<あらすじ>
これは、加賀恭一郎(阿部寛)が人形町に赴任する、約2年前のお話――。
闘病生活を送る加賀恭一郎の父・加賀隆正(山崎努)のもとへ、松宮脩平(溝端淳平)が見舞いに訪れていた。捜査一課に配属になったばかりの甥から、近況を聞き出す隆正――。そんな隆正の“束の間の楽しみ”といえば、担当看護師との将棋であった。 松宮が足繁く病院に通う一方で、実の息子である恭一郎は、一向に隆正を見舞おうとはしない。そんな従兄弟の姿に、松宮は不信感を覚えていた。
とある日の夜のこと。
仕事中のサラリーマン・前原昭夫(杉本哲太)は、今日も自宅に帰るのをためらっていた。家に帰れば認知症の母親と、いつからか口も聞かなくなってしまった家族がいる…。そんな事実が、昭夫の心に重くのしかかっていた。と、そこへ、普段なら電話をかけてくるはずもない妻・八重子(西田尚美)からの着信が――。電話に出ると、八重子はいつになく取り乱しており、「とにかく帰ってきて欲しい」という。嫌な予感を胸に抱きながら、自宅へ戻った昭夫が庭で目にしたものとは――見知らぬ少女の遺体だった!
状況を掴めぬまま八重子を問い詰めると、どうやら少女の死に息子・直巳(泉澤祐希)がかかわっているという。八重子に背中を押され、「家族を守るため」に昭夫がとった行動とは…!?
そして、この事件を担当することになった加賀と松宮は、コンビを組むことに。
『家族』とは何なのか。「平凡な家庭」に起こった悲劇を通じてみえてくるものとは――!?
(TBS公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
少女を殺害したのは息子・直巳らしい。
驚き慌てた昭夫は警察に通報しようとするが……。
通報すれば自殺すると八重子に脅された昭夫。
仕方なく、少女の死体を近所の公園にある公衆トイレに運び込むことで容疑者の網を広げ不特定の人物による犯行に見せかけようとする。
翌早朝、少女の死体が発見され事件化する。
少女の名前は春日井優菜。
近所の小学校に通う7歳の少女だった。
この捜査に練馬西署に勤務していた加賀が乗り出す。
加賀は近所の聞き込みの為に前原家を訪問、昭夫と対面する。
前原の母・政恵を見かけた加賀は政恵の行動と前原家の芝から前原を疑う。
一方、加賀の訪問に動揺した八重子は自分が自首することを決意。
だが、昭夫は「それでは直巳は救えない」と悪魔のような計画を立てる。
その頃、昭夫の母・政恵は口紅で指を真っ赤に染めていた……。
加賀の従兄弟である松宮脩平は加賀を嫌っていた。
入院し余命幾許も無い加賀の父・隆正を加賀が見舞わないからだ。
父の居ない松宮は隆正を父親のように慕っていた。
そんな松宮の目から見れば、加賀が母をひとりぼっちで死なせた隆正を許さないことは納得できないことだった。
松宮はそのことで加賀に詰め寄るが加賀の態度は素っ気ない。
しかも、今回の事件の犯人を「人間じゃない」と批難する松宮を加賀は窘めるのだった。
その頃、当の隆正は看護師相手に将棋の勝敗を競っていた……。
加賀の後輩で記者になった青山亜美も今回の事件に興味を持ち調べていた。
青山は加賀に「こんな残酷な事件の犯人は人間ではない」と言うが、加賀は「それでは事件の上っ面しか見ていない」と否定する。
死体遺棄現場の自転車の轍。
昭夫が直巳の部屋を自室と偽ったこと。
優菜の靴紐の結び方。
前原家の芝生が優菜の遺体に付着していた芝と合致。
優菜が好んだスーパープリンセスというアニメ。
加賀の捜査は少しづつ成果を上げ、前原家に迫って行く。
それに対し、昭夫は遂に計画を実行に移す。
その計画とは認知症の母・政恵を犯人に仕立てることだった。
判断能力のない政恵ならば罪を犯したとしても軽い罪に問われるに留まると考えたのだ。
加賀を家へと招いた昭夫は政恵を告発する。
加賀は政恵の赤く塗られた指を目撃し昭夫の嘘を見抜く。
加賀の態度をいぶかしむ松宮に加賀は「前原家にはまだ秘密がある。それは彼らの手で暴かれねばならない」とした上で「まだ事情を聞いていない関係者がいる」と直巳への聴取を促す。
松宮は直巳を追及。
スーパープリンセスの話題を持ち出し直巳を問い詰める。
逃げ出す直巳、庇う八重子と昭夫。
そこへ現れたのは加賀に呼び出された昭夫の妹・春美。
加賀は昭夫の前で今後殺人犯として政恵が受けるであろう処遇を語る。
それは恐ろしく辛いものであった。
さらに政恵に手錠をかけるよう松宮に指示する加賀。
それでも昭夫は見守っている。
そんな昭夫に加賀は政恵の指に塗られた口紅から昭夫の虚偽を指摘する。
春美によれば、政恵の指は優菜殺害前日時点で赤く塗られていた。
その手で優菜を殺害すれば優菜にも口紅が付着する筈だ。
“赤い指”―――そこを問われた昭夫は口ごもる。
しかも、政恵の杖に昔自身が作った手製プレートを見出した昭夫はついに心が折れる。
ここに昭夫は「政恵が犯人ではない」と告白する。
八重子は昭夫を批難するが「初めから無理だったんだ……」昭夫は涙ながらに訴える。
それを聞き錯乱する八重子。
それを横目に春美に頬を打たれる昭夫。
「まだ、気付かないの?」春美の言葉に呆然とする昭夫。
そんな昭夫に春美は真相を明かす。
実は政恵は認知症ではなかった。
八重子たちに疎んじられた為に鬱々とし、認知症を演じるようになったのだ。
政恵は今回の事件についても憂慮しており、昭夫を止める為に要所要所で姿を見せたり、加賀にそれとなくサインを示したりと行動していた。
“赤い指”すらも政恵が昭夫に対して送り続けたメッセージのひとつだったのである。
母の深い愛情を思い出した昭夫は政恵と抱き合い謝罪、直巳の犯行であると遂に口にする。
こうして直巳は逮捕された。
後日、直巳が優菜をスーパープリンセスで誘い自宅で殺害したと記者会見が行われる。
事件の背景もじょじょに明らかになりつつあるようだ。
こうして事件が解決した頃、隆正にも死期が迫っていた。
看取る松宮とその母。
ふと窓から外を見た松宮の目に加賀の姿が映る。
隆正の死を確認し、加賀のもとへと向かう松宮。
加賀は松宮に自身の想いを述べる。
政恵が認知症の演技をしたのは亡き夫の気持ちを知りたいとの願望があったのかもしれない。
父は母をひとりぼっちで死なせたことを後悔していた。
父は自分を許せなかった。
そこで父は自身も母と同じくひとりで死ぬことを望んでいた、と。
死後、やっと顔を合わせる加賀父子。
看護師から隆正の将棋の真の相手が携帯を経由して指し手を指示していた加賀だと明かされ、松宮は加賀父子の愛情の深さを知るのだった。
優菜の墓前。
加賀と青山が居た。
青山は直巳と面会し、彼の犯行に至った動機について記事にしようと思うと語る。
以前に犯人は怪物だと断言していた青山だが直巳に会い、その考えは変わって来ているらしい。
あれから直巳は少しづつだが自身の事を省みるようになっていた。
墓前を去る加賀たち、そこへ入替りにやって来る人影があった。
杖をつく老女とそれを支える二人の夫婦。
前原一家である。
彼等は初めてひとつの家族となっていた―――エンド。
<感想>
加賀恭一郎シリーズ7作目「赤い指」(東野圭吾著、講談社刊)のドラマ化。
シリーズには他に「卒業」、「眠りの森」、「どちらかが彼女を殺した」、「悪意」、「私が彼を殺した」、「嘘をもうひとつだけ」、「赤い指」、「新参者」がある。
ドラマ原作となるシリーズ7作目「赤い指」はネタバレ書評(レビュー)ありますね。
興味のある方はどうぞ!!
・「赤い指」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
他にはシリーズ8作目となる「新参者」ネタバレ書評(レビュー)もあります。
・「新参者」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
ドラマ版「新参者」ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
・「新参者」(TBS、2010年)
さらに東野圭吾先生による加賀シリーズ最新作(第9作)「麒麟の翼」も発表されました。
2011年3月発売予定だそうです。
・東野圭吾先生による加賀シリーズ最新作(9作目)タイトル判明「麒麟の翼」に!!
さて、ドラマ版「赤い指」。
脚本は櫻井武晴さん&牧野圭祐さん。
牧野さんはドラマ版「新参者」のスタッフ。
櫻井さんはドラマ「相棒」でもお馴染みの方ですね。
ちなみに櫻井さんは管理人を3日間塞ぎ込ませた8話「ボーダーライン」の脚本担当でもあります。
・「相棒season9」第8話「ボーダーライン」(12月15日放送)ネタバレ批評(レビュー)
その脚本だけあり原作モノとして丁寧な作り。
ただ、原作が原作として完成されていただけにオリジナル要素(青山亜美関連)は蛇足かと思われたものの、あれがかな〜〜〜り後味の悪さを解消していたように思えます。
特に、直巳関係がかなりマイルドになってましたね。
原作通りだと相当きつかった筈。
「なんで庇わねぇんだよ!!」や「(逮捕直前、親に向かって)大丈夫って言ったじゃないか嘘吐き!!」など直巳関連には名言(迷言)が多く、特に連行される直前には八重子に暴力を振るうシーンもあったので相当後味が悪くなっていた筈。
ただでさえすっきりしない物語なので、些かご都合主義的なきらいはありますが視聴者的には救われたのかもしれません。
もっとも、優菜の両親ら被害者家族にとっては直巳が1人の弱い人間であるとされればされるほど余計に救いのない物語となりそうですが……。
ここは「相棒」でも何度か描かれたように難しいところです。
原作が親子愛だとすれば、ドラマ版は家族愛を重視したのかなと感じました。
それにしても、「白夜行」や「夜明けの街で」映画化もあるし、東野先生作品の進出ぶりはまさに「凄い」の一言。
興味のある方はこちらも過去記事よりどうぞ!!
<キャスト>
加賀恭一郎・阿部 寛
青山亜美・黒木メイサ
松宮脩平・溝端淳平
◆
前原昭夫・杉本哲太
前原八重子・西田尚美
田島春美・富田靖子
小林主任・松重豊
前原政恵・佐々木すみ江
◆
金森登紀子・田中麗奈
◆
加賀隆正・山崎努
(TBS公式HPより、敬称略)
◆東野圭吾先生関連過去記事
【「白夜行」&「幻夜」&「夜明けの街で」映像化ニュース】
・東野圭吾先生「白夜行」映画化に続き、「幻夜」がWOWOWにてドラマ化決定!!
・東野圭吾さん原作「白夜行」日本版映画化決定!!
・東野圭吾先生原作「夜明けの街で」が2011年映画化、キャストは近日公開!?
【東野圭吾先生原作ドラマ関連】
・金曜プレステージ 東野圭吾スペシャル 探偵倶楽部「大ヒット原作ドラマ化!名探偵最強コンビ誕生!大物社長突然の失踪に隠されたセレブ一族の醜い骨肉の争い…消える死体…驚愕密室トリックを暴け!」(10月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・2夜連続ガリレオSP「ドラマレジェンド ガリレオエピソードΦ」(12月28日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
・「流星の絆」(TBS系、2008年)
・「新参者」(TBS、2010年)
【東野圭吾先生著作ネタバレ書評(レビュー)】
・容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版
・「新参者」(東野圭吾著、講談社刊)
・「探偵倶楽部」(東野圭吾著、角川書店刊)
・「白夜行」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「幻夜」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「殺意取扱説明書(毒笑小説より)」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「夜明けの街で」(東野圭吾著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
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たとえば直巳の逮捕の場面ですが、原作では加賀が直巳を無理やり連れ出し、いとこである松宮に「このバカガキを連行しろ!」とイラついた様子で対応していたはずです。
ドラマでは、加賀はあくまで見守る側であり、父の昭夫が直巳を説得させて警察へ連れて行くわけですから、こっちのほうがまだ救いがありそうです。
原作も、せめてこういう展開だったら良かったのにと思わずにいられません。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
ご指摘の通り、ドラマ版の方が人情を重視しているような印象。
そして原作、ドラマ版、それぞれにそれぞれの魅力がありますね。
その点で、原作とドラマの関係として理想的なのかも(^O^)/!!