<あらすじ>
警視庁蔵前西署刑事課の警部補・柳原明日香(泉ピン子)は、かつて警視庁がプロファイリングを捜査に取り入れはじめた時期に、現場で活躍したエキスパート。夫の本庁捜査二課の柳原良輔は5年前、大手商社・富嶽商事の脱税事件を追いかけていた最中、不可解なひき逃げ事故に遭い亡くなった。明日香は、仕事の合間を縫ってひき逃げ事故の真相を追っていたが、突然それまで長年勤めていた警察学校の教官を解任され、蔵前西署に異動させられていた。
ある日、所轄内で、体の至る所が鋭利な刃物により傷つけられ、腹に“ジャックナイト”と刻まれた女子短大生・坂口晴代(早乙女ルイ)の死体が発見された。
不可解な事件にベテラン刑事も戸惑う中、かつて警察学校で明日香の教えを受けてプロファイリングを学んだ警視庁心理捜査一課の若手心理捜査官・吉村爽子(田畑智子)は、犯人像について分析結果をのべた。しかし、“足で稼ぐ捜査”主義のベテラン警部・大貫裕也(佐藤B作)から、その根拠の正確さを求められ対立する。
そこで、かつての教官だった明日香に爽子の分析について意見が求められた。すると、「甘く採点して…30点」と辛口の評価が。理由を詰め寄る爽子に対し、明日香は「この場合は動物虐待の前歴があると考えられる」とだけ言い残す。爽子はその言葉をヒントに手がかりを探していく。
しかし、犯人は警察の捜査をあざ笑うかのように第2の犯行に及ぶ。ある日、朝刊に「栗原智恵美さんのご冥福をお祈りします。新田純也」との死亡広告が…。その2日後、広告のとおり橋の下に吊り下げられた栗原智恵美(星野あかり)という大学生の死体が発見されたのだ。
2つの殺人事件の関連について調べを進めていくと、殺害された2人の女性から希少種・メキシコウサギの獣毛が採取された。
明日香の指摘通り、動物で2つの事件がつながった。さらに明日香は、犯人が残した言葉…“ジャックナイト”も“新田純也”もイニシャルにすれば“J.N.”になることに気づく。
そんな中、殺された智恵美が大学の売春組織「さくら倶楽部」に関わっていたとの報告があがる。交友関係や売春組織の顧客とのトラブルの有無を中心に捜査を進めていくと、やがて売春組織のリーダーらしき人物として光輝大学法学部二年、三枝由加(沢井美優)の名前が浮かんでくる。偶然にも由加は明日香の夫・良輔が生前追っていた脱税事件の大手商社・富嶽商事の顧問弁護士、三枝康三郎(橋爪淳)の娘だった。
謎が謎を呼ぶさなか、なぜか警察内部から爽子の由加への捜査にストップがかかる。それでも手がかりをつかもうと張り込みをする爽子だが、突然暴漢に襲われてしまう!
凶悪な連続女子学生殺人事件の真犯人は…? さらに謎のまま葬られた明日香の亡夫のひき逃げ事件の真相とは…? 背景にある“黒い悪の影”とは…?
スリリングな展開と謎解きに最後まで目が離せない!
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
二人の被害者の衣服に付着していたメキシコウサギの毛に気付いた明日香は犯人が動物虐待を行っているとプロファイルするも、捜査本部では受け容れられない。
警視監の式部や刑事課長の田原などの妨害にもめげず捜査を続ける明日香たち。
三枝由加に関連して襲われた爽子だが、三枝家の前にあったタイヤ痕に注目。
結果、カーレーサーの岸龍一が捜査線上に浮上する。
明日香のプロファイルと岸の特徴は完全に合致していた。
直後、岸と思われる焼死体が発見。
しかし、明日香と爽子は岸の心理から自殺はありえないと判断。
偽装自殺と考え、黒焦げ死体の主は別人と考える。
大貫の捜査により、付近の山ちゃんと呼ばれる人物が行方不明になっていることから明日香たちは岸がやって来ると考え待ち伏せすることに。
そこへ付近の木に女性の死体が吊るされているとの通報が。
そちらへと向かう明日香たち、ひとり残った爽子だが……吊るされた女性の死体はマネキンだった!!
岸の罠に気付き、駆け戻る明日香たちだが、爽子の前には岸が現われる。
岸を追う爽子の前に恐ろしい光景が。
拘束された三枝由加を岸が今にも殺害しようとしていたのだ。
動機はさくら倶楽部に関連しての恨みらしい。
止めるべく飛びかかる爽子。
大貫も戻ってきたことで事無きを得る。
こうして、連続殺人の犯人・岸が逮捕され事件は終了した。
翌朝、刑事課長の田原は新聞で事件が解決したことを初めて知り驚愕。
そこへやって来た明日香は田原に真相を話すよう促す。
爽子を襲った犯人は田原だったのだ。
捜査を撹乱する為だったらしい。
明日香は田原に今回の事件の捜査を混乱させた張本人を尋ねる。
そこで浮上した意外な名前とは……?
三枝と式部の密会現場に現れた明日香は三枝を騙し席を外させた後に式部へと詰め寄る。
張本人は式部だった。
富嶽商事を追求し遂に証拠を掴んだ夫・良輔だったが、富嶽商事と通じ邪魔に思っていた式部が情報を流し、排除に協力していたのだ。
式部は「(富嶽商事と通じた事は)仲間の天下り先を確保する為に仕方がなかった」と弁解。
具体的な証拠を持たない明日香にはこれ以上の追及は出来なかった……。
数日後、式部は謎の辞任劇を演じることになる。
明日香のプレッシャーが式部を心理的に追い詰めたのだ。
こうして、良輔の仇を討った明日香。
爽子や大貫に支えられ、またも捜査の日々に戻るのだった―――エンド。
<感想>
原作は黒崎視音先生「警視庁心理捜査官」(徳間書店刊)。
あらすじだけで相当エグイです……。
<あらすじ>
・上巻
このホトケはまるで陳列されているようだ…抉られた性器をことさら晒すポーズ、粘着テープ、頭部からの夥しい流血。臨場した捜査一課に所属する心理捜査官・吉村爽子は犯人像推定作業を進める。警察小説に新風を吹き込むと絶賛された傑作。
・下巻
女を辱めながら嬲り殺すことに快感を覚える犯人の暴走は止まらない。一方、心理捜査官・爽子は、捜査本部の中で孤立を深めていた。存在自体を異端視される中、彼女は徐々に猟奇殺人の核心に迫る。息をもつかせぬ展開、そして迎える驚愕の結末。
(アマゾンドットコムさんより)
ネタバレ書評(レビュー)あるので興味のある方はこちら。
・「警視庁心理捜査官(上・下)」(黒崎視音著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
続編に同じく吉村爽子を主人公とする連作短編集「警視庁心理捜査官 KEEP OUT」があります。
<あらすじ>
警視庁の「心理応用特別捜査官」だった吉村爽子。世を震撼させた連続猟奇殺人事件を見事に解決したが、現場主義の組織と幾多の軋轢を生んだ。結果、爽子は強行犯係主任として所轄署に異動となった。さらにアクの強い刑事たちとの地道な捜査活動の日々。だが、爽子の心理捜査官としての眼は、平凡に見える事件の思わぬ真相を決して見逃さなかった。
(アマゾンドットコムさんより)
こちらもネタバレ書評(レビュー)ありますので興味のある方はこちら。
・「警視庁心理捜査官 KEEP OUT」(黒崎視音著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
では、早速、ドラマ版の感想をば。
ここから管理人による批判が始まります。
不快になるかもしれません、注意すること。
原作と主人公が違いますね……。
原作では主人公は吉村爽子。
柳原明日香はシリーズ続編である連作短編集「警視庁心理捜査官 KEEP OUT」に出て来るキャラクターです。
正直、「警視庁心理捜査官」は爽子視点だからこそ成立している物語なのでこの時点でどうかなと。
しかも、ストーリーを無理矢理組み合わせた為に話がグチャグチャ。
猟奇殺人犯・岸があっさり登場しあっさり退場するなど、本筋にも関わらず「なんじゃそりゃ」な展開が目立ちました。
別に式部が捜査を撹乱する必要は無いし、岸があのような殺害方法を取る必要も猟奇的だから以外に物語上には存在し無いのもドラマ版の傷か。
何より、猟奇なテイストを持ち込みつつも、全体的にあっさりしすぎて無意味になっているような気がします。
本当にテイストだけと言うか……。
さらに、人情モノならば人情モノに、逆に推理モノならば推理モノに、プロファイルモノならばプロファイルモノとして確立すべきところ、このドラマはそのどれもが中途半端だったことも痛かった……。
バランスを取るなら取るで成功している作品もあるのですが、これはそれにも失敗している感じ。
この点、原作の「警視庁心理捜査官」の方が物語としては破綻も無くしっかりしています。
書評(レビュー)では批判だらけでしたが、流石は小説だったんだなぁ……とドラマを視つつ感心しきりでした。
管理人は、「あの書評(レビュー)は正しい」と今でも信じていますが、このドラマを視れば原作の良さが分かる、そんなドラマでした。
改めて原作を読むのもアリかもしれません。
そういえば、原作には短編のストックがまだあるのであれをドラマ化するのはアリかもしれないなぁ……ただし、今度は改変なしで原作に忠実に作るとの条件付きですが。
<キャスト>
柳原 明日香(やなぎはら あすか):泉ピン子
○
吉村 爽子(よしむら さわこ):田畑智子
○
田辺 博道(たなべ ひろみち):ベンガル
藤島 直人(ふじしま なおと):佐野泰臣
三枝 由加(さえぐさ ゆか):沢井美優
遠野 信冶(とおの しんじ):小島よしお
三枝 康三郎(さえぐさ こうざぶろう):橋爪 淳
○
式部 小次郎(しきべ こじろう):六平直政
○
大貫 裕也(おおぬき ゆうや):佐藤B作 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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