<あらすじ>
二宮早紀(名取裕子)は港南医大・法医学教室の准教授で、神奈川県警から監察医を委託されている。夫の一馬(宅麻伸)は横浜東署の警部で、2人の間には愛介(佐野和真)という大学生の息子がいる。また、一馬には七海(由紀さおり)という叔母がいて、時々二宮家に現れては引っ掻き回していくので、早紀にとってはありがたい相手ではない。
早紀と一馬の23回目の結婚記念日の前日…。早紀は、“冷凍された遺体の検視”というこれまでにない奇妙な依頼のために、とあるパーティー会場に駆けつけた。
その日、会場では横浜にある女子高校の同窓会が開催されていたのだが、出席者の4人宛てに送りつけられた大きな包みから、冷凍遺体が出てきたというのだ。その遺体は、23年前に首を吊って自殺した同級生・真島ひとみ(田代りさ)のもので、宛て先には、ひとみと同じ美術クラブだった4人――女実業家・山下恵美(江口ともみ)、ガラス工芸作家・村木美冬(七瀬なつみ)、病院事務員・倉田智子(大路恵美)、主婦・工藤明菜(ちはる)の名が書かれていた。
まもなく、冷凍倉庫会社を営んでいたひとみの父が、別荘に備えた冷凍庫に娘の遺体を保管していたことがわかるが、その父親は半年前に他界していた。いったい誰が何のために、冷凍遺体を運び出して会場に送りつけたのか…!? ひとみは当時、クラブの顧問に恋しており、その教師が結婚して学校を去ったショックで自殺したということだったが、遺体の解剖に当たった早紀は、口の中に歯の矯正器具を無理に剥がしたような跡があることを不審に思う。
事件は、それだけでは終わらなかった。なんとその夜、遺体を送られたメンバーのひとり、山下恵美が廃工場で死体となって見つかったのだ。
死因は鈍器で殴られたことによる脳挫傷だったが、顔には3本の斜線のようなナゾの圧迫痕が残されていた。現場の廃工場は23年前、ひとみが自殺した場所で、恵美の夫・益男(黒田アーサー)によると、彼女は冷凍遺体を送りつけた犯人を突き止めてやると意気込んでいたという。
その夜は結婚記念日を祝って、早紀たち夫婦は豪華客船のワンナイトクルーズを予約していたが、殺人事件の発生により一馬はドタキャン。ひとり寂しく乗船した早紀は、その船で言葉を発しない少年・優斗(小林海人)と知り合う。
彼は、大道芸人の父親・児島誠一(中村橋之助)と共に船内で開催されるショーに出演していたが、その船にはなんと冷凍遺体を送られた4人のうちの2人、村木美冬と倉田智子が乗り込んでいた。
まもなく、美冬がコインランドリーに置き去った1000万円の現金を、優斗が持ち去る事件が起きる!いったい美冬たちは1000万円を誰に渡すつもりだったのか…!?
やがて、児島と4人の意外な関係が明らかになるが、さらなる殺人事件も発生して…!? はたして23年前の自殺の真相とは…!? そして今回の連続殺人の関係は…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
1000万円入りの紙袋を持って逃げ出した優斗だったが、一馬に捕まる。
優斗は心的外傷によるPTSDのために、父親である児島以外と言葉が交わせなくなっていた。
児島は「優斗が拾ったので届けようとしただけ」と説明。
そんな中、優斗にさくら草のかぶれの痕跡を発見する早紀。
さくら草は山下恵美の死体発見現場にも咲いていた。
優斗は現場に居たのか?
早紀の鑑定の結果、優斗のかぶれが現場のさくら草によるものと断定。
事件当夜、児島と優斗が現場に居たと明らかになる。
児島が山下恵美たちの通っていた“ひかり女学園”の教師だったと判明。
当時、児島は美術クラブのメンバーの着替えを盗撮ビデオに収めたとして追放されていた。
その盗撮被害者が恵美、美冬、智子、明菜、ひとみの5人。
一馬は恵美たちが児島を罠に嵌めたと推理し、児島の過去を洗う。
学園を追放された児島は妻の実家を頼り塾を開いていた。
だが、そこでも噂がたったために優斗がイジメに遭い、PTSDに繋がっていたと分かる。
しかも、やはり児島の盗撮が冤罪らしいことも判明。
盗撮被害者とされる恵美たちの自作自演の疑いが浮上したのだ。
捜査本部は、今回の殺人が児島による復讐では無いかと考える。
一方、児島本人はひとみから自殺前に謝罪の電話を貰っており既に済んだことと語るが……。
児島犯人説を唱える部下たちを抑え、もうひとつ裏があると読む一馬。
山下恵美の顔の圧迫痕が児島宅前のマンホールの絵柄(ベイブリッジ)と合致。
早紀は恵美の殺害場所が廃工場では無く、どこか別の場所と考える。
こうして、ベイブリッジ柄のマンホールが隈なく探索されることに。
警察犬をも導入した大規模捜査が続く中、恵美の夫・益男が保険金の受取人だったことから容疑が浮上。
さらに、ひとみ関連で美冬や智子、明菜へも疑惑を抱く一馬。
警察犬による捜査が奏功し、美冬のアトリエ前のマンホールから恵美の血痕が発見される。
美冬に事情を尋ねる一馬だったが、直後に事件当夜には当のマンホールが盗まれていたと発覚。
犯人が廃工場にマンホールを持ち込み殺害した恐れが浮上したのだ。
一馬は犯人が法医学に知識があり、圧迫痕も気付かれることを見越して罠を仕掛けたと判断。
マンホールを使い慣れた児島や夫が法医学に明るい明菜を疑う。
一方、早紀は以前に自らが参加したセミナーに智子が参加していたことを思い出し智子に接触。
智子もまた法医学に興味を持っていたのだ。
問い詰める早紀、そこへ児島が現われ智子に大金を返却する。
なんでも、ワンナイトクルーズ中のパシフィックビーナスで直接手渡しされたものらしい。
事情説明を求める早紀と児島に智子が語った所によれば、ひとみを名乗る何者かがメールを送りつけ1000万円を要求したらしい。
智子はてっきり児島が脅迫者だと思い込んでいたと言う。
身に覚えのない児島は何者かがひとみを名乗り弄んでいると口にする。
突如、咳き込む児島。
児島は死病に冒されていた。
優斗のためにも生きたいと語る児島に絆された早紀は、病気を伏せることと真相追究を約束する。
そんな折、明菜が姿を消す。
当の明菜は恵美殺害犯を電話で脅迫していた!!
その頃、智子が歩道橋から転落し骨折。早紀の医大へ運ばれる。
児島のことを考えているうちに転んだと語る智子はひとみの自殺の真相を早紀に告げる。
それは過去のひとみの死が自殺では無く他殺であるということだった。
罪の意識から児島に真実を告げたひとみを他の4人が責め立て、首吊りゲームにまで発展し殺害してしまったのだ。
同時刻、明菜が転落死を遂げる。
一馬は明菜の死を他殺と看破。
明菜はカードで大量に買い物をした挙句、アメリカへの航空券まで手配していた。
そんな人間が死ぬ筈がないと言う。
解剖の結果、明菜の掌からジッパーの傷跡が発見される。
早紀は、犯人が屋上で明菜と争いジッパーをもぎ取られた際のものと断定。
児島の病気を知るがゆえに、美冬犯人説を唱える。
だが、児島の病気を公開出来ない早紀は強く主張出来ない。
そんな中、児島の病気が悪化。
ついに倒れてしまう。
そのまま死亡してしまう児島。
早紀は疑惑の中に散った児島の仇討ちを誓う。
深夜―――益男が何かを掘り返していた。
手応えを感じ、スコップを放り投げる益男。
その手には矯正器具の入ったビニール袋があった。
児島を亡くした優斗が行方不明になり、スタッフ総出で行方を捜すことに。
やっと見つけた優斗の足下には「おとうさんはむじつ」との言葉が書き込まれていた。
それを見てさらに決意を堅くする早紀。
その頃、美冬は益男と密会していた。
益男はひとみの遺品である矯正器具を手に美冬を脅迫、青酸カリによる服毒死を強要しようとする。
美冬はひとみ殺害時にひとみに噛まれておりDNAが残ることを怖れて恵美に隠滅を指示していたらしい。
それを益男が入手したのだ。
美冬を羽交い締めにし、無理矢理に青酸カリを呑ませようとする益男。
ところが、美冬の思わぬ反撃に遭い背中をナイフで刺されてしまう。
翌朝、益男の死体が発見。
死因は心臓を一突きされたことによる即死だった……。
ひとみの矯正器具とナイフの指紋から美冬が拘束される。
しかも、益男宅からジッパーの壊れたジャージが発見され、捜査本部は益男と美冬の共犯説をとる。
しかし、一馬はマンホールの蓋を使い美冬に疑いを向けようとしている人物がいることを重視。
犯人は美冬以外の別に居ると推理する。
その頃、早紀はひとつの壁にぶつかっていた。
凶器のナイフから、益男と美冬以外の指紋や掌紋が検出されなかったのだ。
凶器に触れずに人を殺すことは出来るのか?
悩む早紀だったが、自宅での愛介と七海のやりとりから「まな板とトンカチ」を使うことに気付く。
思いついたら即実験。
早速、ギプスを使いナイフを打ち込むことに。
犯人は金槌と釘の要領でギプスを用いナイフを益男に打ち込んだのだ。
現場に落ちていた硝子繊維がそれを証明していた。
ギプス包帯は硝子繊維で出来ているのだ。
そして、包帯を巻いていたのは……転んだと語っていた智子。
早紀は今回の事件が益男と智子による交換殺人であると結論付ける。
電動ノコによりギプス包帯を隠滅されることを怖れた早紀は智子を追う。
スタジアムへと追い込まれた智子は、動機を明らかにする。
ひとみの事件以降、他の3人に比べ成功出来なかった智子はそれを恨みに思っていた。
そこで意趣返しにひとみの遺体を送りつけたのだ。
しかも、智子は益男と不倫関係にあった。
現場を恵美に押さえられた智子は益男のアリバイを作り、自身で恵美殺害を決行。
次いで脅迫してきた明菜を益男に殺害させた。
最後に美冬も殺害するつもりだったが、益男が失敗した為に口封じの殺害に切り替えたのだった。
不意を突き早紀に襲い掛かる智子だったが、駆け付けた一馬により止められる。
「児島のためにやった」と今更ながら供述する智子に「身勝手な!!」と憤る早紀。
こうして事件は解決した。
優斗との別れの日が来た。
早紀が児島の無実を告げたそのとき、奇跡が起きた!!
「ありがとう」と呟く優斗。
涙ながらに抱きしめる早紀。
後日談。
美冬はひとみ殺害の罪には問えないが社会的制裁を受けたらしい。
優斗は誰とでも明るく話す元気な子供に戻ったとのことだった。
そして、一馬と早紀に日常が戻って来た―――エンド。
<感想>
「愛介に恋人・くるみの存在が発覚!?」な本作。
くるみの件は次回にも引っ張るのでしょうか?
そして、一馬さん。
推理が冴えている割には容疑者が結構ブレる。
視聴者代表みたいな役割なのかな?
それと中村橋之助さん熱演でしたね。良しです。
智子が犯人であることは美冬のマンホール辺りから大体見当がついたのですが、よもやの益男共犯にはビックリしました。
何気に展開が急だったのも印象的かなぁ。
なかなか良かったような気がするので中の上くらいかな。
そして来週は椎名桔平さんによる「殺人予告」。
原作のネタバレ書評(レビュー)はこちら。
・「殺人予告」(安東能明著、朝日新聞出版刊)ネタバレ書評(レビュー)
果たしてこの通りに展開するのか?
アレンジあるのかな?
楽しみです。
◆関連過去記事
「法医学教室の事件ファイル」シリーズはこちら。
・土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル 殺人犯は私の夫絶体絶命の女医vs疑惑の新妻!OKサインを出す死体…謎の爪痕と深さ=速度÷距離?の検証」(9月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル 女医VS水曜日の絞殺魔!蟻の死体解剖が殺人トリックを暴く 砂糖+コーンスターチ殺意の合成」(1月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【名取裕子さん出演作はこちら】
・パナソニックドラマシアター「ハンチョウ〜神南署安積班 シーズン2」1話「あのチームが帰って来た!涙…母の手錠」(1月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)!!
・木曜ミステリー 京都地検の女スタートスペシャル「母を殺しにきた天才画家!上海〜京都、34年目の再会が招いた殺意!!二つの名を持つ女の謎」(10月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
二宮早紀:名取裕子
二宮一馬:宅麻 伸
児島誠一:中村橋之助
倉田智子:大路恵美
七海:由紀さおり
村木美冬:七瀬なつみ
工藤明菜:ちはる
山下恵美:江口ともみ
山下益男:黒田アーサー
検見川博:尾崎右宗 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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