2011年03月10日

「相棒season9」最終回(最終話、第18話)「亡霊」(3月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「相棒season9」最終回(最終話、第18話)「亡霊」(3月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season9」最終回(最終話、第18話)「亡霊」(3月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)。

相棒1


<ネタバレあらすじ>

東京拘置所……そこで、1人の死刑囚が刑の執行を待っていた。
「カナリアの娘」事件で逮捕された本多篤人(古谷一行)である……。

本多は、左翼過激派「赤いカナリア」の幹部で1970年代に数多くのテロ事件に関与。
その後、国外に逃亡していたが、娘の茉莉(内山理名)の関わった「カナリアの娘」事件で一昨年密かに帰国。
最終的に、右京(水谷豊)と神戸(及川光博)の活躍で逮捕され、死刑判決を受けていた(season8第1話「カナリアの娘」)。

そんな本多の死刑が執行されたその夜、密かに動き出す一団があった。
その中には死んだ筈の本多の姿も見える。

同時刻、とある路上から多数のアンプルが入ったボックスが回収されていた。
回収の指揮をとる本部のリーダーは誰あろう片山雛子(木村佳乃)その人である。
その傍らには公安調査庁の三田園の姿もある。
アンプル回収の報に緊張が走る本部。
雛子はアンプルの中身を検査するよう指示。
検査の結果、中身は炭疽菌と判明、その場がどよめくが、冷静そのものの雛子は本多の釈放を指令。
ここに本多は釈放された―――。

釈放された本多に歩み寄る人物。
本多はその人物に「鮎川」と呼びかける。
呼びかけられた鮎川、彼は本多と同じ「赤いカナリア」の現役幹部だった。
鮎川によれば、炭疽菌を使い政府と取引し本多を釈放させたらしい。
しかし、実際は本多の釈放よりも政府が交渉に応じるかどうかの確認だった様子。
鮎川は公的には死亡し亡霊となった本多に国外逃亡を奨める。
それに対し、本多は娘・茉莉の顔が見たいと希望するのだった。

その頃、右京と神戸は「還流」事件(シーズン7の1&2話)にて獄中に居る元法務大臣・瀬戸内(津川雅彦)から呼び出されていた。
そこで、瀬戸内から「本多が生きて釈放されたらしい」と告げられる。
瀬戸内によればこの極秘情報は彼を支持する刑務官から聞いたと言う。

瀬戸内の話は本当なのか?
本多の死刑は公式に発表されたものである以上、事実だとすれば政府レベルの話になるが……。

同じ頃、本多は娘・茉莉の自宅を訪れていた。
温かく本多を迎え入れた茉莉は、本多に手料理を振舞おうとする。
材料を買い出しに出かける茉莉。
1人残された本多の耳にインターホンの音が届く。
応対すべく玄関に向かうと現われたのは名も知らぬ男。
男はスタンガンを振りかざすと本多へと襲い掛かる。
格闘となった本多と男だったが、傭兵として各地を渡り歩いた本多の力量は伊達では無かった。
本多は男を殺害してしまう。

そこへ戻って来た茉莉は事態に驚くが、何者かに命を狙われているらしい本多と共に逃亡することに。
その際、本多は自身に発信機が取り付けられていたことに気付く。
雛子を問い詰めるべく電話したところ、雛子自身には身に覚えが無いと言う。
それどころか、発信機など必要無いとまで断言する。

一方、別の場所では鮎川が謎の一団に連れ去られていた。

その頃、右京は茉莉が本多の遺体を引き取らなかったことに疑問を抱き、神戸と共に茉莉の自宅へ向かう。
だが、茉莉は不在。
それどころか身元不明の他殺体を発見するハメに。
結果、殺人事件として捜査一課が介入。

この事態に右京は、特殊な訓練を受けた人間が使用する殺害方法や、キッチンに2人分の料理が用意されていたことなどから本多が茉莉を訪ねて来ていたと推測。
ここに本多の釈放を確信する。
しかし、本多は法律上既に死亡している。
指名手配も出来ない。
ふと周囲を見回した右京の目に、とある車が映る。

それは雛子の秘書の車。
しかも、鑑識の米沢によれば茉莉宅から雛子の秘書の指紋が検出される。
こうして、雛子に事情を尋ねる右京。

雛子が右京に語って聞かせたところによると。
雛子は2010年6月まで安全保障担当だった。
そんなある日、官邸の上野から公安調査庁の三田園と共に呼び出された雛子。
そこで「赤いカナリア」が炭疽菌を使って本多の釈放を要求してきていることを知った。
当時、この事件の指揮をとったのは小野田(岸部一徳)。
小野田は雛子や三田園と協力し、各部署から秘密裏に精鋭28名を召集し事に当たった。
しかし、翌7月、小野田が不慮の死を遂げることになったのである。
そこで雛子がすべての指揮を引き継いだと言う。

右京によれば、小野田の計画ならば釈放されたとはいえ本多は国外逃亡か監視下での生活しかなく既に無力化されていると言う。
ならば、誰が何の目的で本多の命を狙うのか?

その頃、三田園の指揮の下、赤いカナリアの拠点は次々と襲撃されていた。
だが、肝心の本多の身柄は捕まらない……。

当の本多は娘・茉莉と共に都内のあるホテルに潜伏していた。
茉莉の安否を気遣う本多は二人で国外脱出すべく、雛子に接触を図る。

6月に異動が出ており、出向扱いになっている警察関係者をあたる右京。
そこから、本多に殺害された被害者が、公安調査庁・丸山だと判明する。

本多から連絡を受けた雛子は刑事部長・内村と密談。
高崎外務大臣が政府専用機で訪欧するのでそれに同乗し国外逃亡するよう本多に指示する。
本多はそれを了承し、雛子の秘書の案内で空港へ向かうが……。

捜査一課の不穏な動きを掴んだ右京も動く。
ここに本多、右京、雛子、三田園、それぞれの思惑が絡み事態が推移していく。

雛子の秘書に案内された本多が辿り着いたのは、空港では無く捜査一課が待ち受ける埠頭だった。
雛子の罠だったのだ。
こうして、本多と茉莉は駆け付けた右京と神戸の目の前で連行される。

翌未明、本多を支援していた赤いカナリア幹部・鮎川が首吊り死体となって発見。
鮎川は丸山殺害を認める遺書を所持していた。
もちろん、右京は遺書を信じない。
本多の存在を認めたくない者―――つまり、本多殺害を狙う一派による工作を疑う。

同じ頃、本多を拘束するが取り調べはしないとの上層部の方針に反撥を覚える伊丹。
憤懣やるかたない伊丹は本多の留置先を密かに調べる。

右京は再度、雛子に接触。
本多の解放に最後まで反対した勢力こそが本多殺害を目論んでいるに違いないとぶつける。
雛子に確認する右京だが、そこは雛子もさるもの、のらりくらりと回答を避ける。
仕方なく本庁へ戻った右京たちを伊丹が待っていた。

伊丹は、右京たちに本多が不法入国の外国人として留置されていることとその留置先を教え、捜査を託す。

入国管理局を名乗った右京と神戸は遂に本多と接触、独断で本多を逃亡させる。

捜査一課は総出で本多と右京たちを追う。
神戸の所有する黒のGTRを目印に追跡をかけるものの、乗っていたのはなんと米沢。
米沢は、神戸に車を借りたと主張しその場を逃れるのだった。

その頃、右京と神戸は既に脱出。
本多を連れてホテルに潜んでいた。

なぜ、本多が釈放に応じたのか?
問う右京に本多は「娘に会う為、そして、何が起きているのか見極める為だ」と答える。
右京は真実を見極める為に本多に協力を申し出る。

本多は小野田がどこまで想定していたかを右京に尋ねる。
右京は小野田はこうなることも可能性として考慮した上で雛子に後事を託したのではと返答。
そんな右京に発信機の件も含めて雛子は信用できないと告げる本多。

一方、内村の命令で監視下に置かれている茉莉だったが、捜査一課・芹沢の協力で、本多と連絡することに成功。
本多は居場所を茉莉へ伝える。

茉莉は過去を思い返していた。

2010年6月、茉莉のもとへ小野田が現われ、ある協力を依頼していた……。

小野田を思い出した茉莉は雛子に連絡、本多の居場所を教える……。

数時間後、本多が居ると思われる部屋。
そこへ現れる人影がひとつ。
人影はソファーに横たわる本多らしき膨らみに向けナイフを突き刺す。
しかし、それは人形だった。
うろたえる人影の前に右京、神戸、捜査一課の面々が現われる。
その場で逮捕される人影、彼の正体は三田園の部下・宮内だった―――。

宮内の証言により三田園が連行される。
茉莉は雛子に連絡を取ったが、三田園たちはその電話を盗聴しており先回りしたらしい。
他にも、鮎川殺害や赤いカナリアの幹部を監禁していたことで三田園は逮捕される。
三田園は、テロリストと取引することが耐えられなかったらしい。
国を護る為にも必要だったと語る。

雛子は本多と茉莉が二人で逃げていたことを知っていた。
さらに発信機が必要無いと語っていたことから、茉莉が雛子と連絡を取っていたと見破る右京。

茉莉によれば2010年6月の事だったと言う。
小野田が現われ、どうしようもなく切羽詰まったら小野田か雛子に連絡を取るよう助言したらしい。
それで、本多の命が救われると告げられたらしい。

「茉莉は本多を恨んでいた筈だが、何故、許したのか?」
神戸の質問に茉莉は「顔を見たから」と呟く。
物心ついた時分から一度も見たことが無かった本多の顔。
それを目にしたとき、英雄も裏切りも関係なく肉親として傍に居て欲しいと思うようになったと言う。

本多と落ち合う右京たち。
今回の事件により、茉莉は過去の殺人幇助の罪(シーズン8の1話「カナリアの娘」での罪状)に問われてしまうことになったらしい。

それを聞き、本多は破壊活動に従事することに心底嫌気がさしたと語り、自身が釈放された意味は全てを白日の下に曝すことだと出頭を決意。
こうして本多が出頭したことで取引の存在が明らかになり、関係者は上に下にの大騒動に。

そんな中、雛子は他者に責任を押しつけ逃げ切ることに成功。
右京によれば、雛子は三田園の動きを知りつつ放置し敢えて罪を犯させた節があるらしい。
だからこそ、本多を逃がさなかったのだ。
「美人なのにねぇ……」それを聞いた角田は心底、残念そうだ。

そこへ、大河内監察官から連絡が。
それによれば、右京と神戸が本多の逃走に協力した罪は不問になるらしい。

瀬戸内が保釈請求することに。
右京に「年の為、先が短い」と語る瀬戸内は小野田の墓参りに行きたいと希望していた。

瀬戸内の情報源、それは小野田だった。
2010年6月、瀬戸内と面会した小野田。
「自分の目の黒いうちは誰も死なせない」と熱く語っていたと言う。

それこそが小野田の本当の遺言だったのだろうと右京は口にする。
小野田を偲ぶ瀬戸内、右京、神戸。

その帰路、右京は小野田の墓参りに神戸を誘うのだった―――最終話了。

<感想>

シーズン9最終話。
脚本はシーズン8で4、10、15話、シーズン9では1、2、9、12、16、17話を担当した戸田山雅司さんに加え、輿水泰弘さん。
つまり、劇場版を担当されたお二人です。

戸田山雅司さんは、シーズン4以降に参加し、映画版にも関与された「相棒」を代表する脚本家のひとり。
シナリオの基本傾向としては、突拍子もない大テーマがメインに据えられるものの、真相は割と小さいところに落ち着くことが多い。
結果として、大山鳴動して鼠一匹なことも割とある……。
ただし、これが嵌まった時の爆発力は凄く、また、話の破綻も少ない。
そんな戸田山雅司さん担当作品のネタバレ批評(レビュー)はこちら。

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さて、今回はというと……。

season9、堂々の最終回です。
脚本は戸田山雅司さん&輿水泰弘さん、ということで上記にある通り劇場版のコンビ。
それだけに劇場版と密接に関係していました。
戸田山さんはシーズン9の1、2話も担当されているだけに、「シーズン9は戸田山脚本に始まり、戸田山脚本に終わった」と言えるでしょう。

最終回を一言で表現すると次の言葉に集約されます。

「死せる小野田、生ける右京を走らす」

上記のとおり、本多回かと思いきや、実は小野田回でした。
小野田の遺志こそが、本多を救った―――そして、その最後の切り札こそが特命係だった。
これだけで、小野田ファンにとっては胸が熱くなりますね。
最後にそれを察する右京(最初から理解していたようだが)の姿に、小野田との関係の深さ、複雑さが看て取れて何とも言えませんでした。

「亡霊」というサブタイトルは劇中での本多の立場以外に、それこそ小野田の亡霊こそがすべてを支配していたことの証明に他ならないのでしょうね。
事前に予測し、手を打っておいた小野田。
そんな彼が、自身の死を予測出来なかったのは、やはり宿命なのでしょうか。
(小野田の死因については後述。ネタバレなので回避したい方は「さて、肝心の劇場版」以降を読まないこと!!)

さらに、ある種公然の秘密であった小野田の死。
それが、ドラマ本編で公式に明かされました。
分かっていた事とは言え、ショックを受けた方も多いかもしれません。

他には、最終回だけにある種のオールスター状態。
超豪華でしたね。
あの人のその後が沢山出てきました。

さらに本作は、シーズン8「カナリアの娘」の完結編でした。
これで、あちらの評価もグンと上がりましたね。

小野田という大きな後ろ盾を失った特命係。
だが、今回の事件で分かる通り、伊丹や米沢、角田に大河内と彼等の存在意義や真価を知り助力する人々は健在です。
これらの人々が存在する限り「相棒 シーズン10」も大いに期待できるでしょう。

「相棒」は―――それこそ本当に、「杉下右京こそ水谷豊さんのライフワーク」と呼んでも差し支えないほどの大きな存在感を示しているのです。
水谷さん、及川さんや「相棒」制作に関わっていらっしゃる多くの方々、シーズン9ありがとうございました。
シーズン9は、中盤からこ後半にかけて粒揃いで全体的にハズレの少ないシーズンだったように思います。本当に面白かった。
気が早いですが、シーズン10を今から楽しみに待つことにします。

さて、肝心の劇場版。
現在、映画版「相棒−劇場版U−警視庁占拠!特命係の一番長い夜」がロングラン上映中です。
本来は2月4日までの公開だったんですね。

そんな劇場ノベルス版のネタバレはこちら。

「相棒 ―劇場版2―」(大石直紀著、小学館刊)ネタバレ書評(レビュー)

ノベルス版は劇場版とは異なるラストとのこと。
CMや予告を見るに途中まではほぼ同じらしいが、ある一点で違う。
それが小野田のことです。
最終話を視聴した方には理由はお分かりですね。

ちなみに、小野田の死因は不祥事により解雇した部下の逆恨みで刺殺されたことでした。
ここらは劇場版をご覧になるべきかもしれません。
右京との最後のやりとりには、心を揺さぶられます。

劇場版に関連して2010年12月26日には「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」が放送されました。

「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」ネタバレ批評(レビュー)

他にもオリジナル小説も発売中。
ただ、こちらはオススメしかねるかも……。

「杉下右京の事件簿」(碇卯人著、朝日新聞出版刊)ネタバレ書評(レビュー)

関連書籍も多数登場。
興味のある方はチェック!!

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<キャスト>
●杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係・係長。あまりにも切れ過ぎる頭脳と、何を考えているのか判別できない素行から変人扱いされ、窓際部署の特命係に追いやられた経緯が。しかし、その人事すら本人はまったく気にしてない様子。常に冷静で、どんな相手でも論破できるが、論客が元妻のたまきだと、高確率で敗北。動揺することもしばしば。

●神戸尊(及川光博)
警視庁特命係員。警察庁上層部からの密命の真実を知り、自ら特命係に残ることを志願。
(MSNエンタメさんより)


「相棒season8」やその他の「相棒」情報はタグ「相棒」よりどうぞ!! 

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