<あらすじ>
ルポライターの浅見光彦は淡路島で、無念の憤死を遂げた早良親王の取材をしていた。常隆寺という古刹で、明石海峡を渡るフェリーで出会ったニット帽の中年の男(江藤潤)と再会したが、男は浅見と短い会話を交わした後、山門に向かった。
住職の小松(逢坂じゅん)によると、ニット帽の男は檀家でもないのに白く柔らかな陶肌のつぼを預かってほしいと依頼してきたという。亡き父親の骨つぼで、法外なお布施を置いていった。
「旅と歴史」編集部で藤田編集長と話していると、浅見はテレビニュースにくぎ付けになった。板橋区内で発生した殺人事件、被害者はエメラルド製薬に勤める龍満智仁(江藤潤)という男だった。浅見が淡路島の常隆寺で出会った男で、刃物による刺殺だった。
浅見が龍満家を訪ねると、妻の麻里(棟里佳)が対応した。夫の智仁の父は一年前に亡くなり、龍満家の菩提寺である山口県長門市の極楽寺に納骨が済まされているという。警察は智仁が殺害された日、同じマンションで窃盗事件があり、顔を見られた空き巣が凶行に及んだのではないかという見解だ。
浅見に常隆寺の小松住職から電話がかかってきた。智仁の従姉妹の石森里織という女性が遺骨を引き取っていったという。だが、その後、智仁の部下の田口信雄という男が奥さんの代理で遺骨を引き取りたいとやって来たというのだ。浅見が智仁の妻の麻里に尋ねると、石森里織という従姉妹はおらず、田口に遺骨の引き取りを頼んだ覚えもないという。
浅見がエメラルド製薬に田口を訪ねると、田口は二日前に栃木県の渡良瀬川支流の餅ヶ瀬渓谷で遺体で発見されたことがわかった。死因は毒物による急性中毒死だった。
浅見が淡路島の常隆寺を再び訪ねる。小松住職によると、石森里織は五十年配の女性だという。だが、浅見が田口信雄の写真を見せると、石森里織の後に訪ねた男とは別人だというのだ。
浅見は龍満智仁の通夜で、智仁の父親の浩三がエメラルド製薬の役員だったと知る。そして、不審な喪服の年配女性(朝加真由美)に気づいた浅見は彼女を追うが、こつぜんと消えてしまった。芳名帳を見ると、石森里織という名前があり、住所は書かれていなかった。
謎の女性の正体は? そして、二つの殺人事件には常隆寺に預けられた骨つぼが絡んでいる。あの骨つぼが萩焼ではないかと推測した浅見は事件の真相にせまるべく山口県長門市に向かう。龍満家の菩提寺、極楽寺の和尚によると、智仁の父、浩三の分骨などしていないという。浅見は淡路島の常隆寺に納められたつぼを求め、萩焼の里を巡る。浅見は江月窯という窯元で、森恵子(原史奈)という女性と出会う…。
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
萩へ向かった光彦。
骨壷を探し求めるうちに江月窯の水差しを骨壷に代用していたと知る。
江月窯を訪ねたところ、森恵子という女性と出会う。
恵子は窯の職人として働いていた。
恵子が龍満家に縁のある人間と判明。
しかも、恵子は元エメラルド製薬の社員だった。
そんな折、医師協会の会長である加賀の秘書・岡溝が田口を名乗り常隆寺を訪れていたことが明らかに。
岡溝は元刑事で諭旨免職の経歴があった。
岡溝と常隆寺を訪れた謎の人物が加賀ではないかと疑う光彦。
エメラルド製薬時代に恵子が経理に在籍していたことも分かる。
同時に田口の息子が臓器移植を待つ立場と聞く光彦。
龍満は田口の悩みを真摯に聞いていたらしい。
田口の妻に話を聞いたところ、移植の件について田口は明確な伝手があったらしいことが分かる。
どうも、骨壷の秘密を金に換えようとしていたらしい。
兄から加賀に戦中の4年間の経歴が無いことを聞かされた光彦は、そこに何らかの秘密があるのではと考える。
被害者が足尾で殺害されたこともあり、足尾銅山を思い浮かべる光彦。
足尾銅山を調べたところ、加賀が戦中の4年間に足尾銅山で医師として勤務していたと判明。
しかも、当時の加賀は防疫研究室にも在籍していた。
兄からの忠告も払いのけ調査を続ける光彦は、山口で行われた加賀の叙勲式に潜入。
加賀に戦中の経歴について質問をぶつけてみることに。
平然としていた加賀だが、司会が読み上げた一文に急に顔色を変える。
それは祝電だった。
「足尾銅山時代からのよしみ〜〜〜」栃木県知事・石森と名乗る人物からのメッセージに激しく動揺する加賀。
その様子にただならぬものを感じた光彦は、芳名帳を確認し、そこに石森里織の名前を見つける。
受付で人相風体を聞くや慌てて会場を捜す光彦。
今回の石森の正体が恵子であると知る。
年配の女性と恵子、石森は二人いるのか?
恵子が加賀の予定について調べていたと明らかに。
加賀の滞在が数時間と知った光彦に、加賀が石森からの手紙で呼び出されたとの情報が。
こうして加賀を追う光彦。
龍満家の墓前で骨壷を見つけた加賀は回収しようとする。
そこへ現れる恵子と年配の女性。
岡溝は排除しようとするが光彦が割り込む。
戦中、足尾銅山で行われていたのは人体実験だった。
銅山の鉱夫たちが防疫研究所の実験対象となっていたのだ。
加賀は過去の過ちが露見するのを怖れていた。
年配の女性は加賀を批難する。
彼女の名は君枝。恵子の母で加賀の娘だった。
加賀に世話になった浩三が影ながら生活を支援していた。
龍満智仁は浩三が骨壷に隠し持っていた資料を正義感から公開すると決める。
加賀に告発を示唆した智仁だったが、岡溝の手により殺害される。
だが、偶然に龍満宅で盗難が起こった為に強盗による犯行と思われてしまった。
しかし、智仁と親しかった田口は真相を看破。
子供の移植手術費用を捻出する為に加賀を脅迫するが口封じに殺害されてしまう。
骨壷の存在を知った岡溝はそれを追うが、加賀の実娘・君枝により回収されてしまっていた。
娘が自身の意に反していることを知った加賀だが、娘には手が出せない。
悩んでいるうちに光彦の介入を招き、ついに真相が暴かれてしまったのだ。
その場を去った加賀と岡溝は自殺してしまう。
父である加賀の死を知り、涙する君枝。
加賀は戦中の自身の行いを後悔しており、そんな自身との血縁を否定することで君枝に娘としての愛情を示していたのだった。
恵子が隠していた骨壷を手にした光彦は、智仁の遺志を感じ恵子を励ますのだった。
恵子はそんな光彦の目の前で壺の中身―――すなわち、証拠資料をすべて燃やし尽くすのだった―――エンド。
<感想>
原作は内田康夫先生「遺骨」(角川書店刊)。
1997年1999年に角川書店版、2001年角川文庫版、2007年文春文庫版が刊行されました。
原作「遺骨」あらすじは―――
殺害された製薬会社の営業マンが、密かに淡路島の寺に預けていた骨壺。事件後、それを持ち去った謎の女性。さらに寺に現れた偽の製薬会社社員―。取材中に被害者と出会っていた浅見光彦は、錯綜する謎の接点を求めて、童謡詩人金子みすゞゆかりの地・山口県仙崎へ向かう。そこには、生命の尊厳と倫理を脅かす驚愕の真実が…。脳死、臓器移植など、最先端医療の原罪を追及する浅見、その死生観が深い感動を呼ぶ。
(アマゾンドットコムさんより)
これのドラマ版にして、ドラマ版浅見光彦シリーズ39弾。
過去のシリーズはこちら。
【浅見光彦シリーズ】
・金曜プレステージ「浅見光彦シリーズ第36弾 鐘」(1月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「浅見光彦シリーズ37・長崎殺人事件『肥前路島原・長崎〜父の殺人容疑の陰に悲恋の過去現場に残された短刀と蝶々夫人のロザリオに秘められた驚愕の真実とは?』」(4月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ 浅見光彦シリーズ38最新作・十三の冥府「呪われた津軽王朝〜古代史の謎を追う者は殺される!?20年前の産婦人科で何が起きた?連続殺人事件のカギは子守歌」(9月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
さて今回は……
黄金法則は健在。
@疑われる主人公
A主人公の身分(社会的地位)判明
Bあっさり信用を得る(水戸黄門の印籠状態)
これが無いとシリーズの気がしないな。
それにしても、ラストが納得いきませんね。
スッキリしない。
智仁の遺志を継いで資料を公開するのかと思いきや、継ぎながらも破棄するって……!!
智仁、無駄死にじゃん。
結局、龍満家が告発しようとした加賀の行為を加賀の血をひく恵子が隠滅したのはマズイだろう。
光彦ならば第三者なんだから分かるけど、恵子は当事者の一族だぞ。
いろいろ問題ありそうな気が……。
それと石森里織は君枝の母の名前でいいのかな?
なんかそれらしいことを言ってたような気がするが……ワカラン。
あと、智仁の行動にも説得力が必要かと思う。
もっと、理由を掘り下げて欲しいなぁ。
全体的に、肝心な情報がおざなりに扱われ過ぎていた印象でした。
ちなみに2011年3月5日には「名探偵★浅見光彦ワールド!横浜ミステリーWalk」が開催予定。
こちらは「横浜殺人事件」がベースとなるらしい。
・2011年3月5日「小説舞台を巡る“名探偵★浅見光彦ワールド!横浜ミステリーWalk”」開催!!
さらに浅見光彦シリーズは2012年に完結する旨を内田康夫先生が宣言されています。
こちらの動向も注目です。
・内田康夫先生から浅見光彦シリーズ完結宣言が!!「最後の事件」は2012年に!!
<キャスト>
中村俊介
原 史奈
朝加真由美
江藤 潤
逢坂じゅん
剣持直明
藤田瞳子
小倉久寛
佐藤仁哉
中山 仁
榎木孝明
野際陽子 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
◆関連過去記事
・あなたに内田康夫先生の本に登場する権利を上げよう!!by大日本印刷&角川書店
・名探偵・浅見光彦さん、卒業証書授与される
【内田康夫先生著作関連記事】
・「死線上のアリア」より「死あわせなカップル」(内田康夫著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
【内田康夫先生原作ドラマ】
・金曜プレステージ 内田康夫ミステリー・湯布院殺人事件「遺産相続を巡る旧家の呪い霧の里で起こった骨肉争いに次々人が消える犯罪心理のプロ和泉が暴く悲しい家族の怨念待望の新シリーズ!」(11月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜ブレステージ「内田康夫旅情サスペンス岡部警部シリーズ〜シーラカンス殺人事件〜幻の魚奇跡の捕獲に仕組まれた完全犯罪物言わぬ生きた化石のみが知る陰謀とは!?」 (11月27日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「内田康夫の福原警部 フグハラ体型の警部と美人刑事の殺人捜査“幸せなカップル”の心中の理由」(6月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他関連過去記事】
・2010年6月12日、世田谷部文学館にて内田康夫先生講演会開催!!
・5月30日まで開催されていました「ミステリーウォーク2010『記憶の中の公園』」についての記事です。
浅見光彦の住む町で推理に挑戦!?
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