ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
正義のために、良心を捨てた女。海堂史上最強の魔女、ふたたび降臨!
桜宮市に暮らす平凡な主婦、山咲みどりのもとをある日一人娘で産婦人科医の曾根崎理恵がおとずれる。子宮を失った理恵のため、代理母として子どもを産んでほしいというのだ。五十歳代後半、三十三年ぶりの妊娠。お腹にいるのは実の孫――この子はいったい、誰の子なの? 医学と母性の葛藤をせつなく激しく描く最先端医療小説!
目次
一章 菊花開 晩秋・寒露二候
二章 楓蔦黄 晩秋・霜降三候
三章 虹蔵不見 初冬・小雪初候
四章 雪下出麦 仲冬・冬至三候
五章 東風解凍 初春・立春初候
六章 菜虫化蝶 仲春・啓蟄三候
七章 牡丹華 晩春・穀雨三候
八章 腐草為蛍 仲夏・芒種二候
九章 半夏生 仲夏・夏至三候
十章 涼風至 初秋・立秋初候
十一章 寒蝉鳴 初秋・立秋二候
十二章 玄鳥去 仲秋・白露三候
(新潮社公式HPより)
<感想>
NHKドラマ10にてドラマ化される本作。
・海堂尊先生原作「マドンナ・ヴェルデ」がNHKドラマ10枠にてドラマ化!!
代理母問題に真っ向から取り組んだ、かなりセンセーショナルな内容です。
ただ、いろいろ詰め込み過ぎて物語的楽しさは余り無いかも。
ちなみにこの「マドンナ・ヴェルデ」、映画にもなった「ジーン・ワルツ」の続編となります。
正確には「ジーン・ワルツ」の裏で何が起こっていたかを代理母・みどりの視点で描いた物語。
そしてこの「マドンナ・ヴェルデ」続編が、生まれた双子のひとりでみどりがシッターとして育てた曾根崎薫が活躍する「医学のたまご」になるらしい。
「医学のたまご」は読んだことが無いので詳しくは知らないんだよなぁ……。
ともかく、本作は「ジーン・ワルツ」を読んでいなければ面白さ半減だと思う。
「あの事件の舞台裏はこうだった」的な物語だから事件自体を知らないと楽しめないのと同じだ。
あのキャラクターが別のキャラクターから見るとこう見える的な楽しみ方の為にも「ジーン・ワルツ」既読が望ましいと思われる。
ちなみにドラマ版のキャスト等詳細は次の通り。
放送局:NHK総合
放送日時:2011年4月12日(火)より
毎週火曜日22:00〜22:48(全6回)放映予定
出演:松坂慶子、国仲涼子、片桐仁、柴田理恵、相田翔子、勝村政信、藤村志保、長塚京三
松坂慶子さんが山咲みどり役を、国仲涼子さんが曾根崎理恵役を演じるとのこと。
<ネタバレあらすじ>
主人公・山咲みどりは、その娘・曾根崎理恵から代理母出産を求められる。
夫・曾根崎伸一郎との仲が余り上手く行っていない理恵を見かねたみどりはそれを引き受けてしまう。
人工授精は無事成功、双子の赤ん坊を妊娠することに。
みどりは、マリアクリニックに入院し出産の時を待つ。
マリアクリニックに関わる様々な人々と交流していくみどり。
理恵が信奉する院長の三枝茉莉亜。
子供の父親に逃げられた青井ユミ。
助産師のみすず。
他のいろいろな人々。
互いに影響を与えあい交流を深めていく。
特に軽くみられがちな青井ユミの本質を見通す力に感心するみどり。
いよいよ、出産のときが迫りつつある中、理恵と伸一郎が離婚を決めていることが発覚。
出産しようともしなくとも理恵は初めから離婚するつもりだった。
みどりは、お腹の子供の行く末を考え込んでしまう。
さらに理恵の狙いを知ったみどりは衝撃を受ける。
理恵の狙いは「代理出産の子供を持つことにより、代理出産制度の是非を世に問おう」とのものだった。
理恵の異名である「クール・ウィッチ(冷徹な魔女)」さながらの行動に怖れを隠せないみどり。
このままでは生まれて来る双子が見せ物にされてしまいかねないと考え娘と対決する覚悟を決める。
伸一郎から親権を委任してもらったみどりは、理恵が唯一耳を貸すであろう三枝茉莉亜の仲介を得て勝負に出る。
理恵の言い分もみどりの言い分も理解できると語る茉莉亜だったが、最終的に情を重んじることを支持。
こうして、みどりの勝利に終わった。
娘からも親権を取り上げ子供たち二人とも自身が育てる決意を固めるみどりだったが、例の青井ユミの直感により、娘・理恵と争うことは必ずしも本意ではないと気付く。
そこでユミの提案により、生まれた子供たち二人をそれぞれみどりと理恵で1人ずつ育てることで落着する。
これには理恵も大変喜ぶことに。
ただし、みどりは代理出産制度の是非を問う道具に子供たちを使わないよう厳しく理恵に約束させるのだった。
出産を無事乗り越えたみどり。
子供たちをカオルとシノブと名付け、自身がカオルを理恵がシノブを育てることに。
理恵の母親としての資質を信じる一方で、自分とカオルの関係性―――祖母であり、実母である―――に想いを巡らせたみどりはカオルに対してあくまで他人として接することを決意。
伸一郎にシッターとして雇用される形でカオルと接していくことを決めるのだった―――エンド。
◆海堂尊先生関連過去記事
【原作映画】
・「チーム・バチスタの栄光」(2008年、日本)ネタバレ批評(レビュー)
・「ジェネラル・ルージュの凱旋」(2009年、日本)ネタバレ批評(レビュー)
【原作ドラマ】
・チーム・バチスタSP2011〜さらばジェネラル!天才救命医は愛する人を救えるか〜「ICUに殺人予告!!愛する人を救えるか?チームジェネラルVS完全犯罪」(1月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他】
・海堂尊さん講演会!!
・海堂尊さんに110万円賠償命令下る
・フジテレビにて放送中「ジェネラルルージュの凱旋」で知られる海堂尊さんを巡る名誉棄損訴訟結論出る!!
・海堂尊先生が教える文章のまとめ方とは?
【関連する記事】
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