<あらすじ>
松本清張の同名小説を基に、2日連続でおくるドラマの2日目。東京・蒲田で起きた殺人事件を、若手刑事(玉木宏)の目線で描く。脚本・竹山洋、演出・藤田明二。 和賀(佐々木蔵之介)の新曲「永遠」を聴いた吉村(玉木)は、前作「寂滅」とあまりにも作風が違うことから、和賀の中で大きな事件が起こり、それは三木(橋爪功)が殺害された蒲田の事件とつながっているとの直感を得る。そんな中、和賀と同じく「ヌーボーグループ」に所属する評論家の関川(長谷川博己)が、宮田(山口馬木也)殺害の重要参考人として浮上。さらに、宮田が殺害される前夜に関川と訪れていたクラブのホステスも非業の死を遂げ、関川に疑いの目が向けられる。吉村は、三木が東京に来た経緯を追う中で、彼の不可思議な行動を知る。三木は旅先の伊勢で、2日続けて同じ映画館に足を運んだ後、岡山へ帰る予定を変更し、東京へ向かったというのだ。同じころ、今西(小林薫)は三木が島根の亀嵩(かめだけ)駐在所に勤めていたころ、流れ着いた遍路の父子と深く関わっていたとの情報を得る。
(@nifty tv番組表より)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
・第1夜の内容はこちら。
サスペンス特別企画「砂の器〜松本清張の最高傑作遂に放送へ!秋田−東京−伊勢−出雲、日本縦断3000キロの殺人捜査!!操車場の死体とカメダの謎!?二人の刑事が追う宿命…」(9月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
宮田に続き、関川の恋人・三浦も死亡。
医者の診断は死産による失血死。
殺人の疑いはないと思われたが、今西は「関川が三浦の処遇に困っていた」ことを突き止める。
それを理由に和賀と関川の間で何らかの取引がなされた可能性を検討する。
続いて今西は、さらに三木の過去を捜査。
結果、三木が過去に行き倒れた遍路の親子を助けていたことを知る。
その息子・本浦秀夫は三木に大変可愛がられていたらしいが、ある日を境に姿を消してしまっていた。
本浦秀夫は事件に関係があるのか?
一方、吉村は三木の東京以前の足取りを追っていた。
どうも三木はとある映画を鑑賞したことにより東京行きを決定したらしい。
しかし、映画には三木を東京へ向かわせる動機となりそうなものは映っていなかった。
秀夫の父・本浦千代吉は三木に助けられた後に入院していた。
現在では既に病没しているらしい。
千代吉の過去を探った今西たちは、千代吉が強盗殺人の容疑をかけられ息子と共に故郷を追われていたことを知る。
当時の秀夫を知る人物に確認したところ、秀夫の眼は和賀のそれに似ていると判明。
今西と吉村の脳裏に秀夫=和賀の図式が浮かぶ。
だが、秀夫と和賀は戸籍上は別人である……。
吉村に意外な情報が飛び込む。
映画館に足を運んでいた三木が映画を見ていなかったことが明らかになったのだ。
三木は館内に飾られていた政治家・田所の写真を熱心に眺めていたらしい。
田所は和賀の婚約者の父である、もしやその写真には和賀も……。
早速、映画館へと向かった今西たちは田所の隣に和賀も写っていることを確認する。
三木は映画館で和賀の写真を見かけ、本浦秀夫だと確信した為に会いに出向き、殺害されたのだ。
一方、新聞記者の洋子は和賀の両親の死亡日に違和感を抱いていた。
吉村は入院中の千代吉について調べるべく現地へ。
今西は東京へ戻る。
こうして着々と和賀包囲網が敷かれつつあった。
東京へ戻った今西の前に洋子が現れ重大な情報を教える。
和賀の両親の死亡日が大阪大空襲と同日だと言うのだ。
つまり、この混乱に紛れて和賀を騙ることは決して不可能ではないのだ。
その頃、吉村は千代吉の遺骨や風景画など遺品を手に入れていた。
洋子の助力を得た今西は、空襲で和賀の戸籍の原簿が焼失しており、和賀自身の申し立てにより再生されていたことを突き止める。
本浦秀夫は和賀の戸籍が焼けたことを利用し、和賀を名乗って生きて来たのだ。
ここに和賀に対し三木殺害容疑で逮捕状が出され、和賀は田所の娘との婚約を解消される。
同時刻、関川も宮田殺害容疑で逮捕された。
和賀の取り調べは吉村が行うことに。
自身が秀夫であることを認めようとしない和賀だったが、千代吉の遺した風景画を目にし心が折れる。
そこには小さく千代吉と秀夫の姿が描かれていた。
そして、その裏には千代吉の秀夫への愛の言葉が記されていたのである。
和賀こと秀夫の脳裏に過去が蘇る。
故郷を身に覚えのない強盗殺人容疑で追われた千代吉と秀夫。
旅に出た2人は各地で迫害を受けつつ、放浪し続けていた。
精神的に消耗していく日々。
そんなある日、三木と出会った。
三木は千代吉親子を温かく迎え入れた。
三木の説得もあり、このままでは秀夫の為にならないと考えた千代吉は秀夫を手放すことに。
そのまま千代吉は入院、秀夫は父に捨てられたと屈折した想いを抱いて三木のもとを飛び出した。
流浪の果て、大阪大空襲に遭い和賀を名乗るように。
和賀となってからは作曲家として成功をおさめた。
そんなある日、映画館で和賀の写真を見た三木が昔を懐かしみ訪ねて来た。
和賀は唯一過去の自分を知る三木に恐怖し、これを殺害。
その後、当時交際していた女優の鳴瀬を利用し、血痕のついたシャツを処分させた。
同時に、鳴瀬を通じて宮田を動かし、謎の人物を演出した。
和賀は田所の娘と婚約。
捨てられた鳴瀬は自殺してしまう。
これで終わったかに思えたが―――今度は、宮田が和賀を脅迫。
そこで、三浦との関係で関川を脅し、宮田殺害を協力させた。
三浦は流産から失血死してしまう。
これが事件の全貌だった。
宮田殺害を関川も自供し、和賀は本浦秀夫として逮捕された。
吉村は思う。
和賀はついに秀夫へと戻ることが出来たのだ、と。
そんな吉村に寄り添う洋子だった―――エンド。
<感想>
「砂の器」5回目のテレビドラマ化です。
これまでのテレビドラマ化等についての情報(主役の変遷)については下記過去記事をどうぞ。
・松本清張先生原作「砂の器」が5回目のテレビドラマ化決定。テレビ朝日制作、主演は玉木宏さん!!&「砂の器」ネタバレあらすじ
さて、そんな5回目のドラマ版。
果たしてどのようなドラマだったのでしょうか?
……と、その前にこの「砂の器」は、本来2011年3月12日、13日に放送される予定でした。
ところが、2011年3月11日に痛ましい東日本大震災が発生し、その影響で本日まで放送延期されていました。
東日本大震災の傷跡は深く大きく、日本人ならば……いや、世界の人々にさえも影響を与える災害でした。
それほど大きな事象でした。
しかし、今、こうしてこのドラマが放送されるまでになったことを考えると、未だ完全復興とまでは至らぬものの、多少なりとも心の余裕を持つことが出来るようになった証かと思われます。
素直に喜ぶべきことではないでしょうか。
そんな震災からの復興の象徴ともいえるドラマとなった「砂の器」。
実は2011年3月13日放送予定のものと今回のものとでサブタイトルが違います。
2011年3月13日:「砂の器 第二夜〜松本清張の最大ベストセラー映像化!秋田−東京−伊勢−出雲、カメダの謎を追い日本縦断3000キロの殺人捜査!!紙吹雪の女と哀しい親子の旅…」
2011年9月11日:「砂の器〜松本清張の最高傑作遂に完結へ!日本縦断3000キロの捜査が暴く連続殺人の罠!?二人の刑事が見た父子永遠の旅!!天才作曲家の殺意…衝撃の結末」
後者の方が内容に注視しているように感じられますね。
では、いよいよドラマの感想を。
千代吉の過去が改変されていましたね。
そして、第2夜に入って今西の主人公化がより顕著になっていました。
ラストこそ吉村が頑張っていましたが、どう見ても今西が主人公だったような。
少なくとも、吉村1人が主人公というわけではなかった。
そして、洋子の立ち位置がよくわからない。
この改変は必要だったのか?
改変するならばもっと大胆に改変した方が良かった気がする。
和賀の過去描写がちょっと弱かった気がするのも……。
悪くはないんだけど、「砂の器」のドラマ化として特別成功していたとは言い難いかな。
◆松本清張先生関連過去記事
【小説】
・「霧の旗」(松本清張著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「書道教授」(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「球形の荒野」(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ】
・月曜ゴールデン特別企画 松本清張生誕100年スペシャル「中央流沙」(12月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・月曜ゴールデン特別企画 松本清張生誕100年記念スペシャルドラマ『火と汐』(12月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・松本清張ドラマスペシャル「顔」(12月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「松本清張ドラマスペシャル 山峡の章」(1月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・生誕100年記念作 松本清張ドラマスペシャル〜霧の旗「歌舞伎界のプリンスが現代劇初主演!原作と異なる衝撃のラスト!魔性の女3人に振り回される傲慢敏腕弁護士誰もが陥る心の闇と罠の先に待つ真実の幸せとは?真犯人は誰?」(3月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ 文化庁芸術祭参加作品 松本清張2夜連続SP球形の荒野・前編「連続殺人の裏に隠された昭和史の光と影〜奈良古寺に残る亡霊の筆跡!」(11月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜プレミアム 松本清張2夜連続SP球形の荒野・後編「昭和39年東京オリンピック開催日にすべての謎は明かされる!刑事も涙した戦争で引き裂かれた父娘の結末」(11月27日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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なのでドラマ化される度に千代吉の過去が改変されているみたいです。
前に原作のまま使った時はハンセン病に対する誤解をしないように最後にテロップを入れてたみたいです。
用件だけですみませんが失礼します
お久しぶりです(^O^)/。
管理人の“俺”です!!
なるほど。
千代吉の過去改変には、そんな理由があったのですね。
納得しました。
そういえば、前に視たドラマ版『砂の器』でも理由は変更されていたような気がします。
1938年に岡山県で起きた、「津山事件」という事件を引用しているそうです。
戸籍偽造の設定も違います。
中居版は、秀夫が長崎の孤児院にいたとき、「長崎大水害(1982年)」で一家の全員が亡くなった、「本物」の和賀英良の自宅近くで救助隊に発見され、その機会を利用して、「和賀」と名乗ったという設定になっています。
これは、時代の設定が2004年になっていることから、「空襲」では時代設定の整合性が取れないためだということです。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
連続ドラマ版のは、横溝正史作品でモチーフになったあの事件ですね。
違和感無くドラマ化する為には、時代に沿って設定も変わるんですね。