<あらすじ>
美術品のオークション会場で、浦沢右は喜多川歌麿の浮世絵の精巧な贋作を目にした。謎の天才贋作家Kの手によるものだった。その翌朝、鴨川べりで日本画の大家・山科圭一郎(西園寺章雄)が遺体で発見される。遺体の指には歌麿の贋作と同じ江戸期の浮世絵に使われた絵の具がついており、白石亜子たちは山科がKではないかと疑いを持つ。そして、見つかったアトリエには贋作に使われた材料が残されていたことから、亜子たちは、Kは山科であると判断。さらにはその判断を裏付けるように「贋作を作った責任を取る」という遺書が出てきた。しかし、以前Kと電話で話したことのある右は納得できない。そこに、Kから警告のメッセージが。山科がKではなかったことを確信し、再び山科のアトリエを訪ねた右は、スケッチブックを発見する・・・。
(NHK公式HPより)
では、続きから(重複アリ)……。
美術品のオークション会場で、右(財前直見)は喜多川歌麿の浮世絵の精巧な贋作を目にする。
それは、謎の天才贋作家・Kの手によるものだった。
翌朝、鴨川で日本画の大家・山科圭一郎(西園寺章雄)が遺体で発見される。
毒物による自殺と思われた。
遺体の指には、クチナシなど歌麿の贋作と同じ江戸期の浮世絵に使われた絵の具が付いており、亜子(南野陽子)たちは山科がKではないかと疑いを持つ。
山科の指から検出された材料から深い藍色が出来ることに気付いた右。
例の歌麿の絵にも同じ色が使われていたことを思い出す。
直後、オークション会場から例の歌麿の浮世絵の贋作が盗まれる。
山科は「川辺の女」という作品を最期に10年前から美術界を引退していた。
右は山科が贋作を作るとはどうしても信じられない。
「川辺の女」が展示されている画廊のオーナーによれば、一月ほど前に山科が何やら思い詰めた様子でやって来たという。
さらに、山科が絵の具を買ったとの話も聞いたことがない以上、贋作を行っていたとは思えないと語る。
山科のものと思われるアトリエから贋作に使われた材料が発見。
亜子たちはKが山科であると判断するが、以前にKと電話で話したことのある右は納得できない。
電話の声は若い男だったからだ。
しかし、亜子の判断を裏付けるように「贋作を作った責任を取る」という山科のものと思しき遺書が出てきてしまう……。
真野たちは贋作を悔いた山科の自殺で決着させようとするが……。
右のもとへKからメッセージカードと花束が贈られてくる。
それにはボイスレコーダーが添付されており「手を引くように」と吹き込まれていた。
山科殺害犯として右の恩師・須藤教授が出頭。
山科の事件を再捜査させる為の苦肉の策だった。
真野は須藤の目的を察し困惑する。
同じ頃、右は山科のものと思われるアトリエからスケッチブックを発見する。
そこには自身の似顔絵や京都周辺の景色が描かれていた。
右はKの正体を突き止めるべく奔走し始める。
山科が葛城家の墓に参っていたことが判明。
右はそこで葛城澪の名を目にする。
澪こそは「川辺の女」のモデル。
過去、山科と交際していたが捨てられたらしい。
しかも、10年前に亡くなっていた。
曜子が、盗まれた歌麿の贋作を持ち込んで来る。
東山の骨董屋から入手したらしい。
通常の捜査で見つからなかっただけに捜査員たちは曜子の底力に感心する。
贋作についた指紋から林透という人物が浮上。
同時刻、右のもとに何者かから電話がかかって来る。
その夜、右が浦沢骨董店前で何者かにより拉致される。
現場を目撃した曜子はすぐさま亜子たちに連絡。
亜子は現場に残された右の携帯を確認、右がKとの会話を録音していたことを知る。
その中では、Kにより「警告を無視したので野蛮な手段をとる」と宣言されており、それに続き右の「満足?父親を殺して満足?」という声が残されていた。
父親とは一体?
一方、拉致された右の前に現れたのは画廊のオーナー。
オーナーは10年前からKの相棒らしい。
オーナーはバイヤーだったのだ。
林が捕まり取り調べを受ける。
林によれば、一年前に壊滅した筈の“白いアカシヤ”の命令で動いているらしい。
同じ頃、オーナーは右を殺害しようとしていた。
どうも、右の出現によりKの気が変わり、オーナーと仲違いしているようだ。
そこで、オーナーは右を排除しようとしていた。
しかし、間一髪、謎の男が現われオーナーを気絶させる。
その男こそKだった。
その頃、曜子は歌麿の贋作を購入した骨董屋を締め上げていた。
結果、“白いアカシヤ”のメンバーで美術商の野上の名が浮上する。
Kの贋作が“白いアカシヤ”の資金源となっていたのだ。
亜子たちは右の監禁場所へと急ぐ。
手鎖をされた右はKと対峙、調べ上げたすべてをぶつける。
Kは山科と葛城澪の息子だった。
そして、山科の最高傑作「川辺の女」はKの作品だったのだ。
Kはそれを山科の名前で発表し、山科は絶賛を受けた。
結果として山科は画家生命を絶たれることに。
すべては、山科に捨てられたKの復讐だった。
山科は10年前に引退してより息子を捜し続けていた。
そして、つい先日。
とうとう息子の贋作工房に辿り着いた。
其処こそは山科のものと思われていたあのアトリエ。
そこで息子に謝罪した山科は贋作を止めるよう説得した。
だが、受け容れられなかった為に自身が贋作者であると罪を引き受け自殺したのだった……。
Kは自論を語る。
「本物に何の意味があるのか?それを贋作だと知らない限り贋作は存在しない。贋作を世の中に生みだすのはそれを贋作だと鑑定した人間である」と。
反論する右。
「結局、それは父親への復讐に過ぎない。父親を失ってしまった今、あなたは贋作を描けない」
冷やかに聞き流すKだったが、次の一言に顔色が変わる。
「何故、自分の絵を描かないの?葛城伸介さん」
暫くして―――亜子たちが現場に駆け付ける。
そこには右が残され、Kこと葛城伸介の姿は無かった。
右に怪我が無いことを確認し「良かった、本当に良かった」と喜ぶ亜子。
そんな亜子に「ありがとう」と礼を述べる右。
二人が友情を確認し合った瞬間だった。
数日後、北斎の展覧会場。
新発見された北斎の肉筆画の前に右と亜子が居る。
「これですね……」右が呟く。
「葛城伸介は今もまだ贋作を描き続けているのね」亜子の言葉に頷く右。
「山科さんは何の為に死んだのか……」溜息と共にその場を歩き去る二人。
二人の去った床には、ポツンと名刺入れが残されている。
それを拾い上げる男性の姿、名刺入れの中からは右の名刺が。
顔を上げた男、彼こそはKこと葛城伸介だった。
会場の外へと出て来た二人。
嬉しそうに名刺を渡そうとする右だが、肝心の名刺入れが見つからない。
そんなこんなで探し物の最中に、亜子宛に電話が。
それは事件を告げるものだった!!
こうして、右と亜子の二人は今日も京都の街を駆け巡るのだった―――最終話了。
<感想>
ついに最終回です。
では、今回の感想を。
1話で語られていた「天才贋作家K」の物語でした。
内容は、どことなく「木曜ミステリー」テイストでしたね。
そして、最終回ということでしたが、華美に走ることなく地に足のついた堅実なまとめでした。
こういうの好きです。
Kの素性は明らかになったものの、捕まえられなかっただけに余韻を残した終わりとなりました。
これも、これまで視聴し続けた立場としては感慨深いものがありましたね。
全体的に良かったです。
「フェイク」全体の総評として、全6話は如何にも短かったように感じられました……。
折角、右と亜子のキャラクターに血が通い始めたと思った矢先に最終回なのは残念です。
そして、アクションやリアクションが不自然なほど大きいキャラクターの動かし方をするドラマが多い中、比較的自然な動きを見せるこのドラマは貴重な存在でした。
清涼感と透明感を併せ持つドラマだけに強烈な個性やインパクトに欠けたようにも見えますが、管理人はそこが利点であり特徴だと思います。
そんな「フェイク」全6話を視て感じたことはひとつ。
大きな可能性を秘めたドラマだな、と。
もちろん、現状でも完成度は相当高い。
でも、放送を通じて気にかかった次の2点をクリアすればもっと良かったかも。
@1話あたりの情報量が多い。
Aサブキャラクターのバックボーンが判然としない。
たぶん、@A共に時間的制約から生じたと思われます。
Aはあるいはテーマに集中する為に意図的に削ったのかもしれません。
これらをクリアすれば、今以上にグイグイ惹き付ける作品になりそうな予感がします。
@は、シナリオ面をもっと練り込みつつ45分の枠に収まるようさらにシェイプするか、逆に枠を拡大する。
情報よりは登場人物の心理面を重視するべきかと思います。
Aについても、サブキャラクターに焦点を当てた回があれば良かったかな。
特に「フェイク」は1話完結なので登場人物が多い。
必然的にキャラクターの印象が薄くなるので、Aがあれば強調出来たかも。
「フェイク」は右の知識と推理力がメインとはいえ、基本美術品が本テーマの筈なのでサブキャラクターとの関連性も描き易いと思います。
例えば亜子や右の母・曜子、真野などを中心にした回があれば……。
なにしろ、亜子の祖父の遺した茶碗や、曜子の過去に関わる古美術品、真野の淡い恋の記憶と絡む掛け軸など……ストーリー展開は自在なのですから。
長々と述べましたが、要はそれだけ管理人好みのドラマでした。
それだけに、全6話というのは惜しい。
もっと、視たい!!
是非、シーズン2として続編を願いたいと思います。
一方、このドラマ10枠ですが3月22日、29日、4月5日には、あの「探偵Xからの挑戦状」が帰ってきます。
当ブログでも過去記事で何度も取り上げたアレです。
詳細は下記過去記事よりどうぞ。
こちらにも期待!!
・「探偵Xからの挑戦状!」が3度帰って来る!!シーズン3放送決定!!出題者には北村薫先生、貫井徳郎先生、米澤穂信先生と豪華作家陣の名が
◆関連外部リンク(外部サイトに繋がります)
・「フェイク〜京都美術事件絵巻」公式HP(NHK公式HP)
http://www.nhk.or.jp/drama/fake/
・「フェイク〜京都美術事件絵巻」公式ブログ(NHK公式ブログ)
http://www.nhk.or.jp/drama-blog/1060/
◆関連過去記事
・2011年1月4日からスタートされるNHKドラマ10は「フェイク 京都美術事件絵巻」に決定!!脚本は「相棒」や「科捜研の女」で知られる岩下悠子先生に!!
・NHKドラマ10「フェイク〜京都美術事件絵巻」1話「幻の伊藤若冲」(1月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・NHKドラマ10「フェイク〜京都美術事件絵巻」2話「信長の油滴天目茶碗」(1月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・NHKドラマ10「フェイク〜京都美術事件絵巻」4話「尾形乾山誘拐事件」(1月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・NHKドラマ10「フェイク〜京都美術事件絵巻」5話「能面の告白」(2月1日放送)ネタバレ批評(レビュー)
こちらもフェイク!!
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