2011年02月24日

「相棒season9」第16話「監察対象 杉下右京」(2月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「相棒season9」第16話「監察対象 杉下右京」(2月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season9」第16話「監察対象 杉下右京」(2月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)。

相棒1


<ネタバレあらすじ>

米沢(六角精児)が酷く恐縮している。
目の前には一人の女性。
デート?……いやいや、二人の間には2メートルの物理的な距離同様に「調べる者」と「調べられる者」の大きな壁があった。
米沢は聴取を受けているのだ……。

右京(水谷豊)に対する差出人不明の告発状が監察室に届けられた。
そこで、出張中の大河内(神保悟志)に代わって、監察官の栞(堀内敬子)が右京への監察官聴取を開始する。
右京の捜査方法について違法性がないか調査を始めたのだ。

栞は手始めに右京の周囲の人間から聴取を開始。
鑑識課の米沢を呼び出し、右京と神戸(及川光博)が現在関わっている殺人事件について聴取を始める。
それが冒頭の光景だったというワケだ。

右京たちが現在関わっている事件とは、ネット証券の寵児で、最近では脱税の噂が浮上していたアルタイル証券会社社長・金谷(後籐光利)の事件。

西新宿のマンションで金谷の遺体が発見されたこの事件。
米沢(六角精児)にかかってきた電話で事件を知った右京は、神戸と現場へ。

早速、右京たちに事件の情報を洩らした米沢を批判する栞。
米沢は右京が捜査に関わるのは興味のあるものだけと弁明。
「ネット界の寵児&脱税疑惑の渦中の人物」だからこそ、捜査に乗り出したのだと説明する。
しかし、栞にその説明は通用する筈もなく……恐縮する米沢は話を進める。

捜査一課はPCに残された遺書や、青酸化合物による服毒だったことから自殺と判断。
第一発見者であるアルタイル証券会社の佐橋専務から事情を聞くことに。
金谷の妻から連絡があり、確認に来て死体を発見したらしい。
彼によれば、このマンションは金谷の愛人との密会用の隠れ家だと言う。

捜査一課ではなく、右京が率先して佐橋に尋ねたと米沢に聞いた栞はそこを批難。
米沢は「右京が居たからこそ、殺人事件と判明した」と力説。
初動捜査成功は右京あってこそと語る。

金谷が死の直前に株価のチェックをしていたこと、コーヒー用に沸かしたお湯が自殺するには多過ぎたことから、右京は他殺を疑う。
その提言を受けてPCのキーボードを調べた結果、指紋が検出されないキーを発見。
つまり、犯人がPCを使用したことがはっきりしたワケだ。
金谷は自殺を装われ殺害されたのだ……。

次の聴取は伊丹(川原和久)。
アルタイル証券に向かったところ、右京が先回りしていたと言う。
職務執行法違反を口にする栞は、右京たちが捜査一課に随員したことも批難する。
栞は右京たちが捜査一課の身分を偽ったと判断したのだ。
そんな栞の批判を聞き流すと伊丹は事件について語り出す。

金谷の社長室を訪れた一行。
佐橋の取り調べを行う伊丹の横で、右京は金谷がクレー射撃の大会で優勝したトロフィーを気にかける。
それは東日本クレー射撃大会の優勝トロフィーだった。
右京の様子に苛立つ伊丹……。

「(右京が)事情聴取を妨害したのでは?」との栞の指摘に、プライドを傷付けられた伊丹は容疑者になりうる人物はきちんと聞き出したので聴取は成功したと主張。

そんな中、通話履歴から帝都新聞の記者・森井孝次郎が浮上。
米沢が森井の存在を右京へ報せた可能性を口にする伊丹。
だが、米沢は「教えてはいないが、右京ならばパッと見ただけで覚えてしまう」と弁明したらしい。
それを聞いた栞は、米沢の捜査資料持ち出しを指摘する。

伊丹たちが森井を訪ねると、既に右京たちが来ていた。
金谷に独占取材しようとしていたと言う森井。
事件当日、午前3時35分に電話をかけていた。
金谷の西新宿のマンションの存在を右京が尋ねると知らないと答えるが……。

ここで聴取を切り上げて捜査に戻りたいと語る伊丹。
監察官聴取に非協力的な伊丹を栞は批判するが伊丹は平気なモノ。
右京との関係をあげつらわれても、「捜査に利用できるモノは何でも利用するだけ」とその場を去ってしまう。

次は角田課長(山西惇)。
拳銃密輸の疑いで不動産会社を見張っていたところ、右京たちがやって来たと言う。
角田はその会社の社長・千堂について右京に聞かれ情報を提供したらしい。
角田によれば、千堂には千葉という荒事担当の腹心が居ると言うが……。
千堂が企業脅迫を得意としていることなどを特命係に教えたと聞いた栞は角田も批判する。
右京は昔から現在の捜査方針を貫いていた。
いまさら匿名の告発状で動く栞に角田は懐疑的な様子……。

今度は神戸。
神戸はのらりくらりと栞の批難の矛先を避わす。
「右京が金谷の死を殺人と看破したのはいつか?」と質問する栞。
その質問に神戸は「少なくとも遺書やコーヒー以前だろう」と返答する。
金谷の隠れ家を愛人との密会場所と説明した佐橋。
しかし、余りにも簡素に過ぎるその部屋は愛人との密会場所としては不適切だった。
嘘を吐いた以上、佐橋専務が隠し事をしているのは明らかだった。
それをその場で明かさなかった理由について問う栞。
神戸は「(右京には)その理由も見当がついていたからだろう」と答える。

右京は、金谷が取得した利益を千堂に流したのではと疑っていたのだ。

千堂を訪ねた右京たち。
金谷を知らないと語る千堂に、東日本クレー射撃大会を持ち出す右京。
二人はさまざまな射撃大会に出場し優勝を争っていた、知らない筈がない。
ここで千堂と金谷に特別な関係があると確信したのだろうと神戸は語る。

オルカ製薬、上新銀行など、千堂が企業脅迫していた会社と金谷がメール会員としていた会社が一致。
つまり、千堂が企業脅迫し得た情報をもとに金谷が投資していたのだ。
明らかなインサイダー取引である。
金谷の西新宿のマンションは金谷と千堂の密会場所だった。

ここで帝都新聞の森井記者に再度注目する右京。
森井のデスクにて森井が金融関連やインサイダー取引の本にチェックを入れていることを確認。
さらに、森井の手帳を盗み見る。
金谷の西新宿のマンションの住所と殺害された日時がその手帳には記されていた。
右京は万年筆を落としたふりで森井に拾わせ指紋も採取する。

西新宿のマンションを知らないと語っていた森井の言葉は嘘だった。
しかも、事件当夜、金谷のマンション近くで防犯カメラに映る森井も確認される。

ここまで聞いた栞は「社会部記者でも金融関連に興味を持っていても不思議ではないのでは」と批判する。
さらに、これらの情報を捜査一課に教えず占有した右京を猛烈に批難。

ここで栞へ大河内から電話が。
「帰ったら主席へ報告させて貰います」と応対する栞。
電話後、神戸と大河内の関係を持ち出し皮肉る栞は、後ろ盾(小野田のこと)が無くなったからこうなったと語って聞かせる。
副総監一派による工作を疑う神戸に、警察庁に戻るよう奨める栞。

栞が手強いことを右京に伝える神戸。
右京は「心してかかる」と告げる。

いよいよ、栞と直接対決する右京。
刑法違反、職務執行法違反を盾に右京へ詰め寄る栞。
右京はあっさりそれらを認める。
釈明する気はないのか……そう思われたとき、右京は今回の事件の続きについて語り出した。

今回、鍵を握る人物連の中でもっとも右京が気にかけたのは森井だった。
「森井記者を執拗に聴取したのは何故か」と詰問する栞。
右京は森井こそが本事件におけるキーマンであることを打ち明ける。

防犯カメラや手帳の件で追い詰められた森井は、事件当日、金谷を訪ねる直前で取材をキャンセルされことを明かし、金谷殺害については無関係だと主張。
これを右京は認める。

その上で「なぜ、森井のみ金谷に独占取材可能だったのか?」。
そこに注目した右京はその理由を森井に問う。

右京は始めから森井を疑っていなかった。
取材対象を殺害する筈も無いし、アクシデントにしても毒殺は似合わない。
だが、森井はやはりキーマンだったのである……。

金谷と千堂は影で繋がっていた。
出会いはクレー射撃である。
そして、インサイダー取引へと発展した。
事件の根は此処にある。

森井が独占取材可能だったのは金谷と千堂の関係に気付いていたからだった。

捜査二課はインサイダー取引で金谷を捜査するつもりだった。
それを森井に聞いた金谷は、保身の為にマスコミの情報操作を行うつもりだった。
自身で罪を認めた上で、千堂に責任を押しつけようとしていたのだ。
この金谷の裏切りをいち早く察した千堂は千葉に命じて金谷を殺害した。

右京によれば、捜査一課が千葉を逮捕に向かっていると言う。
捜査一課には情報を上げていなかったのでは、と驚く栞。
右京は神戸君は肝心なことを勘違いしているようですね……と笑う。

栞の表情がじょじょに翳る反面、右京の表情が輝き始める。
右京は「金谷の事件は単純だった。むしろ、複雑だったのは告発状の方だ」と告げる。
「それも既に理由は判明している」とも。

なぜ、いまさら監察官聴取が行われたのか?
栞と森井は高校時代からの顔見知りだった。
神戸に洩らした「森井が社会部の記者だ」と知っているのは現在も交友がある証拠。
「森井記者を執拗に聴取したのは何故か」とも口にした。
あれは森井の立場からの発言だ。

なぜ、金谷と千堂の癒着を森井が知ることが出来たのか?
そう、森井と栞は男女の関係であり、森井の手柄の為に栞が情報を流したからだ。
しかし、金谷が殺害され森井が容疑者となったことで、森井から情報漏洩の事実が明らかになることを怖れた栞は匿名の告発状を作成し、右京を監察下に置き捜査から遠ざけようとしたのだった……。

そこで栞のプライベート携帯が鳴り始める。
鳴らしたのは右京。
右京は森井のデスクを調べた際に携帯も盗み見し、栞の携帯番号を見つけていた。

不利になった栞は慌てて聴取を打ち切ろうとするが、そこへ大河内がやって来る。
すべては大河内と右京たちによる罠だった。
普段の栞の行動に疑いを抱いていた大河内は匿名の告発状を見て今回の計画を思い立ったのだった。
そして案の定、栞は馬脚を露わしてしまった。

こうして、二つの事件は無事解決。

森井にも国家公務員法違反の追及が及ぶらしい。
森井を庇う栞だが、右京はそんな栞を叱りつける。

金谷の死は栞から情報を入手した森井が発端。
そこに責任を抱くべきだ……右京の弾劾が栞の胸に響く―――16話了。

<感想>

シーズン9第16話。
脚本はシーズン8で4、10、15話、シーズン9では1、2、9、12話を担当した戸田山雅司さん。
シーズン4以降に参加し、映画版にも関与された「相棒」を代表する脚本家のひとり。
シナリオの基本傾向としては、突拍子もない大テーマがメインに据えられるものの、真相は割と小さいところに落ち着くことが多い。
結果として、大山鳴動して鼠一匹なことも割とある……。
ただし、これが嵌まった時の爆発力は凄く、また、話の破綻も少ない。
そんな戸田山雅司さん担当作品のネタバレ批評(レビュー)はこちら。

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さて、今回はというと……。

各キャラが監察官からの聴取に応ずるという形で事件が展開していくのは面白かったですね。
どちらかと言えば、コレは小説的な手法かなと思われますが、米沢、伊丹、角田、神戸、それぞれの右京感やキャラクターが存分に発揮されていました。
金谷殺害事件の捜査と同時に、匿名の告発状の謎をも追及していくスタイルはなかなかのものだと思います。

しかも、今回は小野田退場についても触れていましたね。
台詞のみであっさりとしか触れられていませんでしたが、今後はこういったことも多くなりそう。
特に劇場版が公開終了してそうな最終回では明言されるかな?

演技面では、栞の敵か味方か判然としない抑揚のない淡々とした口調も場を盛り上げていました。
ただ、栞の台詞で一部かすれるところがあったのはご愛嬌でしょうか。
あの口調で長台詞はきつそうだもんなぁ……。

総評として、弾劾すべき立場の栞が、弾劾される筈だった立場の右京により弾劾される。
真の監察対象が栞だった事も含めて逆説的なテーマであり、今回はかなりの良回だと思います。

そして、来週は陣川回。
なにかありそうな予感……。

ぼつぼつ最終回情報が出てますね。
まず、ビッグゲストの存在が示唆されています。

公式ツイッターによれば、久しぶりの登場の方だとか……しかも、鉄の魂の持ち主とされています。
ひょっとして津川雅彦さん演じるあの方?
いや、別のあの方の可能性も……。

次に、撮影場所は埼玉だそうです。
埼玉に関連ある話になるのかな?

さらに、劇場版との関連も想像されます。
シーズン9最終話のシナリオは戸田山雅司さん、輿水泰弘さん。
つまり、劇場版と同じコンビです。
この意味するところは劇場版と最終話がリンクしているということ?
とすれば、小野田官房長関連にも繋がるかも。
ちなみに劇場版はシーズン9の1話よりも過去の物語となります。

そして肝心の劇場版ですが。
現在、映画版「相棒−劇場版U−警視庁占拠!特命係の一番長い夜」がロングラン上映中です。
本来は2月4日までの公開だったんですね。

そんな劇場ノベルス版のネタバレはこちら。

「相棒 ―劇場版2―」(大石直紀著、小学館刊)ネタバレ書評(レビュー)

ノベルス版は劇場版とは異なるラストとのこと。
CMや予告を見るに途中まではほぼ同じらしいが、ある一点で違う。
それが小野田のこと。

なんでも、劇場版では小野田の身に重大なことが起こるらしいのだ。
シーズン9に小野田が登場しないのも伏線らしいが……。
これについては「粋ダネ 相棒」で検索すると詳細が分かる。
(「粋ダネ」とはBS11にて放送の「柳家喬太郎の粋ダネ!」のこと。
番組中で、あるゲストが内容に関わるネタバレをしたらしい)
気になる方は、上記ノベルス版ネタバレ書評(レビュー)にもそれについて補足しているのでどうぞ。

劇場版に関連して2010年12月26日には「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」が放送されました。

「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」ネタバレ批評(レビュー)

他にもオリジナル小説も発売中。
ただ、こちらはオススメしかねるかも……。

「杉下右京の事件簿」(碇卯人著、朝日新聞出版刊)ネタバレ書評(レビュー)

関連書籍も多数登場。
興味のある方はチェック!!

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<キャスト>
●杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係・係長。あまりにも切れ過ぎる頭脳と、何を考えているのか判別できない素行から変人扱いされ、窓際部署の特命係に追いやられた経緯が。しかし、その人事すら本人はまったく気にしてない様子。常に冷静で、どんな相手でも論破できるが、論客が元妻のたまきだと、高確率で敗北。動揺することもしばしば。

●神戸尊(及川光博)
警視庁特命係員。警察庁上層部からの密命の真実を知り、自ら特命係に残ることを志願。
(MSNエンタメさんより)


「相棒season8」やその他の「相棒」情報はタグ「相棒」よりどうぞ!! 

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