2011年02月18日

「警視庁心理捜査官(上・下)」(黒崎視音著、徳間書店刊)

「警視庁心理捜査官(上・下)」(黒崎視音著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

・上巻
このホトケはまるで陳列されているようだ…抉られた性器をことさら晒すポーズ、粘着テープ、頭部からの夥しい流血。臨場した捜査一課に所属する心理捜査官・吉村爽子は犯人像推定作業を進める。警察小説に新風を吹き込むと絶賛された傑作。

・下巻
女を辱めながら嬲り殺すことに快感を覚える犯人の暴走は止まらない。一方、心理捜査官・爽子は、捜査本部の中で孤立を深めていた。存在自体を異端視される中、彼女は徐々に猟奇殺人の核心に迫る。息をもつかせぬ展開、そして迎える驚愕の結末。
(アマゾンドットコムさんより)


<感想>

黒崎視音先生のデビュー作にして「吉村爽子シリーズ」の第1巻。
シリーズには他に連作短編集「警視庁心理捜査官 KEEP OUT」がある。
興味をお持ちの方は本記事最下部のアマゾンさんのリンクからどうぞ!!

そんな黒崎視音先生は性別不明の覆面作家さんです。
正体不明の作家さん。

ここから感想になりますが、批判的なモノとなっています。
正直、目にして不快になる恐れがあります。
あくまで、管理人個人の感想です。
趣味嗜好には個人差があることをご理解の上で先へお進みください。


この黒崎先生。
技巧、語彙力ともに優れた作家さんかと思いますが、「警視庁心理捜査官」シリーズに関してはあんまり……です。

描写に問題があるワケでは無い。
設定に難があるワケでは無い。
ストーリー展開に齟齬があるワケでは無い。

だが、この小説には肝心の“華”がない。
冗長に状況が語られる割に、真に迫るものがない。
結果、あんまり面白くない。

それはよく似た設定で華のある小説と比較すれば明確だろう。
例えば、誉田哲也先生「ストロベリーナイト」を読めばすぐに分かる。

「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

どこが似ているかと言えば。

@主人公が女性。
A能力は抜群にある。
Bだが、男性社会の中で認められず、孤立し苦労する。
C過去にトラウマがある。
D犯人はシリアルキラー。
E主人公は犯人に捕まり危機一髪。

などなど。
ざっと挙げただけでこれくらい。
もっと共通点はありそう。

にも関わらず、「ストロベリーナイト」に比べて「警視庁心理捜査官」は物語に没入できない。
小説としては辛い……。

ところが、「警視庁心理捜査官」は2000年。
「ストロベリーナイト」は2006年。
実は発表年は「警視庁心理捜査官」の方が先駆なんです。

つまり、アイデアや設定的には「ストロベリーナイト」に先駆けているワケで優秀なんだよなぁ。
でも、面白味には欠けている……。
勿体ない……。

もっとも、類型的に似た小説は他にもありそうですし、結局のところ、両者とも「新宿鮫」みたいなハードボイルド小説の主人公を女性に置き換えたと理解すれば、割とよく見かけるものかもしれません。
それでも、「ストロベリーナイト」には読者を惹きつける力があるし、「警視庁心理捜査官」にはそれがないと感じたのは事実。
この差は大きい。

ちなみに「警視庁心理捜査官」は、月曜ゴールデン「警視庁心理捜査官・明日香」として2月28日放送予定。
主演は泉ピン子さん。

そうなんです。
原作と違いドラマ版は、吉村爽子が主人公ではないのです。
なんと、シリーズ続編「警視庁心理捜査官 KEEP OUT」の9話「至急報」に出て来る柳原明日香が主人公となっています。

この改変が吉と出るか凶と出るか?
要注目です!!

2011年3月1日追記
月曜ゴールデン「警視庁心理捜査官・明日香 夫の無念の死を胸に腐敗した警察機構への女一人での復讐…女子大生通り魔殺人事件の血文字に隠された意外な真実とは…」(2月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)追加しました。リンクよりどうぞ!!

◆関連過去記事
・シリーズ続編「警視庁心理捜査官 KEEP OUT」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「警視庁心理捜査官 KEEP OUT」(黒崎視音著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

<ネタバレあらすじ>

凶悪な連続女性殺害事件が発生。
吉村爽子も捜査に乗り出す。

その後も被害者が出続け、捜査本部は組織による犯行も視野に入れ始める中、犯人と思われる秋田という男が死亡する。

こうして事件は解決かと思われたが、爽子は犯人を追い続ける。
結果、秋田の知人・岸こそが真犯人であると分かる。

過去にトラウマを持つ爽子は乗り越える為に、恋心を抱く藤島を頼らず独力で岸を追い、逆に捕らわれる。
嬲られ続ける爽子。

しかし、爽子の心理を読んだ藤島が危機一髪駆け付ける。
こうして、岸は逮捕されるのだった―――エンド。

「警視庁心理捜査官 上 (徳間文庫)」です!!
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続編「警視庁心理捜査官 KEEP OUT (徳間文庫)」です!!
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【関連する記事】
posted by 俺 at 00:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自分は警視庁心理捜査官を先に読だので、ストロベリーナイトを読んだ後の感想は設定をぱくってる・・・こんなのあるんだ・・・という驚きと、この内容だと世間受けするんだろうなぁという印象です。
Posted by なおきゅう at 2011年05月05日 08:58
Re:なおきゅうさん

コメントありがとうございます(^o^)/。
管理人の“俺”です!!

書評記事では、割と酷評しているので黒崎先生ファンの方は気分を害されたと思います。
すみません<(_ _)>。

管理人は逆に「ストロベリーナイト」から「警視庁心理捜査官」を読みました。
だから、印象が変わるのかもしれませんね。

記事に書いたのは正直な気持ちです。
これは、先に読んだ「ストロベリーナイト」の影響が大きいのかも。
その作品を知る順番って大きいのだろうと思います。
Posted by 俺 at 2011年05月06日 00:32
はじめまして。
私は「警視庁心理捜査官 KEEP OUT 」を読んでから、「警視庁心理捜査官」上下を読みました。それから「ストロベリーナイト」を読み進むうちに、これって「警視庁心理捜査官」の設定と瓜二つだわ! それから残念な気持ちがまだまだ続いています。
 
番外:泉ぴんこさんが「柳原明日香」役をしたおかげで、本のイメージが壊された。もう少し役のイメージを大切にしてほしいわ。
Posted by 桃のまま at 2014年07月04日 21:42
Re:桃のままさん

こちらこそ初めまして!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

黒崎先生ファンの方には不快な思いをさせてしまい申し訳ないです。
やっぱりその作品を知る順番って大きいのかもしれませんね。

ドラマ版は原作とは別のイメージですね。
Posted by 俺 at 2014年07月07日 00:15
こんばんは(^^♪

 不快な思いはしていないのですよ。かえってお返事いただけて嬉しいです。


”俺”さんの読書の数々に圧倒されてしまいました。
遅まきながら、今プログを読んでいる最中です。
色々なジャンルに富んで、読みごたえがあり楽しんでおります。
では〜。

Posted by 桃のママ at 2014年07月08日 20:47
Re:桃のママさん

こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

そう仰って頂けるとありがたいです。
当ブログの書評は読書傾向的に些か偏りがありますが、それも含めて楽しんで頂ければ物凄く嬉しいです(^O^)/!!
Posted by 俺 at 2014年07月10日 00:48
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