2010年12月12日

土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌 能登和倉〜午前3時の同乗者!!深夜ラジオに届いた殺人リクエスト!?」(12月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌 能登和倉〜午前3時の同乗者!!深夜ラジオに届いた殺人リクエスト!?」(12月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

タクシードライバーの推理日誌


タクシードライバーの夜明日出夫(渡瀬恒彦)は、元警視庁の敏腕刑事。ある夜、夜明は不審な男に襲われていた女性を助け、ラジオ局まで送ることになった。
その女性は、深夜ラジオの人気のパーソナリティー・秋元真子(とよた真帆)。深夜、孤独に仕事をこなす運転手たちにとって、心の安らぎは深夜ラジオだ。真子はドライバーのあいだではマドンナのような存在だった。真子は車中、犯人に心当たりがあると打ち明ける。毎日のように真子宛てにハガキを送ってくる熱狂的なファンのひとりがいるというのだ。
だが、その真子をラジオ局で待ち受けていたのは、捜査一課の東山刑事(風見しんご)たちだった。

東山が追っているのは、一昨日の夜、品川埠頭で起きた殺人事件。長距離トラックの運転手・宇田川清(吉川拳生)が運転席で刺殺されたのだが、彼の携帯電話には、真子の番組宛てのリクエストメールが残されていた。
さらに宇田川の周辺を調べたところ、先月、宇田川をたずねて真子が運送会社の事務所を訪問していた事実が浮上。さらにはその翌日、宇田川と真子が喫茶店で話しこんでいたという目撃証言が得られたのだ。喫茶店での真子と宇田川はなにやら写真を挟んで揉めており、真子が脅されていたような様子だったという。
実は、真子は12年前のクリスマスの夜、故郷の石川・七尾から、バッグひとつで上京。そのとき、ヒッチハイクで乗せてもらったトラックの運転手が、宇田川だったのだ。
真子によると、当時、きちんとお礼を言うことができず、心残りだったため、先日、番組を通して呼びかけてみたところ、宇田川が名乗り出てくれたという。2人で会ったのは、“恩人”である宇田川に、改めて礼を言わせてもらっただけだと、真子は説明。2人の再会の様子は雑誌にも取り上げられ、真子の美談として伝えられていた。真子ファンの夜明は「勘ぐりすぎ」「犯人はほかにいるはず!」と、東山を一喝する。

ところが後日、宇田川に金を貸していたタクシー運転手の山内謙三(中西良太)が自宅で腹部を刺されて殺される事件が発生。またしても現場には、書きかけの真子の番組へのリクエストメールが残されていた。山内はこのところ、連日のようにラジオ局で客待ちをしていたという。ここに来て、やはり真子のファンである神谷警部(平田満)も、彼女への疑惑を深くするのだが…!?

そんな中、夜明は真子から能登まで送ってほしいという指名を受ける。真子は、七尾にある系列局の記念イベントで司会を務めることになったのだが、睡眠時間を確保するためタクシーで移動したいらしい。真子にとっては、12年ぶりの帰郷だという。
真子をホテルまで送り届けたところ、またもや東山たちが現われたため、夜明はビックリ! 東山は、一連の事件は、真子が恩人・宇田川と再会したところからはじまっていると指摘。12年前に、脅しにつながるネタがあったのではないかと考えていた。
真子の過去を調べはじめた東山たちは、真子の義理の父・秋元源治が12年前、矢波良彦(村田雄浩)というトラック運転手に殺されたことを知るが…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)

宇田川がリクエストメールを送ったのは22時13分。
その時刻、真子は自宅に居たらしい。
宇田川に真子が脅されていたらしいこと、アリバイがないことから東山は真子を疑う。

だが、宇田川に真子が脅されていたらしいとの情報を提供したアナウンス部の青井が岩永を巡り真子を憎んでいたことが判明。
その証言の信憑性が揺らぐことに。

矢先、真子を襲ったストーカーが岩永をも襲い現行犯逮捕される。
真子に近付く岩永を許せなかったらしい。
岩永は負傷。
青井は岩永に復縁を迫るが岩永の態度は冷たい。
その光景を山内が見ていた。
当の真子はといえば、4年間熱心なリスナーであるラジオネーム「能登のY・Y」のハガキに何かを想う。

真子から夜明に能登への長距離依頼が入る。
夜明は真子を送り届けることに。
そこは真子の故郷だった。

その頃、山内がリクエストメールを残し死体で発見される。
内容は「椎間板ヘルニアを患い腰痛がひどい」とのもの。

一方、真子の親友にして旅館の女将・下山直美と再会する真子。
そこへ東山たちが現われる。
山内殺害の容疑が真子にかかったのだ。

真子の嫌疑を晴らす為に調査を始める夜明たち。
ここで、真子の意外な過去が明らかになる。

真子の義理の父・秋元源治はギャンブル好きが高じて家から金を持ち出すまでになっていた。
それが心労となり真子の実母は死亡。
残された真子だが、母の遺言に従い源治と生活を共にする。
しかし、遂に耐え切れなくなり東京へ向かうべく家を出たらしい。
源治本人は12年前に矢波良彦というトラック運転手に喧嘩が原因で殺されていた。
矢波は12年前のことは過去のことだと言い捨てる。

真子がラジオリクエストのお題を知らないことが判明。
リクエストメールから推測される犯行時刻、真子に犯行は不可能との結論に。
お題を事前に知るのは作成者である岩永のみだったことから、東山は岩永を疑う。
だが、岩永にはその時刻に青井と会っていたとのアリバイがあった。

神谷はリクエストメールの存在に着目。
そこに作為があるとすれば、工作を行ったのは関係者に違いないと推理。
さらに、山内が椎間板ヘルニアを患ったのは12年前。
神谷は真子と山内に12年前から接点があれば不思議ではないと主張する。
あくまで真子を信じる夜明だが……。

同僚の野村との会話をきっかけに“能登のY・Y”を矢波良彦ではないかと疑う夜明。
しかも、山内の腰痛が快方に向かっており最近では好調だったと知る。
何かを思いつく夜明。

矢波の身辺調査が行われ、“能登のY・Y”が矢波良彦と確定。
しかも、矢波が“能登のY・Y”としてハガキに書いた「結婚しました」「子供が出来ました」等の文言が全て嘘だと発覚する。
矢波はなぜ、真子に近況を送り続けたのか―――夜明は疑問を感じる。

直後、真子が連行される。
山内殺害当日に山内が真子と会っていたとの目撃証言が出たのだ。
だが、真子は犯行を否定。
神谷は凶器のナイフ、宇田川の脅迫ネタなど物証を捜す。

一方、真相に気付いた夜明は真子を問い詰める。
宇田川の脅しのネタは矢波と真子の関係。
実は、矢波と真子は恋人同士だったのだ。

12年前、東京へ出る際に宇田川に送り届けて貰った真子は車内に矢波との写真を置き忘れた。
それをネタに宇田川は真子を脅迫したのだ。
しかも、12年前の車中には宇田川や真子の他に山内も乗っており、そこで椎間板ヘルニアのことも聞いていたのだ。
それをアリバイ工作に利用したのだった。

夜明は真子が宇田川と山内殺害の犯人だと指摘する。

事の起こりは真子の母が死亡した時点に遡る。
ショックを受けた真子は自殺を図り、矢波に助けられた。
交際を始めた二人だったが、源治が見咎め喧嘩になった際に誤って殺害してしまう。

12年後、ラジオの企画で宇田川を捜した真子。
だが、宇田川はそれを発端に真子を脅迫する。
そこで宇田川を殺害した真子。
今度は山内に脅迫される。
そこで山内も殺害した。

犯行を認める真子だが、「最期の放送をしたい」と夜明に希望。
夜明はそれを許す。

真子がラジオで出したお題は“わたしの夢”。
「好きな人の為にラジオに出たかった……それがわたしの夢でした」
そう語る真子は感極まって涙を流す。
同時刻、それを聞き1人泣き続ける矢波。

翌朝、真子と対峙する夜明。
夜明は真子の動機が「結婚した(と、真子は思っている)矢波を守るため」にあったと告げ、「でも、それは愛ではない」と否定する。
そこへ現れた矢波。
彼はハガキで「結婚した」と嘘を吐いたことを謝罪、すべては真子への想いをふっ切る為だった。

結局、矢波は真子を守るため、真子は矢波を守るための行動が皮肉な結果に終わってしまった。
矢波は真子に「待ち続ける」と宣言する―――エンド。

<感想>

2010年10月9日放送分(第27弾)に次ぐ第28弾です。
実に2ヶ月と短いスパンでの新作放送となりました。

さて、今回も前回同様“夜明の法則”は発動したのでしょうか?
この法則をいかにストーリーに放り込んで来るか(または捻ってくるか)が本シリーズの見所。
(“夜明の法則”詳細は前回第27弾の過去記事を参照されたし、記事は関連過去記事にあり)

はい、発動しました。
しかも、最悪の形で。
根拠も伏線もへったくれもありませんでした……。

正直、管理人は割と好きなシリーズですが、今回はどう好意的に見てもフォローできない。
ただいま、絶賛混乱中。
あらすじを見てお分かりの通り内容が右往左往しております。
伏線も一部放棄しております。
少なくとも管理人にはそう見えます。
そんな出来。

法則自体は様式美なので、それを盛り込むのは問題ないのですが……その為に肝心の本筋を殺すのは間違っていると思う。
本末転倒では?

法則以外での感想。

まず、真子と矢波が「賢者の贈り物」状態だった点が胸に来ました。
これは良い。
でも、それ以外が……いろいろ疑問が残った。

宇田川は12年待って真子を脅さなくても矢波を脅迫すれば良かったんじゃなかろうか?
それとリクエストのお題によるアリバイ工作の件。
結局、どうして岩永しか知らないお題を真子が知ることが出来たのか具体的なことは分からないまま……。
さらに、「岩永しか知らないお題」の筈が「実は分かるんです」とするのは伏線放棄。
さらにさらに、それを劇中の夜明が気付くからにはなんらかの証拠が必要な筈なのに……そこを突っ込んでいかないとダメでしょ。
ここらがどうにも……。

これまでは、どんな展開でも不思議と「ああ、やっぱりね」と思えるのがこのシリーズでしたが今回は裏目に出たか。
そこを加味して評価は中の下で。

ちなみに原作は「木枯らし紋次郎」の著者で知られる笹沢左保先生の「タクシードライバーの推理日誌」シリーズ。
とはいえ、本作においてはモチーフというべきでしょう。
もはや、別物です。

2011年1月8日追記
真子がリクエストのお題を知ることが出来た理由について、コメントで「とし*」さんに教えて頂きました。

「真子が事前にお題を知ることが出来たのは、岩永のお題ノートを盗み見していたから」でした。

「とし* 」さん、ありがとうございます(^o^)/。

◆関連過去記事
【シリーズはこちら】
土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌26 東京〜京都・琵琶湖、土地鑑のある乗客」(1月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌 甲州石和〜殺意の子守唄!!車内に赤ちゃんの忘れ物…!?密封された死体の謎」(10月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

<キャスト>

夜明日出夫:渡瀬恒彦
神谷警部:平田 満
東山刑事:風見しんご
国代刑事:小林 健
西村あゆみ:林 美穂
橋本係長:佐藤二朗
野村(夜明の同僚):鶴田 忍
秋元真子:とよた真帆
矢波良彦:村田雄浩
岩永:伊東孝明 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


笹沢先生の作品はこちら。
「生存する幽霊―タクシードライバーの推理日誌 (徳間文庫)」です!!
生存する幽霊―タクシードライバーの推理日誌 (徳間文庫)





同じく「招かれざる客―笹沢左保コレクション (光文社文庫)」です!!
招かれざる客―笹沢左保コレクション (光文社文庫)





同じく「霧に溶ける―笹沢左保コレクション (光文社文庫)」です!!
霧に溶ける―笹沢左保コレクション (光文社文庫)




【関連する記事】
この記事へのコメント
初コメです☆
>結局、どうして岩永しか知らないお題を真子が知ることが出来たのか具体的なことは分からないまま……。
確か、岩永が席をはずしている隙に、真子が岩永のデスクの引き出しからノートを取り出し、そこに書いてあるお題を記憶し、犯行に用いた…はずですよ(^-^)
Posted by とし* at 2011年01月07日 02:24
Re:とし*さん

コメントありがとうございます(^o^)/。
管理人の“俺”です!!

なるほど、真子が岩永のノートを覗き見したんですね。
だから、お題を知ることが出来たのか……。

これについて、結構モヤモヤしてたのでスッキリしました(^o^)/。
早速、本記事を訂正しないと。
Posted by 俺 at 2011年01月07日 23:57
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