2011年01月10日

「密室殺人ゲーム・マニアックス(前編)」(歌野晶午著、メフィスト2010 vol3収録)

「密室殺人ゲーム・マニアックス(前編)」(歌野晶午著、講談社刊、メフィスト2010 vol3収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

メフィスト


●笠井潔 矢吹駆シリーズ
「夜と霧の誘拐」一挙400枚堂々完結!!
●歌野晶午「密室殺人ゲーム・マニアックス」連載開始!!

<新連載>
歌野晶午/赤城毅
山本弘/麻耶雄嵩/加賀美雅之/三津田信三/久坂部羊/西尾維新/篠田真由美/あさのあつこ

<連載小説>
笠井潔/二階堂黎人/新堂冬樹/石持浅海/北山猛邦
我孫子武丸/円堂都司昭/喜国雅彦/石黒正数

<巻末>
座談会
(講談社公式HPより)


<感想>

記憶に新しいドラマ「SPEC」で言うならば「パブリックドメイン」と化した「頭狂人」「044APD」「aXe」「ザンギャ君」「伴道全教授」の5人。
それはオリジナルの想像を通り越して広く流布するまでになっている。

さらに新キャラクター嵯峨島の登場により世界観も広がりを見せる。
前後篇ということなので後編は前編の設定を受けて話が紡がれるのか?
あるいは、全く別の話となるのか?
それとも、前後篇合わせることにより新たなサプライズが浮上する構成なのか?
興味が尽きない。

気になる……。

◆シリーズ前作&前々作ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
・シリーズは此処から始まった。
「密室殺人ゲーム王手飛車取り」(歌野晶午著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ2作目は意外な展開に。
「密室殺人ゲーム2.0」(歌野晶午著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・後編はこちら(2011年4月14日追加)。
「密室殺人ゲーム・マニアックス(後編)」(歌野晶午著、講談社刊、メフィスト2011 vol1収録)ネタバレ書評(レビュー)

蛇足1:「密室殺人ゲーム王手飛車取り」以降1人だけ消息が明らかにされていない人物がいる。
そう、1作目の「伴道全教授」である。
彼女の消息は未だ不明となっているが、シリーズが続けば出て来ることもあるのだろうか?

蛇足2:本作に登場する5種のハンドルネーム。
これ、実際にネット上に存在しています。
本作を模したのかオリジナルなのかは不明ですが……。
特に「044APD」さんは割と多い。
検索してみれば一目瞭然。
あなたもネット上で出会うことがあるかも……。
「扉は開かれた」のか!?

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
頭狂人:プレイヤーのひとり、映像はダースベイダーのマスクを着用。愛称は「ベイダー卿」。
044APD:プレイヤーのひとり、映像はプジョー505。愛称は「コロンボ」。
aXe(アクス):プレイヤーのひとり、映像はホッケーマスクに手斧の怪人。
ザンギャ君:プレイヤーのひとり、映像はカミツキガメ。
伴道全教授:プレイヤーのひとり、映像は口に含み綿をした白衣の人物。
嵯峨島:視聴者のひとり。三佐の友人。
三坂:視聴者のひとり。嵯峨島の友人。

ネット上で殺人ゲームを出題し合うハンドルネーム「頭狂人」「044APD」「aXe」「ザンギャ君」「伴道全教授」の5人。
ここまでなら普通(?)の光景かもしれない。
だが、彼らは普通では無かった。
彼らの殺人ゲームはすべて彼等自身が犯人として実行したリアルな事件ばかりだったのだ。
しかも、既にそれぞれがゲームの出題者として参加しており、これはプレイヤーが全員殺人者であることを示していた---。

月日が経ち、過去にこのゲームの参加者のひとりだった初代aXeこと尾野が逮捕されて以来、ゲームの存在は公になった。
今ではあちこちにこのゲームの参加者が表立ってではないが存在している。
中には尾野らオリジナルメンバーに憧れそのスタイルを取り入れた者達もいた。

そんな、ある日の問題。
出題者はホッケーマスクの怪人「aXe」。
彼は「ヒーローは選ばれた者がなるんじゃない。なった者がヒーローと呼ばれるんだ」と自説を開陳。
そのまま、自身の犯罪を語り始める。

それは、とある男性を殺害した事件。
「aXe」によれば、男性の死亡時刻に自身はまったく別の場所に居てアリバイがあったと主張。
このアリバイ崩しに挑戦するよう動画の視聴者に挑戦する。

そう、この出題は動画を用いて為されていた。
それも不特定多数に向けてネット上で。
もちろん、このような不道徳な行為が認められる筈がなく、アップされては削除されるという運命をこの動画は送ることになる。

さて、そんな経緯でこの動画を入手した人物が居る。
三坂だ。
三坂は年間200冊を読むミステリ通の友人・嵯峨島にこの動画をプレゼントし、推理を迫る。

嵯峨島は推理に挑戦すると、三坂に自身の推論を述べようとする。
だが、出題者でも無い三坂で正誤が判断できるのか?
三坂によれば、解答がアップされた形跡はないが解答と思しき推理をとある掲示板で見つけたと言う。
何でも、この動画を見た視聴者が各自で推理を持ちよりある程度の解答を得たらしい。
しかも、ご丁寧なことに解答と思われる推理に対し支持率ごとのランキングまでつけてあった。

嵯峨島は感嘆するやら呆れるやら、とりあえず自身の推理を明かすことに。
まずは、@「aXeのアリバイが被害者の隣人が深夜に聞いた音から成立していること」を指摘。
そして、A「その時刻にaXeがまったく別の土地で動画を撮影していたこと」を指摘する。

つまり、この2点のどちらかに作為が含まれていると判断したのだ。

嵯峨島は@の音に注目、被害者宅にあったロボットによる工作を疑う。
ロボットをコントロールし遠隔操作で音をたて殺害時刻を誤認させたと推理したのだ。

しかし、この推理は既に幾人もが気付いていた上に支持率が低く、三坂によれば1位では無いと言う。

戸惑う嵯峨島は次の推理を披露。
今度はAの動画に注目、アリバイとされる映像が被害者宅にほど近いよく似た別の場所で撮影したと主張。

だが、これも既に推理されていた。
しかも、やっぱり1位では無いと言う。

もしや……と思いつつ嵯峨島が次に挙げた推理は突拍子もないものだった。
それは「アリバイを作る為にaXeが一から町を作り上げた」というもの。
流石にコレは無いだろうと苦笑する嵯峨島だが……。

やはり、これも既に推理されていた。
しかも、支持率2位だと言う。

コレで支持率2位!!では1位の推理とは一体!?
いぶかしむ嵯峨島に三坂は支持率1位の解答を明かす。

それは「隣人が音を聞いた時刻こそが被害者の殺害時刻である」との前提に基づくもの。
事前に被害者を眠らせておき、本をうず高く積みあげるとその上に被害者を横たわらせる。
近くには携帯を置いておくことも忘れない。
その上でaXeは自身のアリバイを成立させると携帯に電話。
バランスを崩した被害者ごと本が床に叩きつけられ被害者が死亡したとの推理だった。

唖然とする嵯峨島。
そんな不確かな……と呟くが三坂は平然としたもの。
もともと明確な恨みや憎悪による殺意があって殺害しているワケでは無い以上、aXeは確実に殺害する必要はないと語る。
つまり、成功したから問題になったのであり、失敗したならば成功するまで手を変え品を変え、あるいはターゲットを変更してでも問題として成立するまで試行錯誤を繰り返しただけだ、と。

三坂によればそれはaXeの次の言葉にも現われていた。
「ヒーローは選ばれた者がなるんじゃない。なった者がヒーローと呼ばれるんだ」

そう、「高度な問題だから成功させ出題したのではない、高度な問題として成功したから出題した」のだ。

おそらく、遠からずこの出題者グループは逮捕されるだろう。
ネット上に動画を上げるなど派手に活動し過ぎている、証拠は多い。
だが、そんなことなど露ほども気にかけない三坂はaXeの真似をしてこの物語を締めるのだった―――エンド。

「密室殺人ゲーム・マニアックス」連載中の「メフィスト 2010 VOL.3 (講談社ノベルス)」です!!
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