチーフにした源氏香という遊びがある、と説明。陽子はなぜそんなものが現場に落ちていたのかと首をかしげる。
そんな折、第二、第三の殺人事件が発生、しかも、いずれも現場には源氏香図が書かれた紙が残されていたことが判明する。源氏香図が示す連続殺人事件と、麻薬密売事件とは必ずどこかでつながっていると確信した陽子は独自の調査を開始、そして驚くべき真実に突き当たる-!!
(金曜プレステージ公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)。

怪しい動きを繰り返す北上雅夫。
北上は電話にて末次つぼみの殺害を仄めかす。
それを盗み聞いた陽子は早速、つぼみを保護。

つぼみから北上の過去の恋人・瀬戸内たまみの話を聞く。
たまみは旅行先から帰って来なかったと恐怖に震えるつぼみ。
それだけ伝えるとつぼみは逃げ出してしまう。

その後の調べにより、たまみが麻薬を国外に持ち出そうとした罪で海外で拘束され獄中死したことが分かる。

北上が女を運び屋に麻薬を動かして巨額の利益を上げていると見た陽子は北上を追う。
そんな陽子に接近する宗像。
宗像は捜査の過程で死なせてしまった自分の部下の仇を取るために、犯人を挙げようとしていた。
こうして陽子と宗像は共同戦線を張ることに。

宗像が追う仇は山田。
山田は既に3人以上の殺人を犯している凶悪犯。
宗像は北上と山田が国外で知り合い仲間になっていると推測していた。

そんな中、つぼみと北上が美術展を企画していたことが判明。
近日中に国外から荷が戻って来るらしい。
網を張り荷を調査する陽子たち。

コーンスターチの緩衝材に見せかけた麻薬を発見することに成功する。

ここで追跡中止を訴える陽子。
根こそぎ壊滅させる為に取引現場を抑える作戦を取ったのだ。
それに伴い動揺しているつぼみの監視を強化させる。

だが、合同捜査本部内ではこの陽子の行為を越権行為と反撥。
孤立する陽子。
宗像は陽子の過去を調べ、ある秘密を知ってしまう。
陽子には犯人に銃撃され九死に一生を拾ったという過去があったのだ。

その頃、陽子は北上とつぼみを尾行。
仲間からの支援を得られず単独の尾行となり、結果として山田の襲撃を受けトラウマが再燃することに。
幸い遅れてやってきた部下の冷泉が陽子と山田を発見。
陽子は助かったものの、冷泉が犠牲になり重傷を負ってしまう。

同時刻、ホテルに宿泊したつぼみが何者かに殺害される。
現場にはまたも“源氏香図”が残されていた。

冷泉の負傷に責任を感じる陽子は必死の捜査を展開。
宗像はそんな陽子を部下と重ね合わせ不安を感じる。

鑑識により吉田夕子とつぼみの死体から“赤い繊維片”が検出される。
更に旅行で国内を訪れていた毛利夫妻から北上が香会を通じて何かをやろうとしているとの情報を得る。
そんな陽子に及川華絵が現場に残された“源氏香図”の意味について教える。
吉田夕子が「夕顔」、つぼみが「末摘花」の意味らしい。

北上が麻薬を“香会にかこつけて”捌くと看破した陽子は摘発を提案。
宗像と共に乗り出す。

一斉検挙は成功を収めたものの、北上本人には逃げられてしまう。
しかも、北上が連れて逃げた青山いつ子が“源氏香図”の「葵の上」として殺害されてしまうことに。

ここに夕子、つぼみ、いつ子殺害犯として北上に疑惑が。
ところが、つぼみの遺体から犯人と思われる左手の圧迫痕が検出される。
北上は右利き。犯人ではない。

陽子の脳裏に「葵の上」を呪殺した「六条御息所」の姿が浮かぶ。
いつ子を殺害したのは女性なのか?

つぼみ殺害時に斜向かいの部屋を畑恵子と名乗る女性が借りていたことが判明。
陽子は、北上を“光源氏”と見立てた際に「源氏物語」での源氏と六条御息所の年齢差に注目。
北上より年上の毛利雅江を疑う。

ところが、毛利夫妻は既に帰国していた。

一方、国外逃亡を図る北上に近付く三安。
そこへ駆け付ける陽子と宗像。
三安を人質にとる北上だったが……三安のレッグウォーマーを見て驚く陽子。

赤い繊維片はそのレッグウォーマーの物だったのだ。
更に、六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)の「みやす」が三安であると気付く。
直勘により三安こそが瀬戸内たまみであると見抜く。

北上により罠に嵌められ拘留された瀬戸内たまみだったが弁護士である毛利夫妻の協力で釈放され、国内へ戻って来ていたのだ。
北上の目を醒まさせたかった―――そう語る三安。
その為に北上に近付く女性を殺害してまわっていたと言う。

毛利夫妻は三安の様子を見守る為に来日したのだった。

三安を殺害しようとする北上。
それを取り押さえる宗像たち。

そこへ現れる山田。
中毒症状を呈し錯乱した山田は北上に向け銃を発砲。
陽子が庇い撃たれたものの、山田は射殺される。

こうして事件は解決した―――。

冷泉は順調な快復を見せているらしい。
陽子は山田に撃たれたことで過去のトラウマを払拭。
宗像もまた部下の仇を取れたことに満足するのだった―――エンド。

<感想>
原作は山村美紗先生「大阪国際空港殺人事件」(講談社刊)。
1987年ノベルス版発売、1990年文庫版が発売されています。

原作「大阪国際空港殺人事件」あらすじは―――

空港税関の検査官今井陽子は、グアムから帰国した若い女性の隠し持った貴金属を発見した。ところが1時間後、その女性は謎の死を遂げる。責任を感じた陽子は、警察と協力して女性の周辺を調べる。渡航前の所持金と購入した貴金属とのギャップ、そして未婚で妊娠5ヵ月という謎。女性検査官が活躍の連作。
(講談社公式HPより)


これを見る限り、ドラマの原作は短編だった様子。

そんなドラマ版。
導入部分から「婦警殺し」というサイコ調のシリアスパートが展開。
一日早く「ストロベリーナイト」が始まったのか!?と思ってしまった……。

「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

そもそも、主人公周辺が意外と似てるんだよね……(主人公が女性、対抗馬に厳つい男性刑事が居るが後に実力を認め合い和解する、過去のトラウマ等、部下が犯人により被害)。

しかし、ここでモチーフに「源氏物語」を持ち出す所が「山村美紗サスペンス」たる由縁。
明らかに物語ベースで名付けられた登場人物名と無理矢理な符合にちょっとひく……。
これで一気にいつものペースに!!
安心して視ていられるようになりました……って、イイのか?
まぁ、疲れている時に視るには安心感があるなぁ。

それと美保純さん登場には心の中でツッコミが。
「絶対、犯人だ〜〜〜」との言葉が脳内にて飛び交うこと暫し!!でした。
そこらへんも「らしい」か。

ただ、視聴し続けるうちにその「らしさ」に違和感を覚えたのも事実。
“源氏香図”のパートが完全に浮いてたからだろうなぁ。
シリアスパートとの落差が凄かった。
原作部分の方が浮いて見えるなんて……正直、シリアスパートの方が好みだった。
そして、ラストで普段の「らしさ」を発揮してしまうという……(泣)。
尺が不足したか原作に忠実たろうとした結果か?
それまでがおじゃんな展開に……勿体ない、勿体ないぞ〜〜〜。

とはいえ、全体的に浅野ゆう子さんと遠藤憲一さんの掛け合いがなかなか良かった〜〜〜。
「こりゃ、シリーズ化あるぞ」と思わせる出来だった。

そうそう最近、浅野ゆう子さんの2時間ドラマ出演が多い。
これは“トレンディードラマの女王”から片平なぎささんに次ぐ“2時間サスペンスの女王”来るか?

<キャスト>

今井陽子:浅野ゆう子
三安睦子:美保 純
北上雅夫:大浦龍宇一
及川華絵:山村紅葉
小松:小沢和義
末次つぼみ:渋谷琴乃
冷泉春樹:音尾琢真
大田 黒:須永 慶
毛利雅江:愛華みれ
宗像勇吾:遠藤憲一 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


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【イベント】
「ミステリーの女王・山村美紗の世界」展、ふたたび!!
(2010年11月28日まで開催)

娘・紅葉さんプロデュース!!「ミステリーの女王・山村美紗の世界」展4月24日土曜より開催!!(すでに終了)

山村美紗原作「京都花灯路 恋の耀き」公演中!!

「大阪国際空港殺人事件 (講談社文庫)」です!!
大阪国際空港殺人事件 (講談社文庫)





◆山村美紗先生の作品はこちら。



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