日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season9」第4話「過渡期」(11月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)。
<ネタバレあらすじ>
世界を放浪していた立松(崔哲浩)という男がホテルの非常階段から転落死した。
死体付近に煙草が落ちていたことから屋外で煙草を吸おうとしてバランスを崩し転落したものと思われた。
他殺を疑う一課に対し、所轄の入谷署は事故死と断定する。
一方、時効廃止に伴い倉庫の整理を押しつけられた右京(水谷豊)と尊(及川光博)。
そこへ米沢(六角精児)が立松の事件を持ち込む。
倉庫整理そっちのけで、事件に挑む右京たち。
立松は3日前に帰国したばかり、事件現場のホテルに連泊していた。
遺体の写真を見た右京は、立松の指に指輪の跡を発見。
しかし、米沢によれば所持品に指輪はない。
また、携帯電話の履歴から立松が「てっちゃん」という人物に電話をかけていたことが判明。
さらに、立松の祖母は15年前に殺害されており、時効撤廃がなければ2、3日後には時効が成立していたことも分かる。
海外にいた立松は時効撤廃を知らずに、時効に合わせて帰国した可能性もあった。
右京たちは早速現場へ。
そこで不審な動きを見せる男を見かける。
しかし、男は目を離した隙に消えてしまうのだった。
立松が転落したとみられる手すりに擦り傷を発見、米沢に調査を依頼する。
同時にヘビースモーカーと思われる立松がわざわざ非常階段に出てまで喫煙していたことを疑問に思う右京。
そう、外で煙草を吸わされるぐらいなら別のホテルに泊まればよいからだ。
「ここに何か意味があったのは間違いなさそうですねぇ」
右京の目が光る。
15年前の事件の詳細を調べることに。
その名は「西エリア独居老人殺人事件」。
被害者は立松の祖母・立松スミ。
貴金属類が盗まれていたことから物盗りの犯行と思われた。
そして、この事件の管轄も入谷署だった……。
「西エリア独居老人殺人事件」の調書にあたる右京たち。
立松スミは殺害当日、町内会の旅行に出ていたが旅先で喧嘩した為に早めに家に戻った……それゆえの悲劇だった。
犯人はスミの不在を見越して犯行に及んだ可能性があったのだ。
第一発見者は上田庄之助老人。
彼こそは立松スミと喧嘩した当人だった。
夜12時ごろスミ宅の様子を覗いに出たところ、反応が無かったので屋内に入った所、死体を発見したらしい。
さらに被害者宅の電話が話し中だったことに注目する右京。
不思議なことに床下収納にあった506万円は手つかずで残されていた。
入谷署で未だに事件を捜査しているという警務係の猪瀬係長(螢雪次朗)に話を聞くことに。
猪瀬と話をしていた人物は右京たちの姿を見かけると慌ててその場を去る。
猪瀬によれば去ったのは鑑識係の丸山係長らしい。
立松の写真を見せるものの知らないと答える猪瀬。
連続窃盗犯を逮捕し警視総監賞を貰ったと自慢する猪瀬だが、立松スミの事件を恨んでいる様子だった……。
猪瀬から盗品リストを借り受けた右京たち。
猪瀬は躊躇することなく机の奥からリストを引き出して来る。
そこで先程話の出た丸山に会うことに。
丸山のもとへ向かう途中、猪瀬が立松と会っているにも関わらずシラをきったことに不審を抱いた右京―――何かを感じたのか?
丸山は丸山でどこか歯切れの悪い受け答えに終始する。
今度は上田庄之助老人に会う右京たち。
上田老人によればスミと喧嘩別れしたものの気にかかり電話したが深夜に誰も出なかったので様子を見に行ったらしい。
ここで、15年前の喧嘩は立松スミが夫の遺品を上田老人に譲り渡そうとしたのが原因だと分かる。
急に時効について尋ねる上田老人。
何やら考え込んでいる様子。
翌日、特命係を訪ねて来た猪瀬は、転落前日に立松がやって来たことを明かす。
立松は時効廃止を耳にすると、猪瀬に事件以来の捜査の停滞を責めたて早急に犯人を検挙するよう求めたとのことだった。
なぜ立松と会ったことを隠したのか問い詰める右京。
猪瀬によれば丸山が穏便に済ますよう伝えて来た事を受けてのことらしい。
ここで、丸山も元刑事部だったと明かされる。
「今も捜査し続けるのは何故か?」問う神戸。
「『西エリア独居老人殺人事件』によって身体を壊し仕事も家族も失ってしまった。今では残されたのは意地だけだ」と答える猪瀬。
翌朝、丸山の懲罰資料を入手した神戸。
丸山は2度証拠品の紛失で処分を受けていた……。
「てっちゃん」の正体が細野哲臣と判明。
細野こそは立松の転落現場付近で見かけた不審な男。
米沢の調査により階段の手すりの傷が銀製品によるものと分かる。
俄然、無くなった指輪の存在がクローズアップされることに。
細野に事情を聞くべく足を運ぶ右京たち。
細野によれば立松に現金5万を貸し付けており、その返済を求めて現場に行っただけだと言う。
立松は当座の生活費だけを借りたらしい。
右京は細野宅で立松の指輪を発見する。
警察署の前で上田老人と出会う右京。
上田老人は立松スミの遺品を受け取りたいと神戸に語る。
ここではたと気付く神戸。
これまでは時効が成立した後に遺品は返還されていた。
時効が撤廃されて以降は遺族の請求により遺品が返還される(還付請求)。
ところが、今回の立松スミのケースは唯一の遺族であった立松が死亡した為、請求すべき遺族が存在しなくなってしまったのだ―――。
丸山の写真立てに興味を持つ右京。
丸山によれば警視総監賞の副賞だと言う。
「昔は銀の腕時計だった……」と語る丸山。
高価な写真立ての費用の出所を探る右京に不快を露わにする丸山。
立松が当座の生活費のみを借りたのは祖母・スミの遺品である506万円をあてにしてのことと判明。
ところが、実際には立松スミの証拠品・506万円は十数万円程度しか残されていなかった。
そのことを右京たちに知られた丸山は証拠品紛失の罪を問われることを怖れ頭を下げるが―――。
ホテルの非常階段に犯人を呼び出す右京たち。
そこへ現われたのは猪瀬。
猪瀬は立松スミの506万円を着服していた。
その発覚を恐れ立松を殺害したのだった。
ところが、ホテルの非常階段から立松を突き落とす際に警視総監賞で貰った銀の腕時計で傷をつけてしまう。
結局、この傷が決め手となり猪瀬は罪を認める。
丸山係長は証拠品の紛失発覚を怖れ隠蔽に動いており、殺人とは関係なかった。
「いつから私に疑いを?」疑問を口にする猪瀬。
「猪瀬が立松から還付請求を受けたことを隠していた」それこそが猪瀬が疑われた理由だった。
立松の帰国の理由―――506万円を受け取ることと考えれば猪瀬に請求しなかったとは考えられないからだ。
「あなたは、あなた自身が追っていた犯人を殺害してしまったんですよ!!」
憤る神戸。
15年前の立松スミ殺害犯は立松だった。
細野宅で発見した指輪、それこそは15年前に立松スミ宅から盗み出された品だったのだ。
だが、右京は猪瀬が立松を犯人だと知った上で殺害したと指摘する。
驚く神戸。
右京は猪瀬が盗品リストを出した際に机の引き出し奥深くに仕舞っていたことに注目。
あれはもう捜査する必要が無くなったからこそ奥にしまっていたと説明する。
右京の指摘を認める猪瀬。
猪瀬が立松こそが犯人だと気付いた理由―――それは立松が「警察がもっと早く到着していれば婆ちゃんは助かったのに」と口にしたことだった。
立松スミ殺害当時、スミは孫の侵入に気付き通報しようとしたが通話する前に殺害されてしまう。
電話の受話器が外れ話し中だったのもこの為。
だが、スミが警察に通報しようとしていたことを知っていた人物は捜査関係者と犯人以外存在しない。
こうして、猪瀬は自分から全てを奪った立松への復讐心を募らせ殺害してしまったのだった。
事件は解決。
ほっと一息つく神戸に右京はまだ仕事があると告げる。
「えっ……」
「途中で投げ出した倉庫整理ですよ」
「あぁ(心底嫌そうに)……雑用ですか」
「警察官の仕事に雑用はありません。
時効が撤廃され、今後は未解決事件が激増する筈です。
捜査の為に証拠品を整理しておかなければなりません。
倉庫を整理することも立派な仕事です」
「はい」
右京の言葉を認めているのかいないのか……やる気の出ない様子の神戸と共に歩み去る右京―――4話了。
<感想>
シーズン9第4話。
脚本はシーズン8で7、12、19話を担当した櫻井武晴さん。
基本傾向として、あるひとつの時事ネタや新しい法案、新しい技術などワンテーマを中心に深く掘り下げることでそれが抱える矛盾や弱点を浮かび上がらせるシナリオを得意とする方。
特徴として、科学技術による物的証拠が犯人断定の決め手となることも多い。
ちなみに、情報量や伏線、シーン転換が他のライターさんに比べて圧倒的に多いことも特徴。
その本領は1時間よりも2時間のシナリオに活かされるのかもしれない。
そんな櫻井武晴さん担当作品のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
・相棒season8 7話「鶏と牛刀」(12月2日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
・相棒season8 12話「SPY」(1月20日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
・相棒season8 19話(最終話・最終回)「神の憂鬱」(3月10日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
情報量が多い回でしたね。
どんでん返しも伏線も多い。
管理人は理解するのに手いっぱいでした……。
「時効撤廃の裏に還付請求の盲点が存在した」とのストーリー展開は意外性があり良かった。
ここがサブタイトル「過渡期」に繋がるのか!!と納得。
銀時計に指輪とアイテムを全てストーリー上で回収している点も良し。
ラストに倉庫整理に戻るのも良し。
ベストではないが良回でした。
そうそう、12月23日より公開される「相棒-劇場版II-」。
サブタイトルが発表されました!!
「相棒−劇場版U−警視庁占拠!特命係の一番長い夜」だそうです。
「一番長い夜」……意味深ですね〜〜〜。
「相棒-劇場版II-」についてはノベルス版ネタバレ書評(レビュー)ありますね。
この通りならば劇場版も相当期待できそう!!
・「相棒 ―劇場版2―」(大石直紀著、小学館刊)ネタバレ書評(レビュー)
他にもオリジナル小説も。
ただ、こちらはオススメしかねるかも……。
・「杉下右京の事件簿」(碇卯人著、朝日新聞出版刊)ネタバレ書評(レビュー)
関連書籍も多数登場。
興味のある方はチェック!!
・「相棒」関連書籍続々発売!!あなたはどれを読む!?
<キャスト>
●杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係・係長。あまりにも切れ過ぎる頭脳と、何を考えているのか判別できない素行から変人扱いされ、窓際部署の特命係に追いやられた経緯が。しかし、その人事すら本人はまったく気にしてない様子。常に冷静で、どんな相手でも論破できるが、論客が元妻のたまきだと、高確率で敗北。動揺することもしばしば。
●神戸尊(及川光博)
警視庁特命係員。警察庁上層部からの密命の真実を知り、自ら特命係に残ることを志願。
(MSNエンタメさんより)
◆関連過去記事
・「相棒-劇場版II-」ゲスト発表される!!
・すぐそこに近付くあの二人の足音……「相棒-劇場版II-」前売り券が8月14日より発売開始!!
・「相棒season9」&「相棒-劇場版II-」制作決定!!
「相棒season8」やその他の「相棒」情報はタグ「相棒」よりどうぞ!!
◆関連外部リンク(外部サイトに繋がります)
・相棒-劇場版II-(シネマトゥデイさん)
http://www.cinematoday.jp/movie/T0009098
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